親衛隊が入城したのと時を同じくして、城上の空中戦も決着がついた。ミサイルによる迎撃案を頑なにクローゼから却下されたヨシュアは、仕方なしに後部ハッチを開けて自ら露払い役を努める。指揮官変更のアクシデントがあったとはいえ、敵の防御策を読み違えたのは事実。怠惰な参謀も失策の尻拭いをせねばならず、超過勤務も止むなしといった所。また一部から「最初からヨシュア一人いれば」という愚痴が寄せられそうな無双展開に突入だが、有能な怠け者に苦労させる仮面男の密やかな企みは実った。
結果、そのロランス隊長の倍以上の高さから飛び下りたヨシュアは、庭園の柱にロープを絡めて落下の運動力を縦から横に変化させると、その勢いを維持したままドロップキックを特務兵に見舞って二人纏めてノックアウト。安全を確保した特務飛行艇は悠々と空中庭園に不時着した。
「少しばかりタイムスケジュールが遅れたが、何とか女王宮に辿り着いたな」
ヨシュアが双剣をしまったのとは逆に、エステルとクローゼは各々の得物を展開し次の戦闘に備える。エステルは愛用の物干し竿の他にクローゼの予備のレイピアを脇尺に差しているが、いかなる意図があるのだろうか? まさか学祭劇の紅騎士ユリウスさながらに、武具を棍から剣に変更する為とも思えないが。
「予定といえば、何で離宮からの援軍が既に城門前に殺到しているのでしょうか? まだオネンネしている時間の筈ですよね?」
城下を覗き込んだ蒼騎士オスカーは特務兵の大軍を薄ら寒そうに見つめる。さっきまで攻略に手子摺った城門が今度は頼もしい防壁となって情報部の侵攻を食い止めとは皮肉な話だ。
「離宮で何かアクシデントが発生した以上のことは現状では分からないわね。とにかく私たちは自分の任務に集中しましょう」
白の姫が思考停止を促したので、二人の騎士は意識を女王宮に向ける。親衛隊が城内にいるのは確かだが、先程までバルコニーで戦況を見守っていた敵の中隊長は部下を率いて姿を消している。敵が本腰を入れて迎撃に出向いた以上はユリア達も簡単には突破できそうもなく、当初の予定通りにこの場にいるメンバーでアリシア女王を救出するしかない。
そう決意した学際トリオは女王宮の玄関口に向かう。以前、カリンのパンチラに惑わされた見張り役の特務兵はなぜか不在。遠慮なく通してもらったが、クローゼはアリシア女王よりも先に因縁の親族と決着をつけねばならなかった。
◇
「反逆者どもが、ノコノコと現れよったな。私をリベールの新たな国主と知っての狼藉か?」
オカッパ頭の独創的な髪形をした自称次期国王が護衛の奥に身を隠しながらキャンキャン喚いている。私用で公爵に呼び出された銃撃型の見張り番2名の他にも4人の近接鍵爪タイプに大斧を構えた重装特務兵の計7名が公爵を守護するように立ち塞がる。
(ちっ、数を多い上に厄介なのが一匹混じっているな)
エルベ離宮での苦戦を思い出したエステルは軽く舌打ちする。むろん、対集団戦闘の権化である漆黒の牙がその気なら物の数ではないのだろうが、少女は先のコードレスバンジージャンプで自分の勤労分を果たしたと信じきっているようで、得物に手をかける素振りさえ見せずに微睡んでいる。
「おやっ? お前たちは例の遊撃士兄妹ではないか? それとそこにいるのは……ク……クローディアルか!?」
「叔父さん、お久しぶりです。できればこんな形で再会したくはなかったので残念です」
制服姿のクローゼは恭しく頭を下げる。見慣れたオールバックの髪形でなかったので幾分時間はかかったが、エステルよりも早いタイムで正体を見破る。更に王子服でなくジェニスブレザーを纏った今の学生姿と結びつけて、兄妹とは学園祭の頃から連るんでいた真相まで看破した。
