東方狐答録   作:佐藤秋

99 / 156

華仙「今回の話もまた、台詞のみとなっております。また、少々長いので時間があるときにでも読んでやってください。それではどうぞ。
 ……あ、本編に私の出番はありません。 ……残念」ショボーン



第九十九話 帰れま10

 

 ~迷い家~

 

紫「……」ペラリ

 

橙「……? 紫さま、何を読まれているんですか?」

 

紫「ん、これ? これは外の世界の週刊誌よ。外の世界の人間は、ランキングっていうのが好きみたいねぇ。有名な○○ランキングベスト10、とか」

 

橙「らんきんぐ……ですか? 聞き覚えがあるような無いような…… 藍さま、どういう意味か分かります?」

 

藍「……うむ、簡単に言うと順位付けだな。一番目に頭がいいのは誰で、二番目に頭がいいのは誰で……というように、特定のジャンルを特定の範囲内で順番を決めるんだ。この場合のジャンルは『頭の良さ』、対象の範囲は『過去も含めた世界中の人間』や『いま幻想郷に生きている妖怪』といったところか」

 

橙「?? う、うーん……?」

 

紫「……まぁ、そこまで難しく考えなくていいわよ。『誰が一番頭がいいと思うか』とか、『誰が一番飛ぶのが速いと思うか』みたいな、そんな世間話だと思えばいいわ」

 

橙「な、なるほど…… それならなんとなく分かります! きっと幻想郷で一番頭がいいのは紫さまですよ! ね、藍さま!」

 

藍「ああ、そうだな橙。紫さま、先の説明、見事でした。 ……なるほど、そう説明すればよかったのか……」

 

紫「うふふ、ありがと、二人とも。藍だって同じくらい頭がいいと思うけど」

 

藍「恐縮です。紫様の式ですから」

 

橙「……えぇと、幻想郷で一番速く移動できるのは…… ああっ! これもスキマを使えば紫さまと藍さまが一番ということに!」

 

紫「……あら、そっちの一番も考えてたの? ……そうねぇ」

 

藍「"移動の速さ"という点では、ある意味そうなるかもしれないが…… "飛ぶ速さ"となると、例の烏天狗が一番なんじゃないでしょうか?」

 

紫「まぁ幻想郷最速を自称してるくらいだしねぇ。それだけ速さには自信はあるんでしょ」

 

藍「もしくは紅魔館に住む吸血鬼か…… あれもかなり飛ぶ能力に優れていると思われます」

 

橙「わぁ…… 幻想郷には、お二人に認められる者が、まだまだ沢山いるんですね~……」

 

紫「幻想郷にはいろんな妖怪がいるからねぇ……」ペラリ

 

橙「……なるほど! これが『らんきんぐ』なのですね! なんだか面白いです!」

 

紫「ふふ、でしょう? ……あ。『お味噌汁の具材ランキングベスト10』ですって。これなんかも面白いかも」

 

橙「……お味噌汁、ですか? あの朝ごはんに出てくる……」

 

紫「ええ、そのお味噌汁よ」

 

橙「そんなものの『らんきんぐ』もあるんですか?」

 

紫「お味噌汁はその家によっていろいろ違うからね。ランキングは考えられる限り無数にあるのよ。 ……さて。二人は、ベスト10になにがランクインしてると思う?」

 

藍「……ふむ、『お味噌汁の具材』ですか…… ええと、そうですね。とりあえず、油揚げは当然入っているかと」

 

橙「たっぷり入ってますから、一番よく目に付きますもんね!」

 

紫「うん、正解。油揚げは第4位ね」

 

藍「4位? おかしいですね、当然1位……低くても2位にあると思ったのですが。外の世界の人間は変わっていますね」

 

紫「……そ、そうかしら? 妥当な順位だと思うけれど……」

 

橙「……あのう、お味噌汁に入っているなら、当然お味噌が1位なのでは?」

 

紫「なるほどねぇ…… ふふ、そうではないのよ。あくまで具材のランキングだから、お味噌とか水とかは入ってないの。他の家で作るお味噌汁も、そこは絶対に共通でしょう?」

 

橙「あ、そうか! ……えぇと、となると…… お豆腐、とかでしょうか?」

 

紫「正解! お豆腐が1位よ。2位は……これは海で取れる海藻だから、外の世界特有の具材ね。さぁ、他には何があるかしら?」

 

藍「後は……ええと、意外に難しいですね。ここでのお味噌汁の具はほとんど固定なので……」

 

紫「そうねぇ…… 他の家ではどうだったとか考えてみるといいかも」

 

橙「……博麗神社のお味噌汁も、油揚げたっぷりのお味噌汁でした。お味噌汁にいれるものって、他にそんなにあるんですか?」

 

紫「(……神社には真がいるからなぁ。ウチとあそこが特殊なのよね)」

 

藍「そういえば白玉楼のお味噌汁は、これでもかというくらい大量に具が入っていましたね。人参、玉ねぎ、じゃがいも、豚肉、卵……」

 

紫「あ、ダメよ藍、列挙したら! ちゃんと考えて答えて!」

 

藍「は、はい、すみません!」

 

橙「(玉ねぎ…… 危ないなぁ)」

 

紫「こういうのは当てに行くのが面白いんだから。いかに当てにくい9位や10位を予想するのが醍醐味…… ん!」

 

藍「? どうしました?」

 

紫「ランキング…… ちょっと面白いこと思いついたかも! 藍、準備してほしいものがあるの! あのね……」

 

藍「?」

 

 

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

 

 

 ~翌日、博麗神社の中~

 

紫「……というわけで霊夢、ゲームをやるわよ!」

 

霊夢「……何が、というわけで、よ。いきなり神社に来るなりゲームって……どういうつもり?」

 

紫「ルールは簡単! 今からとあるランキングベスト10が出てくるから、その1位から10位に入るものを予想するだけよ!」

 

霊夢「ルールを聞いてるんじゃないんだけど……」

 

魔理沙「……まぁまぁ霊夢、今日は予定も無いんだしやってみようじゃないか。偶然博麗神社に遊びに来ていた私も参加するからさ。どっちが勝つか勝負しようぜ!」

 

真「(……やけに説明くさい台詞だな)」

 

霊夢「勝負ねぇ…… 私が勝ってなにかあるなら、特別に参加してあげてもいいわよ」

 

魔理沙「……ふむ。なにかって例えば?」

 

霊夢「えーっと…… そ、そうね、特に欲しい物があるわけでもないし、いま魔理沙が椅子にしてる真を私に貸すとかでいいわよ」

 

魔理沙「オーケー! じゃあ私は、この椅子に耳掃除機能をつけてもらうぜ!」

 

霊夢「! 私もその機能欲しい!」

 

真「(……なぜ俺に無断で俺の扱いが賭けられているんだ。まぁそのくらい別にいいけど)」

 

紫「……ちょっと待ちなさい。今回のゲームは貴女たちの間では勝敗はつかないのよ。どちらかというと貴女たちは敵同士じゃなくて味方同士で、協力しなくちゃいけないんだから」

 

魔理沙「……? じゃあ私たちの勝負相手はなんなんだよ」

 

紫「それは今から説明するわ。 ……らーん!」

 

藍「はい」シュタッ

 

魔理沙・真「うお」ビクッ

 

魔理沙「いきなり出てきたら吃驚するだろ…… ん? そいつは……」

 

???「どうも」

 

魔理沙「……誰?」

 

霊夢「……どうしてアンタがここにいるのよ」

 

???「? 藍さんから連れてこられたんですけど、見て分かりませんでしたか?」

 

霊夢「そうじゃなくて…… どうして地底の妖怪であるアンタが、わざわざ地上に来てんのよってことよ! アンタなら分かるでしょさとり!」

 

さとり「……冗談ですよ。なんでも、私の能力を借りたいとかで呼ばれたんです」

 

魔理沙「? なんだ、霊夢の知り合いか? それなら私も自己紹介を……」

 

さとり「……魔理沙さんですね、初めまして。地底から来た古明地さとりといいます」 

 

魔理沙「お、私の名前知ってたんだな。霊夢あたりから聞いたのか?」

 

さとり「……いえ、私には相手の心を読める能力があるんですよ。魔理沙さんの名前は、魔理沙さん自身から聞きました」

 

魔理沙「……心を読める、だって?」

 

霊夢「そうよ」

 

魔理沙「……ふむ、それなら………………」

 

さとり「……聞こえますよ。魔理沙さんの昨日の夕食は、博麗神社で食べたキノコのハンバーグです」

 

魔理沙「……おお!? すげぇ、本物だ! よろしくな、さとり!」

 

さとり「はい、魔理沙さん」

 

真「……えーと、さとり? 地上に来るのはいいんだが、地底との不可侵条約はどうなって……」

 

さとり「……あら真さん、この間ぶりです。それなら心配ありませんよ。もともと条約は、妖怪の山と地底を繋ぐ穴を通って行き来することを禁じていたものなので、博麗神社と繋がる穴を通ればその条約は破ったことにはならないんです。温泉の穴が新しく空きましたよね」

 

真「……なんだそれ、いいのか?」

 

魔理沙「(……いや、つーかさとりは藍のスキマから登場しただろ)」

 

さとり「……そこは気にしてはいけませんよ魔理沙さん」

 

魔理沙「……うお! そうだ心を読まれるんだった!」

 

真「……まぁ最初は驚くよなぁ……」

 

藍「……さて、もう自己紹介は済んだかな? それではそろそろ説明に入らせてもらうとしよう」

 

魔理沙「……あ、そういえばランキングを当てるとかいうゲームをするんだったな、忘れてたぜ」

 

霊夢「そのゲームに、どうしてさとりが必要なのかしら?」

 

藍「うむ。この覚妖怪をつれてきた理由はだな…… 今回当ててもらうランキングベスト10は、誰か特定の人物の中でのものを使うからだ。ランキングとは本来、幻想郷全員にアンケートを取ったりするものだが、それだと時間が掛かりすぎてな……」

 

魔理沙「……なんだ、簡単に言うと手抜きか」

 

藍「まぁそうだ」

 

霊夢「……ふーん。つまりこういうわけ? 私と魔理沙が味方っていうのは、そのランキングとやらを協力して当てるから。そしてその特定の誰かが私たちの敵、と」

 

紫「……うん、そういうことね。ちなみに私も楽しむ側に回りたいから貴女たちの味方よ♪」

 

魔理沙「……へぇ。まぁ、紫はなに考えてるか分からないから、敵じゃないならなんでもいいか。 ……それで、私たちの敵は誰なんだ? それと何のランキングなんだ?」

 

藍「ふむ、もったいぶっても仕方ないからさっさと発表しよう。お前たちのいう敵という言葉を借りるなら、今回の敵はそこにいる真だ。当てるべきランキングは幻想郷に住む強い存在ベスト10.つまり『真の考える、幻想郷にいる人妖問わない戦闘力の高い10人』を当ててもらう」

 

霊夢「……『真の考える、幻想郷にいる人妖問わない戦闘力の高い10人』?」

 

真「……え、俺か?」

 

藍「ああ。だが真が何かするということは特に無いだろう」

 

さとり「ランキングは、真さんが嘘がつかないよう、私が心を読んで決定しますから」

 

真「……なるほど、さとりを連れてきたのはそういうことね。 ……まぁ楽なのはいいことだ」

 

さとり「(……相変わらず、心を読まれることに対する抵抗が少ないですね)」

 

魔理沙「……おー! 幻想郷の強さランキングか! こりゃあ結構面白そうだ!」

 

霊夢「……厳密には、『真の考える』幻想郷の強さランキングね。実際の強さとは異なってくるかもしれないのが難しいところかしら」

 

紫「そういうことね! ちなみに勝ち負けなんて設定してなかったんだけど……間違えていいのは五回までで、ベスト10を全部当てることができたら私たちの勝ち、でいいかしら? 景品はさっきの話の通り、真が耳掃除してくれるってことで!」

 

霊夢「いいわよ、それで。 ……そう、それでいいの」

 

魔理沙「五回も間違えていいなんて、これは楽勝かもだぜ!」

 

真「(……ふむ。形式上俺が敵なんだから、今ならその景品でも納得できるかな)」

 

さとり「……では逆に、紫さんたちが六回間違えた時点で、私と真さんの勝ちということで。その場合は私が真さんに耳掃除をしてもらいます」

 

