東方狐答録   作:佐藤秋

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第四十四話 春雪異変②

 

「……ふんっ」

「も~、さっきから謝っているじゃない、嘘ついてごめんなさいって。そんなに怒らないでよ~」

「……別に怒ってない。そもそも騙されてないし。異変の犯人がそんないきなり出てくるとか思ってなかったし」

「だからごめんって~」

「……はて? レティは一体何を謝っているんだろう。 ……だって俺は騙されてなどいないから。四月の頭の午前中の俺の注意力半端無いから」

「……エイプリルフールはもうちょっと先よ?」

「……」

「ごめんって! 急に黙るのは止めてちょうだい!」

 

 レティとの弾幕ごっこが終わり、何故か先ほどからレティが俺に謝ってくる。別に俺はレティを黒幕だと勘違いして必死で弾幕ごっこをしたことなど気にしていないのだが…… ただ一つ言っておくと、俺は『無駄』とか『タダ働き』とかいう言葉が嫌いである。

 いや別に先ほどの弾幕ごっこが無駄だったとは言っていない。スペルカードの改善点も見えたし、最近運動不足だったような気がしないでもないしな。

 

 ……うん、俺が不機嫌になる理由などどこにもない。レティもこれだけ謝っているわけだし、怒ってはいないけれど許してあげるべきだろう。

 

「……いやスマンな、考え事をしていて黙ってしまっただけだ」

「……本当にもう怒ってない?」

「だからもともと怒ってないって。 ……でもそうだな、弾幕ごっこは俺が勝ったんだから異変解決に何かしら協力をしてもらおうか」

「……そうね。冬を終わらせる手伝いをする……ということを私がするのはおかしいけれど、最後に楽しい経験ができたからよしとしましょう」

 

 レティは困ったような笑顔から、最初の穏やかな笑顔に戻っていった。やはり先ほどの俺の態度は少し悪かったと思う。

 レティは冬の妖怪だ。レティにとっての冬は、子どもにとっての夏休みのようなものだろう。気分が上昇するのは仕方ない、多少のお茶目は寛容するのが当然だ。

 

「……で、レティには今回の異変になにか心当たりとかは無いか? こういったことが出来る犯人の目星とか」

「……無いわね~。そもそもなんで冬が長引いているのかも分からないわ。ただ一つ言えるのは、私みたいに冷気を操る~みたいな能力で、力ずくで冬にしてるのではないということかしら」

「え、そうなのか。じゃあチルノの仕業の可能性とかも……」

「ありえないわね。妖精の中じゃあ力が強いほうかもしれないけど、私にできないことをあの子がやれるとは思えない。昨日会ったときも今年は冬が長いって無邪気に喜んでたみたいだし……あれが演技だったら私はチルノのことを見直すわ」

 

 レティが腕で×印を作りながら言ってくる。チルノとレティは同じタイプの存在なので、どうやら面識はあったみたいだ。

 

 今回の異変に犯人がいるなら、まず考えられるのはレティやチルノみたいな冷気を操れる存在だろう。しかしどうやら専門家のレティが言うには、冬が延びている原因は冷気で無理矢理といった方法ではないらしい。

 となると例えば紫のような能力で冬と春の境界を操った、といったことが考えられるのか。まぁこれは単なる例で、紫がこの異変の犯人というのはありえないが。

 

 紫はどうやら冬は、寒いからという理由で冬眠しているらしい。冬眠て……動物の冬眠は、厳しい冬をなんとか乗りきるための必死の行動だ。紫みたく寒いのが嫌いだからといった理由で冬眠と表現するのはどうかと思う。しかも紫は普通に布団で冬眠しているらしい。冬眠を舐めるな、別にいいけど。

 

「……となると手掛かり無しか。チルノのところに行く手間は省けたけど、次はどこに行けばいいのやら……」

「……力になれずごめんなさいね~。あ、でも……春が来ない原因ならあの子が分かるかも……」

「! 誰だそれは?」

 

