彼が見せた龍天刀流技は彼自身の祖父が見出だした流技であり、優奈は幼いながらも二代目師範代としての力を持つ。
そして桜と出会えたことにより、再会出来た喜びと救わなければならない命を見た。守護騎士と言われる存在に優奈は何処か違和感を感じていた。闇重なり続けた様な感覚は間違いなくある。
しかし、なのは達は自分達の力の無さに悔しみを覚えた。また守られてばかりなのか、誰も救えないのか、と。
だが、桜の中にある力に驚いた守護騎士となのは。彼の中にあるメガシードの存在は今だ謎に包まれている。
そして、フェイトは心配が増していた。その理由は、桜達が使った秘術が命を削る物だった事。
その力を既に二度使用している存在がいたこと。
つまり、蒼臥の心配だった。
突如現れた少年、優奈は桜が初めて友達になったというが、今はそれどころでは無い。主達を守るために協力していた守護騎士達だが優奈や桜の存在に驚かされてばかりだった。
「空君、久しぶり。」
「優君も、元気そうで何より。」
互いに再会出来た事を素直に喜ぶ二人だが、シグナムは聞きたかった。あの奥義と言われた技がどんな物だったか気になって仕方が無いらしい。しかしながら優奈からしてはまだまだ隙があるため、精進しないと駄目らしい。
それでも守護騎士達はやはり疑問だった。何故彼等を襲っている筈なのに、危険な目に合わせている筈なのに、こんなに優しいのか、助けてくれるのか。
「さて、事情を聞かせては貰えないだろうか。あなた方の目的を。何故リンカーコアを集めている。」
桜が問い出してみるが、
「敵のてめえらに何で言わなきゃいけねえんだ!管理局の犬共が馴れ馴れしいんだよ!」
ヴィータは敵意剥きだしで睨みつけて来る。他の守護騎士達もそうだが、もし管理局にばれたら自分達の主が危ないと直感が示しており、心を許す訳にはいかなかった。
しかし、シャマルだけは違った。はやてがしたいことは何なのか、自分達の主が何を望んでいるのか、まずそこから考え始めた。その中で唯一許せる存在に。
「桜君、で良いわよね?」
話を掛けた。
「はい、シャマルさん。」
ヴィータはシャマルに強く批判したような声を出す。
「シャマル!何であいつにらの仲間に!」
「ヴィータちゃん!今は話をさせて!」
だが、それを一喝してヴィータを大人しくさせたのである。こんな事が今まであったのかとシグナムやザフィーラまでもがこんなシャマルは見たことが無かった。
「桜君は私達がどうしてそんなことをしている理由があるのか、話を聞いたら信じてくれる?」
桜は感じた。恐らくだが以前買い物している最中に出会ったあの車椅子の女の子が関係していることを改めて考えた。
そして察した。
「時間」
「え?」
なのは達も疑問を感じたのだが、優奈と椿は理解できた。桜のしたいことが。
「残された時間、あとどれくらいになるんですか?」
シャマルは素直に伝える。
「正直長くはないの。闇の書がはやてちゃんを蝕み続けてもう長い。恐らく何だけど、持っても三週間。急がなければならないの。」
まるで死の宣告。周りが聞かされた絶望的な真実。つまり、彼女達が集めていた理由は正にそこだった。はやてを助けるために罪を被る覚悟で闇の書を完全にし、呪縛を解こうとしていた。
だが、原因がそれだけとは限らないことを浮かべると闇の書のシステム自体が問題になることを予想する。
桜はとある敵を思い出す。システム内にいて仮装空間内にてバグウィルスを生み出し続けた存在を、まさかの考えを持つとそれが的中することがたまにある。
だが、桜はその可能性を捨てなかった。
何故なら。
自分が今持っている力が物語る、あのV-MAXにて到達できる。
「シャマルさん。他の守護騎士達にも伝えておこう。」
優奈とは椿は頷き合い、聖と蒼臥は桜の表情を見てその考えを悟った。
「来週に。全力で相手しよう。」
守護騎士達は驚きを隠せなかった。
「な!?てめぇ!」
「空星、お前は一体何をする気だ。」
それ以上は何も言わず、後ろを向けた。
(桜が何も考え無しに言うとは思えない。それでもやはり、相手は信じられないだろうね。そして理解しようとしない。だけれど、桜は何をする気かといはいえ、危険な事に変わりは無い。なら助けるのが当たり前だね。)
椿も桜の考えに賛成し、アースラに戻る。
だが、クロノは謎の部分があった。どうして来週になったのか、更に幾度も阻んできた仮面の二人に付いても改めなければならないと自負している。
