灰色の少年   作:橋場由由

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最初の始まりは7年前の冬の夜。
アイという名の喰い合い。
そして、悪趣味な少女に雇われて多くの人を見た。
そして、彼女の仕事にも慣れて、僕の日常は四年前に戻ってきた。

そして、今日この瞬間、停まった非日常が確かに動き始めた。

そんな感じで始まります。今回の一言。
『ここから先は、R指定だ』
byダンテ


第三話 僕の体はボドボドだ!

 物語を始める前にとある青年の話をしよう。

 何、その青年の出生から話すわけじゃないさ。だから、安心しなよ。

 

 その青年、名を兵藤一誠。年は十六で私立駒王学園に通う高校二年生。

 彼とその友達の二人は学校では有名だった。悪い意味で。

 『エロ坊主三人組』と言う大変不名誉な二つ名を持ち、猥談は勿論のこと、更衣室への覗きや教室でのエロ本エロDVDなどを机の上に広げるなど。

 正直、警察のお世話になってないのが不思議なくらい変態行為をして全女子生徒を敵に回していた。

 そんな彼だが、つい最近彼女が出来たのだ。

 その名は天野夕麻、他校の生徒で長い黒髪で美少女だった。

 そして、彼のその噂は瞬く学校中に広がり、驚愕と嫉妬、憎悪などその他諸々の負の感情を抱かれた。

 そして、日曜日に彼女との初デートをしたのだ。

 洋服店やファミレスなど初々しいながらも彼は初めてのデートに満足していた。

 そして、最後に公園でーーー彼は彼女に殺された。

訳が分からなかった。

彼女は突然、「自分の為に死んで」と言って光りできた槍で自分を刺したのだ。

 彼女の背中からは黒いカラスの羽が生えていた。

 そして、兵藤一誠は死んで目を閉じ、目を開ければいつも通りの自身の部屋で朝を迎えていた。

 最初は悪い夢でも見たのかと思い携帯を見れば、あの日から一日経っていた。

 更にケータイに入っていた筈の彼女の連絡先やメールアドレスは消え。待受け画面の彼女と一緒に撮った写真は消え、それ以前の物になっていた。

 そして、友人や親は自分に彼女がいたことを知らず、妄想と一蹴する始末だった。

 彼女の通っていた高校に行き、そこの生徒に天野夕麻の事を聞けば、そんな生徒は在籍していないと言われた。

 そう、それはまるで天野夕麻という名の少女の存在だけが、この世界から消えたようだった。

 そして、異変はもう一つあった。

 朝から昼にかけて体がだるく、夜になるとそれが嘘だったかのように調子がすこぶる良くなるのだ。

 そして、暗闇の中ではっきりと物が見えたり、周囲の民家の話し声や五メートルほど離れた他人の声がはっきりと聞こえるのだ。

 

 それはまるで、自分が作り変えられたようだ。

 

これが兵藤一誠に数日で起こった不可思議な出来事だ。

そして、現在。彼は、夢を再現するかのように、同じ公園で彼女と同じカラスの羽根を背中から生えた男に光の槍で刺されて殺されようとしていた。

 

 しかし、そこに現れた灰色の少年はあの日の記憶(シナリオ)と違った。

 

弟三話 僕の体はボドボドだ!

 

 

 現在、自分は駒王学園をダッシュで抜け出し、学園から少し離れた公園に来た。

全力で走ったせいで疲れ、公園で少し休もうと立ち寄ったのだが。

 

「まさか、結界の中にただの人間が入って来るとは」

「グッ、ガァ⁉︎」

 

腹から大量の血を出しながら地面に悶える茶髪の青年と見るからに怪しいコートを着た男が公園にいた。

男の背には、これまた不思議な事にカラスの黒い羽が生えていた。

 

「ほう、しかもこの“はぐれ”と同じ学校の生徒か?」

 

 男は自分の着ている制服を見てそう言い、その手に光を集め槍を形成した。

 

「まあいい、見られたからにはしかたない。死ね」

「に、逃げろ!?」

 

 茶髪の青年は僕に向かって大声で叫ぶが、それよりも早く男の持った槍は放たれた。

 槍は暗闇に1直線を描き、僕の頬に赤い線を残して地面に刺さり消えた。

 

「チッ、外したか」

「いや、かなり直撃コースですけど?」

 

 血が流れる頬を触れるとべっとりと手の平に血がついた。

 男はまた手から光の槍を作り、その姿を唐突に消した。

 

―――グッシャ

 

「あ…」

 

 気の抜けた声を出したのは誰だったか。

 いつの間にか僕の目の前に男が立ち、手に持った槍を僕の腹に深々と刺していた。

 槍は光で出来ているからだろうか。とても熱く、腹の中に焼きごてを入れられているような高熱と痛みがする。

 

「ぅあ、ぁ」

「やはり、下級な存在はこれだから困るのだ。あまりにも脆弱で脆い」

 

 男は詰まらないという目で地面に蹲った僕を見下ろして光の槍を抜く。

 光の槍が周りの肉や内臓を焼いていく感触と激痛に消えかかった意識が強制的に戻る。

 刺された場所はあまりの熱に溶けて融解し、綺麗な空洞が開いていた。

 

「ほう、お前も人間の割には丈夫じゃないか。人間ならば今頃死んでいるだろうに」

「痛い、ですよ…。えぇ、それはもう、死ぬぐらいに、ねぇ…」

 

 激痛で途切れ途切れになりながらも軽口で返す。足は痛みに震えて立ち上がる事が出来ない。

 そんな僕を気にせず、男は右手に新しく槍を作り僕の頭に切先を向けた。

 

