幻想血祭郷   作:BroBro

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今回は少し短いですし、1部以外あまり進展しません。
そして話の構築が少しおかしくなっている所があります。何もかもおしまいだぁ…


似ている悪魔

 

 

 

真っ赤なベッドでブロリーは目を覚ました。窓の外を見ると空がオレンジ色に染まっている。恐らく午後6時位だろうか。寝る前は確か、フランドールと言う子供と戦っていた記憶はある。

 

朝、フランドールと戦闘をしていた所までは覚えているのだが、その戦闘の内容の途中が思い出せない。フランドールからレーヴァティンを食らった後からの記憶がスッポリと抜けてしまっていた。

 

そんな自分の記憶を引っ張りだそうと奮闘するブロリーの部屋にノックが鳴り響く。

 

 

「誰だ?」

 

「レミリアよ。ちょっといいかしら?」

 

「…あぁ、構わない」

 

 

起きているのが分かっていたかの様なタイミングで、ブロリーの部屋に訪れて来たのはレミリアだった。ブロリーの部屋に入って来たレミリアはブロリーがいるベッドの前にある椅子に腰掛ける。

 

落ち着いて話せる体制に入ったレミリアを見て、ブロリーがレミリアに話しかける。

 

 

「一体どういう事か説明して貰おう」

 

「それはこっちのセリフよ。一体どういう理由でフランの部屋に入ったのかしら?急にあの子が地下から出て来たかと思ったら貴方を抱き抱えて来た時は驚いたのよ?わざわざここまで運んで来るのも大変だったし…」

 

「そんな事はどうでもいい。あの地下の部屋はなんだ?まるで牢屋の様に強固な作りだった。そしてフランドール。奴は何者だ?お前と深い関係がありそうだが?」

 

 

ブロリーの言葉にレミリアは真剣な表情で聞き返す。

 

 

「なんでそう思うの?」

 

「奴の名前、フランドール・スカーレットと言ったな。あのスカーレットと言うのはお前の名前にも付いていただろ。確か苗字と言ったか?あれは親子等の肉親に付けるものだと咲夜から聞いた。スカーレットがお前の苗字ならば、フランとは少なくとも肉親と言う事になる。違うか?」

 

 

ブロリーの答えにレミリアは強ばった表情をフッと和らげた。

 

 

「…随分と知性がついたじゃない。咲夜がどれだけ頑張ったかが伺えるわね」

 

「余計な事は良い。質問に答えて貰おう」

 

「ええ、確かにフランは私の妹よ。肉親と言う事で間違いないわ」

 

「ならば何故奴はあんな所にいる?何故お前みたいに地上で暮らさない?」

 

「…話してもいいけど、貴方の心に影響を及ぼす可能性があるかもしれないから、心して聞いて頂戴」

 

「…いいだろう。だがその変わり、包み隠さず話してもらうぞ。奴の強さと、奴の待遇を」

 

 

ブロリーがここまで誰かに興味を持つ事なんて今まで無かった。何故ここまでフランに感心を示すのか。それはブロリーの過去に重なるものがあったからだろう。

 

だからどうしても、レミリアにフランの現在の状況について聞いて置きたかった。その答えによって、レミリアを殺すかもしれないから…。

 

 

「貴方が戦ったフラン。あの子は産まれた時から強い力を持っていてね。まだ理性がしっかりとしていない内に、ありとあらゆるものを破壊して来た。だから、これ以上犠牲を増やさない為にも、これ以上あの子を狂わさない為にも、破壊する物の無い地下へと幽閉したの。かれこれ495年くらいね」

 

 

その答えを聞き、ブロリーは体の内側から怒りがこみ上げて来た。その所業は、ブロリーの父親と全くと言っていい程、同じ事をしていたからだ。

 

 

「…貴様は、それでも良いと思っていたのか?」

 

「そんな訳無いじゃない。私だってあの子に普通の生活をさせてあげたいと思ったわ。でも、世間がそれを許さない。普通に日常を過ごしている者がフランを否定する。あの子が地上に出ても仲間は出来ない。むしろ敵を多く作るだけよ。だからどれだけ考えても、あの子が傷つかない為にはあそこにいてもらうしかないのよ」

 

「奴の為だと言うのか?」

 

「ええ、あの子のためよ」

 

 

レミリアは確かに間違っていない。だが、全く同じ体験をしていると言えるブロリーは、レミリアに異を唱える。

 

 

「…違うな。お前は奴を恐れているだけだ。奴の力に恐れ、奴の本心と向き合おうとしない。だから地下へ閉じ込める事でお前はアイツから逃げている。それを妹の為と言い、自分を正当化しようとしているだけだ」

 

「お前に何がわかる!」

 

「………」

 

 