紫「よーし、負けないわよ!」

 

真「(……あれ、俺のメリットは?)」

 

藍「……さて、では大まかなルールの説明が終わったから、次は外に移動してもらおう」

 

霊夢「? なんでわざわざ外に……」

 

 

 

 ~博麗神社の外~

 

 ワイワイ ガヤガヤ

 

レミリア「こらー! いつになったら始まるのよー!」

 

咲夜「……あ、お嬢様見てください。霊夢たちが出てきましたよ」

 

パチュリー「……人が多いわね…… 図書館まで映像を運ぶ魔法でも開発すればよかったかしら」

 

こあ「いえ! 外に出たほうが健康にもいいし楽しいですよ!」

 

美鈴「……あれ? フラン様はどこにいったんでしょうか?」

 

 

 

霊夢「……な、なにこれ! なんか沢山観客がいるんだけど!」

 

文『ああっと! 皆さんご覧ください、霊夢さんたちの登場です! ゲームが始まるまであとわずかと言ったところでしょうか!? 実況は私、射命丸文が務めさせていただきます!』

 

真「なんか文が実況してるし……」

 

魔理沙「ははっ、パチュリーが珍しく外に出てるぜ。 ……お、隣にはアリスもいるな。おーい! アリスー!」ブンブン

 

 

 

パチュリー「……魔理沙がこっちに手を振ってきてるわよ?」

 

アリス「あはは、なんだか応援に来たみたいね」ヒラヒラ

 

 

 

魔理沙「……おー! よーし、見てろよ! パーフェクトでクリアしてやるぜ!」

 

真「……元気だな、魔理沙。俺は注目されるのはあまり好きじゃないんだが…… お、あっちには幽々子たちがいるな。慧音と阿求もいる」

 

 

 

慧音「……妹紅はあっちで喧嘩とかをしていなければいいが…… 阿求、人が多いが大丈夫か?」

 

阿求「ええ、平気です。こんな機会滅多にないですからね、ランキングの結果は参考にさせてもらいましょう。 ……それより人が集まってるのだから、誰かに軽く取材でも…… ああ、あの人たちなんかいいですね。お花見のときは帰ってしまって取材できなかった人たちです」

 

幽々子「……ね~妖夢~、お腹空いた~。お弁当食べましょ~?」

 

妖夢「ええっ!? いくらなんでも早すぎますよ! 一緒に予想しながら食べるって決めたじゃないですか!」

 

 

 

紫「……あら、幽々子も来てたのね。それじゃあ私も頑張らないと……」

 

真「……阿求は取材? このゲームは取材に使えるほどのものなのか……? いやまぁ、面白いものだとは思うけど……」

 

文『さぁ、始まるまでもう少し! その前に軽くルールのほうをおさらいしてみましょう! 今回霊夢さんたちが当てるランキングベスト10は、真さんの考える幻想郷の実力者、人妖問わない10人です! 題して【幻想郷の強者(つわもの)10人、全部当てるまで帰れま10(てん)!】』

 

 ザワザワ ワーワー! ダレガイチイナンダロー?

 

真「……おい、いま帰れま10って言ったぞ、大丈夫なのか?」

 

紫「え、何が?」

 

霊夢「文もなかなかうまいタイトルを付けるわね」

 

真「……いやまぁいいけど……」

 

さとり「……神社(ここ)は霊夢さんの家のようなものですから、帰れないのはどちらかというと観客さんたちのような気が……」チラリ

 

 

 

輝夜「……なーんだ、強さランキングか。美少女ランキングだったら私がぶっちぎりで1位だったんだけどなー。まぁどっちにしろ妹紅より上だと思うけどね」

 

妹紅「ほう……だったらこの場でどっちが上か教えてやろうか?」ポキポキ

 

永琳「はいはい、こんなに人が多いところで喧嘩しないの。医者の目の前で怪我人を出す真似なんてさせないわよ」

 

鈴仙「……」

 

てゐ「……鈴仙アンタ今、『とりあえずこの二人より師匠のほうが強いのは確実だな』って思ったでしょ」

 

鈴仙「なっ…… いや、思ったけど!」

 

 

チルノ「……よく分かんないけど、最強を決める集まりなんでしょ? だったらあたいがナンバーワンよ!」

 

大妖精「そ、それはどうなんだろう……? チルノちゃんはとってもすごいけど、もっとすごい人はたくさんいるかも……」

 

ルーミア「そーなのかー」

 

フラン「そうそう! 例えば私のお姉さまとか!」

 

こいし「フランちゃんにもお姉ちゃんがいるの? 私のお姉ちゃんもすごいんだよー」

 

リグル「きっと幽香さんはかなり上位にいるはずですよ!」

 

幽香「そうかしら? 私なんてまだまだだと思うけど」

 

 

 

さとり「……あら? 観客の中にこいしがいたような……」

 

真「……そうだったか? 無駄に観客が多いから分かりにくいが……」

 

霊夢「……ほんと多いわね、暇なのかしら?」

 

魔理沙「ははは。まぁ、多いほうが賑やかでいいじゃないか」

 

霊夢「……とりあえずお賽銭を入れてってくれるならどうでも……」

 

藍「霊夢」

 

霊夢「あら? 藍、どうかした?」

 

藍「今からもう少し細かいルールの説明に入る。あの天狗の説明をちゃんと聞いておくように」

 

魔理沙「なんだ、まだなんかあるのか?」

 

藍「もう少しだけ、な」

 

 

 

文『……さて、ここで注意すべき点が一つ! ランクインしているのは幻想郷の中にいる人間か妖怪! 残念ながら神様は含まれていないということです! しかし逆に言うなら、神様以外の全ては含まれているということ! 妖精だって幽霊だって妖怪みたいなものですから!』

 

神奈子「……な、なん……だと……? ……くぅ、まぁ仕方ないか……私たちが上位を独占してしまったら、番組的に面白くないものな……」

 

早苗「(……番組的って言っちゃった。向こうでは毎週見てたから……)」

 

諏訪子「……あちゃー、信仰が増えるチャンスだと思ったんだけどなぁ。そう簡単にはいかないってことだね。じゃあ後はもう早苗に頑張ってもらうしか……」

 

早苗「え? えーと……今さら頑張りようなんて無くないですか……?」

 

 

穣子「……残念だったわね、姉さん」

 

静葉「そうね、穣子。まさかこんな落とし穴が……」

 

レティ「……二人はそんなの関係無しにランクインしないと思うわよ~?」

 

 

小町「……この場合、死神はどういう扱いになるんでしょうか? 四季様は多分大丈夫だと思いますけど……」

 

映姫「……ふむ。どうやら小町は(妖怪)みたいですね。付喪神(つくもがみ)みたいなものでしょう、神が付いていても妖怪です」

 

 

天子「……私は、神じゃないのは明らかだけど、人間と妖怪どっちだと思われてるのかしら? ねぇ衣玖?」

 

衣玖「そうですね…… 天()ですから、人間扱いなのではないですか?」

 

 

 

真「……あ、神は別扱いなのか。じゃあ順位は繰り上がるから……9位と10位はこいつらでいいか」

 

さとり「……はい、了解しました」

 

文『……おっと、ここでランキングが完成した模様です! それでは皆様、目の前のモニターをご覧ください!』

 

 バン!

 

 第1位 星熊勇儀 パッ

 第2位 ???

 第3位 ???

 第4位 ???

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 ???

 第8位 ???

 第9位 ???

 第10位 霊烏路空 パッ

 

 

萃香「……おー、一位に勇儀がいるじゃん、やるもんだ。 ……あ、お酒おかわり」

 

ミスティア「はーい、ちょっと待っててねー」

 

にとり「おー、さすがは勇儀さん! まぁ予想はできてたけどね」

 

椛「(……あれ? でも真様は勇儀さんに勝ったことがあるはずだけど…… 自分はランキングには入れないのかな?)」

 

 

 

魔理沙「……なんだ? 1位と10位がもう表示されてるが……」

 

文『既に表示されているのは、地底に住む妖怪の方々です! 回答者である霊夢さんや魔理沙さんが知らない妖怪というのは、回答不可能ですからね!』

 

霊夢「……なるほど、公平ね」

 

真「……そういえば、地底の連中は来てないみたいだな。わざわざ地上に来るほどのことでもないが」

 

藍「……いや、地底の妖怪は危険だから呼んでいないんだ。覚妖怪だけは個別で私が連れてきた」

 

真「あ、そうなのか…… でも、そこまで危険なヤツはいないと思うぞ?」

 

藍「……いや! 危険なんだよいろんな意味で! ほら、真も1位にランクインさせてる!」

 

真「別に勇儀は危険じゃないが…… いやまぁ勇儀が来たら困るから都合はいいんだけど……」

 

藍「だろう!? 酒の席にかこつけて真に手を出すなん……」

 

真「うわあああ藍! 声がでかい!」

 

霊夢・紫「……?」

 

さとり「(……藍さんは、真さんと勇儀さんの間で何があったか知ってるみたいですね)」

 

 

 

文『……さぁ! ではランキング画面も表示されたことですし! 前置きなげーよって皆さま思ってるころでしょうし! そろそろ始めたいと思います!』

 

魔理沙「……お、やっと始まるのか。回答する順番だけど、私が最初な!」

 

霊夢「いいわよ。どうでも」

 

紫「じゃあ次が霊夢で、最後が私ね。でも回答する前に、最低限の相談はしましょう」

 

真「……背の低い順に回答するみたいだな……うわっ!?」フワッ

 

文『……真さんはそこにいると口を滑らせそうなので、こちらで解説役に回ってもらいますね!』バッサバッサ

 

真『連れていくなら一言声を掛けろ! 自分で行くから!』ジタバタ

 

文『えへへ……それは大変失礼しました!』ギュー

 

真『ええい人前で抱き着くな!』

 

霊夢「…………」モヤッ

 

紫「…………」ムカッ

 

藍「…………」イラッ

 

魔理沙「おー。真が、カラスに捕まった獲物みたいだな」

 

霊夢「……いいわ、どっちが獲物か教えてあげ……」

 

さとり「……あ、私も解説役だと思うので行ってきますね」スッ

 

霊夢「む……」

 

藍「……私も行こう。ゲームの進行役と……見張りとして」

 

紫「……そうね、そうしてくれるかしら?」

 

魔理沙「……さーて、最初は誰を挙げようかなぁ。安定を取るかそれとも攻めるか悩みどころだぜ」

 

文『それでは準備も終わったことですし、早速始めちゃってください!』

 

 ビーーーーー!! ゲーム開始!

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 ???

 第3位 ???

 第4位 ???

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 ???

 第8位 ???

 第9位 ???

