幻想血祭郷   作:BroBro

9 / 20
…タグを増やした方がいいだろうか…と言う回です。なんとか6000文字以内に収めようとしたため、ちょっと訳わかんなくなったかもしれませんが、まぁ、そこら辺は見て見れば分かるでしょう。はい。


消えた悪魔

地面が大爆発をおこす。これで何度目の爆発だろうか。爆心地は地面が大きく抉れ、降り積もっていた雪を瞬時に蒸発させる。

 

 

「フッハハハハハハハハハ!」

 

 

爆発を起こしている張本人は、その光景を見てとても嬉しそうに高笑いする。

 

 

「ブロリー!」

 

 

その破壊魔と化したブロリーにレミリアが声をかける。だがそれに気付かないのか、ブロリーは周囲の破壊活動をやめない。

 

 

「こっちに向きなさい!紅符『スカーレットシュート』!」

 

 

無理矢理気づかせようとブロリーに弾幕をぶつける。その弾幕は見事ブロリーに着弾し、暴煙を巻き上げる。

 

少しはの手応えがあると踏んでいたレミリアは一瞬気を許す。だが、煙の中から出て来たブロリーは全くの無傷だった。

 

 

「チィッ!!」

 

 

ブロリーの微動打にしない姿に、レミリアは壮大に舌打ちを鳴らす。だが一々悔やんでもいられない。

 

レミリアは気持ちを瞬時に切り替え、更なるスペルカードを繰り出す。

 

 

「神罰『幼きデーモンロード』!!」

 

 

レミリアはブロリーの手の届かない安全な距離まで下がり、紅く長い道の様な弾幕でブロリーを攻撃する。

 

その弾幕をブロリーは巨体とは思えない軽快な動きでレミリアの弾幕を躱して行く。そして躱すと同時にジワジワとレミリアに迫って行った。

 

そして、遂にレミリアに手の届く距離まで迫った時、ブロリーは弾幕を大きく半円を描く形で躱しながらレミリアに腕を伸ばす。この攻撃をレミリアは弾幕に集中していたため、躱す事が出来なかった。

 

 

「日符『ロイヤルフレア』!」

 

 

だが、ブロリーの攻撃は黄色い一直線の光線によって防がれる。光線はブロリーの顎に見事に直撃し、爆発した。

 

その弾幕を、レミリアは知っていた。

 

 

「パチェ!」

 

 

その人物はレミリアの1番の友であり、図書館の主てあるパチュリーだ。パチュリーは魔法陣の小型版の様な物と茶色い本を浮かせている。これが彼女の戦闘スタイルだ。

 

その何時もの姿にレミリアは妙な安心感に包まれた。

 

だが、その安心はパチュリーの警告で終わった。

 

 

「レミィ!気を抜かないの!彼はまだ…!」

 

 

そう、レミリアがパチュリーに気を許しているせいで、暴煙の中からブロリーの巨大な手が出て来る事をレミリアは気付けなかった。

 

 

「ガァッ…!」

 

 

暴煙の中から伸びてきた手は、真っ直ぐレミリアの首を掴む。圧迫された喉でなんとか息を吐き出そうと咳き込むような声が出る。

 

ゆっくりと煙が風と共に消えて行く。そこには傷1つ付いていないブロリー笑っていた。

 

ミシミシとレミリアの首にブロリーの指がくい込んで行く。このまま骨を折るつもりなのか、それとも締め付けて窒息死させようとしているのか分からないが、少なくともレミリアを苦しませなから殺そうと言うのは確かだ。

 

更にブロリーの腕に力が入る。解放されようと必死にブロリーの腕を掴んで力を込めるが、少しずつレミリアから力が抜けていく。

 

 

「お嬢様を…」

 

 

後少しでレミリアの首が直角に曲がろうとした時、咲夜の声と共に数多のナイフが一瞬でブロリーの周りを囲んでいた。

 

 

「離しなさい!!時符『パーフェクトスクエア』!」

 

 

咲夜の更なる声と共にブロリーの周りに浮遊していたナイフはブロリーに向かって飛翔する。全てのナイフは一寸の狂いもなくブロリーの体に突撃した。

 

 

「何なんだぁ?今のはぁ…」

 

 

だがしかし、数多のナイフは全て重力に任せ地に落ちる結果に終わった。ブロリーの異常なまでに肥大化した筋肉が、鎧の役目を果たしたのだ。

 

 

「まだ気を抜かない事自体ですね!彩符『彩光乱舞』!!」

 

