東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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15話 幽明の境の修理依頼

 

 

 ある日の休日、僕はとても優雅なひとときを過ごしていた。

 

「うーん、今日のは出来がいいぞ」

 

と、お茶を啜って感想をもらす。

 

今日は異変もなにもなくただただ純粋なお休み。そのチャンスを逃すまいと僕は朝から鈴奈庵に行ってきた。

そして現在昼に入ろうとしたとき帰ってきた。

 

でもなぜか霊夢がいなくなってた。…………まあ、『境を直させにいってくる』とちょっと意味のわからない書き置きを残していったからたぶん、この前のフランドールのときと同様、異変の残留を片付けにいったんだろう。地震で例えるなら余震みたいなものだね。

 

 

「この前の花見のせいでつい最近まで頭が痛かったけど今じゃ完全に治ったし本当にいい気分だー」

 

さてさて、早速お楽しみの読書タイムといきますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ス…………ス…………コトッ……ズズズ…………コトッ…………ス……

 

 

いっときの間この音が機械のごとく流れていく。

 

ページを開く音、お茶の入った湯呑みをとる音、お茶を啜る音、そして湯呑みを置く音。

 

このときの僕の妙なこだわりは、二ページ読むごとに口にほんの少しだけお茶を飲むところかな。

 

実際は煎餅もかじりたいところだけど残念ながらそうすると本が汚れてしまうので食べない。……というより今煎餅きらしてるし。

そう思っていると神社の入り口付近に声が聞こえてきた。

 

 

「おーい!霊夢、トオジ!しょうぶしにきてやったわよ!」

 

「霊夢~いるかー?」

 

「チルノちゃん、ルーミアちゃん、危ないから帰ろーよ……」

 

 

む、まさかトオルという名前を間違えられる日がこようとは…………

いやでもまてまて、今神社の入り口付近にはあのチルノと大妖精、そして聞いただけなら男心をくすぐる名前の『常闇』の妖怪ルーミアがいるのか。

 

ちょっとまって、チルノと大妖精は兎も角ルーミアは危なくない?

僕これまででルーミアに4回も食べられかけたんだけど……

まあ、全部逃げの一手で難を逃れてたけどさ

 

 

「いないのか?」

 

「ふん、どうせ私に恐れをなして逃げたのね!」

 

なんでチルノはあんなに自信家なんだろうか?

神社の入り口付近に近い襖の先で聞いてて思ったけど……チルノって実際そんなに強くないよね?勝てない僕が言うのもなんだけど。

 

「えー、折角久しぶりに人肉にありつけると思ったのに」

 

「こらこら!境内殺生禁止だよ!」

 

「あ、トオルさん……」

 

「トオジ!」

 

「肉!」

 

「あ、しまった」

 

思わずルーミアの物騒極まりない発言に注意をいれたら、居留守をしていることがばれてしまった。

 

 

「よし、トオジ!私と勝負よ」

 

「いや、トオルだから…………ってしないよ!?僕スペルカードなんて持ってないし!!」

 

「問答無用!」

 

「私も参加していい?」

 

「いいよ!」

 

「やったー!勝ったらおなかいっぱいご飯がたべられるー」

 

「いや、やらないっていってるでしょうが!」

 

 

ここは逃げるに限る!大丈夫、逃げることに関してだけは霊夢のお墨付きももらってるんだ。こんな窮地なんてどうってことない!

 

 

「うわ!?トオジが逃げ出した!」

 

「追いかけろー!」

 

「…………(トオルさん、ご無事で)」

 

 

なんだか大妖精から哀れみの言葉が聞こえた気がしたけど気のせいだろう。

取り敢えずここから逃げなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリス宅

 

 

「ということで来ました」

 

「……はぁ、妖精なんかから逃げてここまで来たの?」

 

「そうだよ」

 

「……哀れね、妖精ぐらい倒しなさいよ」

 

「ぐっ……いや、今回は分が悪かったんだよ」

 

「はいはい、言い訳はいいから……取り敢えずあがって」

 

「お、色々いっておきながら結局はあげてくれるんだね。やっぱりやっさしー!アリス!」

 

 

  バタンッ

 

「ごめん!アリス!口答えしないから開けて!」

 

「………次私をおちょくったらただじゃおかないから」

 

 

ふぅ、なんとか閉め出されずに済んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「追いかけられたにもかかわらず本はちゃんともってきてるのね」

 

「ふふ、僕をなめちゃ困るよ、アリス。こう見えて逃げる事に関しては誰にも負ける気がしないよ」

 

「そんなことで張り合おうとするやつなんていないわよ」

 

「はは、それもそうだね…………ってアリスも本を読むの?」

 

「ええ、グリモワール……あ、魔導書のことね。それでちょっと調べものをしようかと」

 

「へ、へぇ。だからそんなに分厚いんだね」

 

僕が持ってきた本もまあまあ分厚いけどあれはその本の4つ分はある。

うむ、あれがストーリー構成のついたやつなら喜んで読みたいところだね!

