幻想血祭郷   作:BroBro

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悪魔だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

うわはははははははははははははははははははははははは!!


俺が半霊?……違う、俺は悪魔だぁ!

 

 

 

 

「退いて貰おうか?」

 

 

咲夜と妖夢の間で突如響いた声。

 

 

ドゴォォオ!!

 

 

その声が咲夜の耳に届いた瞬間、爆音と共に咲夜に斬りかかっていた妖夢が咲夜の視界から消える。

 

そしてその後に再度聞こえてくる轟音。その音は、妖夢が道端の桜の木に吹き飛んで発生した衝撃音だと咲夜は直ぐにわかった。

 

 

「どうした?」

 

 

咲夜が妖夢が飛んで行った場所を見ていると突如咲夜に声がかかった。

 

 

「ブロリーさん……?」

 

「ああ、ブロリーです…」

 

 

いつもの様な無表情のブロリー。いつも少し心配なその姿は、今の咲夜には頼もしく思えた。

 

だが1つ、咲夜には気になる事があった。

 

 

「それで、どうしてブロリーさんがここにいるんですか?」

 

 

ビクッと肩を震わせるブロリー。掃除をしろと言うレミリアの言いつけを破り、更には異変解決にこんな所までやってきているのだ。

 

咲夜の長時間説教攻撃がトラウマになりつつあるブロリーは、顔を少し引くつかせながら咲夜にはとある物を手渡した。

 

 

「それなんだがな…お前、コレを忘れていただろう」

 

「これは……私のナイフ?」

 

「お前の部屋を掃除しに行ったら見つけたのでな。態々届けに来たと言う訳だ」

 

 

ブロリーは念のため用意しておいた口実を使う。実際、咲夜にナイフを渡すために来たような物なのだ。間違ってはいないだろう。

 

このナイフは先程咲夜が使おうとしていたナイフで、咲夜の手持ちの30本目のナイフだ。29本のナイフを折られた今の咲夜には、このナイフしか武器は残されていない。

 

ブロリーが持ってきたこのナイフが、咲夜にとっては唯一の武器になった。

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

咲夜は素直に感謝の気持ちを述べる。

 

 

「は………?」

 

 

だが咲夜の反応を聞いたブロリーは、素っ頓狂な声を上げながら首を傾げた。

 

何をそんなに驚く事があるのだろうと咲夜も首を傾げる。

 

 

「いや、他に何か言う事は無いのか?」

 

「何かとは?」

 

「何で俺がこんな所にいるのかとか、掃除はどうしたとか…」

 

「ああ、その事ですか。安心して下さい。お嬢様も私もブロリーさんが異変に介入してくる事は大体予想してましたから」

 

「は?」

 

 

咲夜の答えに声が裏返るブロリー。その反応に愉快になった咲夜は、少し笑いながらブロリーに理由を話す。

 

 

「戦闘狂のブロリーさんの事だから黙って外に行く事は分かっていましたよ」

 

「……もしや、俺の行動は全てお見通しだったのか?」

 

「ええ。伊達に半年も一緒に過ごした訳では無いですよ」

 

「………はぁ」

 

 

全ての行動を把握されていた事、そして知っていながらレミリアに独りで謝った自分の滑稽な姿に、ブロリーはただ大きな溜息を出すしかなかった。

 

そんな稀に見るブロリーの落胆姿を見て咲夜は口を手で抑えてクスクスと笑う。だが、ハッと何かを思い出した咲夜は意識を吹き飛んだ妖夢の方に向ける。

 

だが、そこには妖夢はいなかった。

 

 

「はあぁぁ!!」

 

「うおぉあぁぁ!!」

 

 

瞬間、ブロリーと妖夢が激突した。

 

妖夢の剣がブロリーの腕に接触し、鉄と鉄がぶつかる様な音が響く。

 

 

「でりゃァ!」

 

 

ブロリーが腕を払う。それに合わせて妖夢は後方へと大きく飛び上がった。

 

 

「私の剣を腕で止めるとは……」

 

「そんな武器で、この俺を斬ることはできぬぅ!」

 

 

