神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
<< 前の話 次の話 >>

63 / 96
仁慈の過去トリップ編。
英語で言うとセカンドシーズン(ブロント感)

というわけで、今までやったことの無かったヒロインアンケートなるものをやってみようと思います。

まぁ、皆さん分かっている通り、大した恋愛描写なんて私には書けませんがなんとなくやってみたかったんですよね。

活動報告にて募集します。


嵐の前の静けさ

 

 

 

 

 

 

 

 時がたつのは速いもので、過去の極東に来てからはや二週間が経った。初めの一週間もっぱらエリックさんと任務に当たっていただけだったが、一週間を過ぎた頃、俺の実力の方もバレかかっているようで、個人を指名する任務が増えてきていた。ソロでボルグ・カムランとかシユウとか、今では絶対に回されることのないアラガミをなぎ倒してもう一週間を過ごした。

 結果的に同期に近い扱いとなってしまったユウさんのほうも、スーパー極東人ゆえか、その才能の片鱗を見せ始めて周囲から注目を集めているらしい。ちなみに俺は、サカキ博士により情報規制がされているため、一部の人しか本当の戦果を知らない。知っていたとしても俺の場合は注目を集めるどころか逆にドン引きされるレベルだそうだ。このドン引きレベルがその内極東の普通になるのにね。

 

 

 まぁ、それは置いておこうか。

 今回の仕事はリンドウさんと2人きり、標的はウロヴォロスらしい。

 ……どう考えてもおかしいよな。しかもこれを言って来たのはヒバリさんではなくリンドウさん本人だ。

 確か、現支部長ヨハネスは終末捕食を引き起こすアラガミ、ノヴァを作るために特務と称して貴重なアラガミのコアを回収したりするらしい。この時期リンドウさんはその特務を受けているはず……任務にかこつけて俺を殺す気か?リンドウさんがそんなことするとは思えないけれど、もしそうならそれ相応の対応をするとしよう。未来の極東式O☆HA☆NA☆SHIだ。

 

 

 「よう、新入り。ユウと同じくお前も新型らしいじゃないか。実力のほうはエリックから聞いている。期待してるぞ」

 

 

 「えぇ、お任せください」

 

 

 まぁ、あれこれ物騒なことを考えはしたが所詮はリンドウさんだ。大層な嘘なんて吐けないし、いざとなれば配給ビールでつればいい。……ムツミちゃんの料理が恋しいぜ。

 

 

 「お、見えたな」

 

 

 「大きいですね(相変らず図体だけでかいな)」

 

 

 「ん?あ、あぁ……お前は怖がらないのか……肝っ玉据わってるな」

 

 

 「自分、これでもなかなかの修羅場をくぐってますから」

 

 

 本当にね。

 ウロヴォロスを2人で狩るくらいどうってことない。世界滅亡の危機や異世界転移に比べたらインパクトが弱いにもほどがある。

 

 

 「神機使いになる前から苦労しているんだな……っと無駄話はここまでだ。連れて来ておいてなんだが、コイツはかなりの強敵でもある。ヤバイと思ったら最悪見てるだけでもいいぞ」

 

 

 「それ連れて来られた意味殆どありませんよね」

 

 

 こんな無駄話をしつつも、しっかりとウロヴォロスの背後を取っている。そして、リンドウさんがハンドサインを出した。戦闘開始の合図である。

 俺は了解と同じくハンドサインで返すと、音を立てないように走り、山のようなウロヴォロスの背中を一気に駆け上がっていく。コイツの皮膚は確かに硬いが、顔面は割と柔らかいほうだ。特に目のあるところは他の部位に比べて柔らかい上に、コアの近くでもある。

 足のような触手のような部分を切っていればその内倒せるが、時間もかかるし危険度も高いため、俺はこいつらと戦うときはこの戦法をよく取っている。

 リンドウさんは側面から攻撃をして、ダメージを与えていくらしく、ウロヴォロスもそちらのほうに気を取られていた。それが命取りとなることも知らずに。

 

 

 リンドウさんに気をとられ、前足の近くにある触手を全てリンドウさんに向ける。彼はそれを巧みな動きで受け流して時折反撃し、着実にダメージをあたえていた。

 流石ユウさんという化け物を作り出した要因のひとつ。

 自分の何倍もある質量をもつ攻撃をあそこまで完璧に受け流すことは俺には出来ない。基本的に、回避に重点を置いてるし、反撃なんてされないように一撃で倒すようにしているから。

 

 

 閑話休題。

 

 

 ウロヴォロスの頭まで上ると俺は戸惑うことなくそこから跳び下りる。そして空中で体を半回転させウロヴォロスの複数の目を持つ顔と正面から向き合う形になった。唐突に目の前に現れた俺に驚くようにその巨体を揺らすウロヴォロス。だが、もう遅い。

 俺は空中で神機を捕食形態へ移行する。何時ものとは違い、どこか鳥のくちばしを思わせるフォルムで捕食形態になった。そしてそのままウロヴォロスの顔面を捕食、いくつかの目を食い破る。

 

 

 

 『■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■―――――――ッ!!??』

 

 

 

 顔の中心に穴が開いたウロヴォロスは触手を振り回し、暴れだす。リンドウさんもその場にいたのでもう少し考えてから行動するべきだったかと、下に視線を移すと、彼は既に触手で捉えることが出来る範囲の外に移動していた。流石すぎる。

 巻き込む心配も無くなったため、俺は空けたウロヴォロスの穴から内部へと侵入。近くにあったコアをそのままバックリと捕食して、外へ飛び出した。

 

