「ん、ここをどういけばよかったっけ?」
「ここを右に曲がって真っ直ぐよ」
「あ、そういえばそんなルートだったね」
現在僕は咲夜によって傷だらけになったアリスをおぶってアリスの家に向かっている。
因みにアリスの服もかなりボロボロになっていたので僕が着ていた服の1着をアリスに着せている。……本当は肌身が露出しているところを見たいという気持ちもあったけどそんな事をすれば十中八九殺されるのでやめておく。
「……今変なこと考えてなかった?」
「いや? そんなことないよ」
「そう」
あ、あぶなかったぁ~。でもそう考えても仕方ないでしょ? 僕だって男の子なんだから。
「それよりいいの? 私に服を貸して……トオルは寒くないの?」
「ん、大丈夫だよ。実はまだ5着着込んでるんだよね」
「……着込み過ぎよ」
「仕方ないじゃないか、このぐらい着ないと体の中に冷たい風とか雪が入ってきて寒いんだから!」
「はあ、仕方ないわね、家まで送ってくれるお礼として1着仕立ててあげるわ」
「え? いいの!?」
これは思いもよらぬ展開だ。魔法使いの編む服なんて絶対良いのができるに決まっている。
人を助ければ良いことがあるって本当なんだなぁ。
「勿論材料費はもらうわよ」
「勿論!……ってあれ、お金持ってたっけ___あ、あった。これぐらいで大丈夫?」
「ええ、それでいいわ」
よかったよかった。人形作りの名人であるアリスに頼めば保温機能抜群の服を作ってもらえるぞ!
ん? それは服を作るのとはまた違うって?……うん、僕もそう思った。
ーーー
「やっとついた」
アリスから言われた通りの道を歩いて10分、漸くアリスの家についた。
「ねぇ、思ったけどなんで飛ばなかったの?」
「……聞きたい?」
「ええ、なにか理由があるのならね」
「ないよ、ただ忘れてた」
「……」
アリスから呆れたような目で見られた。まあ、今聞かされた僕も自分でも呆れたし当然の反応か……いやあれだよ? まだ空飛べるようになって日が経ってないからってのもあるんだよ? 本当だって。
「それじゃあそこら辺に座っておいて、私着替えてくるから」
「ん、わかった」
ふいぃ~、疲れたー。と、いくつかあるイスに腰をかけ一息ついてみる
やはり人形多いな、ここ。
アリスの家は他と違って洋風な家だ。もしこれが人里の中にあれば物凄く目立つことになるんだけどここは魔法の森、普通の人どころか妖怪すら入ってこない領域だから目立ちはあんまりしない。
……まあ、空からみれば一発でわかるんだけどね。
「おっとありがと、上海」
「ホウラーイ」
「あ、蓬莱だった」
イスに座ってゆっくりしていると上は……蓬莱が紅茶とクッキーを持ってきてくれた。
やっぱりいつみても生きてるようだね、返事とかもするし。
「バカジャネーノ」
「むっ、こっちが上海か」
今僕にむかって暴言を吐いたのが上海か……んーと、青い服着てるのが蓬莱で赤い服着てるのが上海で……
よし!おぼえたぞ!
