東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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8話 空を飛ぶ練習

 

 

「霊夢、魔理沙……ついでにトオル、明日貴方達を紅魔館へ招待してあげるわ」

 

「面倒」

 

「いつも行ってるぜ、無断でな」

 

「興味はあるけど道筋がなぁ……」

 

 

 仕事が休みの日、博麗神社にはいつも通りの面子が母屋の中の一室にある卓袱台を囲いながら揃っていた。最近ではレミリアも入ってるけど……

 因みに霊夢によると、ここ毎日レミリアはここへきているらしい。

 

 

「やめとけ、トオル。彼処は目に悪い」

 

「確か館全体が真っ赤なんだよね? 最初聞いたときはほんと悪趣味だと思ったよ」

 

「……館の主の前でよくそんなことが言えるわね。殺されたいの?」

 

「め、滅相もない。個性的な館だと思いますよ。かなり、うん、とびっきり」

 

「個性が滲み出すぎている気がするけど」

 

 

 こら、霊夢! 余計なこと言わない!

 

 

「くくっ、そうか。私の館はそんなに個性に溢れているのね!」

 

 

 と思ったらえらくご機嫌になっちゃったよ……レミリアってなんだかんだで単純な奴だなぁ。

 

 

「でもなんで急に紅魔館なんて招待するとか言い出したの?」

 

「愚問ね。いちいちここへ来るのが面倒だからよ」

 

「「なら来んな」」

 

「まあまあ……でも紅魔館の地下にある図書館はかなりすごいぜ。よくお世話になってる。」

 

「あ、そういえばパチュリーさんにお礼を言わないと!」

 

 

 そういえば忘れてた。あのときの本の借りを返さないと。

 

 

「あ? なんでパチュリーなんかにお礼すんだよ。」

 

「いやぁ、この前レミリアを通して本を貸してもらったんだよ。それでその本が物凄く良い小説でさ。もう涙が止まらなかったよ。この本の素晴らしさとパチュリーさんへの感謝で」

 

「へぇ、パチュリーも粋なことするんだなぁ」

 

「ふっ、親友を褒められると言うのも悪くないわね」

 

「……人が楽しみにしていた本のオチを言った奴がよく言うよ」

 

「まだ根に持ってるの? ちゃんと謝ったじゃない、この私が!!」

 

 

 この私が、て言ってるけど「あのときのことは謝るわ」しか言ってこなかったからね。それで謝った気になったのかこのロリっこめ。

 

 

「僕は根に持つタイプなんだ」

 

「トオルのそういうところがなければねぇ……そしたら私の評価としては100……いや、あと私に忠実で文句一つ垂らさず私が寝たい時間まで寝させてくれれば100点ね」

 

「そんな霊夢の欲望駄々漏れの評価で100点を取るぐらいならいっそのこと0点をとった方がマシだ」

 

「まあ、取り敢えずトオルは来んのね。あとの二人は?」

 

「私は勿論行くぜ!」

 

「面倒だから行かない」

 

 

 まあ、霊夢はそういうと思ってた。本当に興味がないものには無関心だからね。

 

 

「そう、残念ね……ケーキとか用意してるんだけ……「いくわ!」よし、それじゃあ全員行くって事でいいのね」

 

 

 霊夢、食べ物でなら難なく釣られないでほしい。弟として情けない気持ちになる。

 

 

「なあ、思ったんだけどさ。霊夢と私は飛べるからいいけどトオルはどうするんだ?」

 

「え、飛べないの? このネチネチ男」

 

「飛べないよ。ネチネチ男だからね」

 

 

 そう、僕は飛べない。ネチネチ男とは関係なく。

 霊夢や魔理沙のアドバイスを聞いても全然できやしない。

 

 

「うーん、飛べないとなると面倒ね。一番は一人で歩かせることなんだけど……」

 

「道のりがわかんないんだよ」

 

「仕方ないわね。ちょっと待ってなさい」

 

 

 そういって霊夢がよっこらせ、といいながら立ち、居間から出ていってしまった。

 

 

「何しに行ったんだろうね」

 

「どうせ霊夢の事だから紐でも持って来るんだろう」

 

「紐なんかを持ってきて何すんのよ」

 

「勿論、トオルを縛って持っていく」

 

「え、なにそれ怖い」

 

「でも霊夢ならやりそうね……」

 

 

 流石に霊夢もそんな馬鹿な真似はしないだろう____そんなことしないよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

「この紐をトオルを縛って持っていくわ」

 

