幻想血祭郷   作:BroBro

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ブロリーの外見は黒ブロが超サイヤ人3の髪型になった様な感じです。



過ごす悪魔

ブロリーの自室から出て6分後、紅い廊下の端に一つだけ観音開き式の扉に差し掛かる。今まで見てきた扉と大きさと模様が違い、扉の脇には献立表らしき紙がかかっていた。恐らくここが食堂なのだろう。

 

 

「ここが食堂です」

 

 

咲夜がブロリーに告げる。やはり食堂で間違い無いようだ。

 

「それと、くれぐれも背中に羽の生えた方にだけは粗相の無い様にお願いします」とブロリーに言い、大きく重々しい扉を開いていく咲夜。

 

背中に羽。一体どんな威厳の放つ奴なのだろうか、と内心ワクワクしながら開かれた扉の先へと足を踏み入れる。

 

 

部屋の中はブロリーの部屋と少し大きい位の長方形の部屋だった。部屋の真ん中にも長方形の大きなテーブルが有り、部屋の面積の殆どをテーブルが占めている。後はテーブルに沿って間隔的に並べられた椅子位だろうか。

椅子の一つ一つの隣にメイド服を来た羽の生えた女が立っている。恐らくあれが料理を出したりするのだろう。

 

だが、そのせいで咲夜が言っていた背中に羽の生えた奴が多過ぎて誰を警戒していいか分からず、ブロリーは少し混乱気味になって入口でポカンと立たずんでしまった。

 

何しろ椅子の数が4.5個あるので、5×2で10人の羽の生えた人間がいる訳だ。ブロリーは新惑星ベジータのならず者達以外あまり生きた生物を見ていない。その為、8以上の数の同じ種族の敵がいると全員皆殺しにする。だから気の形も似たかよったかのこの中で誰に警戒をすべきかなんてブロリーには分からない。

 

そんな馬鹿なブロリーがさっき入って来た扉がキィーッと開いた。

 

 

「ようやく来たわね。待ちくたびれたわよ」

 

 

挨拶の言葉も無く突如声をかけられる。背後を取られた事もあり、少々不機嫌になりながらも声をかけてきた人物に振り返る。

 

だが、そこには誰もいない。有るのは紅い廊下と直射日光を遮る加工が施してある窓だけ。再度振り返り、食堂の中を見てもメイド達がいるだけで声の主の姿は確認出来ない。

 

聞き間違いだろうか?と思い、中断した思考の再開をする。

 

 

「おい、無視するな」

 

 

確実に背後から女の声が聞こえた。訳が分からず兎に角廊下を隅々まで見渡す。

 

辺りを隅々まで見渡し、最後に自身の足元に視線を落とす。するとそこにいたのは黒いコウモリの様な羽が生えていて、全体的に白い服を着てブロリーを見上げている小さい子供だった。

 

 

「全く、こうも露骨に存在を感知されない程身長差があるとはね…」

 

 

大きさ的に約140〜60位だろうか。見た目完璧に子供の容姿だが、目つきや言葉の重さ、物腰などは数多の戦場を生き抜いてきた男のそれである。そしてこの子供から出てくる確かな気迫。ブロリーは一目でこの子供が咲夜の言っていた羽の生えた者だと分かった。

 

見た目は子供、覇気は戦士。背の高さは置いといて、この少女の力は今のブロリーには警戒するに値する程だった。

 

 

「…誰だ?お前は」

 

 

今すぐにでも戦いたい所だが両手がなく、力も無いブロリーは自らの勝算が薄いと確信していた為、ひとまず様子見として相手の詳細を聞いてみる事にした。

 

 

「ふむ、助けられた者の礼儀がなっていないが、まあいい。私はこの紅魔館の主、『レミリア・スカーレット』よ」

 

 

紅魔館と言うのは今ブロリーかいる館の事だろう。

 

 

「この館の主が俺に何の用だ?」

 

「ん?別に貴方に用は無いわよ。後で話はあるけどね」

 

「ならば何しに此処に来たんだ?」

 

「…貴方こそなんで此処に来たの?朝食を取る為でしょう。だったら私が何に用があるかは自ずと分かってくるはずよ」

 

 

…そうか、そう言えば俺は飯を食いに来たんだったな。

と完璧にブロリーは主旨を忘れていた。強敵との戦闘しか頭に無かったブロリーは何の為にこの場に居るのかを忘れてしまって居たのだろう。

 

