神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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ここ最近似たような話ばかりやってますね……。
どうしたものか……。スランプかな。


もしかしたら詰んでいるのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 極東支部支部長、ヨハネス・フォン・シックザールは現在大変困っていた。理由はリンドウの代わりに利用しているサカキが見つけた新型神機使い、樫原仁慈である。はじめは、何処の誰だか知らないやつに雇われ、自分達をかぎまわっているリンドウの代わりにコアを集めてくれる人材だと歓喜したヨハネスだったが、それも始めの一ヶ月ほどだけだった。

 彼は確かに数多くのコアを手に入れててくれた。おかげで予定よりも早く終末捕食を行うアラガミ……ノヴァが完成したのである。これはリンドウでは決して成し遂げることが出来ないことだっただろう。

 

 

 そして、ノヴァが完成したことで仁慈は不要のものとなった。あの力を完全に制御できるのであれば今後も利用していいと思っていた。しかし、報告を聞く限りとても自分に制御しきれるものではないと彼自身も考えていた。下手に反逆を許し、強大な力を持った彼が敵になる前に……彼が自分の味方であるうちに亡き者にしようと、無理難題を送りつけてみるも、結果は全て失敗に終わっている。

 何あの強さ聞いてない。接触禁忌アラガミの群れに突っ込ませたこともあった。まったく確認されていない未知のアラガミをぶつけたこともあった。しかし、すべて倒されてしまった。あまりに余裕過ぎて命を狙っていると気付かれなかったことは幸運といえるのか不幸といえるのか、彼にはわからなかった。

 

 

 それに加え、彼の協力者であるオオグルマの行方も分からなくなっている。調べた結果他の支部に移動することになり、その途中で死んだことになっていた。これは当初彼が考えていたことである。表向きに死んだことにして、裏からアリサを使って邪魔者を排除しようとしたのだが、ヨハネスはこのことに関して一切手を出していない。ぶっちゃけオオグルマは普通に死んだ可能性が高いのである。

 オオグルマは割とどうでもいいが、新型神機使いのアリサを使えなくなったのは彼にとって大きな損失だった。

 

 

 

 「………」

 

 

 かつて、サカキと共に技術者をやっていたとき並に頭を回転させてこの現状を切り抜ける方法を考える。しかし、何度考えても出てくる答えはひとつだけだ。それはすなわち、特異点を手に入れること。

 

 

 「だが……」

 

 

 仁慈に特異点の存在を知らせていいのか。彼がもし、自分の考えに賛同してくれず特異点の存在を知ったまま敵になったとしたら……。

 最悪である。そうなれば彼はヨハネスより早く特異点を捉えて保護するか殺すかするだろう。手を回して彼を極東支部の敵とすることは出来るが、信じないものもいるかもしれないし何より、極東の全勢力をぶつけても勝てる気がしない。ヨハネスはもう彼を神機使いの皮を被った化け物としか見てなかった。

 まぁ、その当の本人も認める神薙ユウ(化け物)も存在したりするが、ヨハネスがそのことを知らなかった。

 

 

 「…………」

 

 

 彼は支部長室に掛けてあるカルネアデスの板の絵画を見つめる。自分を犠牲にして他者を助けるか、他者を蹴落として自分が生き残るか……。

 ………仁慈ならそもそも船が沈まないようにするという前提を覆す方法を取るのではないかと、彼は漠然と思った。

 

 

 実はヨハネスが噂している仁慈は、特異点のこともヨハネスの大まかな目的を知っていてさらに特異点の保護に王手を掛けている状態なのを彼は知らない。

 ……ヨハネスの目的は、自身が思っている以上に達成が難しいものになってしまっていた。

 もしここに、人柱にされた某アラガミが居たらこういうだろう。

 ようこそ、計画を無残に潰された会(こちら側)へ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

             ―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 一方ヨハネスに色々とんでもない想像をされている仁慈は、コウタとサクヤに全力で詰め寄られていた。

