神様死すべし慈悲はない   作:トメィト

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ま た せ た な !

というわけで、お久しぶりです。
パソコンは治っていませんが、なぜか今まで入れなかったはずの携帯で、ハーメルンにアクセスできたので携帯で書いています。なので、行がおかしかったり、変なところで言葉が切れているかもしれませんがご了承ください。

このサブタイトルの適当さよ…弁明はない。あるがままに文句を受け入れようじゃないか。


一匹キチガ◯がいたら、あと三十匹いると思いましょう

 

 

時はあっと言う間に過ぎ去り、俺がフェンリル本部に向かう日になった。今から憂鬱である。だって本部ってことはお偉いさんがいっぱいいるんだろう。その立場だけは立派な人たちがいるであろう。だいたいお偉いさん方は内面が腐っていると相場が決まっているのだ。例外もいるだろうけど、この世紀末伝説もかくやという世界では多くいるだろう。はぁ……マジ行きたくねぇ。

 

「そこまで露骨にため息をつかないでくれないかい?君の態度では色々面倒なことになってしまうんだけどね」

 

「愚痴くらい言わせてくださいよ」

 

絶対ろくな扱いを受けないって確信してるから、この弱気も仕方がないと割り切ってほしい。正直、俺みたいな若造に戦い方なんて教わりたくねぇ!って人もいるだろうしさ。

 

「否定はしないけどね」

 

「まぁ、我慢しますとも」

 

俺たちの目的……ヨハネス支部長にも動いてもらわないといけないしね。

 

「本当に行ってしまうんですか?」

 

「もう会えないのかー?」

 

「いや、別にそんなことはないよ」

 

どうしてそこまで深刻そうな感じの反応をしているのだろうか。

涙目ですがるような感じで話しかけてくるシオとアリサさんにそう考えざるをえない。というか、彼女たちの視線が明らかに今から死地に向かう人を見送るような雰囲気なんだが……。アリサさんはともかくシオがそんなことを考えるのはおかしいと思い、周囲をぐるりとと見渡してみれば、第一部隊の男性陣が打ち合わせいていたかのごとく一斉に視線を逸らした。おまえらか。

ゲンコツを男性陣にかましつつ、俺は準備を終わらせる。そして荷物を持ってサカキ博士が用意してくれたヘリによ乗り込みフェンリル本部へと向かう。

 

「旦那、また任務ですか?」

 

「…………えっ?」

 

誰?と思いつつ、声のした方に視線を向けてみれば、話しかけてきたのはまさかの操縦士だった。彼は俺を知っているような口ぶりで話しかけてにたが、まっこと残念なことに見覚えがなかった。困惑している俺に気がついたのか、操縦士はニコリと笑って自己紹介をした。

 

「あぁ、すみませんね。こうして話すのは初めてのことでしたな。実は、今まで旦那のことを送り迎えしていた者です」

 

操縦士が言ったことに俺は驚愕した。だって俺の知っている操縦士はこんなに爽やか系なイケボではなかったからだ。俺の知っている操縦士はもっとこう、篭っている低い声の持ち主だったはず。

 

「あっ、自分は普段このマスクをかぶっているんですよ」

 

その言葉とともに投げつけられたのは、ものすごく見覚えのあるマスクだった。それはもう、世界で一番有名なあんこくめんである。あのシュコーシュコー言うやつだ。

 

「普段からこんなのかぶって操縦していたのかよ」

 

「自分、操縦には自信があるんです」

 

だからなんだというのだろうか。どう考えても胸張って言えることじゃあない。というか、普通に危ないだろ。今度からこのヘリに乗る時は暗黒面の有無を確認しようと固く決意した。

 

「ちなみに、今日この暗黒面をつけていない理由は?」

 

「こんなものかぶって本部に行けるわけないじゃないですか」

 

だろうね。

こんなのかぶって行ったら無礼なんてレベルではない。不審者として拘束されても文句は言えないレベルだ。

 

