幻想血祭郷   作:BroBro

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やっちまった感…


第1章 破壊の悪魔が幻想入り
堕ちた悪魔


 

体が光に飲まれていく。憎きカカロットが放った青白い光。そして背後の太陽の光に。

 

 

(何故だ!この俺が・・・負けるはずがない!)

 

 

その中でもブロリーは困惑し、怒っていた。

 

 

(俺がカカロットに負けるはずが無いんだ!カカロットなんぞに負けてはならないんだ!)

 

 

視界が光に覆われる。だが意識だけは失わない。手放すものかと必死に好敵手の名を考え続ける。

 

 

(カカロット・・・!カカロット!)

 

 

それでも無残にも意識は消えていく。

 

視界が紅く染まっていく。

 

破壊の悪魔は光に飲み込まれていく。

 

そして最後に悪魔は恨みの対象に向けて吠えた。

 

 

「カァカロットオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

 

瞬間、破壊の悪魔『ブロリー』は太陽に消えた。最後に上げた咆哮も宇宙に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『破壊の悪魔が幻想入り』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「卵、砂糖・・・うん、全部あるわね」

 

 

幻想郷内の魔法の森。この魔法の森を進むのは人里で夕食や新たなナイフだのの買い物を済ませ、帰宅中の 十六夜 咲夜 である。普段ならばお得意の『時を操る程度の能力』で瞬時に紅魔館へと帰る所だが、今日は天気が良く、大体の仕事を終えていたので進む時の中で既にゆっくり帰る事にした。

 

今咲夜が進んでいる魔法の森は内部に行けば行くほど息苦しくなると言う特徴を持っている。本当ならば一気に魔法の森を突っ切りたいが仕方なく大回りしている。

 

それは、外側の森を進んでいた時に感じた。焦げ臭い様な妙な臭い、まるで生ゴミを焼いた様な臭いが森の内側からした。

 

誰かが森の中で不燃物でも燃やしているのだろうか?何気なく森の少し深くに入って見る。だが、別のルートから行けば良かったとこの後咲夜は思う事だろう。

 

 

「なに…これ…?」

 

 

何故か、それは人間の死体を見つけてしまったからである。

 

咲夜が最初に見た時は只の赤黒い何らかの塊かと思ってしまうほど無惨な物体だった。辛うじて人形だと認識出来たが、五体に無事な所は一切なく、腕はちぎり取れていて足も有り得ない方向に曲がっている。右胸に大穴が空き、背中にまで貫通していた。正直うつ伏せか仰向けかも分からない。

 

幻想郷住人でも一体何をされたらこうなるのかと不思議な程だ。妖怪に捕食される外来人は良く居るが妖怪は捕食する為に捕らえた人間は残さず食す。人間同士の殺し合いもたまにある事だがそれでもここまで酷くはない。

 

もうグロいを通り越して何も感じなくなってしまう。現実味の無い光景だった。

 

 

「…なんて…」

 

 

言葉が思いつかなかった。ここまで無惨な状態だとどうすればいいか検討もつかない。咲夜は敵対する者を死体に変える術は知り得ているがその死体を処理する術は持ち合わせていなかった。

 

数分考えた後、『自分には関係ない』と無理矢理考えた。こんな死体を見つけて火葬しても咲夜にはなんのメリットも無い。生きていたら話は別だがこんな様子で生きている訳が無い。

 

可哀想だとは思ったが、このまま土に帰って貰うしかないのだ。

 

 

「ごめんなさいね…」

 

 

少し残った罪悪感を払拭する為、返事もしない肉の塊に向けて謝罪の言葉を出し、紅魔館へと帰るため踵を返した。

 

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カ………カロ……ッ……ト…………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…声がした。有り得ないが、確かに男の声がした。

 

瞬間、咲夜は男に向かって振り返る。確かに聞こえた男の声。

 

この肉塊が喋ったのだろうか?こんな状態で生きていられるのか?もしかしたら聞き間違いか?

 

様々な疑問が頭に飛び交う中、男の生を確信させる声は続いて聞こえてきた。

 

 

「カカロ……ッ…ト…!」

 

 

その声は弱々しくも、様々な感情がこもっていた。

 

 

怒り

 

悲しみ

 

嘆き

 

憎しみ

 

呻き

 

 

その中に微かに聞こえた『悲しみ』の声を、咲夜は聞き逃さなかった。

 

 

「…貴方は、何が悲しいの?」

 

 

その問に男は答えない。ただただ「カカロット」と言う何者かの名の様な者を口にしていた。

 

その者とこの男がどういう関係だったのかは知らない。この男をここまでボロボロにした張本人かもしれないし、親友や恋人なのかもしれない。

 

だが、その名を呼ぶ声に希望が無いのは確かだった。死にかけていながらも誰かの名を呼び続ける姿を、咲夜は見ていられなくなってしまった。

 