ブロリーの言葉が的を射ていたのか、大声を出し、勢い良く立ち上がる。その顔は吸血鬼と言うに相応しい恐ろしい顔だった。

 

 

「貴方には私の気持ちは分からないわよ!分かるのはフランの気持ちだけ!保護者側の気持ちも知らないで、分った様な事を言わないで!」

 

「…………」

 

「貴方はパラガスの気持ちを考えた事があるの?貴方を制御していた時の自分の親の気持ちを少しでも考えた事があるの?無いでしょう。何故なら貴方は自分の事しか考えていなかったから!不幸なのが自分だけと考えて、他人の事なんて考えもしない!自分が1番悲劇だと思わないでちょうだい!」

 

 

まるで今まで心の内に溜め込んでいた物を全て吐き出す様に次々と発せられるレミリアの言葉。確かにブロリーはパラガスの事を全く考えていなかった。一体どういう気持ちで実の息子を制御していたのか分からない。もしかしたらブロリーの為を思って制御装置をつけたのかもしれない。その真意を確かめたくても、ブロリーの父親のパラガスは今はこの世にいない。だから、パラガスの考えなんて今は分からない。つまりレミリアの考えも気持ちも知るよしもない。

 

 

「…お前はフランと話し合ったか?」

 

「…なに?」

 

「フランは確かに破壊の衝動に駆られ、本能的に破壊を求め動いている。だが、それがアイツの本心なのか?」

 

「何を言って…」

 

「アイツは変わろうとしているんじゃないのか?」

 

「…何故、そう思うの?」

 

「アイツの力だったらあんな所から早々と脱出する事も可能だったはずだ。俺と戦った時も、本気では無かったようだしな。遊びたいのならあの部屋の扉を壊し、外に出て誰かと遊ぶ事だって出来た。なのにアイツはそれをしなかった。勝手な想像にもなってしまうが、アイツはお前らに迷惑をかけたく無かったのではないか?」

 

「……」

 

「これは俺の考えに過ぎない。だが、俺にはどうしても自分であの籠の中に入っているとしか思えない。だから、話し合う余地はあると思う」

 

「でも、それでもしフランが外に出たとして、出た瞬間に外を破壊する様な事があったらどうするの?」

 

「その時は俺がアイツを止める。もしかしたら殺す結果になるかもしれないが、お前、少しは自分の妹の事を信じてやったらどうだ?」

 

 

ブロリーは確かにレミリアの気持ちなんて分からない。だが、何故レミリアやパラガスが巨大な力を持つブロリーやフランの自由を奪うかだけは分かる。確かにブロリー達が持つ力は他人からは認められず、蔑まれるものである。だが、ブロリー達は本当に本心で破壊したいと思っていない。ただ、産まれた時から力を持っていたと言うだけなのだ。それはフランもブロリーも望んで力を持って産まれたのではない。

 

だからブロリーは良くこう思う。

(こんな力無ければよかった)と。

 

それはもしかしたらフランも一緒なのかもしれない。ブロリーがそうである様に、フランもブロリーと同じ気持ちなのかもしれない。

 

それをブロリーとの会話で覚ったレミリアは、最後にブロリーに問いかける。

 

 

「…もしあの子に何かあったら、その時は貴方を殺す。それでも良いのね?」

 

「いい。俺は死なないし、そんなもしもの事なんて起きない」

 

 

そう言ったブロリーの目は、今までのような絶望に溢れた目ではなく、何かを決意した様な男の目だった。

 

 

「…全く、そこまで言われたら仕方が無いわよね。まぁ多分貴方ならフランを止める事は出来るかもしれないし、そんな目をされたらどうしようもないわ」

 

 

レミリアの微笑と同時にフッと重苦しかった空気が軽くなり、ブロリーの険しかった顔を普通に戻る。

 

こうして2人の意見が合致した。

 

 

「でも1つ質問いいかしら?」

 

「俺も1つ聞きたい事がある」

 

「そう、なら貴方からどうぞ?」

 

「前から気になっていたのだが、何故お前は俺の過去をしっているんだ?俺が滅ぼした星の住人だったのか?」

 

「いいえ違うわ。私には『運命を操る程度の能力』がある。この能力を使って貴方が眠っている時に運命を辿り、過去を見せて貰ったの」

 

「そんな事が出来るのか」

 

 

ブロリーはこの幻想郷の程度の能力と言うものの幅広さに素直に感心した。咲夜は『時を操る程度の能力』を持っていて、レミリアは『運命を操る程度の能力』を持っている。しかもこの幻想郷のどこかには外の世界と言う所と、この幻想郷を行き来できると言う妖怪までいると言うのだ。まだ何がいるのか分からないのが、それでも戦闘民族としての本能か、どんな敵かと考えるだけでワクワクが止まらなかった。

 