「そんなに早い段階からクローディアルと繋がっておったとは。はっ? まさか、お前らが私に近づいてきたのは私を追い落とす機会を伺っていた為か?」
「被害妄想も甚だしいおっさんだな。あんたが騒動を巻き起こすから俺達が火消しに駆けつけているだけじゃねえか。今回の件も含めてさ」
「無礼な。そもそも其方は私の即位を支持していたのではなかったのか?」
「んっー?」
学祭の寿司模擬店での過剰な接待振りを思い出した公爵がヨシュアを指さし、ご指名を受けた少女は左頬に人指し指を突き刺しながら顔を45°に傾ける可愛らしいポーズで思案する。
「そんな蜜月もあったかしらね。ルーアンで出会った頃の公爵様は飛ぶ鳥も落とす勢いで、新国王候補の最右翼だったからね」
マーシア孤児院の再建費用を全額負担して、リベール一の伊達男と紹介され拍手喝采を浴びていた当時のデュナン公爵は確かに光り輝いていた。
「けど、おじさん、今では落ち目の反逆者でしょ? アリシア女王にクローディアル殿下を後継者に任命されて焦る気持ちは分かるけど、その一発逆転を狙ったクーデターも鎮圧間近だしね」
まさに諸行無常の響きあり。次期国王レースには再びクローゼが台頭し、落魄れた公爵はあっさりと見限られる。そう、ヨシュアは決して過去を振り返らずに未来に生きる強かな女なのだ。
「泥船にしがみつく趣味はないし、きっちり財産移し替えて勝ち舟に乗り換えさせてもらうわよ」
「ヨ、ヨシュアさん。胸が当たって……」
ヨシュアはこれ見よがしに勝馬プリンスの左腕に自らの両腕を絡めて、その豊満の乳房を押しつけて媚を売り、少女の魔性を知り尽くしているクローゼもその蠱惑に抗えずに逆上せ上がる。
大鴨に様々な先行投資を叩いてきた腹黒娘としては公爵から吸い上げたミラの額には不満が残るが、(百万ミラも貢がせたのに!)満足するまで深入りして破滅に巻き込まれては採算が取れないのでかっきり損切りするつもり。
そのヨシュアが方々で知恵と力を絞って公爵の地盤を切り崩さなければ、今回のクーデターもある程度の所まで成功しそうだった件はとりあえず置いておくとして。
「これだから女という生き物は信用ならんのだ。小狡くて移り気で一途な男をぼろ雑巾のように平気で使い捨てて、直ぐに他の色男に色目を……うわあああっ!」
何かトラウマスイッチにでも触れたのか、公爵は涙目になってジタバタと取り乱す。
「「「こ、公爵閣下、お察しします」」」
鬼の目にも涙というべきか。デュナンのあまりの惨めな凋落振りに任務の為に心を修羅にした特務兵の瞳からも滴が零れ落ち、その同情心はエステル達にも伝染したが。
「ふわあああー、この茶番劇は何時まで続くのかしら?」
肝心のヨシュアは人指し指で左耳をほじくったまま、実に無感動な瞳で大きな欠伸を噛み殺す。喪男の魂の慟哭もこの手の修羅場馴れしているプレイガールの鉄の心には何一つ響かないようで、敵味方に別れた男衆は誰がこの場で一番の
「この
涙を拭いた公爵は、どっちが不埒か分からない薄い本一直線の命令を下したが、味方の物欲を煽る効果はあったようで、特務兵は全員
逆にエステルとクローゼは表情を引き攣らせる。ヨシュアの身を案じているのではなく、むしろその逆。さっきまでバトルを殿方二人に丸投げしようとしていた不精者が
「これで終わりよ」
相変わらず戦闘を問題解決の一手段としか認識しない合理主義者は、外連味なくいきなり全体Sクラフト『漆黒の牙』を発動。特務兵6人をあっさり打ち倒すが、ブーストした成果はあったようで、筋力アップした最後の重装特務兵は大鎧を罅割れさせながらもヨシュアの剣撃に耐えきった。