 

「まあとにかく座りなさい。他の皆も直ぐに来るはずよ」

 

「他の皆ぁ?」

 

「ええ、この館に居るのが私と咲夜とメイド達だけだと思っていたの?そこの椅子の数で察しなさい」

 

 

一々言うことが上から目線でイラッとする。ぶん殴ってやろうかと考えて見るが、ブロリーに復讐のチャンスを与えてくれた張本人でしかも両腕の回復を望める仕事をしてくれる様な奴なのでグッと堪えてブロリーはレミリアに従う。用が済んだら殺そうと心の底で思いながら。

 

レミリアに指定された扉に一番近い席に座る事数秒。昨日ブロリーを看病したと言っていた美鈴が眠たげに欠伸をしながら現れた。美鈴の席はブロリーの2つ隣なので自らの席に向かおうとするが、何時も誰もいない席に半裸で両腕が無い男がいたもので驚き目を見開いた。だが、『そう言えばこの人の席ここだった』と思い出し、苦笑いしながらブロリーの席の後ろを通り自らの席に着く。

 

因みにブロリーの美鈴への客観的な感想は『抜けている奴だ』だけだった。

 

次に入って来たのはブロリーを食堂まで連れてきて、知らない内に何処かに消えた咲夜だった。まるで何事も無かったかのように食堂の中に入って来て、レミリアの席の隣に立つ。

ブロリーが今の所1番警戒しているのはこの人間だ。ブロリーは食堂に来るまで咲夜の気を微量ながら感じていた。だが、食堂の扉を開き、ブロリーが食堂内に入った瞬間に咲夜の気が忽然と姿を消した。あの時は羽の強者の事ばかり考えていて全然気にしていていなかったが、今思うととても奇妙な事だ。

 

 

(こいつは1番警戒が必要だ。気配が消える以上、いつ背後から殺られるか分からんからな)

 

 

そして咲夜を最後に食堂に人が来ることは無かった。知らない内に席に人が居ない所にいたはずの妖精メイド達も何処かに消えている。『もう他には居ないのか?ならこの数の椅子は何だ?』と、色々考えていると、部屋の1番奥の席、扉に対局にある席にいるレミリアと咲夜の会話が聞こえて来た。

 

 

「パチェ達はどうしたの?」

 

「何か『面白い魔法書が見つかった』とかで食事は後で食べるとの事です。小悪魔も手伝うと」

 

「ふ〜ん、何時もの事だけど確か昨日も来なかったわよね」

 

「はい、何時もは2日連続で朝食に来ないなんて事は無いはずなんですけど…」

 

 

どうやらこの館の幹部的位置にいる人物はまだいるようだ。ついつい『小悪魔』と言う単語に反応してしまうブロリーはやはり自分の事を悪魔と言っているからだろうか。両腕が治ったら戦って見たいものだ、と心に密かに留めた。

 

そうこうしている内にブロリーのテーブルに朝食が運ばれて来る。皿の数は全部で3つ。1つはロールパン。中くらいの皿に入って乗っているのは丸っこい皿。その中にコーンスープが入っている。少し大きい皿はサラダとスクランブルエッグ。どれも典型的な洋食だ。どれもブロリーは見た事も無い物だったが、食欲をさそる香りに美味いと確信をもっていた。

早く食べよう。そう思い、腕を伸ばす。

が、肝心の腕が無い。それを見かねた咲夜がブロリーに助けを出した。

 

 

「ブロリーさんは腕が無いので食べられないでしょうからメイド達に食べさせてもらって下さい」

 

「いや、必要ない」

 

 

だが、ブロリーはその助けを即答で断る。そんな助けが無くても大丈夫だからだ。

 

 

「俺にはバリアがある」

 

「……は?」

 

 

良かれと思って提案したが即答で断られ、一体どんな風にして食べるのかと待っていたら食事と全く無関係なバリア。これには咲夜も思考が停止する。これに対して会話を聞いていたレミリアは一体何が始まるのか、と興味津々だ。

 

そんな2人にお構いなしにブロリーは自身の半径2.5mのバリアを展開する。その淡い緑色のバリアはテーブルの一角、ブロリーの朝食を巻き込んだ。

 

何が起こるのだろう?と咲夜とレミリアはブロリーを観察する。

 