この間僅か2秒。ブロリーと妖夢の攻防が咲夜には見えなかった。

 

驚いている咲夜に構わず、ブロリーは気を高める。

 

 

さっきは油断しましたが、今度はそうは行きませんよ」

 

「フフフ、そう来なくちゃ面白くない!一騎打ちと行こうか!」

 

「良いでしょう。この白桜剣に、斬れぬ物など、あんまり無い!」

 

 

2人が更に激突する。

 

黒いブロリーの主な攻撃方法は手刀。対して妖夢の武器は白桜剣と言う日本刀。聞いただけでは妖夢が圧倒的に有利だが、サイヤ人に刃物の類は一切効かない。

 

ブロリーは自分の腕だけで妖夢の剣を受け止め、更にカウンターを喰らわせようと迫る。

 

 

「甘い!」

 

 

それを妖夢はバックステップで躱し、ブロリーに斬撃を飛ばす。

 

 

「フハハハハ!!」

 

 

ブロリーは斬撃すらも自らの体1つで受け止め、妖夢に向けて更なる突撃を敢行する。

 

妖夢とブロリーの距離は一気に縮まった。

 

 

「でぇや!!」

 

 

ブロリーが拳を振るう。

 

それを妖夢は剣で受け止め、受け流してダメージを喰らわない様にする。何度目かの激突。

 

それを妖夢が剣を薙ぎ払うと同時に後方に飛ぶ。その際に妖夢は常人では見えない速度でブロリーの顔面を数発斬りつけるが、それをブロリーは左手だけで受け止めた。

 

更に妖夢は上段から斬り掛かる。

 

重力と遠心力を味方につけた妖夢の突きの一撃は、ブロリーの左腕の皮を一枚傷つけた。

 

 

「……フハハッ!!」

 

 

その光景を見て、ブロリーは不敵に笑い、妖夢の剣を掴む。

 

そして妖夢を自分の後方に投げた。

 

 

「うわあ!!」

 

 

まさか真剣を掴んで投げられるとは思ってもいなかった妖夢は、驚きに声を上げながら吹き飛ばされた。

 

だがただやられている訳もなく、空中で体を捻り、妖夢は見事に地に着地し、ブロリーに体を向ける。

 

だが

 

 

「翠拳……」

 

 

既にブロリーは自らの右手を緑色に光らせ、妖夢の目の前にいた。

 

右手を妖夢の腹に当てる。

 

 

「イレイザーブロウ!!」

 

 

ブロリーの右手が爆発した。

 

 

 

ズドォォォオオオォオオンン!!

 

 

 

爆発音と共に妖夢は吹き飛び、桜の木に叩き付けられた。

 

その瞬間、妖夢は意識を手放した。

 

 

「ふん、俺を相手取るにはまだまだ未熟だったようだな」

 

 

捨てゼリフをはき、ブロリーは妖夢に背を向け、咲夜の元へと歩き出した。

 

 

(す……凄い………)

 

 

今までの光景にただただ咲夜は圧倒されていた。

 

ブロリーと妖夢が対峙し始めてからまだ2分しかたっていない。

 

動き回る妖夢を見ることはできた。だが、ブロリーの動きだけは見る事が出来なかった。最初の攻防から、最後の一手に至るまで全てを。

 

聞こえるのは風の切る音とブロリーの笑い声。見えるのは吹き飛ばされる妖夢と妖夢の斬撃。

 

妖夢は確かに強い。咲夜の時間停止能力を一発で見破り、即座に対処してきた位の実力者だ。にも関わらず、ブロリーには適わなかった。

 

ブロリーの硬さもあるのだろうが、その力強さと高速のスピードも、ブロリーを勝利に導いた要因だろう。まさに化け物と呼ぶにふさわしい動きだ。

 

そんなブロリーが、今爆発の黒煙を背に咲夜に向かって来ている。

 

 

(……恐ろしい)

 

 

この時、咲夜は初めて、ブロリーに恐怖を抱いた。

 

それと同時に安堵する。この男が味方で良かったと。この男が道を誤らなくて良かったと。

 

