妹の幸せを願って何が悪い!   作:のーぷらん

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13 織斑一夏とのファースト…

 

 

織斑先生に案内されて来た1025室はまるで高級なホテルのスイートルームみたいだ。不満があるとすれば、その部屋にトイレがないことか。あと、相手がシャルじゃなくて、一夏なことか。

はっ、そういえば!!

 

「二人っきりだね…」

「あ、ああ…」

「ねえ、言わなきゃいけないことがあるんじゃないの…」

俺は一夏の座るベッドに片膝をつき、顔を近づけた。一夏は身を固くする。

 

「お、俺…俺は

 

 

 

 

 

一字一句も会話なんか覚えてねぇっての!!」

「『なんか』だと?!シャルと会話するだけでも奇跡のようなものなのに!?さっさと思い出せ!」

「オルコットさんかよ…!!俺、お隣さんに挨拶行ってくる!」

オルコットさんかよってどういうツッコミだ。というか、本当に会話中にフラグ建てていないか確かめたい。織斑一夏にシャルが近づかないのが一番なんだろうけど、俺がデータ収集や同室であるために一夏といる機会が多いからシャルも自然と近づいちゃうだろうし…一夏に近づくことで原作では専用機持ちのオルコットたちと仲良くなったからなぁ。要するに、シャルをこいつがおとさずにイイお友達でいてくれたらいい訳なんだが…

 

俺は逃げるように隣の部屋に行く一夏を見ながら、ため息をついた。

 

 

一夏のことだから、隣の部屋の女子に引き止められて長話するだろうし、その間にデータ収集の下準備でもするか!

動きやすいようにジャージに着替えた後、大小さまざまな形のドライバー、コンピュータ、計測機器等を取り出し、部屋に盗聴器、盗撮機がないか調べる。お、二個発見。

あとは、シャワールームだが、こんなところに設置している馬鹿な機関はないよな?

…ただ、設置されている場合、シャレにならないので、一応調べると、…おい、風呂場の天井に一つありそうだぞ。

しぶしぶ部屋から椅子を持って来て天井を押し上げる。

 

その途端、

 

ドカッ バキッ メキッ!!

「うわああ、本気で殺す気か!今のかわさなかったら死んでるぞ!!!!」

「一夏あぁあぁぁあああ!!!!」

 

比喩でもなく部屋が震撼した。い、椅子から落ちなくて良かった。どっと出た冷や汗と手汗をぬぐいながら、今の揺れについて考える。

あれか、アニメでいったら箒と同室になり、箒がシャワー上がりで出てきて、一夏をフルボッコするというラヴコメイベントか!

俺が同室だから、箒は隣の部屋なんだな。寮はかなり頑丈に作られているはずだけどそれでも破壊音が聞こえるとは…侮りがたし、箒。どうせなら、一夏も破壊してくれたら、今後シャルがおとされる心配も学園で起きる騒ぎの大半も、俺の男装任務もなくなるだろうに。

 

 

さっさと盗撮機をはずして、機能を停止し、一夏がボコボコにされた姿でも見ようと扉に手をかけたときだった。

 

「本当に悪かった!!!それじゃ!!!!」

「逃げるな!!」

「一夏、箒の、その、肩に…」

「うわああ、そ、それを返せ!!!!」

 

 

「!」

シャルの声?!

俺は勢いよく扉を部屋側に引いて、シャルの声のする方へ飛び出そうとした。

 

 

 

見えたのは、

急に引かれたドアノブに体勢を崩す一夏。

木刀を持っている箒。

一夏の肩に乗っている白を基調とした赤い花がポイントのブラジャー。

驚愕の顔をしているシャル。

 

(あぁ、良かった。一夏の肩に乗っているのはシャルのブラジャーでもないし、シャルはまだ風呂にも入っていないっぽいし、乱れた服装をしていない…)

 

廊下にあふれかえっている開放的な格好をした女の子達。

そして、ポカンとした顔の一夏がだんだんアップになって、

 

 

「え」

 

 

一音しか発せられなかった。

シャルが大丈夫だったという安堵が、油断を生んだのだろう。急に引かれたドアノブを持っていた一夏がそのままの勢いで、引かれた先…俺の方に倒れこんできて、俺も奴の肩を持ったが支えきれず、地面の重力にひかれるまま倒れこみ、次の瞬間には、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「う?!」」

 

キス、してた。

 

 

 

 

いや、キスというのかな。

唇は当たったけど、床の方に倒れた衝撃そのままだったからめちゃくちゃ痛かったしお互いにポカンと口を開けていたから口に歯が当たってやっぱり痛い。

俺の上に倒れこんだ一夏を見ると、やっぱり痛そうな顔して、…あ、唇切れてるじゃん。俺も口許に手を当てて見ると、げ、血がついてら。

一夏も唇切れたことに気づいたのか、ぱっと唇を手で覆って、真っ赤になりながら俺の上から飛びのいた。

 

その途端、

 

 

「キャー!!!!!写真!!!!写真撮った??!!!!!」

「現実は小説や妄想よりしゅごいいぃぃいいい!!!!!」

「シャロ??!!!!!」

「一夏ぁああああああ!!!!!」

 

 

飛び交う悲鳴と木刀、シャルが「大丈夫?!」と言いながらハンカチで血をぬぐってくれているのをぼんやりと感じながら、俺は気づいた。

 

 

 

今の俺は、シャロンさん…女の子の体にいる。

 

 

俺は男だ。そう思っている。だから、事故で男とキスしたぐらいで動揺するはずなんてない。絶対あてはならないんだ。俺はフラフラと立ち上がりながら、シャルに「あいつを殴ってくる」とだけ言った。

 

俺は男だけど、シャロンさんは女の子だ。女の子の唇を奪った罰を一夏には身をもって味わってもらわねばなるまい。

俺はすでに箒によってボコボコにされている一夏の元に拳を握り締めながら向かったのだった。

 

 

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