それぞれに帰宅や撤退する者達を見て桜は椿や聖達を呼んだ。話し合いに通ずる事、それは『サガ』が関係している事が間違いなかった。この事件に関係性がある敵は見当がついていた。
「桜、僕等だけを呼んだ理由は君は何か思い当たる節があるのですか?」
出なければ集めはしないだろうと思う。
しかし、その中で聖は聞いてみる事にした。
「桜、『サガ』が関係しているのは分かるんだが、この事件、ブラッククロス以外に関与しているって言ったら、一体何があるっていうんだ?」
「これは推測だ。しかもその推測が正しかった場合、僕は本気で動かざるを得ない。」
優奈が見た桜の表情には真面目さと鋭さが合わさったようなキリッとした顔になっていた。
「本気って、桜。」
「なのはちゃん達には既に話してある。優君以外に分かる話をすると、サガフロンティア1を思い出して欲しい。」
優奈は確か桜達がやっていたゲームを知らないが、内容を聞いていると段々とわかって来る。
「T260のシナリオが一番近いんだ。電脳空間にあるバグウィルスを倒し続けてデータを復旧し、一番奥にある場所より更に深い場所へ向かってデータに触れる。次は目的。T260、つまりロボの最終任務を僕がやることになる。」
かつてT260という存在が受けていた最終任務はとあるシステムを破壊すること。しかもそのシステムは生きているかの様に次々へと指示を流し込んでいた。
蒼臥は信じたくは無かった。
その可能性を考えた結果が到達した敵がもし闇の書の中にあった場合、とてつもなく大問題なるからだった。
椿や聖も到達した。
「よりにもよって奴がその中にいるっていうのか!?」
「可能性は大ありみたいだね。桜の推測、多分確定と断定して良いと思う。」
椿は桜のお姉さんだけあって理解や回転は速い。が、問題はどうやってその本の中に入るかだった。
その頃なのは達は訓練をしていた。いつも守って貰ってばかりでは無く、自分達が強くならなきゃと、必死になっていた。
「コントロール制御を二倍にして開始するよ?レイジングハート。」
[all right]
「バルディッシュ、私達が強くならないと誰も救えない。桜や蒼臥達ばかりに頼っていたら、また昔の自分に逆戻りになるから。」
[yes ser]
二人が進んで強くなろうとしているのはどうしてなのか、アルフとユーノも協力しながら考えていた。だが、時間は刻々と流れていく中に感じた意思は次第に強まっていく。
時まで残り三日となった日、フェイトは蒼臥に会いに向かう。今更になって不安が込み上げてしまうのは何故かと思うだろう。しかし、蒼臥は二度、それを起こしている。だからこそだった。
蒼臥の家に向かい、辿り着いた場所は一戸建ての家だった。
ボタンを鳴らすと。
<はい天神です。>
「あの、フェイトです。」
蒼臥は扉を開け、顔を出した。
「どうしたんですか?立ち話もなんですから、入ってどうぞ?」
「お邪魔します。」
フェイトは初めて男性の家に入ったが、一戸建てにしてはちゃんと物も置いてあり、必要な物は全てある。
「今お茶をいれますからソファーで寛いでいてください。」
「うん」
ぎこちない場所に広々とした空間で二人きりという恥ずかしさもあるのか、フェイトは少々顔を赤らめた。
「どうぞ?」
「ありがとう」
二人隣同士で座るが、フェイトは正直に言うことにした。
「蒼臥、君は命、怖くないの?」
「命、ですか?」
フェイトは煎れてもらった紅茶を飲みながら思ったことをぶつけた。どうしてかと言うと、しばらく前の出来事にて見た命を削ると言う秘術を見せられた為、また自分を犠牲にするのではないかと思って来たのだった。
「正直にお伝えします。怖くない訳では無いんです。ですけど、誰かが涙を流し、悲しみを抱いてしまった人達や、家族の方々が危険に晒されていたりすると自分を後回しにしてしまうんです。命を助けるとは自分にとって心を守るのと一緒で、放っては置けないんです。」
その言葉を聞いたフェイトは涙を流す。
普通だったらこんなことは起きなかったのだが、何故泣いているのか、それは自分を犠牲にして人を助けたその人間の末路を知らない訳では無かったからだった。
その涙の意味を蒼臥は理解する。
だからこそ、その涙を流している少女を自ら抱きしめたのだった。
後書きをすっかり忘れてしまいました。
はい、展開は少々複雑になりました。フェイトが蒼臥を心配する理由は他にあるのかも知れませんね。更に、桜は何故本気なのか、いずれ明らかになるでしょう。
それでは、次もよろしくお願い致します。