 

ブロリーが咲夜に気弾を放とうとした瞬間、美鈴が更に追撃を食らわす。美鈴の弾幕混じりの見事な膝蹴りは、ブロリーの後頭部に突き刺さる様に激突する。

 

 

「クズがぁ…!」

 

ブロリーを前傾によろけさせる形で体制を崩したものの、それでもブロリーにダメージを与えられなかった。そしてすぐ手の届く距離にいる美鈴に殴りかかろうと拳を振るう。

 

だが、その美鈴達の行動はブロリーの気を逸らすには十分な効果を発揮した。

 

 

「グッ…神槍『スピア・ザ・グングニル』!」

 

 

咲夜と美鈴の攻撃にレミリアを掴む腕の力が緩む。その隙を突き、レミリアは右手にレミリアの倍はあろうかと思う程の紅い槍が出現する。

 

その槍をゼロ距離でブロリーの腹に突き刺した。

 

 

「グゥッ…」

 

 

流石にダメージを受けたのか、レミリアを地面に向かって勢い良く放り投げる。

 

その放り投げられたレミリアを魔理沙が空中でキャッチする。

 

 

「ガハッ、ゴホッ…グゥ……ッ…」

 

「おい大丈夫か!?」

 

「クッ、大丈夫よ…それよりブロリーは?」

 

「あいつ、まだピンピンしてるぜ」

 

 

魔理沙の言う通り、レミリアの放ったグングニルも、ブロリーの皮を少し抉る形で終わってしまった。

 

だが、ブロリーにとってはダメージが入ると言う事自体が珍しい。その為、ブロリーの目に写ったレミリアはただの危険な存在にしか見えなくなった。

 

 

「ウオオオオオオオオォォォォォ!」

 

 

劈く様な雄叫びを上げ、ブロリーの気が膨れ上がって行った。

 

瞬間、世界が緑色に染る。まるで別の世界に来た様な、気持ちの悪い感覚だった。

 

 

「おいおい、次は何が起こるんだぜ!?」

 

 

緑色に染まった世界は、徐々に元の色を取り戻して行き、緑色の世界を追い込む様に中心に押し込んでいく。

 

その光景に魔理沙達はまだ自分達は幻想郷にいる、と安堵する。だが、それも一瞬の事。

 

元の世界の色に追い込まれた緑は一体どこへ行ったのか、それはブロリーの右手の中だった。緑を自分の手中に収めたブロリーは新たなスペルカードを宣言した。

 

 

「これでくたばるがいい。最終『ギガンティックミーティア』!」

 

 

ブロリーが右手にある緑の気弾を、レミリアを抱えた魔理沙に向かって放り投げる。

 

その弾幕は手の平サイズで小さいながらも、禍々しい気を放っていた。それを持ち前の勘で危険と判断した魔理沙は急旋回し、それを間一髪で躱す。

 

対象を逃がした気弾は真っ直ぐ山に向かって飛んで行った。

 

その気弾が名もない山に当たった瞬間、緑のエフェクトと壮大な爆発音が響き渡る。爆発によって発生した爆風と土埃が、数十キロも離れている紅魔館を襲う。それにより魔理沙達は少しの間視界を奪われた。

 

爆風による風の音と混じってブロリーの笑い声が聞こえる。そして、爆風が収まり、視界が良くなった時、魔理沙達は現実味のない光景を目の当たりにした。

 

 

気弾が当たった山が、跡形もなく消失していたのだ。

 

 

「な……何が……」

 

 

魔理沙の思考がフリーズする。当たり前だろう。目の前で日常的に見ていた景色の一部が、たかが一発の気弾だけで消えて無くなったのだ。驚かない方がおかしい。

 

 

「フフフ、フハァハッハッハッハッハッハッハッハ!!」

 

 

目標の撃破に失敗したブロリーは、その光景に満足したのか、悪魔の様に笑い出す。

 

その姿に、魔理沙達の戦意は失いかけていた。

 

 

「あ、悪魔だ…」

 

「私達では…彼に勝てない…!」

 

 

極限状態の魔理沙達に、ブロリーは止めを刺そうとブロリーは右手に力を貯める。

 

 

「今楽にしてやる…これで終わりだぁ…!」

 

 

スペルカードの詠唱なし。つまりは素での攻撃と言う事になる。今までスペルカードルールによってなんとか生き延びられていたが、スペルカード無しでの攻撃では何が起きるか分からない。スペルカードルールに縛られている時でも、山を1つ吹き飛ばしたのだ。今度は幻想郷が吹き飛ぶ可能性もある。