数秒の沈黙の後、ブロリー、ではなくブロリーの朝食がふわふわと浮き始めた。クルクルと人通り動き回った朝食達はまるで生きているかの様にブロリーの口へと運ばれて行く。まずはスープ、次にスクランブルエッグと、次々にブロリーの口へとに朝食が消えて行く。

 

流石の咲夜達もこの光景には驚いた。今まで食事に夢中で何も気づいていなかった美鈴も食事の手を止め、ブロリーの方を見ているくらいだから相当なものだったのだろう。

 

実はブロリーのバリアは相当万能な作りになっている。バリアとしての機能だけでなく範囲を広げる事で衝撃波を生み出す事も出来る。また、さっきブロリーがデモンストレーションをした様に、バリアとしての機能を果たしている時はバリア内部の物を自由に操る事が可能になっている。それに加え、このバリアは伸縮自在である。実際に新惑星ベジータでカカロットの右ストレートをバリアで伸縮させ、反動で押し返すことによってカウンターを決め込む事に成功していた。

 

勿論、バリア時の機能は凄まじい。少なくともバリア内に熱は通さない。その耐熱度はマグマをも凌ぐ。更に打撃による耐打撃度も相当なものだ。だが、物理的なものでは無く、ブロリーのバリアに使う気を凌ぐ気功波がバリアに直撃した場合、バリアはパリーンと崩れ去る。だが、殆どの者はブロリーの気を超えることは出来ないので敗れる事はまず無いだろう。

 

これ程までに万能なブロリーのバリアだが、1つだけ欠点がある。それはバリア時の防御範囲が狭い事だ。バリアとしての機能を果たせる範囲はせいぜい3m程。それ以上広げた場合、ブロリーの気の集合体であるバリアは主の元を離れ、衝撃波として所かまわずブロリーの周りにダメージを与える。

 

その為、敵をバリアの中で操る事は相当難しいのだ。なんせブロリーの背丈は2mを軽く超えている。正直3mでもブロリー1人が入る位でぎゅうぎゅう詰めになってしまう位だ。

だからブロリーはバリア内で何かを操る行為を需要が無いと決め、惑星ベジータからのパラガスとの脱出以来使って来なかったのだ。

 

まさか両腕が消えた事によって義手代わりになるとは流石のブロリーも思いもよらなかっただろう。

 

 

「…凄いですね」

 

 

そんなブロリーを見て咲夜が感嘆の声を漏らす。咲夜はレミリアの能力により、ブロリーの力の強さを知っている。レミリアから一言、『彼は恐ろしく強い』と言われただけだ。

 

それだけ、いや、それだけで十分なのだ。レミリア・スカーレットという吸血鬼は他から恐れられ、他の命を我が物にする様な者だ。

吸血鬼とは恐怖の象徴でなければならない。

 

その誇り高い吸血鬼、ましてや『夜の女王』とまで呼ばれたレミリアがわざわざ『恐ろしく』と言う単語まで使ってブロリーの力を表現したのだ。

 

咲夜はまだ目の前にいる常に上半身裸の男の強さは見い出せていない。今の所、分かる事と言えば『バリアを張れる事』『常人並の筋力では無い事』位だろうか。

 

幻想郷にもバリア的なものを張る者は居る。バリアは大した事では無い。(バリア内で出来ることを抜かせば)

 

筋肉も鬼と言う種族からすればまだ弱い方だろう。それに、幻想郷特有の戦闘、『弾幕ゲーム』では筋力は関係無い。遠距離から攻撃をすれば良いだけの話だ。だから筋肉なんて何の障害にもならない。

 

となると一体お嬢様は何に恐怖したと言うのか?

あれ程の傷を受けても生きていた事?

それとも早すぎる回復力?

 

様々な事を頭に巡らすが、結局「これだ!」と言える答えが見つからなかった。主のレミリアに聞けば一発なのだが、従者として烏滸がましい気がするし、もし聞いたとしても「後になれば分かる」とか言われそうで正直に聞くことが出来なかった。

 

改めてブロリーを見る。ブロリーは咲夜の視線にも気づかず、朝食を食べ続ける。その勢いは紅魔館1食い意地がはっている美鈴を超える程だ。最初はゆっくり食べていたが、腕無しで食べる事になれたのか、今や吸い込む勢いで自身の朝食を喰らう。

 

咲夜はこの時、恐ろしいの意味が少し分った様な気がした。

 

(もしかしてお嬢様はこの吸引力の事に恐怖していたのかしら?)