「でかした、そのまま抑えつけろ」
公爵は喜色をあげる。Sクラフト後の硬直時間を利して巨漢の特務兵はヨシュアを捕まえようとしたが、次の瞬間、ヨシュアは敵の羽交締めを逃れて頭上に大きくジャンプ。そのままクルクルと回転して単体Sクラフト『断骨剣』の態勢に入る。
「ぐはっ!」
技を尊ぶヨシュアきってのパワー技。二つの刃がガードしようとした重斧をあっさりと両断。そのまま重鎧を砕いて戦闘不能にする。
「何ですか、今のは? 異なる二つのSクフラトを連続で発動させたような」
「ヨシュアの裏技だよ、クローゼ。人間相手に漆黒の牙を撃つときは基本的に手加減してるから、実はCPを
CPが
「そんな神業が可能なのですか?」
「次行動が極端に早くて、Sクラフト後の待機時間がゼロ(※通常は最短でも5サイクル程)のヨシュアならではの芸当だな。流石に割り込みじゃ無理らしいけどな」
男二人が呑気に雑談に興じる中、ヨシュアはゆったりとデュナンに歩を進める。今ので体内の闘気タンクは空っぽになってしまったが、馬鹿公爵を折檻するのに態々クラフトなど必要ない。
「さてと、首輪をつけて
顔は笑っていたが琥珀色の瞳はちっとも笑っておらず、威嚇するように双剣をクルクルと回転させる。デュナンはひたすら後退したが、直ぐに背が壁にぶつかってしまい逃げ場を失う。
「けど、当然、調教中に野生狼に喉笛を食い千切られるリスクは承知の上よね?」
「ひっ、寄るな、寄るなー。フィリップー、助けてくれー」
「公爵閣下!」
そのデュナンの悲鳴に職務に忠実な執事がすっ飛んできた。漆黒の牙としては最も苦手なタイマン特化型の
「ヨシュア様、女性を侮蔑した我が主の非礼の数々、面目次第もございません。全ては陛下をお育てしたわたくしの不徳の致す所なので、これ以上の罰はわたくしにお与えください」
ヨシュアは冷やかな視線で銀髪の執事の後頭部を見下ろす。チラリとエステルとクローゼに目配せすると冷然たる事実を突きつける。
「フィリップさん、私への暴言はあなたに免じて水に流してあげるけど、公爵さんが仕出かした謀叛については話が別よ。まさかとは思うけど、一介の執事に過ぎないあなたの土下座に、この国のクーデター騒ぎをチャラにするだけの重みがあると自惚れているのかしら?」
「い、いえ、決して、そのような思い上がりは……」
「そうよね、頭を下げてどうにかなる段階はとっくに過ぎている。貴方が本気で公爵さんの断頭台送りを阻止しようと思ったら、力で以て無法を最後まで押し通すしか道がない」
ヨシュアはエステルの脇尺からレイピアを引き抜いて、フィリップの目の前に放り投げる。主を守る為に剣を捨てた老兵に再び剣を取れと示唆した。
「あなたと公爵さんが今の事態をどれほど楽観的に考えていたかは知らないけど、デュナン公爵がやらかしたのは、王を殺して地位を奪う。そう文字通りの弑逆。いかに陛下が寛大でも、自分と孫の身命を脅かされたとあっては極刑にするより道はない」
実際のアリシア女王がどう判断するかはともかく、謀叛人に対する一般的な君主の対応としてはヨシュアの主張は至極真っ当なので、フィリップはぐうの音もでない。
「公爵さんを救う道は唯一つ。この場で私たちとクローゼの首を撥ねて、更には女王陛下の口を塞いで謀叛の事実を知る証人をことごとく消し去るのみ。さあ、たとえ血みどろの簒奪でもデュナン公爵を最高位に就けることがリベールの未来に繋がると信じるのなら、今すぐこの場で私たちを討ちなさい」
