ようやく会えた、たった一人の存在。
小さな身体に溜め込んでいた悲しみは涙に変わってその人の胸で泣き続けている。
桜が前に家族が居ないと言った事があったのを覚えているだろうか。
何故居ないに至ったのかは簡単であり難しく、難しくあり簡単な内容。
一つは現世で命が既に終わっている。
もう一つは一番桜が心に残っている。
それは。
家族の前から自分が居なくなった事だった。
しかし、そんなことは今関係無いと思わんばかりに姉は弟を抱きしめていたのだった。
泣き止まない桜を抱いているその正体は桜のお姉さんだと言う事に周りが一番驚いた。そして桜自身が驚いた事実。ようやく見つける事が出来た大切な存在。その身体には溜め込み続けた悲しみが溢れ出るように桜の涙が止まらなかった。
「・・・・桜、本当に無事で良かった。」
優しい言葉が桜に伝わる。
「お姉ちゃん・・・・・お姉ちゃん・・・・・」
涙の止まらない小さな肩が震えていた。本当は桜だって怖かったかもしれない筈なのに、周りはその気持ちを理解し得ていなかった。
だが、姉としての役割を出来ていなかった事に悔やんでい無いこともなかったのだが、弟の頭を撫でながらその場にいる人達に。
「皆様、弟がお世話になりました。桜の姉で家族であります、空星 椿《そらほし つばき》と言います。」
彼女の名前が明らかとなる。
「ご丁寧にありがとうございます。私は時空管理局の人間で、この時空航空艦の艦長を勤めております。リンディ・ハラオウンです。こちらにいるのが執務官であるクロノ・ハラオウンです。」
頭を下げ、一礼するクロノ。
それに続いて、
「私は高町なのはです。桜君とは友達です。」
「フェイト・テスタロッサです。桜は私の家族を救ってくれた恩人です。勿論、今回は貴女に家族を救われました。本当にありがとうございます。」
椿は二人を見て思う。
「なのはちゃんにフェイトちゃんね?フェイトちゃん、私は正しいと思ったことをしただけだから。」
フェイトは頷く。
「僕はユーノ・スクライアと言います。桜には僕も随分と助けられました。とても良い仲間であると考えています。」
「あたしはアルフ。フェイトの使い魔だよ。にしてもあんまり変わらないもんだね、姉弟にしては」
椿もそれは理解している。自分より後に生まれたにも関わらず、桜の考えや行動は誰よりも先に進んでおり、言葉で表現するならば、考えや行動は大人か、それ以上である。
そして、一番自分達と似た感覚がした椿は残る二人を見た。
(間違いない、サガの力が二人から感じる。片方はロマサガかな?随分強い。)
「俺の名前は剣糯 聖。桜とはサガ仲間として一緒にいる。よろしく」
椿は強い意思が聖にあることが分かった。
「それでは、僕の名前は天神 蒼臥と申します。同じくしてサガ仲間であり、桜の親友であります。」
柔らかい感情は全てを包み込む、蒼臥からは生命全てを大切にできる力を持っているように感じ取れた。
しかし、なのはが何か質問したがっていることに椿は気付いた。
「なのはちゃん、何か聞きたい事あるの?」
頷くなのは、周りは一体何を聞こうとしているのか分かってはいなかった。
あの言葉が出てくるまでは。
「桜君の行動や考え方なんですが、私達よりでは無く、大人みたいな行動の方が大きいんです。私やフェイトちゃんみたいに子供的な考え方が無いのはどうして何ですか?」
そう、誰もが感じ思った事の一つはそこに行き着く。桜の行動は誰もが見てもその先を行くやり方にも関わらずに個人が出来ないのではなく、やるしか無いのだと決めてやっているにしか思えないのだ。
「なのはちゃん、ゴメンね?その問いには答えられない。」
その問いは出来ないことに謝る椿にクロノが疑問をぶつける。
「どうしてですか?」
「分からないかな?その問題については本人以外に答えられる物じゃない。聞いてない訳じゃない筈。桜は何か言わなかった?その原因となった事実を。言っておきましょう、私達の出会い方違った物だったら下手をしたら敵になっていたかもしれないんだ。私も、桜もね?」
