ISの放送が終わった次の日だった。
最終話をリアルタイムで見て、次の日録画したものを見て、シャルロット見納めかと思うと寂しくて、俺は普段買わないライトノベル版(原作)のISを買いに町に出たのだ。
近くのデパートの7階の本屋に行って、とりあえずIS3巻まで購入する。心の中での(これでまたシャルロットに会えるぞ♪アニメと比較しながら読んで、どうしても続きが気になったら、4巻からも買おう。絶対また買いに来ると思うけど!)という興奮を必死で隠し、にやけそうになる口元を噛み締めて自制する。
そのまま階段を使わずに、エレベーターに乗った。エレベーターには俺一人しか乗っていない。
それはそうだ。平日の朝一番に、俺はISを買いに来たのだ。こういう時大学生って素晴らしいと思う。
キキッ
(そういえば、今週の金曜日までがレポート課題提出の最終締め切りだったっけか。福祉工学とロボット制御工学持論のレポート仕上げないとなぁ…)
キキギキキュキィキッッ!!!
金属がこすれる不快音が頭上からした。と、思うと急激な揺れ、エレベーター内の電灯がチカチカとなり、まるでジェットコースターに乗ったかのような奇妙な浮遊感。
じんわり染み出すように脳内に恐怖と何かもっと深いものが広がる。揺らめく視界の中で捉えたエレベーターの階数表示のランプは、俺がいた7階からめまぐるしく、6、5、4と表示を変えていき、3、2、
「あ」
これは死だ。
ようやく俺がこの確信に言葉を付け、表示が死へのカウントダウンを意味すると理解した時には、すでにランプは2を指していて、エレベーター内の電灯が完全に落ちて、
「あああぁああああああああっあああああああ!!!!!!!!」
『シャロ!』『シャロン!』
最期の俺の絶叫に交じって、女の子と女性の声が聞こえる。
涙で歪んだ俺の目に金色の何かが映って、それと同時に、
「痛っああぁあぁ!!」
体に信じられない痛みが走った。
恐怖と死で埋まっていた頭の中が強制でクリアになり、自分の体にあの落下中の浮遊感がないことに気付く。
全身はありえないくらい痛いし、現在進行形で何かに締め付けられるように首周りが痛いというか息苦しいが、生きている。
ちゃんと、生きて――
『こ、こらっ。シャルロット!シャロンから離れなさい!!怪我人なんだから!!』
『シャロぉ、よかったぁ…!』
「い、痛あぁ……!離して、くれ……!!」
またシャルロットに会えたのだと気付くのは、もうしばらく先のことになる。