トオル達が紅魔館にお邪魔しているなか、それを観察している二つの影があった。
「ふぅ、危うく私が出るところだったわ」
「確かに危なかったですね、トオル」
「トオルが紅魔館に行くと聞いて心配して見てみれば……案の定危ない目にあったわね」
「はて、なんでトオルはあの魔女の時霊弾で応戦しなかったのでしょうか?」
「それはトオルがまだ霊弾の生成が全然様になってないからよ」
「え、でもうちで預かっている時出せてましたよね?」
「そんなことあったかしら?」
「前に霊弾の出し方とかを教えてたじゃないですか」
「あああ!!そうよ、思い出したわ! 霊弾と空を飛べないようトオルに私が封印術を掛けたんだわ!」
「なんでそんな大事なこと今まで忘れてたんですか……」
「何故かしらね? 忘れっぽいのは認めるけれど、トオルが霊弾を出せることを忘れるなんて相当なことよ。私も歳かしら……」
「……まあ、取り敢えずトオルが全然成長しない理由が判明しましたね」
「まさか私のせいだったとは……今度スイカでも持っていってあげましょう」
「え、あの鬼と会わせるんですか!?」
「違うわ、食べる方のスイカよ」
「あ、すいません」
ーーー
「ふあぁ……朝かぁ」
紅魔館訪問から一週間が経った。
フランドールからの弾幕ごっこのお誘いを見事回避した後、僕とフランドールは本を読んだり紅魔館内でかくれんぼしたり腕相撲をしたりした。最初の二つは良かったんだけど最後の腕相撲はほんとに危なかった。始まった瞬間僕の腕が机にめりこんでたんだもん。腕の感覚なくなったからね。……今はそんなに酷くはないけど。まあ、そういうこともあってかフランドールとはなかなかな友好関係を築く事ができた。
因みにあれからちょくちょく空を飛ぶ練習をしている。けど何度やっても進歩がない。それと何回も空に飛ばされたしね。その度に霊夢や魔理沙に救出されていた。そういうこともあってか今では練習中、紐で柱と繋いでからしている。
はあ、面倒だけど役に立つからやっといた方がいいよね。
「さて、昼になったら練習するか!……と、その前に朝ご飯作ろ」
大好きな本の時間を削ってまでしているんだ。もうそろそろできてもおかしくないよね!
昼になり、霊夢が出掛けたのと同時に僕は空を飛ぶ練習を始めた。
「飛べっ!」
やっぱり飛べないなぁ。
「なにかひねりを入れた方がいいんだろうか」
「その必要はないわ」
「え!?…………って紫姐さん!久しぶり!」
「ええ、お久し振り」
急に声がかかったから咲夜だと思ったけどまさかのスイカを持った紫姐さんだった。会うのはほんとに久しぶりだなぁ…………ってそれより、
「紫姐さん、必要はないってどういうこと?」
「こういうことよ」
そう紫姐さんが言ったあと僕の額に手を当てた。
「これで完了。一回飛んでみなさい」
「え? あ、うんわかった。」
あれ?なんで紫姐さんがそんなことを?……まあ取り敢えずやってみよう。
「うおっ!? なんで?」
いつものように浮く感覚でやったら自由に動けた。
なんでこんなに簡単に飛べるの!?
「良くできたわね。」
「紫姐さん、なにかやったの?」
「えぇ、ちょっとしたおまじないよ」
「へ、へぇそんなのがあるのか。」
それよりも、この感覚が凄く心地がいい。いつまでも飛んでいたい気分だ!
「紫姐さん!ちょっとここら辺を飛び回ってもいい?」
「え、まあ、いいんじゃない…………でもちょっとま……」「うおぉ!」
取り敢えずいまだせるスピードを出してみよう!
