「はあ…やっぱり炬燵はいいわねぇ。炬燵と結婚したい」
「あ、わかるそれ」
「いいえ、これは私のよ。あんたには譲らない」
「んなむきにならなくても……」
今の会話からわかる通り僕と霊夢は現在、炬燵の有り難みを感じている最中だ。
それもそのはず、今は冬だからね。勿論のこと外は雪が降っていてとてつもなく寒い。だから家にこもってもそれは仕方ないことだとは思わない?
いつもならこの日はうどん屋の仕事に行かなきゃいけなかったんだけど、『紅霧異変』をきっかけに人里から霊夢に対してのお礼の品物や依頼が来るようになって、経済的に少し楽になった。
それを機に仕事の日数を週5から週3にかえてもらった。おかげで今日も炬燵の中でゆっくりすることができている。そうなったとき霊夢ありがとう!って思ったねーーまあ、霊夢もこれまで散々ぐーたらしてたんだから付けが回ってきたんだろうけど。
「おーい、誰かいるかぁ」
母屋の外から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あの声は…………」
「魔理沙ね。面倒だから無視よ無視」
「それは流石に酷いでしょ」
「どうせ反応しなくても勝手に入ってくるんだから」
「それもそうか」
確かに態々外に出てまで返事するのも面倒だしね。炬燵からでないといけないし。
「あ! やっぱりいるんじゃないか!」
「ほら、きたでしょ」
「もし僕らがいなかったら不法侵入だよ、魔理沙」
「うるせぇ、不法侵入されたくなかったらちゃんと応答しろ……ってそんなことより霊夢、トオル! 異変だぜ!!」
「どこが異変よ、なにも起こってないじゃない」
「なーにがなにも起こってないだ。どうみてもおかしいだろ!もう桜が咲き始めてもおかしくない時季だってのにいまだに雪が降ってるんだぜ?」
「んー、確かにねぇ。この前紅魔館に行ったときも咲夜困ってたなぁ。灯油がもうすぐ尽きるとかで」
「…………もしかして行かなきゃいけないパターン?」
「ああ、そうだ。行こうぜ、霊夢」
「え、行かないわよめんどくさい」
「霊夢、いきなさい。行かなかったら霊夢の存在価値が殆ど無くなるよ」
「なによ! 最近は妖怪退治とかちゃんとしてるじゃない!」
「あー、この前本を読んでいた妖怪を不意打ちで退治して本を強奪してたのとかか?」
「なっ!? 霊夢、それは酷いよ!」
「あ、こら魔理沙、それはトオルに言うなっていったでしょ!」
「おっと、口が滑った」
霊夢め、本が好きな妖怪に不意打ちとは………本が好きなやつに悪いのはいないのに!(※トオル個人の意見です)
今度会ったら謝っておこう。ついでに仲良くなれればいいな。
「取り敢えず異変の解決は巫女の仕事でしょ!さっさとこの長い冬を終わらせに行ってきな」
「ええ……トオルも役に立たない訳じゃないんだから異変解決手伝ってよ」
んー、確かに最近では弾幕ごっこをするようにはなったけど勝てないんだよなぁ、僕。たまにフランドールとするけど5分持てばいい方なレベルだしーー避けることは出来るんだけど体力がなぁ。
そういうこともあって僕が異変解決にいっても少ししたらただのお荷物になってしまうから結果的に役立たずになる。
それにさっきもいったけど異変解決は霊夢の仕事、これまで僕がすることになったら霊夢の存在価値が地を突き抜けることになる。
「もし僕が解決することになったら霊夢には働いてもらうから」
「さて、それじゃあ早速いくとするわ。いい加減炬燵の炭も尽きそうだし」
姉よ、そんなに働くのが嫌なのか。
「お、行く気になったか。それじゃあ霊夢、私は先に行くぜ! 今回はどっちが先に見つけるか勝負だ!」
「そうね、でも競争なら賭けをしない?」
「はっ? 霊夢、何をいいだしてんの?」
うちに賭ける物なんか一つもないんだけど。辛うじて霊夢の陰陽玉ぐらいか。
「そっちの方が面白そうじゃない」
「いいぜ! 私がどうせ勝つんだし」
「そう? ……それじゃあ負けたら1週間分のご飯を作るってことで」
「な、なんでトオルが決めてんのよ!」
「どうせろくなの賭けやしないんでしょ? まずうちに賭けるものなんてないし。それなら現実的かつ面倒極まりないこれが一番適任だとおもうんだけど」
「ちょっ、待ってくれよ!? もし私が負けたら毎日ここに来なくちゃいけなくなるじゃないか!?」
「どうせ勝つんでしょ、魔理沙。それに毎日来てるでしょうが」
「うっ、それはそうだが………ああもういいぜ! トオル、霊夢の飯を存分に食わせてやる!!」
「ふん、魔理沙のキノコ料理はもう飽きるほど食べたから実際は勝ってもメリットはないけど………だからって負けるのも癪に障るわ。面倒だけど今回の賭けはこれでいいわ」
やった! これで明日から楽ができる!!