そんな事を思いながら、咲夜は静かに胸をなで下ろした。

 

 

「どうした?」

 

 

その姿が気になったのか、ブロリーが咲夜に訪ねる。

 

 

「……いいえ、何でもありませんよ」

 

「そうか。てっきり俺の強さに恐れ戦いたと思ったのだが…」

 

「間違ってはいませんね…」

 

「フフ、咲夜、俺は悪魔だぁ!」

 

「はいはい、分かりましたよ。別に強調しなくても最初から分かってます」

 

「そうなんだぁ……」

 

「それは良いとして、恐らくこの先に異変の首謀者がいると思われますが、どうします?」

 

「俺は異変を血祭りに上げるだけだぁ!!」

 

「異変を血祭りに上げるんですか?日本語として間違っている気がしますが……まぁいいでしょう。早く行きましょう」

 

「流石PADちょ……メイド長と褒めてやりたいところだぁ!」

 

「今なにか言いました?」

 

「ゑゑ!?な、何でも無いです……」

 

「そうですか?ならいいんですが……」

 

「はい……(助かった……)」

 

 

こうして、ブロリーと咲夜は何の緊張感も無く異変首謀者の場所へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発音と共に地響きが伝わる。美しい桜の花弁がそれと当時にヒラヒラと舞い落ちる。

 

花吹雪の中で舞い踊る様に動く2つの赤と黒の人影。霊夢と魔理沙だ。2人は異変の首謀者からの攻撃を回避し続ける。

 

 

「ひらひら〜」

 

 

桜の花を纏った扇子を扇ぎ、周囲に色鮮やかな蝶を自在に操る女、名を『西行寺幽々子』。彼女がこの異変を起こした張本人であり、春を盗んだ首謀者である。

 

幽々子は自らの周りに蝶の形をした弾幕を回るように移動させ、霊夢と魔理沙の攻撃を許さない。自分の防御と合わせ、範囲を広げれば相手にも攻撃できる万能なスペルカードの様だ。

 

霊夢達が手間取るのにも無理は無い。

 

だが、それでも少しづつ霊夢と魔理沙は幽々子へと距離をつめ、スペルカードを放って行く。

 

 

「行くぜ!マスタースパーク!!」

 

 

魔理沙が小型のマスタースパークを連続で放つ。

 

魔理沙のマスタースパークを幽々子は左に旋回する事で躱す。

 

全てのマスタースパークを躱しきった幽々子は、再度自分の背後に弾幕を出現させ、魔理沙に向けて直線状の一発を放とうとした。

 

だが、

 

 

「霊符………」

 

 

幽々子の上空から霊夢の声がした。

 

瞬間、幽々子の周りに連なった呪符の様な物が飛び回り、幽々子を囲んだ。

 

上空の霊夢が、スペルカードを宣言した。

 

 

「夢想封印!」

 

 

霊夢から巨大な光が飛び出た。

 

 

「これは、無理ね」

 

 

諦めた様な笑みを、幽々子は浮かべた。

 

 

 

 

''甘いですよ''

 

 

 

一筋の光線が飛来した。

 

霊夢の放った弾幕が爆発する。

 

 

「全く、貴方達のせいで私達の計画が潰れてしまう所でしたよ」

 

 

霊夢の上から更に声が聞こえた。

 

その声の正体を探すべく、霊夢と魔理沙は上を向く。

 

 

「ですが快進撃もこれまでです。貴方達では、私の足元にも及びませんからねぇ」

 

 

ピンク色の肌。所々に見られる白い骨格の様な部分。

 

それだけで、既に人間とは呼べないものだ。

 

 

「私にも用事がありましてね。ここに来るであろうサイヤ人を捕まえなくてはなりませんから……」

 

 

その者が、ゆっくりと上空から飛来してくる。

 

腕を組み、仁王立ちで立つその姿は正しく。

 

 

「ここで消えて頂きましょう」

 

 

宇宙の帝王だった。

 

 




最近忙しくなってまいりました。
それに加えて寒いし……自転車通勤の私にとっては地獄になって来ましてもう……休みたいよぉぉ!!
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