 第10位 霊烏路空 

 

 

文「……さて、始まったばかりですが、既に第1位と第10位が開かれているため、そこについて軽く触れておきますね。まず1位の勇儀さんですが…… この方を知っている人なら納得の順位と言えるでしょう! 彼女は、かつては我ら天狗と同等に妖怪の山を治めていた『鬼』という種族の妖怪であり、その鬼の中でも四天王と呼ばれる存在でした!」

 

真「(……ん? 天狗と同等……?)」

 

文「(いいじゃないですか! 私だって天狗ですし、天狗なりのこだわりがあるんですよ!)」

 

真「(いや別に、悪いとは言ってないだろ)」

 

さとり「(心で会話できてる…… 仲良いなぁ)」

 

文「勇儀さんは四天王の中でも随一のパワーを持っています! そんな彼女の二つ名は、誰が言い始めたか『語られる怪力乱神(かいりょくらんしん)』! 言葉で言い表せないような強さを持つ勇儀さんはまさに! 最強と言ってもいいでしょう!」

 

真「……文に大体言われてしまったな。俺が言いたかったのも概ねそんな感じだ。『強さ』っていうのは色々あると思うが、誰もが最初に思い浮かべるのは純粋なる『力』なんじゃないだろうか。勇儀の力には俺も(かな)わないし…… この間も勇儀に力が及ばないせいでえらい目に……」

 

文「……なるほど~。鬼は勝負事が好きな妖怪ですから、真さんも最近闘った経験があるみたいですね。 ……おや? 真さんの顔がうっすらと顔が赤く……」

 

真「……!」バッ

 

文「……おそらく、そのときのことを思い出したんでしょう。よほど壮絶な闘いだったように見えます」

 

真「そ、そうなんだよな! いやー、一方的にやられたよ!」

 

さとり「……へぇ、いったいどの部分を一方的にやられたんでしょうね? あと、最後には一矢報いたと聞いていますが……」ボソリ

 

真「う…… さ、さとり!」シーッ

 

藍「……なぁ真、そのときにあったことの詳しい話を、後で聞かせてもらっていいだろうか」ビキビキ

 

真「え、ええと……それはちょっとできない相談というか……」

 

 

 

紫「……あら? 真と勇儀の闘いの話を詳しく聞きたがるなんて…… 藍って争いとか好まないと思ってたんだけど、意外とそうでもないのかしら?」

 

霊夢「……そんなの私に聞かれても分かるはずないでしょうが。 ……でも、なんでかしら。私も、勇儀っていう鬼と真の間になにがあったのか詳しく聞きたい気分なのよねぇ……」

 

紫「……へぇ奇遇、実は私も気になるのよ。真の言ってる『この間』って、多分地底に行ったときのことだと思うんだけど、そのときに一度胸がザワついたことがあったのよね。もしかしたらそのことと何か関係があったりして……」

 

霊夢「ああ、あったわねそんなこと。まぁあのあと一日と経たず真は地上に戻ってきたけど……」

 

魔理沙「……なんでお前ら、『気になる』とか『ザワつく』とか、そういった感覚的なところでシンクロしてんだよ。仲良しか!」

 

霊夢「違うわよ」

 

紫「(……そんな二秒で否定しなくても……)」

 

霊夢「……それより、早く答えを出しなさいよ魔理沙、時間掛けすぎ」

 

魔理沙「まぁ待てよ。まずは幻想郷の住民を一通り考えておかないと……」

 

 

 

文「……回答陣はもう少し時間が掛かるみたいですね。ではその間に10位のほうも見ていきましょうか。ええと、私はこの方について詳しくは知らないのですが……」

 

さとり「……お空は、私のペットの一匹ですね。地獄鴉の妖怪です。正直、強さなんて言葉からは無縁の子なんですが……」

 

真「最近になって力が覚醒したみたいでな。ついでにその力を実感させられる出来事にも遭遇して、ギリギリでランクインすることになった。もっとも、普段のお空は強そうになんて全く見えない、無邪気でかわいい子どもなわけだけど」

 

文「な、なるほど…… 力が覚醒する、なんてことあるんですねー。 ……ところで真さん、私もそのお空さんと同じ、カラスの妖怪なわけですが…… ぶっちゃけどっちがかわいいですか?」

 

真「え、お空」サラッ

 

文「即答!? で、では私とさとりさんでは!?」

 

真「さとり」

 

文「ぐぅっ!?」

 

さとり「……」ニコッ

 

文「……そ、それでは私と藍さんでは……」

 

真「……えーと、それは文かな」

 

藍「……!?」ガーン

 

文「ちくしょ……って、え? 私ですか?」

 

真「ああ。藍はかわいいっていうか、美人だよな」

 

文「畜生! やっぱりそういうオチですよね!」

 

藍「……」ホッ

 

 

 

紫「……真って、どっちがかわいいかとか訊くと、ちゃんと答えてくれるんだ。そういう系のランキングでもよかったかもねー」

 

霊夢「それだと、こんなに人は集まらないと思うけど。真が考える『強さランキング』だからこそ、これだけ観客がいるんじゃないかしら。真はかなりの実力者っぽいし」

 

魔理沙「……お? ……いま霊夢なかなかいいこと言ったな!」

 

霊夢「? なにが?」

 

魔理沙「『真はかなりの実力者』…… そうだったぜ! 紫以上の歳である真は当然強い!」

 

紫「……その言い方はなんだか引っかかるわ」

 

魔理沙「それに、これは真の考えるランキングだ! 自分を上位に置こうと思うのは当たり前! よって私は、2位、もしくは3位に真の名前がランクインしていると予想するぜ!」

 

霊夢「……なるほど」

 

紫「一理あるわね」

 

魔理沙「だろ!? よっし、じゃあ私の回答は『鞍馬真』だ! ファイナルアンサー!」 

 

紫「(真の名前をフルネームで聞くの、久しぶりな気がする)」

 

霊夢「(魔理沙って、真の苗字知ってたのね)」

 

 

 

文「……じゃあ、真さんが一番かわいいと思う人は一体誰……っと? ……おっとようやく回答が決まったみたいですね! それでは、魔理沙さんの回答、『鞍馬真』はランクインしているのでしょうか!? 皆さん、モニターに注目ですよ!」

 

真「……このでかいモニター、いつの間に用意したんだか…… まぁいい、どのタイミングで表示されるん……」

 

橙『どぅるるるるるるる~……』

 

真「……!?」

 

さとり「……なんですかこのセルフドラムロール」

 

真「……橙の声だな」

 

藍「うむ、橙にはこの仕事を与えることにした。ここからは見えないところで声を出してもらっている」

 

真「……見当たらないと思ってたらこんな役目を…… でも、かわいい」

 

さとり「確かに」

 

藍「だろう?」ドヤッ

 

橙『……ばん!』

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 ???

 第3位 ???

 第4位 ???

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 ???

 第8位 ???

 第9位 ???

 第10位 霊烏路空

 

 鞍馬真・・・ランク外

 

 

文「残念! 真さんはランク外でした!」

 

藍「……ほう? これはかなり意外だな……」

 

さとり「真さんは、ランキングを考える上で自分の存在を忘れてたようですね。脳内では候補にすら挙がってませんでした」

 

文「……うわ~、真さんらしいですね……」

 

真「いや確かに忘れてたけどさ…… 思い出したとしても、自分をランクインさせるほど俺は自信家ではないと言うか……」

 

さとり「……真さんは謙虚ですねー。自己評価が低いとも言います」

 

藍「……強いのは事実なのだから堂々とすればいいものを。 ……まぁ、無闇矢鱈(むやみやたら)に偉ぶらないのが真のいいところでもあるが」

 

文「……というか真さんは、勇儀さんにも勝ったことがあるらしいじゃないですか。ですからせっかくなので真さんの順位は、1位の上の殿堂入りということにしましょう」

 

真「それは絶対にやめてくれ」

 

 

 

魔理沙「な、なんだって!?」

 

霊夢「……パーフェクトクリア宣言が早くも崩れたわね」

 

紫「……あーあ。魔理沙じゃあるまいし、真が自分をランクインさせるわけないじゃない」

 

魔理沙「なんという早い手のひら返し!」

 

紫「少し考えたら分かるでしょうに」

 

魔理沙「『一理ある』とか言ってたのはどこのどいつだ!」

 

霊夢「……まぁ、過ぎたことは気にしないようにしましょう。それに今のは仕方無いわ。真が自分を入れてないだろうとほとんど確信できていたとしても、確認が必要なミスだったのよ」

 

魔理沙「! だろ!? だろ!? さすが、霊夢は分かってる!」

 

紫「……まぁ、今後魔理沙が全部ミスしたとしても、私と霊夢が正解すればミスは四回にしかならないしね。責めないでおいてあげるわ」

 

魔理沙「よく言うぜ。紫がミスったらこれでもかってくらい馬鹿にしてやる」

 

霊夢「……さて、次は私が回答者ね」

 

 

 

文「……どうやら次の回答者は霊夢さんのようですね。それでは、霊夢さんが考えている間、先ほどの話の続きといきましょうか」

 

真「……何の話してたっけ。俺が自分をランクインさせてない理由?」

 

文「それはもう終わりました。その一つ前の、真さんは誰が一番かわいいと思うのか話ですよ」

 

真「……そんな話、需要があるとは思えないんだが。聞いてるヤツらも退屈だろ」

 

文「大丈夫! 需要はありまくりですから! それにさとりさんがいる今なら、真さんもごまかせないでしょうし!」

 

藍「……私も少し気になるな。真の中で、橙は何位くらいに位置してるのか、とか」

 

真「……はぁ。知り合いだと、そいつのことを多少なりとも知っているから、客観的に判断するのは難しいんだぞ?」

 

さとり「……客観的に判断する必要は無いですよ? 真さんの主観で誰が一番と思ってるかが知りたいみたいです」

 

真「……ふぅむ。それでも二人が望むような答えは言えそうに無いんだが…… そうだな、知ってる範囲で挙げるなら、紫は小さいときから世話してたから、かなりかわいい部類に入るかなぁ……」

 

文「……あやや!? かなり予想外の名前が飛び出してきましたが!?」チラリ

 

さとり「……嘘は言ってないみたいですよ」

 

藍「これはまた……どう反応したらいいか困ってしまうな。まさか主の名前を言われるとは…… とりあえず、紫様おめでとうございます」

 

文「本人のいる前でそう言えるのは、おそらく真さんくらいですよね!」

 

 

 

紫「……ちょっと聞いた貴女達!? 真が私の名前を挙げたわよ!」

 

霊夢「うるさいわね……いま考えてる最中なんだから邪魔しないで」

 

紫「またまた~。考えてるフリして、霊夢も結構興味津々だったじゃないの」

 

魔理沙「……ああ、知ってるぜこれ。俗に言う『思い出補正』ってやつだろ」

 

紫「違いますー! 真は『かわいかった』って過去形じゃなくて『かわいい』って現在進行形で言いましたー!」

 

霊夢・魔理沙「(うっとうしい……)」

 

 

 

真「……あとは、やっぱり緑かなぁ…… 一番と言ってもいいかもしれない」

 

文「今度は知らない名前が飛び出してきましたよ!? 誰ですかその緑さんとは!? なんとなく紫さんの式にいそうな名前ですが!」

 

藍「……いや、私も知らないぞ?」

 

さとり「……どうやら、紫さんよりもさらに昔の知り合いみたいですね。人間で、既に亡くなっている方のようですが」

 

真「……緑は俺が名付けた子で、赤ん坊のころから知っててな。まるで自分の子どもみたいにかわいがったと思う。拾い子だから本当の子どもじゃないんだけど、緑はそんなことも気にせずとてもいい子に育ってくれてなぁ……」

 

文「なんと……! 良い話ですねぇ……」ホロリ

 

藍「(赤ん坊のときに真に拾われたのが緑という子、か…… これがほんとの緑児(みどりご)だな)」

 

さとり「……藍さん、しょうもないです」

 

藍「あ、待て、今の無しだ!」

 

 

 

諏訪子「わあああ! 早苗聞いた!? 緑が一番だって!」

 

早苗「聞きましたけど…… ええと、どちら様ですか?」

 

諏訪子「私と真が育てた子で、早苗、アンタのご先祖様だよ! 緑は早苗にそっくりな元気な子でねぇ…… 真の中で緑が一番なら、緑にそっくりな早苗も一番になれるかも!」

 

早苗「そ、そうなんですか? そうなれたらまぁ、嬉しいですが……」

 

諏訪子「頑張ったらすぐになれるよ! ね、神奈子!」

 

神奈子「(……10位にある名前、もしかして私が力を与えた地獄鴉なんじゃ……)」

 

諏訪子「……あれ? 神奈子? ……おーい」

 

神奈子「……え? あ、ああそうだね……」

 

諏訪子「……?」

 

神奈子「(……うわ、覚妖怪がめっちゃこっち見てる! あいつ地獄耳だ!)」

 

 

 

魔理沙「……残念だったな、紫は一番では無いみたいだぞ」

 

紫「ふーんだ、生きてる中では一番だもの。それに二番でも私は十分満足だわ」

 

魔理沙「まだ紫が二番とは決まってないぜ」

 

紫「そんなことは無いわよ、最初に名前が出たんだし……」

 

霊夢「……ふむ。紫が2位はありえるわね」

 

紫「ほら! 霊夢だって言ってるわ」

 

霊夢「あ、いや、そうじゃなくて……強さランキングのほうよ。紫は実力は確かだし、真も紫を評価してるっぽいしね」

 

紫「あ、そっち…… まぁいいんじゃない?」

 

魔理沙「霊夢が紫の名前を挙げるなんて意外だな。てっきり自分の名前を挙げるのかと……」

 

霊夢「アンタじゃあるまいし…… まぁ入ってるとは思うけど、ここは安定を取って……ね」

 

魔理沙「……安定かー。私も安定を取ったつもりなんだけどなー」

 

霊夢「……じゃあ、私の回答は『八雲紫』よ」

 

 

 

文「……っと、しんみりしていたら霊夢さんの回答が出ましたね! さぁ『八雲紫』はランクインしているのか!? ランクインしているのならば、果たして何位に位置するのでしょうか!? 結果は!」

 

橙『どぅるるるるるるる~……』

 

さとり「……そうだとは思ってましたけど、これ毎回やるんですね」

 

藍「ああ、当然だ」

 

真「……今の橙もかわいいなぁ…… 声だけなのに」

 

藍「ふふ、そうだろうそうだろう」ムフー

 

真「(……そして、橙のことで誇らしくしてる今の藍もかわいい)」

 

藍「……ん? どうした真。私の顔に何かついてるか?」

 

真「いや、別に?」

 

さとり「(……言ってあげればいいのに)」

 

橙『……ばん!』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 パッ

 第3位 ???