「いっくぞぶっ!?」
「あらら……」
し、しまった。紐に繋いでたの忘れてた。
お腹が滅茶苦茶痛い…………
「スイカか、冷やさないとなぁ」
「いえ、もう冷やしてあるから食べましょ」
「え、そうなの…………あ、ほんとだ。それじゃあ今から切ってくるね」
思う存分飛んだ後僕と紫姐さんは母屋の中へと移動して、スイカを食べることになった。
「やっぱり四人分で切った方がいいよね?」
「あら、なんでかしら?」
「こういう食べ物関係だと必ず奴等はやって来るんだよ」
「あー、確かに。霊夢食べ物にがめついから」
「はは」
やっぱり紫姐さんもわかってるなぁ。
「何かあると思って帰ってみれば二人で面白いことしてるじゃない」
「あれ、そこの女だれだ? トオル」
「紫姐さんだよ。それとおかえり。ちゃんと二人の分も用意してるよ」
「流石トオルね、私をよく理解してるわ」
予想通り食べようとしたら例の二人組がやってきた。
「あら、どこかで見たかと思えばいつかの魔法使いじゃない」
「……私はあんたを知らないぜ」
「まあ、兎に角スイカよ、スイカ。丁度今冷たい果物を食べたい気分だったのよ」
「はいはい、持ってくるから待ってて」
魔理沙と紫姐さんがなんか変な空気になりそうだったのでいったん他の事に集中させてこの空気を変えようとしたら知ってか知らぬか霊夢がそれ相応の話題(スイカ)をもちかけてくれた。
「ふう、美味しかったわぁ」
「暑かったし丁度よかったしな」
「さて、私はそろそろ帰るとするわ」
「え、もう帰るの?」
「ええ、色々残しているものがあるし……それに目的は達成されたしね」
「ふーん、帰るのね。それじゃあ今度来るときは羊羮を要望するわ」
「私は外の食べ物がいいぜ」
なにこの二人、図々しいにも程があり過ぎる。
「ふふっ、覚えてたらね。あ、それともうすぐ冬眠するからいっときは会えないわ」
そういって紫姐さんはスキマをだしてその中へ入っていった。
「冬眠って…………あいつって熊とかそういう系の妖怪なのか?」
「いや、スキマ妖怪だよ。」
「聞いたことがないな」
「まあ、そんなことより食後の運動でもしましょ。魔理沙」
「お、霊夢から誘ってくるなんて珍しいな。受けてたつぜ!」
二人とも元気だなぁ。僕は急にお腹を冷やしたからちょっとお腹が痛いよ……
あ、そういえば!
「僕、飛べるようになったんだよ!紫姐さんの魔法のお陰で!」
「うお!それは本当か!あの人間風船からついに進化したのか?」
「ふふ、もう人間風船とは言わせないよ」
それにさっき試したら霊弾を沢山作ることもできたんだ。これなら霊夢達がいつもやってるのにも参加できる!…………したいとは思わないけどね。見る分はいいんだけど。
「おお、本当に飛んでるぜ、やったな!」
「へぇ、それじゃあ今日はお祝いとしてご飯を豪勢にしなくちゃね」
「霊夢はただ食べたいだけでしょ」
「あら、あっさりとバレたわね」
「ほんと、今代の巫女は食い意地がはってるなぁ」
「いいでしょ。これも個性よ」
「いささか濃すぎると思うんだけど…………」
「薄いより濃い方がお得でしょ?」
「まあな~……取り敢えず弾幕ごっこしようぜ、霊夢」
「そうね」
「あ、そういえば引き止めちゃってたね。それじゃあ怪我しないようにどっちも頑張ってね」
「おう、お前の姉をコテンパンにしてくるぜ!」
「やれるもんならやってみなさい」
そういって二人は神社に被害がでないよう空高く飛んでいった。
頑張るねぇ、怪我しないことを祈っておくよ。
「さて、僕は久々に読書でもしようかな」
一週間ぶりだ。早く読みたいよ。今回はどんな話だろうか、できればハッピーエンドなやつがいいなぁ。