 

誰もが諦めかけた。

 

誰もが諦めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、フランドールだけは違った。

 

 

「ブロちゃん!」

 

 

フランがブロリーのあだ名を叫ぶ。その声にブロリーは貯めた気を消し、ゆっくりとフランの方を向く。

 

ブロリーは楽しそうな声で、フランに話かけた。

 

 

「フランドールかぁ…わざわざ俺に殺されに来たかぁ?」

 

「…ブロちゃん、前に言ってたよね?何も生まれない破壊をするなって。なんで今のブロちゃんはお姉様達にに怪我をさせてまで皆を壊そうとするの?」

 

 

予想もしていなかったフランの言葉。その言葉に、ブロリーの顔は楽しそうな笑みから真剣な顔になっていく。

 

 

「貴様如きに話す気はない」

 

「…ブロちゃんは前にこんな事も教えてくれたんだよ?自分の本能に従ってもいい事なんてない、その時は楽しいかもしれないけど、その後が悲しい。結局悲しくなるのは自分だって。私はその意味がちゃんと分かったよ?何時も私が思っていた事だから…」

 

少しずつ紡ぐ様に出される言葉に、ブロリーは今までとは有り得ない程静かにフランの話を聞いていた。

 

フランの告白は続く。

 

「だから、ブロちゃんもきっと同じ思いをしてきたんだろうなって思った。私の気持ちと同じ人がいて、その人が壊したい本能を抑えるって言う気持ちだけで、今まで私の本能を抑える事が出来た…」

 

「でも、私の事を思ってくれて、私に色々な事を教えてくれたブロちゃんが、本能のままに皆を壊そうとするなんてダメだよ!」

 

 

吐き出される様に出た言葉に、ブロリーの表情が固まる。

 

そして、ゆっくりと口を開いた。

 

 

「貴様と俺は違う。俺の心は既に、血を求め、殺戮と破壊を楽しむ本能に染まっている。それが俺だ。この俺の姿が、本当の俺と言う存在だ」

 

「違う!ブロちゃんは何時も私に優しくしてくれて、皆と友達になろうと頑張ってた!」

 

「それは俺の理性に過ぎない。ただの昔の俺が他の者と親睦を深めたいとと願った形だ。今の俺がそんな事出来る訳が無い」

 

「…なんで諦めるの?」

 

 

フランが思った疑問。それは前にブロリーがレミリアに投げかけた言葉だった。

 

 

「ブロちゃんは今まで皆と一緒に過ごしていたよ?と言う事は少なくともブロちゃんの心の中にまだ皆と一緒に仲良くなれるって言う希望があるんじゃないの?」

 

「………」

 

 

フランの言葉は的を射ていた。ブロリーは今本能が語っているに過ぎない。

 

本能と言うのは誰しもが無意識に曝け出し、体が何者かに乗っ取られた様に行動してしまう。例えれば、廃墟やお化け屋敷に行った時、怖いのが好きな筈なのに足が前に進まない。そんな感じだろう。危機察知、破壊衝動、これらの殆どは本能の赴くままに行っている。

 

だが、この本能は自分の心中を察知出来ない。本能が体を支配している時、何も考えずに本能のままに行動してしまう。どんなにブレーキをかけようとも、どんなに心で止めたいと願っても、自分ではなかなか止められない物、それが本能と言うものだ。

 

だから、ブロリーの本能はブロリーの本当の気持ちを分かっていない。本能のブロリーが喋っている理性とは、紛れもないブロリーの1部なのだ。理性は本能を制御する最後のリミッターであり、心の中にあるものを素直に取り出せるモノでないといけない。

 

希望を絶望に変える本能を制御するには、絶望を希望へと変えられる理性が必要だった。

 

だから、ブロリーは希望を求めた。これ以上自分も、自分が愛そうとしているモノを壊さない為に、ブロリーの理性は希望を探し求めたのだ。

 

 

「この事はブロちゃんが教えてくれたのよ?私みたいな誰にも愛されない、愛してもらえない様な化け物でも、破壊者の本能を押さえ込む事は出来る。私自身がそれを望めば、ただの破壊者ではなく、ただのお姉様の妹として生きて行ける」

 

「…だが、俺は誰にも愛されない。俺自身を愛してくれた奴なんて今までどこにもいなかった…!」

 

「私達がいるよ。私達が何時も笑って貴方と一緒にいてあげる」

 