 第4位 ???

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 ???

 第8位 ???

 第9位 ???

 第10位 霊烏路空

 

 

文『お見事! 幻想郷の賢者、八雲紫さんは2位でした!』

 

霊夢「よっし、順位までピタリ!」グッ

 

魔理沙「よっしゃ、ナイスだ霊夢!」

 

紫「……まぁ当然よね~。私だもの♪」

 

 

 

藍「さすが紫様! 見事です!」

 

さとり「答えたのは霊夢さんなんですが……」

 

文「……さて、解説することなど無いかもしれませんが、紫さんを2位に選んだ理由をお願いします!」

 

真「……まぁ、勇儀の次に強いと思ったのが紫だったわけだが…… ただ言っておくと、『境界を操る程度の能力』が強力だから2位にしたのではなく、闘いのセンスや妖力の強大さを考えて紫を2位に置いたんだ」

 

文「なるほど…… 真さんの考える『強さ』とは、能力以外の実力で見るものだ、と?」

 

真「お空が10位だし、能力を加味している部分も少しはあるが…… まぁ大体そんな感じだな。一癖ある能力は順位を考えるのが難しい。プリズムリバー三姉妹のルナサとか、実は最強なんじゃないかと思う」

 

藍「演奏を聴いた相手の気分を落ち込ませる能力か…… 先手が取れたら有効かもな。もっとも、紫様のような大妖怪が相手だったら精神を操作するのは容易ではないが」

 

さとり「……パルスィさんも精神操作系の能力ですね。闘いにおいてはある意味一番厄介な能力だと言えますが…… なるほど、彼女がランクインしていないのはそういうことですか」

 

真「そういうことだな。 ……ちなみにヤマメは普通に強いから第9位とお空とで悩んだけど、地底の連中が多かったらゲームにならないから次点に置いたんだ」

 

文「……つまり、第9位の人は下手したらランクインしていなかったというわけですか。そんな微妙な扱いをされているのは誰なんでしょうね? 気になるところ!」

 

真・さとり「……」

 

文「なお、私も藍さんも解説席(ここ)に座ってはいますが、肝心のランキングは知らないんです。皆さんと一緒に楽しませてもらってますよ!」

 

藍「その通り。だから私たちの発言はヒントに成り得ない。逆に、真とさとりの発言はヒントになるかもだ」

 

真「……じゃあ、あまりしゃべらないようにしないとな、さとり」

 

さとり「(真さんは黙っててもヒントを出してますけどね)」

 

 

 

紫「……さて、次は私が回答する番なんだけど……実はもう決まってるのよね。正確に言うと、二人のうちどっちにしようか迷ってたんだけど、真の言葉を聞いて一人を決めたの」

 

霊夢「……ふーん。で、誰?」

 

魔理沙「勿体振らずにさっさと言えよ」

 

紫「せっかちねぇ…… あのね、最初は友人の幽々子にしようと思ってたんだけど…… 真は能力をあまり重視してないみたいだから、じゃあもう一人の友人のほうにしようかなって」

 

霊夢「うん。で、誰?」

 

魔理沙「紫に友人がいたなんて初耳だぜ。ほんとにそんなヤツいるんだろうな?」

 

紫「友人くらい沢山いるわよ! まったく……」

 

魔理沙「……ほー。例えば?」

 

紫「……最近だと、永遠亭の薬師とか、守矢神社の神の一柱と仲良くなったわね。それに、これから私が回答するのは更に別の子よ」

 

魔理沙「なんだそのラインナップ……」

 

霊夢「(……ああ、『八』ね。紫も含め、全員の苗字に共通してる)」

 

紫「……それで、私の回答は『風見幽香』よ。どう? この選択」

 

魔理沙「……なんだ、太陽の畑の花妖怪か。それなら納得だぜ」

 

霊夢「(……で、こっちのほうは、幽々子と『幽』の字が一致してるわね)」

 

紫「……霊夢は?」

 

霊夢「私もそれでいいわよ。幽香強いもんね」

 

紫「よし! 決定!」

 

 

 

文「……さぁ、早くも紫さんの回答が出たようですね! それでは、『風見幽香』はランクインしているのでしょうか!? 果たして……」

 

橙『どぅるるるるるるる~……』

 

さとり「……早くも、このドラムロールに慣れてきましたね」

 

真「それな」

 

橙『……ばん!』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 

 第3位 風見幽香 パッ

 第4位 ???

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 ???

 第8位 ???

 第9位 ???

 第10位 霊烏路空

 

 

文『……はい! 当然のように正解ですね! 幽香さんは第3位です!』

 

リグル「……やった! 3位ですよ幽香さん!」

 

幽香「3位…… まぁまぁかしら」

 

チルノ「むむむ……やるわね! でもまだあたいは負けてないわよ!」ビシッ

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

大妖精「いや、1位と2位は出てるから多分…… で、でも幽香さんすごいです!」

 

幽香「うふふ、ありがとね?」ニコニコ

 

 

 

レティ「幽香、いつの間にあんなに子どもに懐かれたのかしら?」

 

静葉「多分リグル繋がりでしょ」

 

穣子「子どもたちが向日葵畑で遊んでて、そのときに構ってあげたっぽいわよ。最初は注意するだけのつもりだったみたい」

 

レティ「ああ見えて子どもには優しいのよね~」

 

静葉「……リグルの扱いを見てるとそうでもなさそうだけど」

 

 

 

文「……さて。1位、2位、3位と、ここまではかなり妥当な人物が出てきていますね。必要無いかもしれませんが、一応今回の解説もお願いします。真さんは、幽香さんの強さをどこで知ったんですか?」

 

真「……前も言ったが、俺は幽香が子どものころから知っていてな。そのときの話をすると幽香が嫌がるから詳しくは話さないが、そのとき幽香は紫と一緒によく闘ったりして遊んでたんだ。だから、俺も紫も幽香の強さを知ってたってわけ。意外だったろ? あの優しい幽香が3位なんて」

 

文「……いえ、割と納得の順位ですけど……」

 

藍「……人里に来ても騒がれないようになったが、それでも強いという噂はそのままのようだな」

 

真「……あ、そういえば幽香に対して、危険だとかいう変な噂が流れてたっけ。幽香は花を傷付けたりしなければ穏やかな妖怪なのになー。噂ってのはつくづく当てにならないもんだ」

 

さとり「……」

 

文「……それにしても、紫さんと幽香さんって友人同士だったんですね。個人的には結構驚きなのですが……」

 

 

 

魔理沙「……よっし二連続正解! いい調子だぜ!」

 

霊夢「……当てたのは私と紫だけど」

 

紫「……魔理沙も当ててれば三連続正解だったわね」

 

魔理沙「細かいことは気にするなよ! これで当てれば一緒だろ!」

 

霊夢「……そういうことにしといてあげるわ」

 

魔理沙「……さて、次は正解しないとなー。私、とか答えてる場合じゃなさそうだ」

 

紫「……あら、なかなか自分をわきまえてるのね」

 

魔理沙「おっと、勘違いするなよな。私だってかなり強いけど、真にその強さを見せ付けたことが無いからランクインはしてないだろうってだけだ」

 

紫「……ああ、まぁ、魔理沙がそうかは別として、真がよく知らないからランクインしてない連中もいるってのはそうかもしれないわ。魔理沙がそうかは別として」

 

魔理沙「……なぜ二回も言ったのか引っかかるが、その通りだぜ。だから逆に、真が確実にそいつの実力を知ってるだろうなってヤツを考えてみた」

 

霊夢「……おお。なんか賢い」

 

紫「……それで、真が実力を知ってるヤツってのは?」

 

魔理沙「フランだ! 紅魔館の、『フランドール・スカーレット』! ……なんでもフランは能力コントロールの稽古を、真と実戦形式でやってたそうじゃないか。だったら真は私たち以上に、フランの力の強さを知ってるはず!」

 

霊夢「……驚いたわ、それっぽい説明を魔理沙がしてるなんて…… その話は誰から聞いたの?」

 

魔理沙「フランからだぜ。真から聞いたわけじゃないってのが決定打に欠けるな」

 

紫「……いや、十分だと思うわよ。それに私もあの子の強さは多かれ少なかれ警戒してたから、実力的にもありうるわ」

 

霊夢「私も、文句無し。 ……でもあれね、魔理沙はさっきから微妙なところを攻めるわね。少なくともあと一人、確実にランクインしてそうなのがいるんだけど…… 選ばないのかしら?」

 

紫「あ、それ私も思った」

 

魔理沙「? ……別にいいさ、この回答はこの回答で自信はあるしな。はい、決定!」

 

 

 

文「……ゲームに慣れてきたのか、さくさくと進むようになりましたね! それでは、魔理沙さんの回答『フランドール・スカーレット』! その結果は!?」

 

フラン『……ねぇ貴女! さっきからそれ楽しそうね! ちょっと私達にもやらせてちょうだい!』

 

橙『……にゃっ!? あ、貴女たちいつの間に!?』

 

こいし『……ふぅん。これに向かって声を出せばいいみたいね』

 

橙『だ、駄目ですよ! これは藍さまから仰せ付けられた特別な仕事で……』

 

フラン『だったら貴女も一緒にやりましょ! せーのっ!』

 

橙『……あーもう!』

 

橙・フラン・こいし『『『どぅるるるるるるる~……』』』

 

真「……かわいいのが増えた」

 

藍「……橙、イレギュラーの事態にうまく立ち回るのも修行だぞ。頑張れ」グッ

 

さとり「……こいし、やっぱり地上に来ていたのね。そのうえもうお友達まで……」

 

橙・フラン・こいし『『『……ばん!』』』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 

 第3位 風見幽香

 第4位 ???

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 フランドール・スカーレット パッ

 第8位 ???

 第9位 ???

