装甲悪鬼紅魔-FullMetalDaemon Remilia- 作:武安国
毎度のごとく酔ったときしか書いてないんですが、それが何日にも渡ってとなると・・・
あー!もうめちゃくちゃだよ!
となること請け合い。
だが私は謝らない。
紅と銀は空を駆ける。
視認できる限りでは、あれは甲冑だ。
銀色は自分の故郷にあった甲冑に近いものがあるがそれにしても曲線が綺麗すぎる。あれではまともな防御は出来ないだろう。
しかし尋常ではない速度だ。
自分のような存在であれば問題ではないが、ただの人間があんな速度で動いて大丈夫なのだろうか?
彼女は少し抜けた心配をしてしまった。
紅色は幻想卿のどこかで見たものに近い。妙な雑貨屋に飾ってあったものに似ている。
鎧武者と言うべきか。あんな感じだ。
見た目通りに動きは鈍い。まぁ自分やあの銀色と比較するとだけど。
何かに迷っているようなものもある。本来ならばもっと速く跳べるのだろう。
そんな二人が方や物理法則を無視したように空を駆び。
もう一方は背中の…なんだろう?
ああ、あの人間の魔法使いが箒に付けて使ってたアレだ。
あんな感じのものをあんな感じに使い銀色を追い回そうとする。
「なんか気になるよねぇ…
二人しか飛び回ってないし、下には死体しかいないのに、人の気配が『四人分』感じるのなんでなのかしら?」
自分の下には死体しかない。
出来立てほやほやだ。さっきまで元気に殺し合っていたのを少々口を吊り上げながら見ていたのだ。
なんだかよくわからないが、人間同士で老いも若きも男も女も子供も殺し合っていたのだ。
それは途中からだが最期まで見ていた。地面には動くモノはなかった。
そんな死屍累々の中で動くのは空を飛び回る、二人だけなのだ。なのに四人の存在を感じる。
彼女はそれが妙に気なったが、追々わかることだと思い、銀と紅の追いかけっこを見守ることにする。
まるで子が走り回り、親がそれを追い回すように。
これは飯事だ。彼女はそう思った。
親と子の立場が逆転してるのは何とも言えないものだったが。
そうこう眺めているうちに、結局決着は一撃で尽いた。
「天座失墜・小彗星(フォーリンダウン・レイディバグ)」
銀色はそう呟き。先ほどよりもさらに速度を上げ飛翔し、紅い武者に舞い降りる。
踵落し。
言ってしまえばそんな簡単なものである。
しかし銀色の速度は吸血鬼であるレミリアの目を持っても見えるかどうかの速度だった。
そんなものが人間に当たればどうなる?
そんなものは決まっている。高い場所から地に落とした柘榴のようなものになるに決まっている。
それが紅の頭に突き刺さる。
銀が放った蹴りはどう見ても直撃すれば相手を殺す一撃。
だが紅い武者はよろめきながらも立ち上がろうとする。
あれで生きているのか。彼女は少し驚いた。
その鎧のおかげか、とっさに致命傷回避したのかもしれない。
しかし実際のところは。
「ふぅん・・・加減してるのね。あの娘。
あんな気が狂った速度を保ちながらそんなことできるなんて器用だわ。
私ならそのまま胴体ごと真っ二つにしてしまうわ。」
なんて彼女は呟きながらもその行方を見る。
彼(だろう。たぶん。)は苦しげなうめき声を上げて起き上がろうとしている。
何か叫んでいる。
娘の名前だろうか。銀星号。そう叫んでいる。
妙な名前を付けるものだ。まぁおそらくは違うのだろう。
その銀星号が紅の武者の野太刀を空中へ取り上げ、【何か】に分裂させ、それをどこかへ放った。
彼女は思う。放り飛ばされたあれはきっと禄でもないものだろう。見えないにしろ彼女の勘がそう言っている。
何なのかはさっぱりわからないが、アレは己によからぬことをする。そう思った。
だから彼女は静観することをやめた。止めさせられたというべきか。
アレが飛び散る前にあの銀色を殺す。そう思い全力でそこ行こうとする。
が、すでに時遅し、二人に気取られぬよう自分の見える範囲ギリギリでいたのがまずかった。
おかげで四方八方へアレは弾け跳んでしまった。
彼女は吸血鬼としての身体能力の高さを少し恨んでしまった。
普通の人間程度の視力であれば十分間に合う距離だったのだ。
・・・まぁそんな距離に見た目幼い女子がいればどちらかが気づいていただろうが。
銀色が紅に何か喋りかけている。
大方あれを全部集めてまた闘えと言ったことを喋っているのだろう。
そう言い終えると銀色は飛び去る。何か叫んでいる紅を置いて。
彼女としては何なのかわからないが、自分にとって厄介なモノをばら撒かれた。
そんなモノをばら撒いた張本人を見逃すようなタマではない。
「せめて何なのか聞いておかないとね・・・。
最悪殺しちゃうけど・・・まぁここは幻想卿でもないみたいだし、なんとかなるでしょ。」
元々彼女が二人の闘いを遠目で見たのは、見極めるためであった。
わけのわからぬ場所へ飛ばされ、やたらと血を騒がせる空気。そしてその乾いた気持ちを慰めてくれそうな相手を見つけた。
こんなおいしそうな獲物を簡単に殺すのは勿体無い。
彼女の魔としての本能か。ただ闘争を楽しみたい。どちらなのかはわからないが、見極めようと思った。
そうして観戦と洒落込んでいたおかげで、自分を楽しませてくれるに十分な相手は見つかった。
しかしあの妙な光をばら撒かれて、楽観視していた部分は削ぎ落とされた。
「こんなに月が紅いのだから…本気で殺すわよ。悪く思わないでね。」
彼女は銀を追う。あれがどんなに速くても自分以上の速さはない。
流石に鴉天狗には負けるがそれでもあの妖ばかりの幻想卿で単純な速度で負けることはなかった。
「御堂、こちらに向かってくるモノがある。どうする?」
「ほぉ・・・今現在ある劔冑(ツルギ)でお前の追従するものがあるのか。
比肩するとすれば景明の劔冑だけだと思ったが…」
割と暢気な返しをする。しかしもう一方はあまりよい気分ではないようだ。
「・・・なんだか私たちの存在を蔑ろにされてしまいそうで、非常に言いにくいのだが・・・」
「ん・・・?何だ?」
「追ってきているモノは生身だ。劔冑に装甲していない。生身でこの速度に追いつけると考えたくはない。」
「ふっ・・・フハハハハハ!!なんだそれは!?己でもそんなことはできんぞ!?そんなモノがこの世界にはいるのか!