 

 ズザザ、と地面を若干抉りながらも何とか着地。

 ウロヴォロスのコアなんて俺が居たところの時代では特に貴重でも何でも無かったが、この世界では違うのだろう。現支部長が求めるくらいだし。

 地面にずぶずぶ消えているウロヴォロスの死体を一瞥しつつ、リンドウさんと合流を果たす。彼は懐から煙草を取り出して火をつけているところだった。

 

 

 

 「おう、お疲れさん。わりぃな、まったく役に立たなくて」

 

 

 「いえ、どちらも死なずに何よりです」

 

 

 「こうして疑うのもアレだが……お前さん、本当に新人か?資料にはそう書いてあったたが……あの身のこなしはどう考えても素人のものじゃない。ユウだって新人にしてはよくやっているほうだが、お前さんのアレは分不相応のものだ」

 

 

 「それをはっきりとするための任務でしょう?元々は支部長の特務らしいですが」

 

 

 俺がそう言及すると、リンドウさんは煙草をいったん口から話して煙を吐いた後、後頭部をガジガジと掻いた。

 

 

 「はっはっ……ばれてたか……」

 

 

 「形式上新人をこんな任務に引き連れて行くなんてありえませんよ」

 

 

 「形式上って言っちゃうのな。……まぁ、いい。サクヤから色々聞かされてたから、確かめようと思ったんだ。こうしてお前さんとこうして一対一で話してみて、悪いやつじゃないというのはよーく分かった。サカキのおっさんと何かしているらしいが、それも悪いことじゃないだろ」

 

 

 「いいんですか?確証もなしにそんな事言っちゃって」

 

 

 「勘ってやつだよ。今まで神機使いやってこれたのもこれの存在が大きい。だから、今回も(コイツ)を信じることにしたのさ」

 

 

 

 そう言ってリンドウさんはニカっと笑った。

 この人過去でも未来でも全然変わってないな。ソーマさんとかコウタさんは物凄い違うのに。

 

 

 それは今はいいか。

 なんにせよ、リンドウさんに実力を示すことができた。今はこれで十分だ。

 もしかしたら、現支部長のほうから特務の依頼が回ってくるかもしれない。たとえ来ないとしてもリンドウさんに敵意が無いこと、そして実力があることを知ってもらえた……つまり、今後何かあったときに頼られることがあるかもしれないのだから。ソーマさんから聞いた話ではリンドウさんはかなりのキーパーソンだと聞いていた。その彼とつながりが出来たのであればこれ以上のことは無いだろう。

 そう考えながら、リンドウさんの一服に付き合うのだった。

 

 

 別に吸ってないよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              ―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リンドウさんの付き添いで行ったウロヴォロス狩りから帰ると、リッカさんに呼び止められた。

 

 

 「ねぇ、君。なんか、シールド装甲の傷が全然無いんだけど……しっかりシールド使ってる?」

 

 

 「いえ、まったく」

 

 

 思い返してみれば、シールドを使ったのは最初の頃受けていたジュリウスからの訓練と、初めてマルドゥークに遭遇したときくらいではなかろうか。

 そもそも、圧倒的質量差があるアラガミの攻撃を受け止めること自体が、かなりの危険行為である。クアトリガの突進なんてガードしても死ぬ気しかしないし。基本は回避一択だな。

 

 

 「ダメだよ。しっかりガードも使わないと……いつか死んじゃうよ?」

 

 

 なんと優しいリッカさんなんだろうか。

 初対面に近い状態の俺に命に関わる実験をさらっとさせた人とは同じ人物だと思えない……。きっとアレだな。極東に染まった結果があれなんだろう多分。

 

 

 「申し訳ありません。次からは気をつけます」

 

 

 「うん。後ね……君の神機、他のとは全然違うんだけど……詳しく聞かせてもらえないかな!」

 

 

 やっぱり、同一人物だわ。これはまごうことなきリッカさんですわー。

 目を光らせてじわじわと俺との距離をつめてくるリッカさんを見つつ、俺は内心で自分の考えを訂正するのだった。

 

 

 

 数時間後、ようやくリッカさんの質問攻めから解放された俺はようやくサカキ博士が用意してくれた自室に帰ってきていた。

 しかし、扉を開けて中を見てみると俺が自室で使っていた荷物が根こそぎなくなっていることに気付く。なんでさ。

 手がかりが無いかと部屋を捜索する。すると、サカキ博士からの手紙があった。

 

 

 

 『今回、ヨハンが呼んだと思われる新しい新型神機使いがその部屋を使うらしいから君の荷物は僕の研究室に移して置いたよ。それと、その新しい神機使い、色々怪しいから監視しておいてくれたまえ』

 

 

 言いたいことだけ書いてあった。

 部屋の件は言いとして、新型神機使い……確かソーマさんの話では、アリサさんだったかな。この時期に来るのは。

 

 

 ………よかった。比較的、比較的まともな人がこれで増える。

 

 

 

 

 

 そう喜んでいた俺が絶望を抱いて水没することになるということを知るのは直ぐ後である。         

 

 

 

                                      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




サクヤ(過去)「無理しないでね。神機使いはすごい人ほど、早死にするから……」
リンドウ(過去)「じゃあ、俺もまだまだってことか……」

             ―――回想終了――――

リンドウ「(とか言ってたけど、コイツは死ななさそうだな)」
仁慈「やっぱ、でかいだけだったな。ウロヴォロス」







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。