 第10位 霊烏路空

 

 

フラン『……わぁ、私の名前が出てきた!』

 

こいし『フランちゃんすごーい!』キャッキャッ

 

レミリア「きゃー! フラン素敵ー! さっきのもかわいー!」

 

咲夜「……お嬢様、観客を全力で楽しんでますね」

 

美鈴「……でも確かに、紅魔館の誰かがランクインするのを見ると、意外と嬉しくなりますよね! なんていうか……誇らしい? みたいな感じで……」

 

パチュリー「第7位…… 能力を加味すればもっと上位……それこそ1位でもおかしくないと思ったけど、能力抜きならこんなものかしら」

 

こあ「それでも7位はすごいですよ!」

 

レミリア「私たちも負けてられないわね! 私、パチェ、咲夜、フラン、美鈴、こあの順で4位から9位を独占しましょう!」

 

パチュリー「……それはさすがにありえないでしょ。 ……というか私が5位って……」

 

こあ「……私も、紅魔館の一員に数えられているのは嬉しいですけど、さすがにそれは……」

 

咲夜「(……私たちは置いておくとして、美鈴はお嬢様がランクインしていると思う?)」

 

美鈴「(……そうですねー。真さんの基準からすると、お嬢様の実力を見ていない以上厳しいような……)」

 

 

 

文『おお! お見事! フランさんは第7位でした! ここらへんは予想が難しくなってくるところですが、よく当てることができましたね! 真さん、7位にフランさんを選んだ理由とは!?』

 

真『ええとだな……1位の勇儀は、鬼というとても強い種族の妖怪なんだが…… 吸血鬼も名前に鬼って入ってることから、とても強い力を持っているんだ。フランは身体は小さいけど、名前通りの力は持っていると判断してこの順位に……』

 

魔理沙「よっしゃ的中! いいとこ当てたぜ!」

 

霊夢「……ふぅん、フランが7位……普段は全く強そうに見えないんだけどなぁ。それに私、弾幕ごっこでならフランに勝ったこともあるし」

 

紫「……真が考える強さの基準の中に弾幕ごっこが入ってるなら、4,5,6位のどれかは霊夢になるかもね。それじゃあ次の霊夢の回答は、自分自身でいいかしら?」

 

魔理沙「ふむ。霊夢なら普通に4位もありそうだし、ギリギリ9位もありそうだな。 ……うわ、全部ありえそうだ」

 

霊夢「……自分、って答えても別にいいんだけど、ここはさっき言った確実にランクインしてそうなヤツを言うことにするわ。そいつの順位を見てからのほうが更に答えやすくなると思うし」

 

紫「……あら、残念。その子は次に私が答えようと思っていたのに」

 

霊夢「……そう言えば紫も、確実にランクインしてそうなヤツが一人いるって言ってたわね。でも、同じヤツを考えているとは限らないわよ?」

 

紫「……一緒だと思うけどなぁ。それじゃあ、せーので名前出してみる?」

 

霊夢「……いいわよ。どうせ私の答えは変わらないし。せーのっ!」

 

霊夢・紫「「『伊吹萃香』!」」

 

紫「……ほーら、やっぱり一緒だった」

 

魔理沙「あー、萃香か。さっき真も鬼は強いって言ってたし、間違いないかもな」

 

霊夢「……でしょ? はい、決定」

 

紫「……うーん、萃香を取られたら私は誰を回答しようかしら? 『幽香』、『萃香』と友人を答えていく予定だったのに……」

 

霊夢「(……あ、その二人も同じ漢字が入ってるわね)」

 

 

 

真「……なお、フランも能力は加味せずにこの順位だ」

 

文「吸血鬼は鬼の力と天狗の速さを併せ持つ種族ですからね! もしかしたら7位でも低い順位と言えるかもしれません! さぁ、まだ見ぬ4,5,6位の実力者は誰なのでしょうか! また、8,9位に誰が入っているかも見どころですよ!」

 

藍「……ふむ、ここからが難しくなってくるところだな。 ……真は、あの吸血鬼の妹よりも強いと考える者があと三人もいると考えている? ……はて、一体誰を……?」

 

真「……さぁてねぇ? 俺的には、上位8人は即決だったんだが…… 強いヤツを考えたらとりあえず8人出てきて、フランはその下から2番目だな」

 

さとり「(確かにそうみたいですね。逆に9,10位の決め方は結構適当でした。と言うかもともと神のお二人を入れて、ランキングは綺麗に10位まで埋まってたはずなんですけどね)」

 

文「……おっと、フランさんについての解説をしている間に、もう次の答えが出たみたいですね! 霊夢さんの解答は『伊吹萃香』! 果たして結果は!?」

 

橙『……分かりました、役割をちゃんと決めましょう! 次は私が前半で、貴女達が後半です! ……いいですね?」』 

 

フラン『分かった!』

 

こいし『いいよ~』

 

橙『では…… どぅるるるるるるる~……』

 

真「……お、フランたちもまだ続けるのか」

 

藍「……ふむ。なかなか見事な判断だな、橙」

 

さとり「(橙さんに甘い……)」

 

フラン・こいし『『……ばん!』』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 

 第3位 風見幽香

 第4位 伊吹萃香 パッ

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 フランドール・スカーレット 

 第8位 ???

 第9位 ???

 第10位 霊烏路空

 

 

真『鬼だからな。はい解説終わり』

 

文『早い! まだ私なにも言ってませんよ! ……こほん。 ……と、いうことで、萃香さんは第4位でした!』 

 

にとり「おお! 萃香さん4位だ!」

 

椛「やっぱり、さすがですね萃香さん!」

 

萃香「……んあ? 4位? ……ふーん、まぁまぁだね。 ……あ、紫が2位にいるじゃん、すごい」

 

にとり「……あそこが開かれたのはかなり序盤のほうなんだけど……」

 

萃香「……あ~、そうなの? ……それより、お酒おかわり!」

 

ミスティア「……お客さん、飲み過ぎ。これ以上飲んだら別料金発生するけど、いい?」

 

萃香「いいよ~。でも、今日は持ち合わせがないから代金はツケといて。名義は博麗神社で」

 

ミスティア「はいよー、かしこまりー」

 

椛「……いいのかなぁ?」

 

 

 

真「……じゃあもうちょっと解説しておくと、7位のフランとの差は経験値の差かなー。フランは闘う経験が少ないから攻撃が素直すぎるが、その点萃香は闘い慣れてるからそれがない。実に巧みな戦闘をする」

 

文「なるほどっ! 鬼の中でも、『力』の勇儀さんに対して『技』の萃香さんと呼ばれていましたからね! 同じ小さい身体のフランさんとの差はそこでしたか!」

 

真「……ちなみに、それならなぜフランが5位じゃないのかと言うと、5,6位も経験値が高いからだな。8位のヤツも闘うのは上手いと思うんだが、力がフランよりも劣ってるかなという判断から。9位は適当だ」

 

文「ふむふむ、5,6,8位も経験値が高い人、と。 ……ところで、さっきから9位の人の扱いがぞんざい過ぎやしませんかね? 誰ですか9位の人? かわいそうですよ」

 

真「……む、そうか? 俺は9位のヤツもちゃんと好きだし、大切に思ってるつもりなんだが……」

 

文「おお!? なんとも羨ましい発言ですね! 9位が誰なのか、更に気になるところです! ……ちなみにですが真さん。その9位の方と私では、いったいどちらが好きですか?」

 

真「文」

 

文「やった! 即答!」 

 

さとり「……そりゃあ、どちらも同じですからね……」ボソリ

 

文「……え? さとりさん、なにか言いました?」

 

藍「(……あぁ、9位が誰か分かった気がする……)」

 

 

 

霊夢「……」

 

魔理沙「お? どうした霊夢、見事に正解したじゃないか。萃香が4位!」

 

霊夢「……4位、なのよねぇ…… 5位か6位だったら、萃香にも勝ったことがある私がその上にランクインしてるって分かるんだけど……」

 

紫「……まぁ弾幕ごっこだけでは判断できないし、霊夢がランクインしてる可能性はまだあるけどね」

 

魔理沙「そうだぜ霊夢! 5,6,8位は戦闘慣れしてるって真は言ってたし、もしかすると霊夢と萃香の闘いを見たうえでの発言かもしれないだろ!」

 

霊夢「……どうなのかしら? そう考えると、私の可能性があるのは8位よねぇ。人間だから、素の身体面ではフランに負けてることになるし……」

 

紫「……どっちにしろ次の回答者は私だから、いま霊夢が悩んでも仕方ないわよ?」

 

霊夢「……それもそうね。 ……それで、紫は誰を答えるつもりなの?」

 

紫「そうねぇ…… 萃香を霊夢に言われちゃったから、次こそ幽々子、それか永琳にしようかなーと思ってたんだけど……」

 

魔理沙「……けど?」

 

紫「……最初に霊夢が私を答えてくれたんだし、私も霊夢って答えておこうかなーってね。というわけで私の回答は『博麗霊夢』よ」

 

霊夢「……別に、そんな義理みたいな答え方しなくてもいいんだけど。私は紫がランクインしてると思ったから答えただけなんだし」

 

紫「あら、私だって霊夢がランクインしてると思って選んだのよ? 霊夢は私が育てたようなものだしね♪」

 

魔理沙「それに、あと四回は間違ってもいいわけだ。空いている穴はあと四ヶ所……つまり二回に一回は間違ってもいい計算になる」

 

霊夢「……計算とか、また魔理沙が賢そうなことを……」

 

紫「(いや、全然賢そうじゃないけど)」

 

魔理沙「伊達(だて)に長いこと魔法使いをやってないぜ! 魔法の本もたくさん読んでるしな!」ドヤァ

 

紫「(いや、魔法関係ない……)」

 

 

 

真「あはは、あいつら面白い話してるなぁ」

 

さとり「……まぁ、計算っていうレベルの話ではないですよね」

 

真「……ふむ。霊夢も魔理沙も、もう少し算術への興味があれば、寺子屋でする授業の予行練習に付き合ってもらえるんだけどなぁ」

 

藍「……ああ、そういえば慧音から聞いたよ。寺子屋で一度、算術の授業をしたんだって? 真の授業はなかなか評判が良かったらしいじゃないか」

 

真「いやいや、慧音のお世辞だよ。時間が足りなくて、あまり算術の魅力を教えられなかったし……」

 

文「……へぇ~。真さん、寺子屋で授業とかしてたんですね。算術が好きなんですか?」

 

真「ん、まぁな。でも算術は日常生活ではあまり使わないせいで、話をする機会も少なければ、話ができるヤツはもっと少ないんだ。だから話ができるのは今のところ藍ぐらいしかいなくてな……」

 

藍「私も真ぐらいしか話ができる相手はいないが…… まぁ一人いるのだから、これはこれでいいと思ってる」

 

文「そうなんですね~。 ……そうだ! 私も算術には少々興味ありますよ! お二人はどんなことを話しているんですか?」

 

さとり「(……あっ)」

 

藍「……ふむ、そうだな…… 少し前は、三途の川の川幅をどうにか計算で求めることができないかを考えたっけか」

 

真「ああ、あったな。三途の川は渡す幽霊が生前犯した罪によって距離が変化するんだが…… あれは、犯した罪をうまく数値化しないと始まらないんだ。そこは算術というより感覚が大事で、藍がうまくやってくれたな」

 

文「……罪を数値化、ですか?」

 

藍「ああそうだ。だがそこからも難関でな。例えば盗みという罪の回数が二回、三回と増えていっても、川幅が二倍、三倍といった風な規則的な変化はしないんだ。方程式にうまくなおすのは真がうまくやってくれて……」

 

文「ほ、ほうていしき……?」

 

真「そうは言っても全部増加関数だろ? データが集まればそこまで難しいことじゃない」

 

藍「いやいや、そこを指数関数や対数関数などになおせたのは真の実力だろう」

 

文「………………」

 

真「……しかし一応方程式の形は完成したものの、これも単なる予想に過ぎないんだけどな。例えば文、1,2,3,4,……と数字が並んでいたとして、次の数字はなんだと思う?」

 

文「……はっ! え、ええと…… 5……?」

 

真「そうだ。だがこの数列が『(x-1)(x-2)(x-3)(x-4)+x』の式に自然数を順番にいれたものだとすると、次の数字は29になる。予想はあくまで予想に過ぎな……ん?」

 

文「…………」プシュー……ボンッ

 

さとり「(……あーあ)」

 

藍「……なんだ、今回の話は比較的簡単だったのに情けない。他にも有理数の稠密(ちゅうみつ)性や、実数の連続性についても話そうと……」

 

真「あ、いいなそれ。普段の生活では自然数とか整数ばっかり使うからそれだけ使い勝手がいい数字に思えるけど、実は有理数のほうが使い勝手がいいんだよな。和によっても積によっても(ぐん)を成すし……これはつまり(かん)のことなんだけど、実はそれだけじゃなくて……」

 

文「……も、もう十分です! 紫さんが回答したみたいなので先に進みましょう!」

 

真「……ちっ、つまらん。有理数のすごさについてもう少し語りたかっ……」

 

文「さぁ! 紫さんの回答である『博麗霊夢』はどうなんでしょうか!? 結果は!?」

 

 ・・・・・・しーん

 

文「……え? ……け、結果は!? ……橙さーん?」

 

橙『……はっ! し、失礼しました、ついうとうとと……』

 

藍「……昨日は、これの準備で少し遅くまで起きていたせいだろうな。なにせ、思い付いたのが夜だったから……」

 

さとり「(……いえ、お二人の話のせいだと思いますが……)」

 

文「……ええと、気を取り直して…… どうぞ!」

 

橙『……こほん。どぅるるるるるるる~……』

 

フラン『……う、うぅ~ん……』

 

こいし『…………』zzz……

 

フラン『……あ! 寝てた! こいしちゃん、起きて~!』

 

こいし『……ふゎ?』ムニャムニャ

 

橙『……ばん!』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 

 第3位 風見幽香

 第4位 伊吹萃香 

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 フランドール・スカーレット 

 第8位 ???