――――こんな感じでフェンリル本部までの道程はなかなかに愉快で楽しいものだった。

 

ちなみに余談だが、彼の操縦に自信があるという言葉は本当だった。まさか、サリエル二体と空中戦を繰り広げることになり、勝利を収めることになるとは思ってもいなかったぜ……。

 

 

―――――

 

 

「」

 

つ、疲れた。

お偉いさん方となんて、サカキ博士とかラケル博士、グレム元所長くらいしか話したことなかったけど……まさかここまで疲れるものだったとは……。

サカキ博士やラケル博士みたいに完全に自分の本心を隠してこちらを利用しようというわけでもなく、グレム元所長のように露骨にわかりやすく言うでもない、言うなればその中間くらいの感じだった。

そして、それこそがここまで疲弊した原因である。中途半端に思惑が読めるから、対応にものすごく困った。どんな感じで言葉を返せばいいのやら全くわからなかったしな。

とりあえず、当たり障りのない回答を適当に答えてお偉いさん方との邂逅をやり過ごした俺は、現在このフェンリル本部で寝泊まりすることになる部屋へと案内された。

フェンリル本部と名乗っているだけあり、部屋の広さと綺麗さは極東支部とは比べ物にならないくらいのものだが、そんな事に金を使うくらいならもっと別な事に回せと思いましだ(小並感)

 

「樫原さんも極東から来たばかりでお疲れでしょう。今日のところはゆっくりとお休みください」

 

それだけ言って案内人は部屋を退出して行った。だがしかし、どうやらやっこさんは俺を休ませる気はないらしい。俺がこの部屋に入った時からその存在感をアピールしている書類がそれを許さないと言わんばかりに積み重なっている。試しにパラパラとめくってみるとそれは俺がこの一ヶ月で戦い方を教える神機使いたちの情報だった。

どうやらこれに目を通して効果的な指導を行えということらしい。あの案内人はゆっくり休めとのたまわっていたが、これは無理だろう。どう考えても三十分とか一時間で終わる量じゃない。

結局、どこに行っても俺を苦しめるのは事務作業らしい。無駄にきれいで設備の整った部屋からコーヒーメイカーを取り出してコーヒーを淹れつつ、書類の束に向き直った。

 

 

―――一方そのころ極東は

 

 

おかしい、おかしいわ。今私たちが挑んでいるのはリンドウの命を奪ったと思われる黒いヴァジュラ――ディアウス・ピターと対峙している。

このアラガミは目撃例が少なく、情報もそれに比例して少ない。そのため、万全の状態で立ち向かわなければいけない相手であったはずだ。それなのに……。

 

 

「アリサ、次あの黒爺が翼を生やしたとき、同時にその付け根を狙って切り落とすよ」

 

「任せてください。仁慈さんから教わった技能をすべて使って完璧にこなして見せましょう」

 

「コウタはなるべく怒らせるように、目玉をひたすらに狙いまくって」

 

「任せな。『仁慈のパーフェクト殲滅教室(アサルト編)』を読んで実習してきたから楽勝だぜ」

 

GJ(グッジョブ)。じゃあリンドウさんの仇を取りに行こう!」

 

「おう!」「はい!」

 

これはいったいどういうことなのかしら。

私よりも経験が少ないはずの新人三人組が、率先してディアウス・ピターと対峙している。普通の新人であれば、この大きさと強さを兼ね備えたアラガミ相手には怯えて動けなくなるっていうのに。

あの子たちは全然違う。怯えるどころかむしろ積極的に戦いに行っている。ユウとアリサはタイミングを計っているのか今は回避に徹していて、攻撃しているのはコウタ君のみだ。だけど、彼は攻撃が飛んでくるぎりぎりまでピンポイントでディアウスの目玉に弾を撃ち込んでいた。

ディアウスはそれに耐えることができずにその場によろめいた。コウタはその隙を逃すことなくひたすら必要以上に目玉を狙ってディアウスを苦しめていた。

どうしてそこまで必要以上に目玉を狙うのだろうか?