こんなスピード生身ならば臓器が破裂するどころでは済まんぞ!それを生身でやってのける・・・!
あの姫様よりも面白いな!!」
そう言いながら銀色は笑う。心の底から楽しむように。
この世界での目的は一つだが、まだ見ぬ強者との争いもまた楽しみであった。
そんなモノが現れてしまっては、やることは一つ。
「そんな面白い奴は己の眼で見ないと気が済まない。ここらで立ち会う。」
あの紅い武者との距離も十分に離れている。…最もあんな状態で追ってくるはずはなかったが。
「諒解。そう言うと思っていた。…しかしあんなモノはいけ好かないな。
私たちの存在を否定された気分だ。」
「まぁそう言うな。世界は広いのだ。御伽噺で聞くような化物だっているに決まってる。」
「それはそうなんだけどね・・・まぁこれからこの憂いを払わせて貰おう。」
徐々に速度を落とす。後方に迫るモノと相対するため。
アレとならば今の景明よりも楽しめそうだ、そんなことを思いながら。
そうして紅い閃光は止まる。銀色の前で。
そして紅い悪魔は口を開く。
「ごきげんよう。初めまして。えーっと…あぁ、確か『銀星号』でよかったかしら?」
そうスカートの裾を両指でつまみ優雅に挨拶をする。ここは空中だというのに。
銀色はエレガントすぎる挨拶をしてきた者を見つめる。
目の前に現れたのは淡い紫色だろうか、そんな髪色をした少女だった。
見た目は幼い、しかし至る所に違和感を覚える。
まず背から羽が生えている。蝙蝠のような。
それだけで人外だということは間違いなかった。取って付けれるような類のものではない。
何よりも彼女の眼だ。血に飢えている。闘争に燃えている。怒りに燃えている。殺る気満々の純情で曇りない眼だった。
あんな眼が(自分以外の)まともな幼い少女に出来てたまるか。背中の羽以上に彼女の瞳は異常を感じさせるものだった。
・・・しかし・・・はて?怒り・・・?目の前の少女とは初対面のはずだ。
恨まれるようなことをしただろうか・・・?
恨まれるとすれば親族の死因とかであろうか?
でも今まで見てきた中であんな容姿をした人間(?)はいない。ではなぜ彼女は瞳に怒りの炎を宿らせているのだろう?
・・・と思案したもののよくわからない。ならば答えのみを求める。
「うむ。その名間違ってはおらぬな。最近そう呼ばれて騒がれているからな。」
「騒がれるほどあんなことをしてたのねぇ・・・。ウフフ、本当に面白いのね貴女。」
「まぁ故あってな。」
「そう。」
どうでもよさそうに羽の生えた少女は言う。
「ふふっ・・・まるで今から己の命を絶つので目的なぞどうでもいいみたいな返しだな。」
「ええ。その通りだけど?
そんなもの聞いたところで何か意味があるのかしら?
貴女は今ここで私に殺されるのだから。」
そう言いレミリアは殺気を銀色に向ける。常人ならば失禁して涙を流し命乞いをする程度の殺気を。
しかし銀色は、
「くっ・・・くははははは!!」
笑い出した。これ以上なく楽しそうに。
「気に入ったぞ!お前!
ここまでの殺意!今の景明よりも面白い!
我が覇道を成し遂げるにはお前のようなものを乗り越えなければならんようだなぁ・・」
豪快に笑い。不適に笑う。銀色の少女は殺る気満々だった。
「あら?そんな単純でいいのかしら?淑女(レディ)としてはどうなのかしら?」
殺気を出しながらおどける悪魔の少女。
「けど、そんな単純な子・・・嫌いじゃないわっ!」
そして紅と銀はぶつかる。
血を流し、皮膚を削ぎ、肉が千切れ、骨を砕き、臓物を破裂させるように。
血液と骨片、そして鋼鉄を火薬とし、花火を咲かすように踊った。
そんな最中レミリアはふと思った。
(あっ・・・!
あのばら撒いたアレのこと聞くの忘れてた。
まぁ、殺す前に聞けばいいのだから、何も問題ないわね。うん。)
一番大事なことを忘れていた。