「そうか、なら楽にしてやろう。人間」

 

 槍は吸い込まれるように頭へと切先を走らせ、

 

―――ヒュ

 

 風切り音を走らせながら飛んできた黒い何かに当たって消えた。

 

「その子達に触れないで」

 

 黒い何かが飛んできただろう場所には、紅い長髪の少女が右手を前に出して立っていた。

 

「紅い髪…。チッ、グレモリー家の者か」

「ええ、リアス・グレモリーよ。堕ちた天使さん」

 

 男は少女を見るなり舌打ちをし、憎々しげに少女を睨む。

 対する少女は、微笑を浮かべて余裕を見せていた。

 

 激痛を訴える体を無視して、どうにか少女を見上げる。

 目を引く紅い髪に翠色の瞳、駒王学園の制服を着ていると言う事から駒王学園の生徒だろう。

 どこか昨日出会った彼女と雰囲気が似ていた。

 

 二人は地面に蹲る僕と茶髪の少年を無視して、勝手に話が進んで、話が集結していた。

 

「グレモリー家の次期当主よ。我が名はドナーシーク。再び見えないことを願う」

 

 ドナーシークと名乗った男は自身の翼を広げて飛び去った。

 それを最後に僕の意識は闇へと堕ちた。

 

―――ニァーーン

 

 何所からか猫の鳴き声が僕を嗤うように聴こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リアス・グレモリーが公園に訪れたのは、つい最近、眷属にした兵頭一誠という少年を見張らせていた使い魔から堕天使に襲われているという報告によるものだった。

 そして、来た時には堕天使から光の槍を刺された彼と犯人である堕天使の男が居た。

 

「あら、気絶してしまうの?確かにこれは危険な傷ね。…あら、彼は?」

 

 そこに居たのは灰色の髪の少年。

 地面にうつ伏せになり、腹から出る血で作られた小池に服を赤黒く染めていた。

 誰がどう見ても致死の傷ではあるが、弱弱しいながらも息をしていた。

 

 

 

 

「彼は確か朱乃の報告にあった。サカツキ、イツだったかしら?」

 

 その少年は自身の眷属の女王の姫島朱乃がつい先程、夜の校舎に侵入していた不審人物を見つけ、逃したと報告にあった少年の見た目と一致していたのだ。

 

「へぇ、これは偶然なのかしら?」

 

 彼女は月を仰ぐ。

 その顔に笑みを浮かべていた。

 

「フフ、一体貴方が何者なのか教えてもらおうじゃない」

 

 そう呟いて、紅く怪しく光る魔方陣が一際強く発光し、そして三人の姿は消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リアス・グレモリーの立ち去り、誰もいなくなった公園は夜の静寂に包まれる。

 

―――パッキン

 

 しかし、ベンチから聞こえてきた、何かが割れる音が彼女の存在を浮き彫りにする。

 最初から居たのかのように彼女は一人、ベンチに座っていた。

 

「全く困った事になったね?彼が居ないと家が散らかるじゃないか」

 

 ベンチに優雅に立ち上がり、制服の上から白いパーカーを着た少女。彼女の右手には板チョコがあった。

 

―――パッキン

 

「それにしても、面白い事になってるじゃないか。君もそう思うだろう?」

「ニャァ」

 

 彼女の隣にはいつのまにか黒い猫が座っていた。

 猫は一鳴きしてベンチから跳び下りて黄金の瞳で少女を見る。

 彼女はチョコを一口齧り、面倒そうに腰を上げて歩く。猫は少女の後にトコトコとついていく。

 

 そして、ある場所で彼女は立ち止まった。

 そこには夥しい量の血で出来た小池があり、水面には紅い月が映っていた。

 猫は小池に顔を近づけてそれを舐めた。

 

「フフ、飼い主の血は美味しいかい?」

「ニャアァ」

 

 天使のように微笑みながら問いかける彼女に猫は鳴く。

 

 

 

 

 

 

―――その口を三日月のように歪めて。

 

 

 

 彼女は小さく笑い、制服のポケットから黒い棒状の何かを取り出した。

 

―――スゥ、パン。

 

 鋭い音を立てて黒い柄の白い扇子が開かれる。

 それを彼女はなんの躊躇もせず、紅い池に落とし、そして拾い上げた。

 扇子は何故か濡れておらず、白かった扇面は小池の水を吸い上げたかのように紅へと変色していた。

 それを気にも留めず、扇子を制服のポケットに入れた。

 

「それにしても面白いコンビじゃないか?」

 

 彼女は誰に言うでもなく呟いた。

 紅髪の滅殺姫の二つ名を持つ現魔王の妹、今までにない平凡な青年の今代の赤竜帝。

 そして…。

 

「フフ、全く君の周りは問題だらけで飽きないね」

 

―――サカツキ君。

 

 白い髪を揺らし、彼女と猫はその場を立ち去る。

 彼女の居なくなった場所には、紅い池が最初からなかったかのように消えていた。

 

 

 




作者「新年明けましておめでとうございます。新年明けての初投稿。気分が良いですね!」
逆月「年内には投稿するつもりが新年迎えてるんだが?」
作者「FGOのイベントが盛んだったから仕方ないね!さて、次回予告と行こうか」

絵空「次回、オカルト研究部にご招待される主人公」
作者「そこに待ち受けて居たのは世にも恐ろしい人外達だった!」
絵空「主人公の運命は如何に!」
絵空「次回、リアスの部屋へ」
逆月「というか、今回の後書き神(運営)に消されかねないんじゃないか?」
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