ヨシュアは故意に問題を拡大させて、公爵と執事を袋小路に追い詰めて退路を絶つ。デュナンもここにきてようやく事態の深刻さを悟ったようで、「私はそんなつもりじゃ……」と顔面蒼白になってブツブツ呟く。まあ、実際には軍事クーデターというのはそこまでの大事の筈なので、ヨシュア以外の周囲のお人好しの反応が温過ぎるのかもしれないが。
謀反人として潔く共に散るか? それとも、クーデターを成功させて簒奪を革命へと歴史書に書き記すのか? フィリップの前には二つの道が岐れていたが、クローゼの姿を細い瞳に映し出した老執事は目の前の剣を掴むことなく首を横に振る。
「できません。私は王宮の務め人ゆえ、王太子殿下に刃を向けることは叶いません」
「フィ、フィリップー」
デュナンは再び泣きそうな情けない面を晒す。その発言は自分を守らないという職務放棄にも等しいからだが、さしもの馬鹿公爵も己の立場のヤバさを自覚し始めたようで、「ならば遊撃士兄妹だけでも力ずくで排除しろ」とは命じなかった。
「なるほど、王族には手出しできないときましたか」
無論、デュナンが本気で祖母孫を害するつもりがないのはヨシュアも承知している筈だが、なぜか妙に粘着質に絡んでくる。
「では質問を変えましょうか、フィリップさん。それなら守護すべき王族を破滅に導こうとしたリシャール大佐を、どうして貴方の手で討たなかったのですか?」
ヨシュアは追求の手を緩めずに、今度は別角度から攻めてみる。そもそもの諸悪の根源の芽を未然に詰む機会があったことを指摘する。
「余人ならいざ知らず、貴方にはそれが可能だった筈よ、剣狐さん。今回のクーデターはリシャール大佐の個人的な統率力の高さに支えられていたから、彼一人を取り除ければ確実に瓦解した」
剣狐の単体Sクラフト『エスメラルハーツ』は、対象を闘気の檻に閉じ込めて物理防御をゼロにした状態でその立方体の檻ごと斬り捨てるという文字通りの一撃必殺技。奇襲で一端檻に囚われたらリシャール大佐はおろか、剣聖カシウス・ブライトでさえも回避は不可能。
そして、常にデュナンの影として付き従って、単身で打ち合わせに訪れた大佐の無防備な背中を幾度となく見つめてきたフィリップには、確かにそのチャンスが無数にあった。
「その場合でも、デュナン公爵の身命は保証された筈よ。情報部の人達は王族に手をかける勇気はないって、エルベ離宮で自ら宣言していたしね」
本当にリシャール大佐が死んだら、救国の志も何もかも投げ捨てて復讐鬼に身を堕としそうな女性を一人知っていたが、敢えて素知らぬ風を装うところがヨシュアの嫌らしさだ。
「あれっ? けど、そうしたら公爵さんは助かっても、逆上した情報部の残党に多勢に無勢でフィリップさんは殺されちゃうわよね」
まるで試験問題の設定ミスを発見した女教師のような態度でポンっと両掌を合わせると、ヨシュアはあっさりと前言を翻した。
「ごめんなさい、フィリップさん。私が間違っていたわ。メイルさんもこの世で最も尊いお宝はミラでも人間同士の絆でもなく自分の命だって言っていたし、単なる金銭雇用主に過ぎない公爵さんの為に頭は下げれても、生命まで張れというのは酷すぎる要求だったわよね」
老執事の針のように細い目が見開かれ、微妙に肩が震える。エルフ耳の少女の価値観は間違いなく人類の最大公約数に属するが、王室親衛隊のようにその真逆の信念に誇りを抱く者達もいる。故にヨシュアの謝罪は一見すると彼が行動を起こさなかった怯懦の正当性を後押ししたように思えるが、王家に無二の忠誠を誓ったかつての鬼の大隊長に対してこれほど深く自尊心を傷つける刃は他にない。