 レティの呟きに反応する。この際なんでもいい、的外れでも次行く目星さえあればそこに行こう。心当たりもなく適当に飛び回るよりかは希望がある。

 

春告精(はるつげせい)よ」

「春告精?」

「そう、その名の通り春を告げに来る妖精よ。あの子ならもしかしたら、春が来ない原因に心当たりを持ってるかもしれないわ」

 

 春を告げに来る妖精……そんな妖精もいるのか。鶏は朝が来たのを鳴き声で教えてくるが、それと似たようなものだろう。一緒にするのは失礼だろうか。

 

「なるほど……その妖精はどこに?」

「多分今も、春が来ました~って幻想郷の上空を飛び回ってるんじゃないかしら。今の時間だとあっちの方向にいると思うわ」

 

 そう言いながら、レティは妖怪の山の逆方向を指差した。結局まだ春が来ていないのに春が来たって知らせているのか、なんか可哀想だな。

 

「……わかった、とりあえず行ってみるよ。ありがとな」

「私もついて行きましょうか?」

「いいよ、もうすぐ俺達が冬を終わらせるんだから……それまで冬を満喫しとけ」

「……あら」

 

 夏休みの最後の日に思いっきり遊ぶように、レティも最後は好きなようにすればいい。レティとはこの場で別れよう。そう思って手を上げて挨拶をしようとすると

 

「……」

「……レ、レティ? 何してんだ?」

「……ふふ、お詫びとお礼」

 

 レティはふわふわと俺の近くまで飛んできて、そのまま優しく抱き締められた。お礼って……レティほどの美人に抱きしめられて嬉しくないわけはないのだが、いきなりのことに少し動揺する。

 

「真、貴方のこと結構気に入ったわ。次の冬も会えたらいいわね」

「あ、ああ……」

 

 レティは俺の額に額を合わせたと思ったら、そう言ってあっさりと離れて背を向ける。そのままふわふわと去っていくレティの背中を、俺はぼーっと見つめていた。

 

「……冷たっ」

 

 俺の額にに当たったレティの額は冬の妖怪らしく冷たかったが、しかしそんなに嫌な気分ではなかった。冷たいけれど温かい。

 俺はレティの体温を感じながら、指差した方向に飛んでいった。

 

 

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

 

 

 雪の降る空を、スピードを出して飛ぶのはとても寒い。昔、文に教えた速く飛ぶ方法、風の抵抗を極力少なくすることは体感温度の低下防止にも使えるがそこまでするのは面倒だ。『風を操る程度の能力』を持つ文はスリップストリームを起こすことでかなりの速さを実現しているが、今回の俺にそこまでの速さは必要ない。目的地に向かうのではなく人物を探しているため、明確な場所を目指してまっすぐに飛んでは行かないからだ。

 頭に少し雪が積もる程度のスピードで飛んでいると、右斜め前方からかすかな声と、その声を発している妖精の姿を目に捉えた。

 

「……すよー! もう春が来てるんですよー! うう……雪が止みません……」

「……よう。君がレティの言ってた春告精かな?」

「だ、誰ですか貴方はー?」

 

 俺は春告精だと思われるその金色の髪をした妖精に話しかけた。妖精はみんな、幼い少女のような見た目をしていて、この春告精も例外ではない。チルノ、大ちゃん、アリスの家の近くでイタズラしていた三妖精など、俺の知っている妖精と同じくらいの少女だった。

 

「俺の名前は鞍馬真、よろしく」

「わ、私はリリーホワイト。おっしゃるとおり春を告げにきた妖精ですけど……私に何か?」

「実はこの長引いてる冬を終わらせようとしてるんだが…… 君ならこの異変の原因がなんなのか知らないかと思ってな。ええとリリーホワイト?」

 

 リリーホワイトと名乗った春告精に、訪ねてきた事情を説明する。飛んでくる途中に思いついたのだが、もしこの子が春を訪れさせる能力を持っていたら、犯人を見つけなくてもこの異変を終わらせることができるのではないか。