 第9位 ???

 第10位 霊烏路空

 

 博麗霊夢・・・ランク外

 

 

文『……はい、残念! 霊夢さんはランク外でし……ってえええマジですか!? 皆さーん! 起きてくださーい! 霊夢さんがまさかのランク外でした!』

 

霊夢「……うん?」ウトウト

 

魔理沙「……くかー」スヤスヤ

 

紫「あら残念、外しちゃった」

 

霊夢「……え、不正解だったの?」

 

紫「ええ、そうよ。おはよう霊夢、よく寝てたわね」

 

霊夢「……ちぇっ」

 

紫「……それにしても、あんなに饒舌な真は珍しいわね。好きなものの話をするとそうなるのかしら?」

 

霊夢「……珍しいけど、そうそう見たいとは思わないわ。眠れない夜にはちょうどいいかもね」

 

紫「……そんなこと言わずに真から勉強教わればいいのに。今の様子を見るに、きっと喜んで教えてくれるわよ?」

 

霊夢「いやよ。そんなの知らなくても生きていけるわ」

 

魔理沙「……お? なんだ、霊夢はランク外だったのかよ。ははは、これで紫も外したな」

 

紫「……まぁ、私からすると当然よね。それでも真ならって思ったけど…… やっぱり真も、霊夢は博麗の巫女としてまだまだ未熟って思ってるってことかー」

 

霊夢「……さっきと言ってること変わってない?」

 

魔理沙「紫の手のひら大回転は今に始まった話じゃないぜ」

 

 

 

真「ははは紫のヤツ、『霊夢は私が育てたものだし』とか言ってたのにな。でも残念。俺は紫と違って身内贔屓はしないんだよ」

 

さとり「……そうですかね? ランキングを見るに、真さんもなかなか身内に甘いところもあるようですが…… おっと、これはヒントになってしまいますね」

 

藍「(……身内? 妖怪の山の連中のことだろうか?)」

 

文「……しかし、霊夢さんがランク外だったのは、ほとんどの人にとって予想外だったんじゃないでしょうか? 彼女は幻想郷の異変の解決を生業(なりわい)としている博麗の巫女ですよ? 当然強いイメージがありますし、私も以前霊夢さんにボロボロにされたことが……」

 

真「……確かに、霊夢は萃香やフランに勝っているけど、それは弾幕ごっこの話だろう? 弾幕ごっこの腕はピカイチだけど、強さは普通だと思うんだよな」

 

文「……霊夢さんは普通の戦闘でも強いと思いますが……」

 

真「文が霊夢にやられたのは、文が本気を出していなかったからだろ。天狗はどんなときでも本気を出したりしない種族だ。それに文は優しいからな」

 

文「あやや……それは、過大評価というものですよ?」

 

藍「(……ああやっぱり、身内というのは妖怪の山の連中のことか。まぁ霊夢がランキングに載らなかった以上それしかないよな)」

 

さとり「(……ところがどっこい、違うんですよね。真さんが無意識に身内贔屓しているのは、どちらかというと5位と6位……)」

 

 

 

魔理沙「……さて、次の回答者は順番どおりなら私なんだが…… ちょうど二巡したことだし、これからは相談して答えることにしようじゃないか。正直私は、真の対人関係……交友関係って言うのか? そこんところお前らより詳しくないと思うしな」

 

紫「ええ、いいわよ。そろそろ本気で当てに行く段階だからね」

 

霊夢「……ま、一度も間違ってない私からするとありがたい提案ね」

 

魔理沙「……ほぉ、言うねぇ霊夢。言っておくが、私からこんな提案しておいてなんだが、当てる自信のある回答を一つ準備しているんだぞ。第9位のヤツだ」

 

霊夢「あら、私も第9位のヤツはほぼ確信していたの。ちょっと納得がいかないけどね」

 

紫「……え? 第9位って、真に雑な扱いを受けてたあれ? 私分からないんだけど…… 真がそんな扱いをする相手なんていたっけ?」

 

霊夢「……紫が分からないのは無理ないかもね。そいつがいるときは、真よりも紫のほうがそいつを雑に扱ってるもの」

 

魔理沙「いやいや、さっきのやりとり見てたら予想できるだろ。それに、さとりの『真だって身内に甘い』発言からも推測できる」

 

霊夢「……それに、私よりも強いって真が言ったばっかりだし」

 

魔理沙「極め付きは、どっちがかわいいかって訊かれて即答してたことだな。第9位とそいつ、同一人物なら一択なのは当たり前だ」

 

紫「……ああ! なるほどね!」

 

魔理沙「分かったか? つまり第9位はほぼ確実に……」

 

霊夢・魔理沙・紫「「「『射命丸文』!」」」

 

 

 

文「えぇっ! ま、まさかぁ……私がランクインしているわけがないでしょうに…… してるにしても、ピンポイントで9位などはあり得ないです! ……まぁそれでも一応は回答されたので、正解か不正解かの確認はしますけど……」

 

真「はい正解ー。射命丸文は第9位でした、おめでとう」

 

文「ちょっと! まだドラムロールもまだですよ!」

 

真「どぅるるるばん。はい文9位」

 

文「雑!」

 

フラン『……ダメだよ~真! 次は私たちがどぅるるるって言うの!』

 

真「……ああごめん。思う存分言ってくれ」

 

フラン『いくよこいしちゃん! せーのっ!』

 

フラン・こいし『どぅるるるるるるる~……』

 

橙『……ばん!』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 

 第3位 風見幽香

 第4位 伊吹萃香 

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 フランドール・スカーレット 

 第8位 ???

 第9位 射命丸文 パッ

 第10位 霊烏路空

 

 

藍「……うむ、案の定9位だな」

 

文「ギャー! 下手したらランクインしてないとか適当とか言われてた9位がまさかの私!? しかも霊夢さんをさしおいてのランクインなんて、全く嬉しくないんですけど!」

 

真「おめでとう文。9位なんてすごいじゃないか」パチパチ

 

文「いらないですよそんな称賛!」

 

さとり「ええ、本当に。羨ましいです」

 

文「さとりさんまで!」

 

さとり「……そうですか? 確かに9位の扱いは少々雑でしたけど、結局真さんは『大切に思ってる』って言ってましたから羨ましいと思ったのは本当なんですが…… 多少のいじりならば大丈夫だろうという、真さんと文さんの信頼関係を感じましたね」

 

文「……えっ」

 

さとり「……それに、9位候補が沢山いたというのは、下手したらランクインしなかったと考えることもできますが…… 逆に考えれば、文さんはその中から選ばれているんですよ? 強さで選ばれた上位勢よりも、むしろ特別な扱いと言えますよね」

 

文「……た、確かに……そうかもしれませんが……」

 

真「(……いや、文を選んだのは、お空とカラス繋がりでまとめた方がいいかなと思って…… 最初はレティを9位にするつもりだっ……)」

 

さとり「(しっ)」

 

真「(はい)」

 

さとり「……ここだけの話、少し前の真さんと文さんの様子を見て、すごいなぁと思ったんですよね。ゲームが始まったばかりのとき、お二人は目で会話をしていたでしょう? これは簡単にできることじゃありませんよ」

 

文「……い、いやぁそれほどでも……」

 

さとり「……どうです? まだ9位という順位を不名誉だと思いますか?」

 

文「……いえ! むしろ誇らしいと思いました! 真さん、選んでくれてありがとうございます!」

 

真「はぁ、どういたしまして」

 

文「えへへ……そうですよね。なんてったって『好きだし大切に思ってる』って断言されているわけですし……」

 

真「……まぁそうなんだけど…… さっきから繰り返し言い過ぎだぞ」

 

文「照れなくてもいいですよっ! 私も真さんのこと大好きですから! 真さーん!」バッ

 

真「!」

 

藍「はいそこまで」ガシッ

 

文「ぐへっ!」

 

藍「……どさくさに紛れて抱き着かせなどさせないからな。変な動きができないよう拘束させてもらおう」

 

文「……うー…… 拘束されるなら、別の狐の腕の中がよかった……」

 

 

 

紫「……よしっ!」

 

霊夢「……ふぅっ」

 

魔理沙「やったな! とりあえずは正解だ!」

 

紫「藍、ナイスよ! そのカラスをよく止めたわ!」

 

魔理沙「……え? そっち? ……そこは正解したことに対する喜びだろー普通。なぁ霊夢?」

 

霊夢「……まったく、油断も隙もあったもんじゃないわね」

 

魔理沙「いやお前もかよ!」ビシッ

 

 

 

椛「文様が9位…… すごい……」

 

にとり「……文が闘う様子ってあんまり見ないけど、真は見たことあったのかな? 単に妖怪の山に住んでる仲間ってことなら、私や椛がランクインしてる可能性もあるかもね」

 

椛「いや、文様はその中でも、真様に速く飛ぶ方法とかを教わったりしてるから。多分そのせいだと思う」

 

にとり「へぇー、そんなことが……」

 

 

 

紫「……さて、気を取り直して、ゲームの続きといきましょうか。残す順位は5位と6位と8位の三人ね」

 

霊夢「その三人とも、真の中では『戦闘経験値が高い、闘い慣れてる』って評価だったわ。しかも5,6位は、吸血鬼であるフランと同等以上の身体能力みたいだし…… そんなヤツ本当にいるのかしら?」

 

魔理沙「……ふぅむ。ここは可能性が高そうなヤツらを挙げていって、徐々に絞りこんでいくのが良さそうだな」

 

紫「……そうね、そうしましょう。 ……私だと、やっぱり永琳は候補かしらね。真の昔の知り合いだから、実力はよく知ってるだろうし」

 

霊夢「私は、意外と椛とかが候補だと思う。あの子結構強かったし、真とは昔の知り合いなんでしょ?」

 

魔理沙「ここは単純にレミリアとかどうだ? フランの姉だし、吸血鬼だしな」

 

紫「あと、強いと言えば藍も外せないわ! 私の式として大人しく振舞ってはいるけれど、その(じつ)九尾の大妖怪よ!」

 

霊夢「……そういえば、妹紅も真の昔の知り合いだっけ。実力はどのくらいか知らないけど、真と一緒に異変解決するくらいは認められてる……?」

 

魔理沙「咲夜も地味にランクインしてそうな気がするんだよなー。あと他には……」

 

 ケイネトカ? ニトリナンテドウ? チルノモアンガイアナドレナイゼ! ワイワイ

 

 

 

幽々子「……どうしてここでも、妖夢の名前が出されないのかしら~?」

 

妖夢「……あれぇ? おかしいですね…… ランクインしているとは思いませんが、候補に挙がるくらいのことはあってもいいはずなのに……」

 

幽々子「……つまり妖夢は、まだまだ半人前ってことね~。周囲の人間にもまだまだ認めてもらってないなんて」

 

妖夢「むむ…… 参考までに、真さんの中で私の順位が知りたいですね……」

 

幽々子「もしかしたら、真の中では妖夢の順位は私より上かもね~。能力は関係ないみたいだし」

 

妖夢「そ、それは…… いいんですか? 幽々子様は私よりも順位が下でも」

 

幽々子「いいわよ~♪ 女の子は守られる存在なんだから、真からはか弱いと思われてるほうが嬉しいわ~♪」

 

妖夢「(……ゆ、幽々子様がか弱い……? 私よりも剣術の腕は上なのに……)」

 

 

 

天子「……私の名前も出されない…… なんでよ!」

 

衣玖「……霊夢さんたちには、真さんに指一本でやられたってイメージがあるからじゃないですかね?」

 

天子「むむむ…… やっぱりあのとき、無理矢理にでも地震を起こしておけばよかったわ!」

 

衣玖「……そんなことをしていたら、きっとデコピンじゃ済みませんでしたよ」

 

 

 

フラン・こいし『どぅるるるるるるる~……』

 

橙『……ばん!』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 

 第3位 風見幽香

 第4位 伊吹萃香 

 第5位 ???

 第6位 ???

 第7位 フランドール・スカーレット 

 第8位 ???