 

「師(仁慈)曰く。『敵の弱点は徹底的に突くべし。特に目玉とかおすすめ』らしいですよ」

 

ディアウスの猫パンチや電撃攻撃をさばきながら私の疑問に答えたコウタ。なんてことを教えているのかしら………。大体あってるし、とても効果的だから何も言えないのだけれど。

 

「GUUUOOAAAAAAaaaaaa――――――!!!!!」

 

ここでディアウスはちまちまと弱点を攻撃する自分たちにをうっとおしく思ったのか、先ほどと同じように赤い落雷を周囲に落としながら、自身の背中からどうやって収納していたのかわからないくらい大きな翼を広げて威嚇を始めた。

けれど―――――この状況でそれはやってはいけない一手よ。

さっきからその翼をもいでやろうとずっとスタンバイしている人たちがいるからね。

 

「今だ!」

 

「はぁぁぁぁあああ!!!」

 

頭上から降り注ぐ赤い雷を光る地面を目印にするすると避けながらディアウスに肉薄して行く。そのままディアウスの前で交差しつつ、2人はディアウスに生えた翼をきっちり両方とも根元から両断した。

両方の翼を両断されたディアウスは痛みからか苦しげな声を上げる。

……そういえば、今回私何もしてないじゃない。

 

慌てて正気に戻った私は、コウタの銃撃の間を縫うようにオラクルを発射した。

コウタの攻撃は、すでに結合崩壊を始めている目に直撃し、私の放った攻撃はちぎれた翼の傷口に直撃した。そして、止めにユウがディアウスの大きな頭を両断し、その生を終わらせる結果となった。

 

「やったね」

 

「仁慈さん、ついに私はトラウマを超える事ができましたよ……」

 

「トラ……ウマ……?」

 

トラウマとはなんだったのか。

あれだけ堂々と殺しに行っていたのに……。

今更トラウマアピールを始めるアリサに若干冷たい視線を送りつつ、ユウにディアウスの死体の捕食を頼む。

彼は頷くと、神機を捕食形態に移行し、喰らい付かせた。しばらくすると、中からリンドウの腕輪と神機が発見されたのだった。

 

 

--------

 

「…………………」

 

「…………………チッ」

 

みんな反応が露骨だなぁ。

1日しっかり休んで(資料地獄なんてなかった。いいね?)指定された部屋の壇上に上がってみれば、他の支部から呼び出されたであろう人機使いの皆様から早速熱烈な視線と態度で俺を迎え入れてくれた。嬉しすぎて今すぐ極東に帰りたくなったぜ、マジで。

とまぁ、早くも弱音を吐きつつ俺は言葉発した。

 

「えー……これから一ヶ月ほど皆さんの戦闘に対する指導を行う樫原仁慈と言います。早速ですが、私が今回行う指導は自由参加です。強制はしません。受けなかったからといってなんらかのペナルティが発生する事もありません。もし、参加するのであれば、1時間後に再びここに来てください。以上です」

 

最後の最後まで全身に熱烈な視線を受けつつ、壇上から降りた。

……さて、反応は大体予想通りだな。特に神機使いになってから年月が長い人ほど俺に敵意をむけていた。昨日頭に叩き込んだ資料からも間違いない。

気持ちはわかる。長い年月と仲間の死を乗り越えた先に築き上げた戦い方を神機使いになって間もない子供から矯正させられるなんて、かなりの屈辱だろう。だからこそ、この提案なのだ。俺にも本来の目的があり、完全に動けない状態になるのはまずい。このように言っておけば、受講しに来る人だって減るだろう。そもそも、強制したところで反発され、余計効率が悪くなるだけだと思うけど。

 

さて、これから一ヶ月……どうなることやら。少なくとも、結構な苦労は確実だろうなぁ。

 

そんなことを考えつつ、細かな癖等を見極める為にもう一度だけ、資料に目を通し始めた。

 

 




ここから怒涛の急展開?
覚悟はいいか?俺はできてる。

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