装甲悪鬼紅魔-FullMetalDaemon Remilia- 作:武安国
なんか難しいですね。色々と。
とりあえず休みをくれ。
もしくは来週までタイムスリップさせてくれ。
潮香りがする。
あまり好きではない香り。
波の音が聞こえる。
これも好きではない。
少し日光が当たる。
これはすごく嫌いだ。
「なんなのよアレ・・・。反則じゃない。」
レミリアは海岸のそばの雑木林で大の字になっていた。
衣類は少々焦げ臭い。
身体の節々は痛み、細かい裂傷や骨折は数知れない。
「あんな動き烏天狗でも真似できないわよ・・・。なんなのよ。あの銀色のやつは。」
仰向けの状態で彼女はぶつぶつ言う。
ようするに銀星号との闘いに負けたのだ。
日暮れから明け方に差し掛かるほどの闘いに。
「はぁ・・・ある程度痛めつけてあの撒き散らした何かについて吐かせてやろうと思ったのだけど・・・。
これでスタート・・・よりも良くない状況になってしまったわね。
でもこうなったのは、太陽のせい!私は負けてない!
・・・あともう少し日の出が遅ければ、今頃は咲夜の紅茶を飲んで土産話と洒落込んでいたというのにね。」
事実両者の闘いはほぼ互角であった。
互いに笑いながら、血を出しながら、骨を砕きながら、殺し合いをしていた。
そんな狂気の最中、一筋の光がレミリアの眼に入ったのだ。
雲の隙間から出た、朝日だった。
そうして気づけばこの有様。でもあれは負けていないと彼女は意固地に思う。
「しかしただの人間風情が妙な甲冑を着ているとはいえ・・・
本気の私と渡り合えるとはね・・・。
特にあのスピードと軌道。物理法則なんて完全に無視してるじゃないの。
あんな光速で変態軌道なんてされちゃたまらないわ。」
己の敗北を認めないまま、敗因を考える。
こちらの攻撃は当たっていた。しかし外されていた。
内臓を撒き散らそうと振るった拳に手応えがなかった。確実に捉えたはずなのに。
あれはなんだろうか?結界か何かなのだろうか?
それ以前に何もかもが異常だった。
容姿、反応、思考、判断、速度、体術。何もかもが。
今まで自分を狩りに来た腕の立つ狩人などは何度も血祭りにあげた。
それらと比べるほうが失礼だ。あの様な俗物共とは違う。
強いて言うならば・・・
あの紅白の巫女。己を唯一叩きのめした忌まわしくも好ましい人間。
あれが一番近かった。
でもあれは違う。何なのだろうか、何かが決定的に違っていた。
巫女と闘った時思ったのは、まるで空を相手にしているようだった。
弾幕を繰り出せども、スペルカードを行使しようとも、巫女は(何度か被弾していたが)飄々と飛んでいた。
上を見上げその青に手を伸ばそうとするような錯覚に囚われた。
あの銀色は違う。色のない無のようなものだった。
そこにあるはずなのに、何もない。そんな感じ。
確かに手を伸ばしても、空と無。どちらにも手は届かない。
けれども空はそこにある。無はそこにはない。
そんな曖昧で抽象的な違い。だけども何もかもが違った。
「あいつの本当の色は何なのかしらね?」
思案しつつ愚痴を垂れ流しならばも身体の傷を癒してゆく。
日が出ているので回復速度はすこぶる遅い。
ようやく折れた骨が全て繋がったところだ。内蔵の方は夜になるまではかかるかもしれない。
そう思っていた矢先に、音が聞こえてきた。
先ほどから聞こえてくる耳障りな波の音なのではなく楽器だ。
弦楽器の音色。それがどこからか聞こえてくる。
重く、厚く、だが静か。
そんな音色が。
歩ける程度には回復した彼女は警戒する。
あの銀色にではないにしろ、ある程度の手練と闘うのはよろしくない。
当然殺される気などはないが、如何せん力の調整が上手くできない。
そんな加減のきかない力をぶちまければどうなってしまうか。
間違いなく、碌なことにはならないだろう。
そんな面倒は神社に賽銭を払ってでも避けたい。
ただでさえ情報の少ないこの世界であるのに無闇に敵を作ることは得策ではなかった。
・・・昨晩のアレはなんだったのかと、少し自嘲してしまったが、あれは理由があったからだと無理やり納得させた。
とにかく厄介事はごめんだった。
まずは情報収集・・・そして自分の身を安らかにすることの出来る場所の確保。
そういった状況でのこの弦楽器の音色。
距離はある。どうするべきか。
おそらくこの音を奏でる人間(だと思いたい)は自分の存在を気づいていないだろう。
・・・まぁ傷だらけの子供が近くに倒れているのわかっていながら楽器を演奏するのが好きな狂人であれば話は別であろうが。
常人の視力なら絶対気づかれない。そんな距離。
自分の警戒しすぎた思考を外し、近くにくる前に移動しよう、そう思った。音が止まった。
視線を感じた。
誰とは言わない。音を出していたモノだ。なぜ私が見える?