 第9位 射命丸文 

 第10位 霊烏路空

 

 八雲藍・・・ランク外

 

 

文『……おおっと、相談の末に三人は藍さんを選択しましたが、残念ながらランク外のようです!』

 

真『藍は、強いと思うし優秀なのは事実だが、闘う姿をまともに見たことは無いからな。言ってしまうと、咲夜も同じような感じだ』

 

美鈴「……あらら、暗に咲夜さんもランク外だと言われちゃいました……」

 

咲夜「……まぁそれが普通よね。真様に限らず、私は人前で闘う姿を見せたりはしてないもの。メイドは常にお淑やかでいなければいけないのよ」

 

パチュリー「……もっとも、レミィはそう思っていないみたいだけど」

 

レミリア「ぐぬぬ……どうやら咲夜もランク外のようね…… こうなったら私がガツンとランクインして、紅魔館のすごさを見せつけて……」

 

 

 

橙『どぅるるるるるるる~……』

 

フラン・こいし『……ばん!』

 

 

 レミリア・スカーレット・・・ランク外

 

 

レミリア「なんでよ!」

 

真『だってレミリアが闘ってる姿見たことないし……』

 

 

 

魔理沙「……うわ、二連続で誤答か、こりゃまずいぜ……」

 

紫「計四回……あと間違えていいのは一回だけかぁ……」

 

魔理沙「紫が二回も誤答したせいだな」

 

紫「……む。それを言うなら魔理沙は三回でしょうが。咲夜もランク外みたいなものだから」

 

魔理沙「二回も三回も変わらないぜ。そういうのを二束三文って言うんだ、知らないのか?」

 

紫「それを言うなら五十歩百歩でしょ! ……でも、間違えたことには変わりない、か…… 間違えてないのは霊夢だけね」

 

霊夢「……ねぇ、ちょっと次の回答なんだけど……」

 

魔理沙「……なんだ、間違えてないから回答したいのか? 気持ちは分かるが、あと一回しか間違えられないから慎重にいくぞ。答えたいならそれなりの根拠をだな……」

 

霊夢「ええ、それは当然承知しているわ。そのうえで、少し思い出したことがあるから聞いてちょうだい。二人にも思い出してほしいことよ」

 

紫「……思い出してほしいこと?」

 

霊夢「……そう。私の回答は、さっき言った『藤原妹紅』なんだけどね…… 結構前に永遠亭で肝試ししたことあったじゃない?」

 

紫「……ああ、やったわね。夜の竹林でお酒を探しまわったやつ」

 

魔理沙「確か妹紅と輝夜のペアが勝ったんだったな。 ……霊夢が妹紅を答える理由はそれか?」

 

霊夢「違うわよ。思い出してほしいのは、そのペアを決めるときのこと。真が『夜の竹林は危険だから』って、強いヤツと弱いヤツでペアになるようにくじを引かせたの、覚えてない?」

 

紫「……そりゃあもちろん覚えてるわ。真と組むつもりが、くじの時点でその可能性が無かったんですもの」

 

魔理沙「真は心配性だよなー」

 

霊夢「……そのとき、真が強いヤツとしてすぐ選んだのが、自分と、紫と、もう一人……」

 

魔理沙「……ああ! そういや妹紅だったな! 逆に私とか霊夢は弱いヤツ扱いで……」

 

紫「……幽々子も強い立場だったけど、あれは立候補したせいだったし……」

 

霊夢「……どう? 根拠としては十分だと思ったんだけど……」

 

魔理沙「十分も十分! 私は乗ったぜ!」

 

紫「うん、私も。文句無し」

 

魔理沙「決定だな!」

 

 

 

文「……さぁ、選ばれましたのは『藤原妹紅』! これを間違えるともう後がありません! 果たして結果は!?」

 

フラン『……ふぅ。どぅるる~……』

 

こいし『……あれ? どうしたのフランちゃん、元気が無い……』

 

フラン『……お姉さまが選ばれてなかった~、残念~……』

 

こいし『あらら…… 大丈夫だよ! 私のお姉ちゃんも選ばれてないから! 真はお姉ちゃんのすごさをまだ知らないんだ!』

 

フラン『……もう! 真がお姉さまのすごさを知ってたら絶対に入ってるのに! どぅるるるるるー!』

 

橙『……はぁ。藍さまもランク外でした……』

 

こいし『あ、こっちも元気が無い。じゃあ私が代わりに……ばん!』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 

 第3位 風見幽香

 第4位 伊吹萃香 

 第5位 ???

 第6位 藤原妹紅 パッ

 第7位 フランドール・スカーレット 

 第8位 ???

 第9位 射命丸文 

 第10位 霊烏路空

 

 

文「おおおー! お見事! 妹紅さんは第6位でした!」

 

藍「橙……私情にかまけて仕事がなおざりになるのは良くないな。 ……だがまぁ、私を気にしてのことのようだし、今回だけは目をつぶろう」

 

真「(相変わらず橙に甘い……)」

 

さとり「(……真さんも、ね。妹紅さんがランクインしているのがその証拠です。 ……まぁ、妹紅さんもなかなかの実力者みたいなので、身内贔屓だけでは無いようですが……)」

 

 

 

輝夜「……妹紅が6位? ……生意気ー!」

 

妹紅「生意気ってなんだ生意気って! ……ふん、見たか、これが私の実力だ。真と一緒に旅してたときに、妖怪相手のとどめを任されたこともある」

 

輝夜「むむむ…… まだよ! 妹紅が6位なら、残る5位は私のはず!」

 

妹紅「残念! 私はもう5位も8位も誰なのか見当がついてるし、おそらく輝夜はランク外だね!」

 

輝夜「じゃあ5位と8位が誰なのか言ってみなさいよ! 外れたら、罰として言うこと聞いてもらうからね!」

 

妹紅「いいよ! ……よし輝夜、耳貸せ」

 

輝夜「ん」

 

妹紅「(…………)」ゴニョゴニョ

 

輝夜「……えーっ! いくらなんでもそれは……」

 

妹紅「あるんだなぁこれが。私が真と旅してたころにだな……」

 

 

 

鈴仙「……姫様、ランクインしていないみたいだけどあまり落ち込んでいないみたいでよかった……」

 

てゐ「……というか、真に強さを見せたこともないのに自信満々だったのがおかしいんだよね」

 

鈴仙「まぁそうなんだけど…… 師匠も、姫様がランクインしてなくて残念でしたね」

 

永琳「そうねぇ。まぁ私は予想できてたわ。ついこの前真が来たときに、『妹紅と輝夜だったら妹紅の方が強い』って親バカ発言してたから」

 

てゐ「あー、そりゃ親バカだ」

 

鈴仙「えっ、最近真さん来てたんですか? 呼んでくださいよ!」

 

永琳「あら、ごめんなさいね。内緒の用事だったのよ」

 

てゐ「……なんで真が来ただけで鈴仙を呼ばなくちゃいけないのさ? いつの間に真に懐いたんだか」

 

鈴仙「ち、違うわよ! 前にもらった葉っぱのことで改めてお礼を言おうと思って……」

 

 

 

魔理沙「すげー! 霊夢また正解だぜ! これで残りは二つだな!」

 

紫「そういえば妹紅は、私が真の元から離れてから、入れ替わるように真についてきた子だったわね。長く一緒に旅をしてたから、真も実力を知っていた、と。 ……ま、私のほうが順位は上だったけど」

 

魔理沙「……なんで妹紅と張り合ってんだよ紫」

 

紫「だって似たような相手だったら気になるじゃない」

 

霊夢「……紫は妹紅と全然似てないわよ。妹紅のほうが千倍はかわいいわ」

 

魔理沙「……おいおい霊夢、ゼロは何倍にしてもゼロなんだぜ? それだと似てるって肯定してることになる」

 

霊夢「あ、そうか。妹紅はもっとこう、小さくてかわいいというか……」

 

紫「……貴女達それくらいにしときなさい? 第2位の実力を、身をもって味わうことになるわよ?」ビキビキ

 

魔理沙「……おー、こわ。じゃあ次の回答にいきますか。どうする? 椛でいくか?」

 

霊夢「そうねぇ…… まだ確信に欠けるような……」

 

 

 

真「ゼロは何倍してもゼロ、か。魔理沙よく知ってたな。ゼロっていう数字の面白いところの一つがそれだ。他にもゼロは、何を足しても元の数字を変化させない性質があって、それを和における単位元と言うんだが……」

 

さとり「あ、その話はもう十分ですから」

 

真「……!」ガーン

 

文「(……真さんには悪いですが、さとりさんナイス…… )」

 

藍「……真、そう落ち込むな」ポンポン

 

真「藍……」

 

藍「その話は、後で二人きりのときにゆっくりとしよう」

 

文「(あ、ズルい)」

 

さとり「……それより、ランキングは残り二つとのことですが、難しいのでヒントを出してあげたらどうでしょう? 今さらですが、五回しか間違えられないというのは難易度が高いと思います」

 

真「……ヒント? ……まぁ、俺が勝っても何もないから別にいいけど……」

 

文「おお! さとりさんは盛り上げ上手ですね! 私からも是非!」

 

真「……ふむ、じゃあ一つだけ。9位と10位には、どちらも同じカラスの妖怪というように共通点があるが…… 5,6,7位にもなにかしらの共通点がある。また、7位と8位にもだ。どんな共通点があるのかは言わない、考えてくれ。 ……と、これでどうだ?」

 

さとり「……なるほど」

 

文「バッチリです! それでは回答者たちの様子を……」

 

 

 

霊夢「……共通点、か。椛と妹紅は同じ色の髪だけど、フランは金色だから違うわね」

 

魔理沙「こういうときは、どちらも含んでいる7位のフランの特徴を挙げていくのはどうだ? 金髪、吸血鬼、子ども、帽子を被ってる、飛ぶのが速い……」

 

紫「……いえ、まずはフランと妹紅の共通点を探し出して、それと同じ特徴を持つ5位を当てに行きましょう」

 

魔理沙「あ、それもそうだな」

 

霊夢「フランと妹紅の共通点…… 火……はフランは使えないし、妹紅は太陽に弱くもない……」

 

紫「そうねぇ、どっちも身長は低いわよ?」

 

霊夢「そりゃあ紫から見たらそうでしょうけど、妹紅はフランほど低くはないわ」

 

魔理沙「あとは…… 私からすると、二人ともなんだか赤いイメージはあるけどな。ははは、なーんて……」

 

霊夢「……赤……あか……紅…… ! まさか……」

 

紫「……名前に(スカーレット)が含まれている……? いえ、それとも単に色かしら……?」

 

魔理沙「……色ぉ? えーと、そうなると…… レミリアと藍は既に外れてて、紫は2位にいるから……」

 

霊夢「……橙?」

 

紫「藍は入ってなかったのに? さすがにそれは……」

 

魔理沙「あ、分かったぜ! やっぱ椛であってんだよ! 『もみじ』は『紅葉』とも書くからな!」

 

紫「それだ! 今日の魔理沙は冴えてるわね」

 

魔理沙「へへへ、誉めるな誉めるな」

 

霊夢「あぁ、そっかぁ…… なんだ、用心しすぎたのね……」

 

 

 

文「……いいですか? ……はいっ、いいですね! それでは、次の回答は『犬走椛』です! さぁ結果は!?」

 

真「……これで負けたら、文は部下に順位で負けたことになるな」

 

文「そうなんですよねー。だから結構ドキドキして……って、真さんは結果知ってるじゃないですか!」

 

橙『どぅるるるるるるる~……』

 

フラン・こいし『……ばん!』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 

 第3位 風見幽香

 第4位 伊吹萃香 

 第5位 ???

 第6位 藤原妹紅 

 第7位 フランドール・スカーレット 

 第8位 ???