 

「リリーでいいですよー。異変の原因……それはおそらく春の欠片の極端な数の低下です」

「春の欠片?」

「はい、これです」

 

 リリーは俺の頭に手を伸ばすと、雪を払い落としたのち何かを掴んで見せてきた。

 これは……桜の花びらだろうか。

 

「普通なら、春が近づくにつれてこの春の欠片が自然に大量発生するんですが……この春の欠片の数が少なく、春が来るのが遅れているみたいですねー」

「……なるほど。で、なんで春の欠片が少なくなっているんだ?」

「そ、それは……」

 

 リリーが言葉を濁してくる。体の前で両人差し指をつんつんと合わせ、なんだか困ったような表情だ。見方によっては苦笑いしているようにも泣くのを我慢しているようにも見える。

 

「わ、分からないんですよー! なんでこんなに春の欠片が少ないんですかー!」 

「……俺に言われても……」

「うわーん!」

「うわっ、泣かないでくれ!」

 

 リリーが声を出して泣き出した。小さい少女が泣いてるのを見るといたたまれない気持ちになってくる。

 しかしリリーの気持ちも分かる、折角春の訪れを告げに着たのに肝心の春が無いのだから。約束どおり友達の家に行ったのに、家に着いたら誰もいなかったみたいなものだろうか。俺ならキレる。

 

「うっ……うぅ……私の春が…… こんなのおかしいです…… まるで誰かが春の欠片を奪っていったみたいな……」

「え? そんなことがあるのか?」

「普通はありませんが…… でも春の欠片がもともと無いのではなく、有ったのに失われたような感じなんですよー!」

「なるほど…… 今回の異変の原因はそれだろうな……」

 

 今回の異変の犯人が、どのようにして冬を長引かせたのか見当がついてきた。冬を長引かせたのではなく、春を奪った結果、冬が勝手に長引いたのだ。ただ、ではどうやって犯人を捜すかは未だに見当はついていない。

 

「なぁリリー、じゃあ無くなった春の欠片が今どこにあるのかとかも感じ取れないのか?」

「はい……感じ取れるのは幻想郷に残るかすかな春の欠片だけです…… これではいつまで経っても春が来ません……」

「そうか……じゃあ逆転の発想だ。春の欠片を奪った犯人がいたとして、そいつを捜すんじゃなく、犯人に探しに来てもらおう」

「え?」

「そいつがまだ春の欠片を集めているなら、俺たちも春の欠片を集めてそいつが奪いにやってくるのを待つ。そしてそいつを返り討ちにして春を奪い返すんだ」

「な、なるほど……」

 

 リリーが納得したような顔をする。ドラゴンボールを七つ全部集めるのではなく、一つだけ持っておいて残りの六つは集めたヤツらから奪うみたいな作戦だ。少しズルいかもしれないが今の俺にはその方法しか思いつかない。

 

「それで、リリーにお願いしたいんだが……春の欠片を集めるのに協力してくれないか?」

「いいですよー。春を呼んでも来ないなら、私から迎えに行きますよー!」

 

 リリーが俺の頼みに快諾してくれる。よし、それならなんとかなる……というか俺は春の欠片の気配を感じ取れないので、リリーがいないとなんともならない。むしろ俺にできることはなんだろう、何も無いんじゃないか。

 ……まぁここはポジティブに考えよう。何もすることは無くても一人より二人のほうが心強いはず。

 

「真さん……でしたね、では行きますよー! 真さんは春の欠片を奪いに来る輩がいたら返り討ちにしちゃってくださいねー」

「ああ、それがあったか。まかせろ」

 

 リリーの横を飛んで、春の欠片を探しに出発する。リリーの言葉で少しだけやる気が出てきたぞ。

 