 

あながち間違っていなかったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂の全員が朝食を食べ終えた。

 

時刻は約午前8時である。

 

既に美鈴は仕事場に移動した。今この食堂内に居るのはブロリーとレミリアと咲夜のみだ。

 

これからの事を考えるべく、席を立ち、自室へと戻ろうと出入り口へと近づく。

 

 

「ブロリー」

 

 

だが、レミリアがブロリーを呼び止める。自分のしようとしている事を止められ、少しイラつきながらレミリアの方に向き直る。

 

 

「…何だ?」

 

「貴方と話があるの。この紅魔館で生活をする為に必要な事よ」

 

「必要無い。俺は1人で生きて行く」

 

「無理ね。貴方には1人で生きる為の知識が不足し過ぎている。このまま外に行っても妖怪に食われるか、餓死するだけよ」

 

「…貴様に何が分かる?」

 

「分かるわ。私は貴方の過去も、生き様も死に様も全て知っている」

 

「世迷言を…」

 

「確かに世迷言に聞こえるでしょうね。でもこれは事実。それにもしここから出て外に行ったとして、一体何をする気なの?」

 

「貴様に教える筋合いは無い」

 

「…まあ、どうせカカロットへの復讐でしょうね」

 

「…当たり前だ。俺は奴を殺す」

 

「今の貴方で出来ると思っているの?貴方は身体の鍛え方も、失った物の戻し方も知らない。そんな奴がカカロットと対峙して勝てると思っているの?」

 

「………」

 

 

レミリアの言葉がブロリーの胸に突き刺さる。そうだ、今のブロリーではカカロットの足元にも及ばない。下手をしたら亀仙人にも劣る。そんな者が1人でカカロットと戦うと言う事は、自殺しにに行くようなものだ。

 

正直、ブロリー自身も分かっていた。このまま行ったら返り討ちにあうと言う事も。だが、修行もせず、生きているだけで自然にパワーが上がって行ったブロリーは自らを高める術を知らない。だからどの道独りで外に行くと言う事は最終的に死に繋がるのだ。

 

黙り込むブロリーをレミリアが更に追い詰める。

 

 

「貴方にも分かっているはずよ。今の身体じゃあどう足掻こうと誰にも勝てない事ぐらいは。ならどうするの?自分が分からない事があったら誰かに助力を求める。それぐらい出来る様にならなきゃ彼には勝てないわよ」

 

 

レミリアが言う事は全て的を射ている。だが、サイヤ人としての本能が助力を許さない。それに加えブロリーは誰かに助けを求めると言う事を知らない。何時ものブロリーだったらここら返で話を切り捨て、外に飛び出す事だろう。

 

 

「だが、俺は助けを求めると言う事を知らない」

 

「だから今回の話でその事も話てやろうとしておるんでしょう。それで、どうするの?このまま外に行くか。それとも紅魔館で生活するか。決めるのは貴方の自由よ」

 

 

だが、本能何かよりもカカロットへの復讐心の方が強かったのだろう。今のブロリーはカカロットを倒せるならば手段は選ばなかった。

 

 

「良いだろう。貴様の言う通りにしてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブロリーの説得に成功し、ブロリーは自室へと戻って行った。

 

食堂には咲夜とレミリアだけが残っている。レミリアはブロリーが去った扉を見つめたまま、動かずにいた。

数秒の沈黙の後、咲夜の口が開いた。

 

 

「あの、お嬢様?どうして彼をそこまでしてこの館に留めようとしているのですか?」

 

 

咲夜にはどうしても分からなかった。何故、今の所需要の無いあんな男をこの館に生活させるのかが。

 

従者からの質問にレミリアは顔も変えないまま言う。

 

 

「…どうも、他人事とは思えないのよね…」

 

 

結局、咲夜はレミリアの言葉の真意を知る事は出来なかった。




いかがだったでしょうか?
ブロリーのバリア機能は劇中でブロリーのバリアの中に入っていた親父ぃが浮いていた事からそんなの有るのかな?と思い、書かせて頂きました。
今頃思ったのですがあの現象は無重力空間だったからだと思っています…。な、なんとかなるよね?別に大丈夫だよね!?
もうこの時点で原作ブロリーは駄目だな…
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