神様死すべし慈悲はない   作:トメィト
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誤って製作途中の物を上げてしまいました。申し訳ございません。



第八話

「うーん、やっぱりなんか違うんだよなぁ」

 

 

樫原仁慈のポイ捨事件(俺命名)からまたまた数日後、俺はフライアの訓練場でチャージスピアをダミーアラガミ相手に振るっていた。

ヴァリアントサイズが使えれば早いんだけど、新人の俺がソロで任務なんて許可してもらえるはずもない。と言うか実際されなかった。

そうなると自然と複数人で任務を受けるしかないわけで……こうして、任務じゃない時間を使って周りをなるべく巻き込まない刀身の使い方を練習している、んだけど。

結果はあまりよろしくない。

これでも、ショートやロングなどのほかの刀身に比べたら断然扱いやすいんだけどなぁ。だからこそ、この前置き去りにされた時もアラガミを倒せたんだし。

 

 

「ん?どうした、仁慈。浮かない顔をしているな」

 

 

「ジュリウス隊長?」

 

 

うんうんと悩みながら今日のノルマをこなしにロビーに向かっていると同じくロビーに向かおうとしているであろうジュリウス隊長と会った。

 

 

「何か困っていることがあれば言ってくれ。何でも答えてやろう」

 

 

おぉ、久しぶりにジュリウス隊長が頼もしく見える!

 

 

「実はヴァリアントサイズは仲間を巻き込むとナナに言われたので、巻き込まないような刀身を選んで振ってみたんですけど……ヴァリアントサイズに比べてなんかしっくりこないんですよね」

 

 

今日はしっかしとしたジュリウス隊長だったので自分が今悩んでいることを正直に話す。

 

 

「簡単なことだ。要するに刀身を使わなければいい」

 

 

「俺にずっと銃形態で戦えと!?」

 

 

新人に要求することじゃねぇ!

 

 

「あの……正気ですか?」

 

 

「フッ、冗談だ」

 

 

「真面目に答えてください」

 

 

アンタの冗談は顔に出ないからわかりにくいんだよ!?

 

 

「なら、実地訓練の時と同じように仲間が周囲にいないところまでアラガミを誘いだし、一網打尽にする。と言うのはどうだろうか」

 

 

「……それは盲点でした」

 

 

なるほど。仲間を巻き込みたくないならそもそも近くに居なければいい、という事か。

いや、しかし……

 

 

「それ、単独任務と何が違うんですか?」

 

 

「新人のお前でもとりあえず同行者がいれば任務を拒否されることはない。その後、自分だけどこかに行こうと現場の判断という事で特に問題視されることはないだろう。……多分」

 

 

「最後の最後で不安を煽る様なことを付け加えるのやめてもらえません?」

 

 

思わず実行したくなくなるじゃないか。

ま、まぁ。このことに関しては保留という事にしておこう。

下手に実行してフランさんから怒られたらいやだし。ナナにもブーストハンマー振るわれそうだし。

 

 

「やっぱり、しばらくはこの刀身で頑張ってみることにします」

 

 

「賢明だな」

 

 

俺の出した答えに頷くジュリウス隊長。

じゃあ、なんでさっきあんなこと言ったの?俺を貶めるつもりだったの?

 

 

「どうした?」

 

 

いや、違うな。

きっとさっきのもこの人なりの冗談だったんだろう。

今だってよくわからなさそうに首をかしげてるし。

しかし、この反応を見ると初めに会ったころ抱いたボッチ説が現実味を帯びてきたな。

 

 

ジュリウス隊長の青春時代の予想をしながら歩いているといつの間にやらフライアのロビーについていたようで、見覚えのあるカウンターが見えてくる……と、同時に見覚えのない帽子と見覚えのあるニット帽が何やらもめているようだった。

 

 

あ、ニット帽(ロミオ先輩)が吹っ飛ばされた。

 

 

「……状況を説明してほしいな」

 

 

「ちょっと……よくわかんなくて……」

 

 

ジュリウス隊長の簡潔な質問にナナも少し戸惑ったように答える。

 