 春の欠片はいろんなところに存在する。自然の物から得ることもできれば、人間が持っていることもあるそうだ。さて、どれほど集めればいいだろうか。

 ……集めているのを霊夢や魔理沙に見つかって、犯人だと思われて退治されたりしたらどうしよう。一応前科があるからなぁ俺……紅い霧の異変を起こしたっていう……

 

 

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

 

 

「あ! 今度はあそこの人から春の気配がするですよー!」

「人? こんな空に珍しいな……」

 

 リリーと一緒に春の欠片を探し始めて一時間が経過した。見つけた春の欠片は微々たる物だが、見つけるたびにリリーのテンションが上がっていくので、それを見るのはなんだか面白い。

 

 次は別の場所に探しに行こうと飛んでいると、雪の降る空に一人の少女を発見した。こんなに寒い天気だというのに少女の服はところどころ破れ、飛び方もなんだかふらふらしている。

 

「はぁ……はぁ…… 不覚、まさか一人も足止めできないとは…… あっ」

「おっと、大丈夫かいお嬢ちゃん」

 

 一際大きくふらついた少女の肩を支える。 ……やけにボロボロだな、誰かにやられたんだろうか。所々見える肌は見てて寒い、変化で元に戻してしまおう。

 

「ほいっと」

「わっ服が…… どなたか存じませんがありがとうございます」

「どういたしまして。随分とボロボロだが妖怪にでもやられたのかな?」 

「……博麗の巫女……」

「ん?」

「い、いえなんでもありません!」

 

 少女が慌てて腕を振るが、聞こえてしまったので誤魔化すには無理がある。今この少女、博麗の巫女って言ったよな。霊夢にやられでもしたのだろうか。

 ……霊夢なら、髪が白いから雪を降らせている犯人っぽいとか言って襲ってきた可能性が否定できない。なんてタチの悪い異変解決者だろう。

 

「まぁ……そりゃあ災難だったな」

「……」

「ん、どうしたリリー?」

 

 俺が支える白髪(はくはつ)の少女を、リリーがじとーっとした目で見つめる。これは珍しいものを見る目ではなく、怪しいものを見る目付きだ。

 

「……貴女とその刀から、多量の春の気配がします。これは……」

「……」

「……どうにも怪しいですねー……もしかして貴女は……」

「……はぁ、もう何人かにもバレているので今さら隠すこともありませんか。ええ、お察しの通り私がこの異変を起こした張本人ですよ」

「うぇえ!?」

「……っと」

「あ、悪い」

 

 少女が自らが冬を長引かせている犯人だと自白する。単なる霊夢の被害者だと思っていたので変な声が出た。思わず少女を支える手を離してしまって少女がふらつき、俺は謝りながら再び支える。

 

「……え? お嬢ちゃんがこの異変を起こした張本人?」

「はい」

「……こりゃまたどうしてこんなことを……」

「私は、白玉楼(はくぎょくろう)に住む剣術指南役兼庭師の魂魄妖夢(ようむ)と申します。この度は主の望みを叶えるべく、春の気質を集めた次第。あと少しだったんですが……」

「あと少しってなんですかー! これ以上春の欠片を取られるわけにはいきません! それと、幻想郷の春の欠片を一体どこにやったですかー!」

 

 リリーがぷりぷりと怒り出す。春を奪った犯人が目の前にいるのだ、仕方がない。

 しかし俺はそれよりも、この妖夢の名前を聞いて懐かしいヤツを思い出した。

 

「魂魄……ってことは、もしかして妖夢は、魂魄妖忌の娘か何かか?」

「え? 私のお爺様の名前が妖忌ですが……お爺様のお知り合いですか?」

「妖忌の孫か。まぁ古い知り合いだな」

「ちょっと何を話しているですかー! 春の欠片をどこにやったか聞いてるんですよ! それにそれを集めて一体何するつもりですかー!」

「す、すいません!」

「あ、ごめん」

 