微かに口だと分かる部位から発せられるその声は次第に小さくなって行く。それでも尚、男は何者かの名を呼び続けていた。

 

まるでそれが宿命であるかの様に。

 

まるでそれが生きる為であるかの様に。

 

男はカカロットを呼び続けた。

 

 

「カ…カ……ッ……………ト………………」

 

 

何度目であろうか。幾度となく消え入りそうな声で叫び続けた男の声は著しく小さくなっていった。

 

まだ生きている。こんな状態であっても誰かに会いたがっている。そんな男に咲夜はゆっくりと手を差し伸べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カカロットオオオオオオオオオオ!!!」

 

 

ある館の一室のベッドの上。そこでブロリーは大声を上げながら目を覚ました。息切れが激しい体を何とか落ち着かせ慎重に状況を把握する。

 

 

(ここはどこだ?何故俺はこんな所にいる?確かに俺はカカロット達に殺されたはずだ。体が焼けていく感覚を今でも鮮明に覚えている。ならばここは地獄と言う所か?確かに部屋は全体的に紅いが親父が言っていた様な阿鼻叫喚は微塵も無い。ならばここは天国か?…いや、俺が天国なんぞに行ける訳が無い。ならここは一体どこなんだ?俺は生きているのか?)

 

 

柄にも無く色々と考えて見るがサイヤ人の中でも類を見ないほど頭が悪いと言われているブロリーでは表面だけで深くまで考えられない。つまり、「いやもしかしたら…」などの追求を怠ってしまうのだ。

 

そんな頭悪いブロリーに願ってもいない、いや願う事すら考えていなかったブロリーに助け船がやってきた。

 

 

「イタタタタ…」

 

 

頭がショート仕掛けていた所でベッドの右隣から女の声が聞こえた。敵と感じたブロリーは戦闘態勢のまま女に振り返る。

 

そこには赤いロングヘアの女が倒れていた。全体的に緑色の服を着ていて、ブロリーには怠るものの何処かのクズ王子よりは身長がある。親父のパラガスと似たか寄ったかの身長だ。

 

正直ブロリーはまだ女と言う者を1回しか見たことが無い。その女も出会った瞬間から敵対してくる様な奴だったからブロリーは女と言う生物は好戦的な種族なのかと思っていた為、倒れている女は理由は知らないがブロリーを殺すために部屋に入ってきて何らかの理由で転倒したのだろうと思っていた。

 

倒れている女は自身の尻を摩りながらゆっくりと起き上がる。

 

ブロリーも今すぐにでも消し済みに出来る準備を整えた。

 

だが、起き上がりブロリーを改めて確認した女の反応は好戦的とは言い難いものだった。

 

 

「…あ!ようやくお目覚めですか!」

「…??」

 

 

予想外の反応を示した女は桶に入ったタオルを持ちながら笑顔で近づいて来る。

 

敵対する気は無いのか?と考えたブロリーは女の意思を確認するべく質問を投げかける。

 

 

「誰だお前は?俺をどうする気だ?」

 

 

今ブロリーが出せる限りの殺気を放ちながら問いかける。

 

その様子を見た赤髪の女はあたふたと慌てたて自らの所在を述べた。

 

 

「お、落ち着いて下さい!別に私は貴方の敵じゃありません。私は美鈴と言います。貴方が血塗れでここに運び込まれた時から貴方の介護を任されていました」

 

「介護だと?」

 

 

美鈴と名乗る女が俺を介護した?と言う事は俺はやはり死んでいないのか?

 

まだまだ尽きない疑問を少しでも解消する為に再度問を投げかける。

 

 

「俺はどうなっていたんだ?」

 

 

ブロリーはここに運ばれ来るまでの自身の状況を知りたかった。

 

だが、その問に美鈴は顔を歪める。

 

 

「…酷い状態でした。私だって最初に見た時は何なのかすら分からなかったですし、それが人間だと聞いた時も『何で咲夜さんは死体を持って来たのだろう』と思ってしまうほどのものでした」

 

 

…成程、やはり俺はカカロットに負けた後にここに来たのか。

 

ブロリーの中の一つの疑問が解消された。だがその答えを知った事でブロリーの中からまたふつふつと怒りが込み上げてくる。

 

何時もならここで星ごと破壊してストレスを解消する所だが、今解消すべきは疑問だ。まだ分からない事がブロリーには残っている。

 

 

「ここは何処だ?」

 

「此処は紅魔館と言って私達の家です。貴方は魔法の森で倒れている所を我が館のメイド長の咲夜さんが運んで来て治療したと言う訳です」

 

(家、と言うのは星の名前ではないな。星の中の生活区と言う事か。少なくとも新惑星ベジータよりは環境が良いようだ。それにこの館も色はどうかと思うが俺が住んでいた宮殿よりはだいぶマシだな)