 

「こいつの前居たところとか聞いただけだよ!そうしたら、急に殴りかかってきて……」

 

 

ロミオ先輩多分それですよ、原因。

人間何が地雷になるかわかったもんじゃないからね。仕方ないね。

 

 

「アンタが隊長か。俺はギルバート・マクレイン、ギルでいい。このクソガキがムカついたから殴った、それだけだ。懲罰房でも除隊でも好きにしてくれ」

 

 

そう言い残してどこかに行く見覚えのない帽子改めギルバートさん。その後ろ姿を見送っていると再びロミオ先輩が口を開いた。

 

 

「あいつ、短気すぎるよ。そりゃ…俺もちょっとしつこく聞きすぎたかもしれないけどさ」

 

 

「暴力はよくないよねー。先輩もちょっといじりすぎかもしれなかったけどさー」

 

 

「軽く言った方が早く打ち解けられるじゃん!」

 

 

「人にもよると思いますよ?実際、俺軽すぎるノリは嫌いですし。ロミオ先輩ってなんか思っている以上に軽いんですよね」

 

 

「……あれ?俺、さり気なくディスられてる?」

 

 

「あ、わかるわかる!なんていうかこう……チャラチャラしてるって感じ?」

 

 

「追撃入った!?」

 

 

立ち上がろうとしていたロミオ先輩が俺とナナの口撃をくらい再び地面に伏せる。

おぉロミオよ、死んでしまうとは情けない。

 

 

「……今回の件は不問とする。ただし、戦場に私情を挟まないよう関係を修復しておくように」

 

 

「えー無理無理絶対無理!」

 

 

「お前たちもサポートしてやってくれ」

 

 

駄々をこねるロミオ先輩を華麗にスルーして、ジュリウス隊長がこの場を離れていった。

あの人、意識しているかはわからないがさりげなく面倒事を押し付けていきやがった…。

 

 

「無理だってー!、あんな暴力ゴリラとなんかやってらんないよ……」

 

 

ポロリとロミオ先輩が呟く。

 

 

「正直こちらとしては、ロミオ先輩の心情とかどうでもいいんでさっさと謝ってきてください」

 

 

「いやいや、こういうことは時間を置いた方がいいんだよ」

 

 

「つべこべ言ってないで早く言ってきてくれません?じゃないとこれからロミオ先輩のことニット帽って呼びますよ?それが嫌なら早く謝ってきてくださいよニット帽」

 

 

「早速言ってんじゃん!」

 

 

「はよいけ」

 

 

「理不尽!?」

 

 

しっし、と手を払うとロミオ先輩は若干涙目ながらもギルバートさんを探しにロビーを走って出て行った。

すると近くで事の成り行きをずっと見ていたナナが話しかけてきた。

 

 

「大丈夫なの?ついさっき喧嘩したばっかりの二人をそのまま会わせてさ」

 

 

「任務に支障が出ないようにってジュリウス隊長も言ってたでしょ?神機使いの仕事なんて腐るほどあるんだから早めに仲直りしてもらわないと困る」

 

 

「でも、さらに拗れちゃうかもよ?」

 

 

「問題ないよ。殴った後のギルバートさんの顔を隠す前に見たんだけどいかにもやっちまったーって表情してたし、ロミオ先輩も自分の言い方なんかを反省してたしね」

 

 

「……そっか。じゃあ、二人が帰ってきたとき用のおでんパンを用意しようではないか仁慈君!」

 

 

「なんでさ」

 

 

「皆でおでんパンを食べて、仲良くなるんだよ。おでんパンには…その力があるっ!」

 

 

「おでんパンすげー」

 

 

ぐいぐいとナナに腕を引っ張られつつ俺はおでんパンの製造のためにロビーから出ていくのだった。

 

 

 

そして余談だがこの後帰ってきたロミオ先輩とギルバートさんにおでんパンを上げたらギルバートさんの表情も和らぎ、本当に仲良くなれた。

…侮りがたし、おでんパン。

 

 

 








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