「蓬莱!」
「シャンハーイ」
「え? 違………ぎゃ?!」
「バカジャネーノ」
うっ蓬莱に頭を叩かれてしまった。しまった、赤い服が蓬莱で青い服が上海だった。
~10分後~
「……なにしてんのよ」
「あ、アリス。この子達乱暴だよ!」
「察するにたぶんあんたが悪いわね」
「そんな!?」
上海&蓬莱コンビに戯れという名の暴力を受けていたら着替えてきたアリスが部屋から出てきた。
まあ、確かに何回も上海と蓬莱の区別がつけられない自分も悪いと思うけどさ。でもシャッフルのごとく高速で右左と移動されたり他の部屋にいって着替えられたりしたらわかりようがないでしょ……絶対この人形コンビ僕を弄んでる。
「それじゃあ早速始めましょう___まずは服を脱いで」
「え!?アリス、なにを考えてんの!!? ぬぬぬ脱ぐなんてそんな……」
「……なにを勘違いしてんの、服作ってあげるって言ったじゃない。採寸よ採寸。いくら私でも測らないと仕立てられないわよ」
「あ……そ、そうだったね。いやぁ忘れてたなぁ!ハハハハ」
とてつもなく恥ずかしい。いっそのこと殺してください。
「はいはい、そんな顔真っ赤になる前に服を脱いで」
「うっ、わかった」ヌギヌギ
「ふぅ」
「…………」ヌギヌギ
「…………」
「…………」ヌギヌギ
「…………ねぇ」
「ん、なに?」ヌギヌギ
「どんだけ着てんのよ、軽く5着を越えてるじゃない」
「いやぁ、着るときそんなに細かく数えてなかったからねぇ」ヌギヌギ
「寒がりにも程があるわよ……しょうがないわね、これから作る服に魔法で保温機能をつけてあげるわ」
「え?ほんと! ありがとうアリス!」
まあ、それが本来の目的なんだけどね!!
「特別よ……ってトオル、あんた汗すごいわよ!」
「はは、仕方ない。何着着込んでたと思ってるんだ」
しかもまだ2、3着残ってるからね。温かかったけど汗は尋常ではなかったね…………
「取り敢えずこれで汗を拭いて」
「なにからなにまでありがとね」
アリスから渡されたタオルで体を拭く。うわぁ、滅茶苦茶ふわふわしてるよ、うちのとは段違いだ。
「それじゃあ始めるわよ」
「わかった。お手柔らかに頼むよ」
上半身裸になってすこし恥ずかしいけどこれからのことを考え、我慢することにしよう。
さて、どんなのが出来るのか楽しみだなぁ。
ーーー
「これから作業に入るから邪魔しないでね」
「うん、どのくらいかかる?」
「ざっと3時間ぐらいね」
「早いね」
「まあ、兎に角私は作業部屋にいるからなにかあったら教えてちょうだい。」
「あ、時間的にもう夕方ぐらいだけど食事どうする?僕が作ろうか」
「え、作れるの?」
「作れるよ。というかいつも僕が朝昼晩のご飯作ってるんだけどね」
「…………霊夢はなにをやってんだか。」
「ははは」
ほんと、昼ぐらいは作ってほしいよ
「それじゃあお願いしようかしら。あ、でもうちの食材洋食に偏ってるけど……」
「うーん、たぶん大丈夫だと思う。最近習ってるしね」
最近は咲夜に和食を教える代わりに洋食を習ってるからね。咲夜が言うにはレギュラーなやつしか教えてないらしいけど。
「へぇ、そうなの。じゃあ上海と一緒に作ってちょうだい。一応この子もできるから」
「す、すごいね」
「ふふっ、まだまだよ」
と言いつつ滅茶苦茶ドヤ顔のアリス。やっぱり褒められて嬉しいんだろうな。
「よし、アリスも行ったことだし作るか!上海!」
「ホウラーイ」
「うっ、この!いつの間に着替えてたか!」
「ポンコツメ」
「くぅ、人形にしてやられるとこんなに悔しいのか!」
「バーカバーカ」
上海と蓬莱……ほんとに感情を持っていないのかな?
「んーと、どんなのがあるかなぁ」
うわ、結構な量の食材があるな。……あれ、そういえば前にパチュリーさんが魔法使いは寒さも感じなければ食事も必要はないとかいってたのにね。なんでだろう……気分かな?
「取り敢えずオムライスでも作るか!」
僕が咲夜に初めて習ってからずっと研究してきたやつだ。洋食のなかで一番得意料理だ!因みに和食のなかでは里芋の煮物が一番得意だ!