「…そうね」

 

 

いつの間にか、レミリアがフランの後ろに立っていた。その後ろにはパチュリーも、咲夜も、美鈴も、魔理沙もいる。

 

 

「私は貴方を憎んだりしない。折角フランの遊び相手が出来たのに、私が勝手に憎んだりして何処かに行っちゃったら最悪だしね」

 

「一応紅魔館は人員不足です。最近の働きも見せてもらっていましたが、貴方はとてもよく動いてくれましたし、既に今の貴方は居なくなって貰っては困る人材なんですよ」

 

「まあ、また魔法の実験台を何処かから連れて来るのは大変だし、図書館で働いている小悪魔が貴方に会いたがっていたし、今居なくなったら困るのは確かね」

 

「ブロリーさんには毎回門番手伝って貰って助かってますし、ここで私が怨む必要が全くありませんよね。私だけで無く、皆ブロリーさんを必要としているんですよ?」

 

「この状況が良く分からないが、ここは全てを受け入れる幻想郷だぜ!だからブロリーも受け入れられるべきだと思うけど、山吹っ飛ばすのはやり過ぎだな…まぁどうせ紫の奴がどうにかするからいいけどな!」

 

 

皆の言葉に、ブロリーは顔を俯かせる。その瞳には涙が溜まっていた。

 

結局は悲しかったのだ。《伝説の超サイヤ人》は、悲しみによって生まれ、血と殺戮を楽しむ。《伝説の超サイヤ人》と言う本能は、必ずブロリーに悲しみが生まれた時に覚醒していた。それは、自分をこんなに悲しませた奴を殺す事で、悲しみを無理矢理払拭させたかったからなのかもしれない。

 

ブロリーはゆっくりと顔を上げる。その涙の貯まった瞳は、既破壊者たる者のただ白い瞳ではなく、黒く、必死に泣くものかと堪えるいつものブロリーの瞳だった。

 

 

「俺は…ここにいてもいいのか?もう誰も…俺の事をいら無いと言わないのか…?誰も…俺を裏切らないのか…?」

 

 

誰かにいら無いと言われるのが怖かった。誰かに怖がられるのが悲しかった。その悲しさを隠す為に生まれた《伝説の超サイヤ人》は、様々な者から裏切られ、様々な者から嫌悪された時の事を思い出したのか、ボロボロと涙をこぼしながらフランに問う。

 

その顔は既に、血と殺戮を求む悪魔等では無く、親に助けを求める子供のようだった。

 

そんなブロリーに、フランがゆっくりと近づき、優しくブロリーを抱きとめる。そして、まるで子供を慰める母親の様に、ブロリーにその答えを言った。

 

 

「うん、《貴方》はここにいていいの。ここには《貴方》を裏切る人も、ブロちゃんを嫌悪する人も、もう誰もいないから…」

 

「グゥ………ヴアアアァァァ……ウアアァァァァァァ……!!」

 

 

フランの言葉を聞いた瞬間、溜まっていた何かが弾け飛んだ様に、ブロリーの白い瞳から涙が流れた。様々な物を吹き飛ばす様に大声で泣き喚く。

 

 

今まで誰にも抱いてもらえなかった。

 

赤ん坊の頃から泣かなかった。

 

昔から泣けなかった。

 

悲しさと怒りで涙すら忘れ、全てを破壊し尽くしていた。

 

子供の頃も誰かに要ら無いと言われ、散々暴れて来た。

 

誰かが普通に過ごす子供時代を、ブロリーは同族や周りの手によって奪い取られて来た。

 

 

だからこそ、子供の頃に目一杯泣けなかったからこそ、信じる者が出来た、愛せる者が出来た此処で、今まで泣けなかった分を本気で泣いていいのだ。

 

ブロリーは、初めて本当に安心出来る場所を、生きていてもいい場所を見つける事が出来たのだ。

 

 

 

 

散々泣き喚きながら、ブロリーはフランドールの胸の中で眠りについていった。

 

しんしんと降る雪の冷たさと、フランの暖かい体温が妙に心地よく、ブロリーは生まれて初めてと言える安眠についたのだった。




〜end〜


嘘でーす!ハァッ☆
とても最終回臭くなってしまいましたがまだまだ終わりませんよ。
てか、ちゃんとシリアスになってたかな?同期が不順で怖いですが、まぁ意味だけ分かって頂ければ嬉しいです。今回の半分以上が深夜のノリで書いてますし…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。