 俺のせいで少し話が逸れてしまった。怒りの剣幕を見せてくるリリーに思わず謝る。

 ……それにしてもそうか妖忌の孫か、懐かしいな。確かあいつも庭師をやっていた。もしかして妖夢の言ってた主って幽々子のことかな。一体幽々子は何をしようというのだろう。

 

「えーと……私が集めた春の欠片はもう手元にありません、全て冥界の白玉楼に運びました。なぜこんなことをしたかと言うと…… 白玉楼にはずっと咲くことのない大きな桜の木がありまして、主が咲いたところを見たいと言うものですから…… 春の気質を集めればなんとかなるかな、と。実際もう少しで咲くみたいですし……」

「……ん?」

「全く! 桜の木を咲かせたい気持ちは分かりますが、それにしたってやり過ぎですよー! 春を奪ったら困る人が沢山いることに気付かなかったんですかー! 大体ですねー……」

 

 なんだろう、少し頭に引っ掛かるものが…… 妖夢の主が幽々子だとして……そこにあるずっと咲かない木? ま、まさか……

 

「おい妖夢! もしかしてその桜の木って、西行妖ってんじゃないだろうな!?」

「え? よくご存じですね」

「くそやっぱりか! おい紫! 聞こえないか紫!」

「わっ」

「ど、どうしたんですか真さんいきなり……」

 

 嫌な予想が当たってしまった。あの木の封印が解けたら、まただれかを死に誘い始めてしまう。霊夢が危険だ。

 俺は左腕に巻いているリボンを通して紫を呼びかけた。地底に行く前から随分とこのリボンは使えなくなりそうだったが……果たして紫に繋がるだろうか。

 

『……の声は……もしかして真さまですか?』

「橙か!」

 

 かすかに橙の声が聞こえる。なんとか通信だけはできるようだ。

 

「紫はいないか!?」

『ゆ、紫さまならまだ冬眠中で……』

「緊急事態だ! 叩き起こしてくれ!」

『ええっ!? いったいなにが……』

「西行妖の封印が解かれるかもしれない、とだけ伝えてくれ! 紫ならそれで伝わるはずだ!」

『わ、分かりました! さいぎょうあや……しで……ね……』

 

 何とか用件を伝え終わったところで、橙の声が途切れ途切れになりそのまま通信が途絶えてしまう。俺の左腕に巻いたリボンにあった模様は完全に消え、リボン自体の色も白くなってしまった。

 さて、俺もこうしてはいられない。

 

「妖夢、白玉楼ってのはどうやって行くんだ?」

「え? ええと……言葉では説明しにくいといいますか…… 一体どうしたんですか血相を変えて……」

「詳しく説明する時間は無いが……妖夢の言う主ってのは幽々子のことだな?」

「は、はい……」

「俺はあの木の封印に立ち会った一人なんで知っているが……西行妖が咲くと幽々子が死ぬ」

「ええ!?」

 

 妖夢が驚いた声を出す。もう少し具体的に言うと、死ぬのではなく成仏してしまうのだ。西行妖の封印には幽々子の肉体が使われており、そのため今の幽々子は成仏することなく霊体が現世に繋がれているのである。

 

「時は一刻を争う。詳しくは移動しながら説明するから案内してくれ!」

「わ、分かりました!」

「ええと……それじゃあ私も……」

「危ないからリリーは来なくていい。必ず春は取り返してくるし、後でコイツらに謝らせに行くから待っててくれ」

「……分かりました」

「じゃあ行くぞ!」

「わっ」

 

 リリーを置いて、西行妖のある白玉楼へと向かう。妖夢はまだ霊夢にやられたダメージが残っていて、速く飛ぶのは無理そうだ。妖夢を抱えて、また俺自身少しでも速く飛ぶために尻尾を八本解放して飛んでいくことにした。

 

「どっちだ?」

「あ、あっちです」

「よし」

 

 妖夢の指差す方向に一直線に向かっていく。

 幽々子が……霊夢が危ない。考えられる最悪の事態を防ぐため、寒いのはお構い無しに俺は全速力で飛んでいった。

 

 


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