 きっかけは彼らが先程受けたヴァジュラ討伐任務での出来事である。錯乱してまともに生活することすら出来ないレベルのトラウマを抱えていたはずのアリサがそのトラウマであるヴァジュラ種を笑顔で生き生きと惨殺し、神機使いになった頃から信じられない強さを誇っていたユウが洒落にならないほどの実力をつけるにあたる経緯を元凶である仁慈から聞きだそうとしているためである。

 詰め寄られている仁慈は仁慈で特にたいしたこともしていないのでそのままあったことを話しているのだが、彼らはまったく信じてくれず、話が一向に進展していなかった。

 

 

 「だから、特に何もしていませんよ。普通に話をして、アラガミの倒し方を教えただけですって」

 

 

 「普通に接してあんな変貌の仕方をするわけがないでしょう!?」

 

 

 「こっちだって誰かに聞きたいですよ」

 

 

 アリサの進化は仁慈本人も出来れば誰かに問いかけたいほどであった。彼の元々いた未来でもあそこまで修羅って居なかったはずなのに……と仁慈は思っている。犯人は自分自身であるにも関わらず。

 

 

 「で、でも。俺も何かあったとしか思えないんだけど……ユウもすっごく強くなってる……というか人から外れた動きをしてたし」

 

 

 「え?元からあんな感じでしょう?」

 

 

 「………まぁ………うん」

 

 

 あまりにも当然といった風に言い切る仁慈につられコウタも頷いてしまう。まぁ、ユウがおかしいくらい強いというのは同期であるコウタが一番知っているからそのことも

あるのだろう。

 コウタは納得したが、サクヤははじめの出会い方がアレだったので仁慈の言うことなんてまったく信用していない。

 

 

 「ほら、白状しなさい」

 

 

 「どうせ何言っても信じてもらえないですから、直接本人たちに訊けばいいんじゃないんですか?」

 

 

 この手の相手には何を言っても無駄ということを仁慈は自身の経験から知っていた。なので変わった当の本人達に聞いてみればとサクヤに進言する。その言葉は彼女を動かすには十分な力を持っており、彼女は2人に詰め掛けた。

 ようやく尋問から開放された仁慈は肩をまわして深く息を吐いている。

 

 

 「いやー。色々疑って悪かったよ。御詫びにガム食べる?」

 

 

 「別にいいですよ。知らない人から見れば怪しいのは事実ですから。あと、ガム頂きます」

 

 

 コウタの御詫びの品を受けとって口に放りこみながら彼は答えた。そして、遠目から2人に話を聞いて何故か物凄い疲れた表情になっているサクヤを眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

            ―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 アリサさんが完全復活を遂げた日から、しばらくして。俺に廻ってくる特務がようやく特務らしくなってきた。

 未だ発見されていない新種のアラガミたちの相手をさせられたのである。アイテールにとても似ているアラガミ、ゼウス。セクメトにとても似ているアラガミ、ヘラ。そして、テスカトリポカに似ているアラガミ、ポセイドン。彼らは示し合わせたかのように

三匹そろって俺の目の前に現れたのである。

 特務では一匹ずつ相手するような内容だったのだが、どうやらよくある伝達ミスらしい。まぁ、このくらいなら問題ない。だまして悪いが系の仕事に比べて、唯相手を倒すだけでいいからである。本当にもうね。だまして悪いが系の仕事は相手が人間だから余計片付けるのが面倒くさくていけn―――ゲフンゲフン。

 

 

 過去の愚痴はこのくらいにしておいて、彼らとの対決だ。

 俺のいたところには居なかったこの3体のアラガミ。名前が誰でも知っていそうな有名どころなことと、一度も戦ったことがないということから俺のテンションは割りと高かった。のだが……。

 

 

 しばらく3体と戦ってみて思ったのは、ベースのアラガミと攻撃手段が殆ど変わらないなということである。もちろん、破壊力はたいしたものだった。建物にぶつかれば砕け、地面に当たれば周囲を抉る。シールドを展開しても大きなダメージとなるだろう。

 

 