「ほうら……上海はなに作るの?」
「オムライス―」
「いや、それは僕が作るから」
「ジャアフクヲヌイデ」
「なんでだよ!まさか僕の服で料理するつもりなの!?いや、どんなのが出来るのかすこし気になるけど……」
「フッ」
「蓬莱も笑うな!……って僕はなにをしているんだ……人形にこんなムキになって」
「イマゴロキヅイタカ」
「ああもう、じゃあ上海は野菜をきって」
「シカタナイワネ」
ふぅ、漸く料理に取り掛かることができるようだ。
ーーー
それからいろいろ上海&蓬莱コンビとグダグダしながら作っていたら、アリスが作り終わるまで料理を作るのが遅れてしまった。まあ、遅くはなったけどアリスもそうとうつくるの早かったな。いってた時間よりも一時間早く仕上げたんだからね。
く、それでもこの二時間の間にあの人形コンビのせいで僕の心はボロボロだ……
しかも辺りはもう真っ暗だし、いつも食べる時間よりちょっと遅くなってしまったな。
「へぇ、オムライスね」
「二時間かけてじっくり作ったからたぶん味は大丈夫だよ!」
「あまり時間をかけて作るようなものじゃ無いと思うんだけど……」
まあ、こんな話をしながらちょっと遅いご飯を食べた。
うん、やっぱり美味しい!アリスも目を見開いて驚いてたし大成功のようだ。
そう満足しながら僕とアリスはオムライスを頬張った。
「はい、これ」
「おお! コートか! でも傍から見てみるとあまり温かそうに見えないね」
すこし薄いし……
「大丈夫よ、魔法をかけたから。完全保温だからそれ一枚着ているだけで吹雪すら耐えられるわ」
「へぇ、それはすごい。それじゃあ早速着て帰ろうかな」
取り敢えず今着ていた服(ちゃんと1着だけ)の上に着てみる。
「お、着心地が凄くいいよ、これ!」
「それはどうも、まあまあな自信作だしね」
「よし、それじゃあこれを着て帰るか。霊夢ももう帰ってる頃だし」
「そうね、じゃあまた今度」
「またね」
そういって僕はドアを開けた。ほう、これはすごい、全然寒くない!
「あれ?」
「ん、どうしたの?アリス」
なぜか後ろにいたアリスが疑問の声をあげた。
「雪が、降ってない」
「あ、本当だ」
「トオル、一回それ脱いでみて。私じゃ温度がどうなのかわからないから」
「え?あ、うんわかった。」
言われた通りコートを脱いでみる
「…………」
「どう?」
「寒く、ない」
「はあ、やっぱり。異変が解決されたということか」
「マジですか……」
「そのコート、来年まで使うことは無くなったわね」
「ハハ……」
「ドンマイ」
「ありがと、蓬莱」
「シャンハーイ」
「上海か……いい加減服を着替えたりして僕を錯乱させるのはやめて」
はあ、折角作ってもらえてテンションがあがってたのに……
「いっそのこと着たまま帰るか」
「汗だくになるからやめた方がいいわ」
「だよね……」
取り敢えず帰ろう。霊夢か魔理沙のどっちが異変を解決したか気になるし。
「んじゃね」
「はいはい、じゃあね」
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我が家でもある博麗神社に帰ってきたら霊夢と魔理沙、そして勝ち誇った顔をした咲夜がいた。
ちょっと待って。なんで咲夜が……まさか!
「咲夜……!!」
「なかなか手強い相手だったわ」
「いやぁ、今回は負けたぜ」
「まさか見つけたときにはもう解決されてたとはね、しょうがないしょうがない」
「……」
咲夜のおかげで僕がこれまで通りご飯を作ることになりました。
因みに炭火代をコートに使ったことを霊夢にバレ、怒られてしまった。
……うぅ、今日は厄日だ!
はい、上海&蓬莱は少しならアリスの命令なしで動ける設定です。
話は誰かが喋ったのを真似する感じです。