 第9位 射命丸文 

 第10位 霊烏路空

 

 犬走椛・・・ランク外

 

 

文『……っと残念! 椛はランク外でした! 個人的には、上司の体裁(ていさい)が保ててひと安心です!』

 

真『……ふぅ。 ……お前らぁ! そこまでたどり着いておきながらなぜハズす! 名前に色が入っているヤツがもう一人いるだろうが!』

 

霊夢「え……? ……ああ! そっちか!」

 

魔理沙「くそっ! 私としたことが…… 最後にミスっちまった!」

 

紫「……いや、気付いてたのよ? でもその子もあんまり強そうなイメージが無いから……」

 

霊夢「名前っていうより苗字だし…… まぁそれを言うならフランもだけど」

 

魔理沙「読み方がちょっと違うと盲点だよなー」

 

紫「私の中では、白は色に入らないのよ。透明よあれは」

 

魔理沙「……どうやら、全員分かったみたいだな。せーので答えようぜ。せーのっ!」

 

霊夢「レティ・ホワイトロック!」

 

魔理沙「上()沢慧音!」

 

紫「リリーホワイト!」

 

真『全員違う!』

 

 

 

椛「……ですよねー。私がランクインしているはずが……」

 

にとり「いやぁ驚いた。まさか椛の名前がここで出るとはね」

 

萃香「……まったくだ。私と一つ差の5位だったら、このあと勝負を挑むところだったよ」

 

椛「……ふぅ。よかったぁランク外で……」ホッ

 

 

 

妹紅「……うん。真のヒントから、私の予想はやっぱりあってるよ」

 

輝夜「む…… まだよ。結果が出るまでは分からない。これで外れてたら、妹紅には私の持ってる書物を全部読ませるからね。感想もちゃんと言うこと!」

 

妹紅「……なら、あってたら輝夜にはたけのこ掘りを手伝ってもらうかな」

 

輝夜「いいわよ! ……それにしても、確かに条件に合ってるけど、5位のヤツって本当に強いの?」

 

妹紅「ああ、そうみたいだ。私のあとで真に弟子入りしたって言ってたし、今でもよく手合わせをしてるらしい」

 

輝夜「へぇ~そうなんだ…… えーと、名前なんだったかしら?」

 

妹紅「私と同じ色が入ってるって言っただろ? そいつの名前は紅ーー」

 

フラン・こいし『どぅるるるるるるる~……』

 

橙『……ばん!』

 

 

 第1位 星熊勇儀 

 第2位 八雲紫 

 第3位 風見幽香

 第4位 伊吹萃香 

 第5位 紅美鈴 パッ

 第6位 藤原妹紅 

 第7位 フランドール・スカーレット 

 第8位 ???

 第9位 射命丸文 

 第10位 霊烏路空

 

 

文「……はい! とゆーわけで、第5位は紅美鈴さんでしたー! まぁヒントが途中からほぼ答えでしたよね」

 

真「まったく…… 美鈴は、尻尾を数本出した俺相手なら勝てるくらいの腕を持っていて、体術に関しては萃香と互角と言ってもいいぐらいの実力者だぞ? 俺の中でなくても幻想郷の実力者十指に入る美鈴が、なぜここまで出ないんだ……」

 

さとり「……まぁ、知名度とか本人の性格もあるでしょうが…… それよりヒントが絶妙でしたね。あの流れなら椛さんと答える可能性もあるかなと思ったらズバリでした」

 

藍「まったくだ。私も橙が5位なのではないかと思わされたよ」

 

真「いや……橙はまだまだ弱い(しょんぼりだ)と思うぞ? 今後がどうかは知らないが」

 

文「……橙さんが5位だったら、幻想郷中が驚きですよねぇ……」

 

さとり「そうですねぇ。もっとも、8位が明かされたら同じくらいの驚きがありそうですが…… あ、文さんは知ってるからそうでもないかな?」

 

文「……?」

 

 

 

フラン『美鈴すごーい! 5位だって!』

 

こあ「すごいです!」

 

パチュリー「これは驚いたわね……」

 

美鈴「……え、ええと…… 一番驚いているのは私なんですが……」

 

レミリア「……私がランク外だった以上、フランしかいなかったんだと思ってたけど…… おめでとう美鈴、貴女がナンバーワンよ」

 

美鈴「いえ、5位ですが…… え? えぇー……?」

 

咲夜「(……私にとってはそう予想外のことでもないんだけど。昔から美鈴の強さは知ってるし、真様との修行の様子も見てるから。弾幕ごっこは弱いけど、美鈴は本当は強いのよ。それをみんな知らないなんて、なんだか真様と同じ気分……)」ジー

 

美鈴「……さ、咲夜さん? そんな鋭い目で見てくるということは、もしかして怒ってる……」

 

咲夜「……あ。こ、こほん。門番が主よりも目立つなんて許せないことですね。帰ったら、罰として仕事を倍に……」

 

美鈴「や、やっぱり~!」

 

 

 

紫「……ふぅ、ついにここまで来たわね……」

 

魔理沙「長かったな……」

 

霊夢「あと一つ……正解すれば勝ち、間違えれば負け……」

 

魔理沙「……この上なく熱い展開だぜ」

 

紫「……さて、おさらいしておくと、当てるのは第8位で、その8位は7位との何かしらの共通点がある……ということ……」

 

霊夢「7位はフランだから、フランと同じ共通点を持つ誰かが答えなわけだけど……」

 

魔理沙「……ぶっちゃけ、誰でも共通点の一つや二つあるよなぁ…… 霊夢だったら赤い服が同じだし、私や紫だったら髪の色が一緒だ」

 

紫「……それでも、少しくらい選択肢は絞れるんじゃない? 幽々子とか、鈴仙とか、穣子とかは共通点が無さそうよ?」

 

霊夢「……幽々子の能力は、フランと同じ一撃必殺系。鈴仙もフランも、名前の長さが十文字以上。穣子にも姉がいる。こじつけていいならそんなところかしら」

 

紫「……じゃあ、妖夢とか輝夜とかにとりなら?」

 

魔理沙「全員一人称が『私』だな」

 

紫「……それを言ったら全員が候補になるじゃない」

 

魔理沙「いや、霖之助は外れるぜ?」

 

紫「どうでもいいわ!」

 

霊夢「……さすがに一人称だとか性別だとかが共通点の答えだとしたら納得できない。そんな答えだったら真には後で文句を言わせてもらうわ」

 

紫「……そうよねぇ。真のことだから、納得のできる答えを用意しているとは思うけれど…… 答えを聞いたら、ああ、共通点はそれかって分かるような……」

 

魔理沙「……つまりはフランによく似てるってことかあ? それなら、レミリアは既にハズレだし、諏訪子はもともと除外されてるから違う……」

 

霊夢「……諏訪子? どうして今さら諏訪子が選択肢に出てきたのよ」

 

魔理沙「だってフランと同じで、金髪で、小さくて、変な帽子被ってるじゃないか。ここまで似ているヤツはそういないぜ?」

 

霊夢「……金髪で、小さくて、変な帽子……?」

 

魔理沙「そう! 三つも共通点があるんだ、思い浮かんで当然だろ! ……まぁ、そんな沢山共通点があるヤツは他にどこにも……」

 

紫「……いるじゃない、すぐそこに」

 

魔理沙「え? だ、誰だ?」

 

霊夢「……アンタよ魔理沙。フランと同じ、小さくて金髪で変な帽子を被ってる、ね」

 

魔理沙「……わ、私か!? ……自分で言うのもなんだが、霊夢がランクインしてないのに私は無いと思……」

 

紫「……いや、同じ鬼なのに萃香よりも勇儀のほうが順位が上ということは、真はバランスよりもパワーを重視する傾向にある…… となると、魔理沙の可能性は十分あるわ」

 

霊夢「……そうか! 魔理沙のマスタースパーク!」

 

魔理沙「……確かにあれは私の弾幕の中でもかなり強力な技だけど…… 真に見せたことあったっけ?」

 

紫「なに言ってるのよ、魔理沙と霊夢は神社でよく勝負してるじゃない。真が見かける機会なんていくらでもあるわ」

 

魔理沙「あ、そうか。 ……じゃあ」

 

霊夢「……これ以上の回答は見つかりそうにないし、『霧雨魔理沙』で決定かしら?」

 

紫「このゲームもかなり長くなっちゃったしね…… 正解でも不正解でも、さっさと答えて終わらせましょう」

 

魔理沙「……うわっ! もう太陽が沈む時間かよ!」

 

 

 

文「……さぁ、最後の回答が決まった模様です! 三人の回答は『霧雨魔理沙』! 残った第8位に入る名前は、果たして彼女なんでしょうか!? 最後なので、正解でも不正解でも、モニターに名前は表示させようと思います! 現れた名前が、『霧雨魔理沙』ならば三人の勝利! それ以外だったら真さんの勝利です! 結果は――――」

 

 

 

 

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

 

 

 

 

 ~博麗神社~

 

魔理沙「……は~。昨日のゲーム、負けちまったな~。 ……結局8位は誰だったんだろ?」

 

紫「……まさかモニターに表示される瞬間に画面が真っ暗になるとはねぇ。急いで準備したせいかしら?」

 

霊夢「そのまま夜になったせいで観客が軽くパニックになって、うやむやのまま終わったから名前が確認できなかったなー。真が『魔理沙じゃない』って言ってたから不正解だったのは確かだけど」

 

魔理沙「夕方だと思ってたのに急に夜になったよな。モニターの明かりが消えたせいか?」

 

紫「……さぁね~。 ……それより真は? 答えを聞きに来たんだけど」

 

霊夢「そこらへんで子どもたちと遊んでる。 ……それに答えを聞いても無駄よ、私も昨日聞いたけど教えてくれなかったわ」

 

紫「……なんで?」

 

霊夢「さぁ?」

 

紫「……実は魔理沙で正解だったのをごまかしてるんじゃないの。だってフランと同じ、金髪で、小さくて……」

 

魔理沙「……というか、私はフランほど小さくないぜ。だからその予想は最初から間違ってたんだ」

 

霊夢「……でも、魔理沙以上にフランと共通点がある子なんて他には……」

 

 

 

 

ルーミア「……危ないわねー。前も思ったけど、人の秘密を勝手にバラさないでもらえるかしら?」

 

真「……悪かったなールーミア。俺は心を読まれてるから、嘘をつくことができなかったんだよ」

 

ルーミア「……それに、なんで私が8位なのよ。もっと強そうなの沢山いるのに」

 

真「いや、ルーミアが8位で間違いない。だってルーミアは強いからな」

 

ルーミア「理由になってないんだけど……」

 

真「……ルーミア、昔より強くなってたなー。あのときに、モニターと神社全体を暗くしたのルーミアだろ? 自分の名前が見えないように」

 

ルーミア「そうよ、強いとバレたら面倒だもの。チルノの相手とか」

 

真「……いやぁ、急に暗くなって驚いた。昨日来てた観客たちには悪いことしたなぁ」

 

ルーミア「……そう? 喜んでるのも中にはいたわよ?」チラッ

 

 

「……う~、満腹だ~。空腹だった昨日が嘘みたい。人が沢山集まってるからってここに来てみたら、まさか大量の食料にありつけるなんて。私……じゃないや、わちき大満足……」ケプッ

 

 

真「……驚きを食べる妖怪連中、か。まぁ俺も、そのおかげでかなり回復できたわけだけど……」

 

ルーミア「……わはー、それはよかったなー。真ー」ギュー

 

真「? どうした急に……」

 

紫「……あ、真いた! ねえねえ、また面白いゲームを思い付いたの!」

 

真「……ああ、紫か……」

 

ルーミア「~♪」ギュー

 

紫「またベスト10を使うんだけど、今度は順位を予想するの! 例えば料理が10個あったとしたら、『この料理は何番目に値段が高い!』みたいな予想をして……」

 

真「……なるほどな。また俺が順位を決める側か? 今度は回答者をやってみたいところだが……」

 

紫「いいわよ! それじゃあ何のベスト10にしましょうか」

 

真「……そうだなぁ。こういうのはどう……」

 

 

 ~おわり~

 





 ~地底~

さとり「……という催しが地上でありまして。勇儀さんは1位でしたよ」

勇儀「……へぇー。な、なんていうか、真の中で1番だと思われてるってのは照れるな……」テレテレ

さとり「最終的に順位はこんな感じでしたよ」


 第1位 星熊勇儀 
 第2位 八雲紫 
 第3位 風見幽香
 第4位 伊吹萃香 
 第5位 紅美鈴
 第6位 藤原妹紅 
 第7位 フランドール・スカーレット 
 第8位 ルーミア
 第9位 射命丸文 
 第10位 霊烏路空


勇儀「……おっ、萃香は4位か。あとこの6位のは真と一緒にいた子どもだよな、強かったんだ。 ……ふーん、地上にも強いヤツがいるんだな。久しぶりに地上まで行ってみようかねぇ」

さとり「いいですね。真さんにも会えますし、ついでに謝ってきたらどうですか?」

勇儀「……そ、それはもう少し、ほとぼりが冷めてからにしようかな?」

さとり「……やれやれ。ほとぼりが冷めてから謝る、というのも変な話ですよねぇ……」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。