 

「俺をどうするつもりだ?」

 

「どうするも何も、別に何もしませんよ。咲夜さんが運んで来たからここで治療したってだけで他は何も有りません。正直ここに病人や怪我人が運ばれる何て事は今まで無かったのですが、良く分からない内にお嬢様も貴方の治療に同意してしまいまして…。慣れない事をやったので治療と言うか只の出来のいい応急処置みたいになってますがね」

 

(どうもこの星の奴は相当なお人好しのようだな。サイヤ人の俺を介護するとは、自殺をする様なものだと言うのに)

 

 

大体の質問終え、今後の事をブロリーは考えた始める。一先ずこのままここに居ては始まらないのでベッドからゆっくりと腰を上げるが…。

 

 

「グゥッ……!」

 

「あ!無理しちゃ駄目です!まだ傷口が完璧に塞がって無いんですから!」

 

 

体をあげた途端に全身に激痛が走る。思わずベッドにまた倒れ込み悶絶してしまうブロリー。その姿を見て慌てて美鈴が駆け寄ってくる。

 

サイヤ人にとってこの位の痛み位何とも無い。だが、痛いものは痛いのでつい倒れ込んでしまったがサイヤ人としての誇りが情けを受ける事を許さない。

 

ブロリーは痛みに耐え、肩にかけられた手を振り払おうと右手を振るう。だが、その腕払いは空振りに終わった。

 

そこでブロリーは気づいた。

 

 

「……腕が…無い…?」

 

 

そう、ブロリーの右手、いや両腕が綺麗さっぱり無くなっていた。ブロリーは自身の体の見事なビフォーアフターに声が出せなくなった。

 

肩から下が無くなった自分の手があった部分を数秒間見続けた。まるで彼だけ時間が止まったかの様に。

 

それを見ていた美鈴がいたたまれなくなり腕の事について説明した。

 

 

「…咲夜さんが言うには貴方を見つけた時にはもう腕は無かった様です。我々も手は尽くしたのですが何分、傷口が完璧に焦げてしまっていてどうにも出来ませんでした。胸の傷も完全には治せていません。私達では魂をギリギリ使える依代に無理矢理繋ぐだけで精一杯でした…」

 

 

美鈴の説明も上の空でブロリーは自身の体を眺める。体には布団が1枚下半身にかけられて居て、その隙間からでも足の切り傷が数多く見える。左胸には大穴が空いていたのだろう後がしっかりと見えた。整った胸筋に一部だけ見せ付けるようにある溝。皮膚で塞がっているものの左胸の筋肉はもう使い物にならないだろう。それに体力や全体的な筋力も落ちているようだ。そして、腰まで伸びた髪。これを見るだけで、ブロリーが一体どれくらい眠っていたのかがわかった。恐らく、3〜5ヶ月程眠っていたのだろう。それが原因で筋肉が落ちたと簡単に推測できた。

 

そんな自分の姿にブロリーは絶望した。

 

 

(…こんな体では、サイヤ人を名乗れない。こんな力ではカカロットを倒せない。あのクズや虫けらにも劣るかもしれない。

俺は…何故生きているんだ?)

 

 

ブロリーの力の根源はブロリーの筋肉でありその防御力。悟空のかめはめ波をゼロ距離で食らっても傷一つなく平然としていられる位の防御力、そしてサイヤ人の王子すらも一撃で意識を失わせる攻撃力。それがブロリーが誇る力だった。

 

だが、それも『伝説の超サイヤ人』状態での話。通常状態のブロリーではスピードはあるものの決定打と言える攻撃が無かったりと、伝説に比べて殆どが劣っている。

 

ただでさえブロリー自身でも弱いと感じている通常状態が、更に力も何もかもを落としたとなるとブロリーは何も無くなってしまう。伝説では無くても超サイヤ人になる事は出来るが、あれも体力を使う。多分、今のブロリーに変身に使う体力も残されていないだろう。そして、ブロリーのコンプレックスのサイヤ人は戦闘種族として誇って来た。だが、ブロリーの体はまだ人間以上に筋肉質ではあるもののそれでもサイヤ人として誇れるものでは無かった。正直銀河どころか星1つ破壊出来るかもブロリーには分からない。既にブロリーは自分の力に自身が無くなってしまった。

 

ブロリーが唯一知る『破壊』と言う行動が失われてしまったブロリーは最早自分の生きている意味は無いと思ってしまったのだ。

 

自らの体を見て目から光が消え、完全に放心状態のブロリーを見て、美鈴はかける言葉が見つからなかった。

 




いかがだったでしょうか?
出来る限りキャラ崩壊を防ぎたいですが、正直途中でキャラが分からなくなるかもしれませんが、次もお楽しみください!
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