ちょっと現実から遠のいて自分の世界へと入ろうとしているブロリーに、レミリアはわざとらしく咳払いして、ブロリーを現実に引き戻す。

 

 

「そろそろ私の質問に答えて貰ってもいいかしら?」

 

「あぁ、構わない」

 

「なんで貴方はそこまでフランの事を思うの?血と殺戮を楽しむ貴方なら、絶対誰かを庇ったりしないと思ったのだけど…」

 

 

そのレミリアの問に、ブロリーはまた険しい顔になる。そして窓から外を眺め、その答えをレミリアに話した。

 

 

「…全てを破壊しながら生きる本当の悪魔は俺だけで十分だ。これ以上、この負の運命を背負いながら生きて行く奴を出す訳にはいかない。フランドールはまだ若い。まだ普通に暮らせる可能性がある。だから、第2の俺を作らない為にも、フランドールは俺と同じ運命を辿って欲しくないのだ…」

 

「それじゃあなんで私を殺そうとしない?私は貴方の父親と同じ事をしているのよ?あの子を変えるより、私を亡き者にした方がよっぽど効率がいいはず。ここで殺されてもおかしくはない」

 

「お前は親父と違う。お前はフランドールを裏切らない。それが分った。それに…」

 

 

言葉を遮り、レミリアに向き直る。

 

 

「お前の傍にいると、妙に落ち着く。根拠は無いが何故か、安心出来る」

 

 

その顔は初めてブロリーを見た人には分からない様な、でも確かにブロリーは顔を綻ばせ、にこやかに微笑んでいた。

 

ブロリーの過去を見たレミリアでも、1回も見れなかったブロリーの笑みに一瞬目を見開き保おけてしまう。

 

だが直ぐに何時もの凛々しい顔に戻し、ブロリーに微笑み返す。

 

 

「ここが気に入ったかしら?」

 

「どうだろうか…親父といる時よりはここにいる奴等といた方が落ち着く気がする…」

 

「それを気に入ったって言うんじゃないの?」

 

「そうなのだろうか…分からん…」

 

 

まるで大人が子供に常識を教えているかの様な会話に、レミリアはまるで弟が出来た様な気持ちになった。

 

この気持ちを、レミリアは前にも体験していた。

 

 

(そうだ、この感じは彼の過去を見た時も感じた。何か、放っては置けない感じ…運命がフランと同じだからか?)

 

 

レミリアがブロリーに興味を持ち、そして紅魔館に留める選択をした理由はこの感情があったからだ。昔懐かしい、産まれたてのフランに吸血鬼として様々な事を教えていた頃の感じ。ブロリーの過去を覗いた瞬間、何故かその感覚が蘇った。

 

レミリアの運命を操る程度の能力は言うほど万能では無い。だが、レミリアは初めてブロリーを覗いた時、これは運命なのではないか。と思ってしまったのだ。

 

フランと同じ運命を辿る者。その第2のフランとも言える人物を、レミリアはフランを変えるキッカケの人物となってくれればと考えていたのだ。

 

これはフランを2人相手にするのと同じ事である。それは分かっていた。だから強い者しか関心を示さないフランと同等に、ブロリーも簡単にフランと接してはくれないと考えていたのである。

 

だが、ブロリーは偶然とは言えフランと接し、フランの気持ちを考えていた。自分と同じ運命を辿ることの無いようにと、自らフランを変えようとしてくれていた。

 

だから、レミリアはフランに普通に過ごせる可能性を見出したのである。フランとブロリーが同じならば、フランもブロリーと同じ考えを持っているのでは無いか、そう考えたのだ。

 

 

(やっぱり、彼を此処に居させて置いて正解だった。似た者同士でしか分からない事もあると言うし…)

 

 

だから今はこの男に賭ける。フランを変える為には、この男は必要不可欠なのだ。

 

 

とここで、今までうーん…と首を捻っていたブロリーが吹っ切れたかの様に動き出す。

 

 

「色々考えるのは面倒くさいな。俺はこのままフランの所に行く。お前は来るか?」

 

「いいえ、私は後で良いわ。一先ず貴方が先にあの子の心を開いてきてちょうだい。その後に私が外について話すわ」

 

「分った。すぐ連れて来よう」

 

 

そう言い、ブロリーは扉を開ける事無く体当たりでぶっ壊して部屋の外に出ていった。その新しい腕は何の為にあるのかと、レミリアは呆れながら思ってしまう。

 

 

(そういう不器用な所も、あの子に似ているのよねぇ…憎めないと言うか何と言うか…)

 

 

ブロリーがぶっ壊した扉を見ながらフッと苦笑し、元扉からレミリアは出ていった。

 




ブロリーが他人の事を思うなんて絶対に無いと思っていたのか?
てか、こういう回も一体何番煎じなのだろうか…。
自分の文章力の無さを痛感させられる回でした(泣)
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