「本当に持ってきおった!」

 

「すげー、予想通り過ぎるぜ」

 

「くくっ、それじゃあ明日、紅魔館でまってるわ」

 

「ちょ、まってよレミリア! なにかいってよ! どうみてもおかしいでしょ!?」

 

「ああ、ちゃんと縛られているところを玄関から見ておくわ。くくっ、考えるだけでも滑稽ね!」

 

「ぐぬぬ……」

 

 

 そう笑いながらレミリアは障子を開け、沈み始めている夕日に向かって飛んでいった。勿論日傘をさしながら。

 ああ、これもし他の人とかに見られてたら絶対笑いものにされるよ。

 

 

 ………くっ、僕に力があれば……こんな事で悩まなくて済んだのに…………!!

 

 

「ん、もうこんな時間か。それじゃあ私も帰るとするぜ」

 

「ええ、帰ってちょうだい。ご飯までたかられたくないし」

 

「むっ、そう言われるとたかりたくなるぜ」

 

「……塩を投げつけるわよ」

 

「おお、それはもったいない。全部受け止めてから持って帰ってやるから投げてこい」

 

「さっさと帰れ」

 

「へいへーい」

 

 

 そういいつつ魔理沙も箒に乗って帰っていった。あっという間に二人になったな。

 

 

「ほら、トオル。なにそこでぼーとしてるのよ」

 

「……あ、うん」

 

「なに、どうしたのよ? まさか明日紐に縛られるのが嫌なの?」

 

「当たり前じゃないか」

 

「大丈夫よ。紅魔館までの道のりで人里付近は通らないから見られることはないわ」

 

「いや、それの心配もあるんだけどさ……」 

 

 レミリアに見られたらなんか変なあだ名つけられそうで嫌なんだよなぁ。

 

 

「よし、決めた! これから飛ぶ練習をするよ!」

 

「え?」

 

「うおぉ!!」

 

 

 よし、今回の事もだけどこれからのことを考えるとやっぱり飛べた方がなにかと便利だ!これまでこういうことに関しては疎かにしていたけど今回の事で決心がついた。やるぞ、やってやる!

 そう決心しながら、レミリアと魔理沙が出た場所から自分も外へでて、飛ぶ練習を開始した。

 

 まずは飛ぶイメージをしながらジャンプだ!

 

 

「飛べ!飛べ!」

 

「…………」

 

「僕は風だ!」

 

「…………」

 

「飛べない人間はただの人間だ!」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 …………。

 

 

「…………飛べない」

 

「…………そうね。」

 

「……霊夢教えて」

 

「…………そうね。今日の夕飯を豪勢にしてくれたら考えなくもないわ」

 

「……わかった」

 

 

 くぅ、やっぱりそうきたか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、お腹いっぱい。もうお風呂に入って寝たいわね」

 

「そうはさせないよ!練習に付き合ってもらうからね!」

 

「ええー……」

 

「今日の夕飯分、霊夢のお小遣いから引いてもいいんだよ?」

 

「…………しょうがないわね。ちょっくら見てやろうかしらね」 

 

「(ちょろいな……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~2時間後~

 

 

「お、おお!浮いたよ!霊夢!」

 

「おめでとう。まあ、私は最初から飛べてたけどね」

 

「うるさい!」

 

 

 辺りが真っ暗になり、松明の明かりを頼りにして練習していたらついに浮くことに成功した。すごい、浮遊感が常に感じられる。

 

 

「でもこれじゃあ、運びやすくなっただけね」

 

「よ、よぉし。あと少しだ!頑張るぞ!」

 

「いや、私もう眠いから一人でやって」

 

「ええ!?」

 

「ここまで出来たんだから後少しよ。後は自分でなんとかしなさい」

 

「う、……わかった。」

 

 

 たしかにもうこの時間帯はいつもなら寝る準備をし始めている頃だ。霊夢が言うことも分かる。

 

 

「じゃあお休み。僕はもうちょっとやってから寝るよ」

 

「ん、お休み」

 

 

 そう霊夢が言ったあと母屋へ戻っていった。

 

 

「さて、頑張るか!」

 

 

 

 このあと僕は無我夢中で空を自由に動く練習をした。

 それはもういつの間にか地面で寝ていた程に。

 

 そして、結果はどうだったと思う?うん、勿論自由に飛ぶことは出来ませんでしたよ。

 

 結局は霊夢が言った通りにただ運びやすくなっただけだったなぁ……

 

 

 

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