「でも」
「え?」
「もし私と魔理沙以外の奴が異変を解決したらトオル、あんたがいつも通りつくってよね」
「はは、そんなことあるわけないでしょ。何をいってるんだか」
逆に霊夢と魔理沙以外誰が異変を解決しようとする変わり者がいるんだ。そんなことは断じてありえない。
…………断じてありえないよね?
ーーー
「じゃ、私はこっちの方角から」
「んじゃ、私は反対の方で」
「二人とも頑張ってね。春が来たらお花見しよう」
「花見酒、いいわね」
「おお、楽しみが増えたぜ」
「はは、解決できたら奮発するよ。」
「やった! 流石は私の弟、最高だわ!」
「……現金な奴め」
「さ、とっととこの冬を終わらせに行きましょうか」
「そうだな」
「それじゃあいってらっしゃい。ご武運を祈るよ」
そう僕が言うと二人は手を降りながら飛んでいった。
「ふぅ、寒い。早く炬燵の中に戻ろ」
ーーー
霊夢達が異変解決に出て2時間後、僕は本を読んでいたとき、重大なことに気付いた。
「う~む、どうしよう。炭が切れてしまった。」
これじゃあすぐに寒くなってしまう。
「人里まで買いにいくかぁ。寒いけど仕方ない、霊夢や魔理沙も外に出てるんだから」
そうと決まれば早い、取り敢えず厚着をしてから行こう。今の状態(半袖長ズボン&ドテラ)じゃすぐに凍え死んじゃうからね。
_______________________
「さて、行こうかな」
準備も完了したので母屋からでてお金のチェックをする。
「よし、あるな。」
ちゃんとお金の準備もできたことを確認して僕は飛んだ
「ひやぁぁ、寒い。あ、雪が目に入った!?」
飛んでみれば目茶苦茶寒かった。これはいけない、いったん降りよう。
「やっぱり歩いていくか……いや、ちょっと危ないけど低空飛行で行こう。早く済ませたいし」
低空飛行だと木々に当たりそうで怖いけどね。
ーーー
「あれ、ここどこだっけ?」
雪のせいで道がよくわからなくなって適当に行っていたら道に迷ってしまった。
まさかいつも行っていたルートを忘れるなんて……ここ最近飛んで楽をしていたから罰が当たったのかな……
「ってあれ、これなんだ」
いったん地面に着地すると雪に足が埋もれてしまった。それにも少し驚いたけどそれよりも気になるものがあった。
人形の残骸があった。
「うわぁ、ズタボロだよ。」
「くっ、やられたわ」
「え?」
ズタボロになった人形を拾い上げてみるとちょっと先の雪から声が聞こえてきた。全然気づかなかった。……まあ、気づかなかったのはその人が雪に埋もれてたからなんだけどね
「___んっ、あんたこの前の……」
「あっ、アリスか!」
声の主は誰かと見てみると、そこには青いワンピースにケープを羽織った金髪美少女、アリス・マーガトロイドだった。
冬の外には似つかわしくない薄着だ。ていうか靴はいてない。
実は去年の秋、僕はアリスと会ったことがある。
んーと確か魔理沙から秋ということでキノコ狩りをしないかと誘われて行った時だったよな。
一人で探しているときに一際良さそうなキノコを見つけて歓喜していたらそれが急に爆発して気絶してたところをアリスに助けてもらったんだ。助けてもらうだけでなくお茶まで頂いたからかなり感謝している。
「ってアリスボロボロじゃないか」
「ええ、ちょっと頭がおかしいメイドにやられちゃってね。この通り動けないでいるの」
え? メイドだって?!
「メイドってまさか、ナイフを持ってた?」
「?そうよ」
これはマズイ、実にマズイ。まさか霊夢と魔理沙以外にも異変解決する人がいたとは……
「ま、まあ兎に角。アリス今動ける? 無理なら家まで運ぶけど。」
「そうね。それじゃあお言葉に甘えようかしら」
取り敢えずまずは咲夜によって戦闘不能になったアリスを救出するのが先決だな。
霊夢と魔理沙、本当にがんばって!僕の仕事が増えないためにも!