 

「上海。お茶持ってきて」 

 

「シャンハーイ」

 

「(あれが上海、青い服が上海だな……次こそは間違えないぞ!)」

 

 

 

 

 

 

「お、もうきた。早いね」

 

「ふふっ、そんなことはないわよ」

 

といいつつどこか誇らしげのアリス。

 

……よし、お茶がきたぞ。持ってきたのは赤い服だから…………蓬莱だぁ!!

 

「ふふふふ、ありがとね『蓬莱』」

 

「シャンハーイ」

 

「な?!?」

 

い、いつの間に着替えてたのかこの人形ぅ!?

なんで?この人形コンビは僕を弄んでそんなに楽しいか!?

しかもなんかよくみると上海が僕を見て薄ら笑いみたいな感じで見ている気がする!

 

 

「ねぇ、アリス。」

 

「なに?」

 

「ほんっとーーに上海と蓬莱って感情を持ってないの?」

 

「ええ、そこは今研究中よ。いつか必ず自立人形を作って見せるわ」

 

「あ、うん。頑張って」

 

もう完成してるような気もしないでもないんだけどね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕暮れ時になるまで僕とアリスは本に没頭した。

 

 

「さ、そろそろ帰るよ。じゃあね、アリス」

 

「ん、じゃあね」

 

 

と、短い挨拶と共に僕はアリスの家をでた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 博麗神社

 

 

「あら、遅かったわね、トオル。女でも出来た?」

 

「あれ?紫姐さん?!」

 

 

帰ってくればボロボロになった紫姐さんと霊夢と魔理沙、そして久々にみる藍さんと橙がいた。因みに藍さんと橙もボロボロだ…………って二人とも寝てるよ。そんなに疲れてたのか。あ、そういえば紫姐さんが寝ている間、特に冬は藍さんが仕事を全て任されるらしいんだったよね……今回の長い冬のこともあったから疲労がたまってたのかもしれない……

 

 

「なんで三人ともボロボロなの……?」

 

「霊夢の成長を直で感じられたわ」

 

「つまり霊夢にやられたと」

 

 

と、僕は霊夢の方を向いてみる

 

「仕方ないじゃない。幽明の境をいつまでも直さないで寝てるのがいけないのよ」

 

「幽明の境って?」

 

「冥界とここの境の事よ。この前私が寝ている間に幽々子が異変を起こしたときに破られていたのよ」

 

なんと、恐ろしいことで……

 

「で、結局それは直ったの?」

 

「それがねぇ。霊夢とそこの白黒の魔法使いと戦ってたら境界が曖昧になっちゃったのよ」

 

「え、大丈夫なの?」

 

「まあ、ちょっとしかないから別に問題ないわ…………とそんなことよりトオル」

 

「ん?」

 

「私達貴方を待っていたの、なんでだと思う?」

 

「……あーはいはい。作りますよ」

 

「トオルぅ、早く作ってくれぇ朝からなにも食べてなかったんだぁ~……」

 

「うわ!?魔理沙!」

 

寝ている藍さんと橙は兎も角さっきから全然喋らなかったから完全に魔理沙の存在を忘れていた……ごめん。

 

 

「さて、今日は里芋の煮物(全然旬じゃない)でも作ろうかな!」

 

「お、やったー!トオルの里芋の煮物大好きなんだ!」

 

「へぇ、それは食べてみたいわね」

 

「あれ?トオル。里芋あったっけ?」

 

「チッチッチッ。霊夢、ちゃんと僕専用保管庫があるんだよ」

 

「へぇ、それはいいこと聞いたわ」

 

「あ」

 

またやっちゃったよ……

 

 

このあと途中で起きた藍さんと一緒に夕飯を作った。

うん、藍さんのお陰で里芋の煮物以外にも色々なおかずを作ることができた。

 

そして橙を起こしてかなり久しぶりに紫姐さんたちと一緒にご飯を食べた。いやぁ、ほんとにかなり久しぶりだなぁ。博麗神社にきてから一度も一緒に食べてなかったから昔のことを思い出したりもして懐かしい気分だ。

 

 

やっぱりみんなで食べた方が美味しいよね!

 

 

 

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