そう、間違ってはいなかった。もし彼女達との出会い方が違った方向だったなら友達は愚か、知ることすら出来なかったのかもしれなかった。だがどんな形であっても、なのは達は桜に出会えて良かったと思っている。それだけは紛れも無い真実だった。
「確かに。貴女の言った通りならそうだったかもしれない、でも私達は桜君を助けたいんです。あんなに傷だらけになっても人を助け、守り続けた友達を救ってあげたい。傍にいたいんです。一人ぼっちにさせたくないんです。」
なのはがこれ程まで強い発言をしただろうか?いや、違うのだ。
桜に出会うまではそんな考えは出なかった。だが今は違う、ずっと孤独でいた彼を放っては置けないのが本音だった。
しかし、今は休ませる事を優先させようとリンディは周りに部屋で休むようにと促す。
部屋にそれぞれ向かう皆だが、桜達はオペレーターである人、
「じゃあ部屋はここを使ってね?何かあれば通信してくれればいいから。」
「ありがとうございます。エイミィさん。」
エイミィに案内されたのだった。
二人だけになった桜と椿。
椿は飲み物を取りだし、桜に渡す。
「大丈夫?桜。」
「ありがとう、もう大丈夫だよ?お姉ちゃん。ごめんなさい、心配ばかりかけてしまって。」
桜は俯き、悪そうにしながら謝った。
「桜、私は家族が無事でいてくれた事を嬉しく感じてるんだ。だから謝らなくていい。それにね?ありがとう、生きてくれて。」
頭を撫でながら笑顔を向けると、恥ずかしかったのか可愛らしい笑顔を向けてくれた。見た目が女の子っぽいから仕方ないといえば仕方が無い。
だが、それとは別に椿は桜に聞こうとしていた。
「桜、現状で起きている出来事、説明できる?」
「うん。」
一から説明をする。
ジュエルシード事件から話を始める桜は、時の庭園という場所の説明してからアビスナーガて戦った事を告げる。そこで聖に出会ったことも話す。その事件から更に経った日に戦ったヴォルケンリッターと言われた人達と戦った事やメガシードに宿っていた人格のような存在、更にはサガシリーズのボス達についても出来うる限り話をする。
「そう、そんなことがあったんだね。分かった、お姉ちゃんも協力するよ。弟だけに頑張らせる訳にもいかないし、それに、せっかく会えた大切な弟を失いたくない。」
「ありがとう・・・・・お姉・・・・・ちゃん・・・・」
疲れが出ていたのか、途中で眠ってしまった弟をベッドに運ぶお姉さん。だが、今まで見たことが無いような寝顔が更に意識を強く思わせる。
涙が流れ、更には、
「約束・・・・守る・・・・・」
そう寝言で呟いていた。
(お母さん、桜は立派でいます。ですから私は必ず守って見せます。)
桜の頭を撫でる姿は愛おしい。弟は静かに眠っており、とても男の子には見えない可愛らしい寝顔だった。
そんな桜に椿は、
「お休み、桜。」
頬にそっとキスをして、自分も桜の隣で添い寝をする形で自分も横になり、安心して眠りについた。
その頃、謎の集団か何かが動き始めていた。しかもただの集団ではなく、誰かがそれを動かしていた。
「シンディとベルヴァがやられたのか。奴らがやられたのだとすると、相手は奴か?いや、この世界にはいない筈だ。おい部下共!メタルブラックを呼んでここに連れて来い!俺様が動かなければならないとはな思わなかった。」
その巨体は覆面達を指揮し何かをしていた。何のためにしているのかすら分かってはいなかった。
そして、アースラでは朝を迎え、
「うん、よく眠れた。」
一番に起きたのは椿であった。
そのあとに、
「うう・・・・ううん・・・・・」
目が覚めたのは。
「おはよう、桜」
朝の時間帯、起きて目に入ったのは姉の姿だった。
「おはよう、椿お姉ちゃん」
朝の挨拶を交わした姉と弟は互いに笑顔を向けたのだった。
はい、このような形になりました。
家族と再開できる事はとても大切な事です。
では、次回もよろしくお願い致します。