 だが、それも結局はあたればの話なのだ。

 3体もいて俺に攻撃をかすらせもできないなんて期待はずれにもほどがある。

 俺の居た時代にこいつらが居なかったのは弱すぎたからではなかろうか。ただ、攻撃力が高いだけのアラガミなんてそこらに転がってるし、というか基本的にアラガミの攻撃は俺達にとって一撃必殺ものだし。

 

 

 ゼウスのビームをよけて、ヘラの気弾擬きを斬って、ポセイドンのミサイルを送り返す。

 それらをやっているだけで、アラガミたちは俺から一歩、二歩と後ずさりしはじめた。こいつら度胸がなさ過ぎるでしょう……?

 

 

 胸に沸き起こる残念感を押し殺しながら、まずはヘラの背後を取って首を刈り取る。それだけでは当然死なないので、すかさず首に神機をさして傷口を広げると上段から一気に神機を振り下ろす。

 そうするとヘラはコアごと真っ二つになった。その次に俺はゼウスのスカートと蟻のように膨らんでいる部分を刈り取る。

 急に体のバランスが崩れたゼウスは地面に落ち、その隙にサリエル系統の弱点である頭に神機を十数回振り下ろして絶命させる。

 俺がゼウスに構っているのをチャンスだと錯覚したポセイドンが撃ってきたミサイルを左手で掴んで方向を変えると先程と同じようにポセイドンに向けた。

 そしてミサイルにまぎれて俺自身も接近する。

 ミサイルの煙で視界を閉ざされたポセイドンは俺を見失う。その隙に空きっぱなしの前面装甲の部分に捕食形態の神機を突っ込み、何時もの体内捕食を行って絶命させる。

 

 

 3体の死体が崩れていくのを確認すると俺はヒバリさんに連絡を入れ、極東支部へと帰還した。

 

 

 帰還するとすぐにアリサさんの部屋に御呼ばれをした。何でも大切な話があるという。特に用事もなかったので彼女の部屋に向かった。

 若干ごちゃごちゃしている部屋のソファーに座ると、彼女はその大切な話を始めた。

 

 

 

 何でも、サクヤさんがリンドウさんに関係のあると思われるディスクがあって、それの中身を見てみたいらしいのだが、リンドウさんの腕輪認証がかかっていて中身を見ることが出来ないらしい。

 そこで、彼の腕輪を探すのを手伝って欲しいということだ。

 

 

 「そもそも、なんでそのディスクの中を見ようと?」

 

 

 「……仁慈さんも知っていると思いますが、基本的に二つのチームが現地で会うことはありません。そうならないように調整されています。しかし、あの日は私達とサクヤさんたちで鉢合わせしました。そこで私は錯乱し、タイミングよくプリティヴィー・マータの大群が襲ってきた……そして最後にサクヤさんが調べたことですが、あの日のミッション履歴が消されているらしくて……」

 

 

 「なるほど。あまりにもおかしな点が重なりすぎている。アレは誰かがリンドウさんを亡き者にするために仕組んだことだと」

 

 

 「はい。だから、そのディスクを見れば何かわかるんじゃないかって……。私がリンドウさんを殺したようなものだから、何か手伝いたくて」

 

 

 「ふむふむ……」

 

 

 「サクヤさんは私の主治医であるオオグルマ先生を疑っていたようでした。正直、今では私も、彼が怪しいと睨んでいます。ここ最近心に余裕が出来て、思い出したんです。彼が私にリンドウさんの写真を見せながら『これが君のパパとママを食べたアラガミだよ』と言ったことを。でも、もう彼は死んだことになっていて……」

 

 

 「大体事情は分かりました。そういうことなら手伝います」

 

 

 リンドウさんは死んでいないと思うが、腕輪の反応がないとツバキさんは言っていたはずだ。つまり、それはリンドウさんの腕から腕輪が外れてしまったことを意味する。そう考えれば彼が未来であの腕だったのも頷ける。ただ、どうしてそうなったのかが分からないからなぁ。

 

 

 とりあえず、片っ端から探していくしかないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一人称より三人称のほうが書きやすい気がする。







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