ここは雑木林。木々が往々に生えている。
だからといって周りが見渡せないほど木々がレンガの壁の様に生えているわけではない。
隙間は多々あるのだが、葉が邪魔をして陽はあまり入らない鬱蒼とした場所だ。
そんな場所でこちらを一心に見る視線を感じた。
昨夜あんなとんでもない目にあって起きたらまたこんなことになるとは・・・
レミリアは己の運命を恨みたくなった。
「はぁ・・・完全に見られちゃってるわね。私。
まぁこんな美少女が森でウロウロしていたら誰も見逃さないでしょうけどね。」
少しドヤァ・・といった顔をしたが、それはすぐに改め、嘆く。
「こっちに放り出されて・・・ほっんと!!まともなことがないわね!」
「お嬢様、」
「ええ。近くに何かいるわね。」
「これはこれは・・・私が言うまでもありませんでしたか。」
「チラッと見えただけだから、何なのかはよくわかっていませんの。」
普段この時間に誰かがいることはありえない。
この場所なのだ。一般人が紛れ込むようなことはない。
警備の者は何をしていたのかという話になる。
もう少し時間が経てばわからなくはなかった。
こんな場所でも来客は多少はあるのだから。
上の人間達だろうか?それもありえない。
彼らがこの時間にこの場所で散歩をするようなことなど今まで一度たりとも見たことがない。
だからこうして気晴らしに散歩をして楽器を奏でられるのだから。
では今見えた影はなんだろうか?
警戒しすぎて損はないだろう。そう思った。
ここは色々と曰く付の場所だ。面倒を起すような輩であればそれ相応の対応をしなければならない。。
まずは見極めるべきであろう。
自分にとって、この場所にとって、害のある者かどうかを。
「それではまずは挨拶でもしてみますかな?」
「まぁ・・・それが一番かしらね。
言わなくてもわかると思うけど・・・」
「ええ、必要とあればいつでも首を刎ねるぐらいの準備はしてあります。」
「どうも。いい日和ですね。」
「ええ。鬱陶しいぐらいいい日和ね。」
こうして出会う。
異常な趣向を持つ女と異常な状況に置かれた女が。
数多の血が流れる出会い。
今はまだ朧気にしか見えない運命。だけども血に塗れる運命だとなんとなく察した。
そんな出会い。
吸血鬼たる彼女は思う。
まぁそんな運命も悪くないと。
とりあえず香奈枝さんとでGHQルートでいこうかなと
一条さんだと揉めまくって収拾つかなくなりそう。
レミリアに劔冑は持たせようかと思ったりしてるんですが…
どうしようかなぁ・・・
村正の世界でも生身で序盤の湊さんよりも強いと思ってるんですが、
銀星号には簡単に勝たせたくないというか。
お嬢様なら槍なのか、それともトチ狂ったものがいいのか・・・
悩んでないけど悩みます。
あと吐きそう。