「囀るな、小娘」
それでもフィリップ当人は何一つ弁明することなく、ヨシュアの言葉の暴力にじっと耐えていたが、意外な人物が老兵の弁護を買ってでた。
「フィリップはあくまで私の望みを叶える為に、今日まで私に尽くしてくれたのだ。この者への侮辱は私が許さぬぞ」
「閣下……」
さっきまでフィリップの影で生まれたての子鹿のように震えていた公爵が、持てる勇気を振り絞って執事を庇うようにヨシュアの前に仁王立ちする。この時のデュナンの顔はいつぞやの学園祭の時に見せた王族の威厳に溢れていた。
「おい、マジにきたな、クローゼ」
「ええ、僕も正直驚いています」
ヨシュアの辛辣な物言いの数々は主犯格の公爵はまだしも、従犯の老執事に対して明らかに度が過ぎていたが、二人がここまで全く口を挟まなかったのは予め通達されていたからだ。
「公爵さんは今日まで耳に痛い諫言や都合の悪い現実から目を背けて生きてきたから、今更何を訴えても効果は薄いでしょう。もし、その公爵さんの心の琴線に触れられるとしたら、当人ではなく彼の大切な者を攻撃してみることかもしれないわね」
ルーアンでの決闘で意外と育ての親の執事を思う気持ちはあるようなので駄目元で試してみたら効果覿面。恐らくは人生で一番の男気を見せて漆黒の牙という怪物と正面から睨み合っている。
「あらあら、許さないって、どうしてくれるのかしら? 王族の権威や執事さんの武力に頼ることなく、あなた個人の器量で私をやり込められるとでも?」
「ふん、それを言うなら小娘、お前が今担ぎ上げている新たな神輿も似たようなものではないか」
「へい、バッチコーイ」と中指と人指し指をクイクイさせる黒髪の少女の挑発を無視して、公爵は自らの甥に向き直る。物理ファイト、舌戦共にヨシュアと戦ってもまず勝ち目はないのでクローゼ一人に照準を絞ったようだが、戦略的判断としては上出来だ。
「クローディアル、お前は玉座が欲しいのか?」
「ぼ、僕は……」
その直接的に物言いにクローゼは言葉が詰まる。このクエストをギルドに依頼した時に覚悟完了した筈だが、まだ迷いが残っているようで、その煮え切らない態度に公爵は憤慨する。
「また、それか。お前は何時でもそうだ。私が欲しい物を何食わぬ顔で横から掻っさらっていく。お前がいらぬ王冠なら同じ王族の私が奪って何が悪い?」
確かに即位には本人の意志は大事な要素だ。世の王族にはクローゼのように国王の地位を忌避する変わり者もおり、そういった人物を能力だけで最高権力の座に放り込むのもまた暴君を産み出す土壌の一つであるのは歴史が証明している。
「公爵さんの言い分にも一理あるけど、ジェニス王立学園のクラス委員長への立候補ならまだしも、一国の王を血統とやる気だけで決められては堪らないわね」
そうヨシュアは風刺を挟んだが、そのマキャベリストがドキモを抜かれるような大胆な提案が公爵の口から囁かれた。
「クローディアル、リベール王族としてお前に決闘を申し入れる」
「へっ?」
「おい、今何て言った、おっさん?」
エステルは自分の耳を疑ったが、聞き違いではなさそうだ。公爵は左手の白手袋を外すとクローゼに叩きつけて、地面に落ちている剣を拾い上げた。
「決闘を申し入れるといったのだ。フィリップにもそこな小娘にも手出しはさせぬ。どちらがリベールの国主に相応しいか剣を以て定めようではないか」
女王宮にしばらく沈黙が続いた。かくしてヨシュアの合理的な思考フレームでさえ、可能性の検討すらなされなかった事象が現実に発生。次回、玉座を賭けて王族同士で血で血を洗う骨肉の死闘が繰り広げられることになるのだろうか?