五月も終わり、暑くなり始める六月に入った。
そして当然のことながら博麗神社の周辺に満開に咲いていた桜は全て散っていった。……まあ、この前の異変のこともあったし当然か。
「やっぱり時期も遅かったしすぐに桜散ったわねぇ」
「まあ、風情があっていいんじゃない?」
「確かにそうだけど……はあ、つかれたわ」
「うん、確かに疲れた。でも毎年やってるんだからいい加減慣れたよ」
そう、今日は散った桜の掃除だ。これは毎年のようにやっているので慣れはしたんだけど、ただただめんどくさいんだよなぁ……
霊夢もそれは同じようで気だるそうな顔をしながら境内へと続く階段辺りを掃除している。
「こういうときに限って魔理沙は来ないのよね」
「魔理沙はこういう事に対しては敏感だからなぁ」
流石に二人だけじゃ昼時までに終わりそうにないな。魔理沙は来る気配がしないし……
そうおもいながらせっせと箒で桜を目立たない方へ集めていく。
はあ、階段の方はもう終わってるけどあとこの前花見をやったところまで掃かなきゃいけないなぁ、来年の花見のためにもね!
1時間ちょっと過ぎたあたり
「はあ~終わったぁー!」
「ふぅ、結局魔理沙のやつ来なかったわね」
「まあまあ、仕方ないよ。それじゃあちょっと遅いけど昼ごはんにしようか!」
「ええ、そうね。」
「まあ、おにぎりと朝の残りの味噌汁ぐらいだよ」
「…………もう食べられるならなんでもいいわ」
「いただきます」
「はい、いただきます」
即席で作ったおにぎりとお味噌汁。これがなかなかあうんだよね。
因みにおにぎりの中身は梅、旬じゃないけど高菜、あと塩と沢庵ぐらい。
ちょっと作りすぎたかなぁ……
そう思いつつもおにぎりを頬張る。
……うん、やっぱり動いた後に食べるのは格別だ。
「あら、その米を丸めたものはなにかしら」
「へぇ、珍しいね」
「げっ、レミリア…………とフランドール!?」
縁側で霊夢とおにぎりを食べていたら、まさかの吸血鬼姉妹が日傘をさして降りてきた。
レミリアは兎も角フランドールが外に出るなんて始めてみた……
「なんであんたらがいんのよ。さっさとあの薄気味悪い館に帰れ」
と、不機嫌なのを隠そうともせず霊夢が吸血鬼姉妹にそう言いはなつ。
僕が同じことを言ったら一瞬で殺されそうだ。
「なによ、久しぶりに遊びに来てやったというのに」
「ねぇ、この丸いお米食べていい、トオル?」
「ん?ああ、いいよフランドール。でも口に合うかどうかはわかんないよ?」
「それは食べてから決めるよ!」
そうフランドールが言ったあと、おにぎりをあむっと声を出しながら食べた。
「」モグモグ
「どう、フラン。その丸い米の味は?」
「うっ!?」モグッ
「フラン!?」
「ほのはへのひふっは~ひ……(この種の実すっぱ~い……)」モグモグ
「ははは、それは梅っていって酸っぱいけどご飯と合うんだよ」
「……私には理解できないわ」
「それは好きって言う人もいれば嫌いって言う人もいるけどさ」
「少なくても私は好きよ。梅」
ゴックン「うん、私も嫌いじゃないかな、これ」
「え?フランドール、種ごと食べたの?!」
「?なんか少し噛んだら砕けちゃったからもういいかなぁって思って食べちゃったよ」
やはり吸血鬼、顎の力も並大抵のものじゃないな。
このあと物欲しそうなレミリアにもおにぎりをあげたりして昼ごはんを食べ終えた。
「それで、あんたら何しに来たのよ」
と、食後のお茶を啜りながらレミリアに言う
「なにって、フランが初めて外に出るなんて言ったからここに来たのよ」
「ここ以外にもあったでしょ……」
「ここ以外適した所はないわ」
「あるわ!」
ふむふむ、現在霊夢とレミリアは漫才中っと。
「次、トオルの番だよ」
「おっと、次は僕か…………あれ?もう黒がほとんど無いんだけど」
そして僕とフランは最近よくやるオセロをしていた。
これまでの戦績でいうと1勝99負。そして今記念すべき100負がほぼ確定した。
「トオルってほんと弱いよねぇ」
「いつもあとちょっとなんだけどなぁ」
「いや、いつも結構な惨敗してるじゃん」
「ありゃ、そうだったっけ?」
僕の記憶ではいつも激戦の末、卓上を真っ白に染められてるんだよね。…………あ、それを惨敗というのか。
「はあ、それにしてもなにかないの?なんか心踊るものとか、刺激的なのとか」
「んなもんないわよ。神社になに求めてんのよ、アンタ」
「はあ、これじゃあ骨折り損のくたびれ儲けだわ」
「でもやっぱり昼より夜に外出するべきだったね、お姉様。これじゃあお外を自由に動き回れないもん」
「そうねぇ、そろそろ寝る時間も戻そうかしら?」
「その方がいいわ。そっちの方が平和で済む」
まあ、生活リズムは人それぞれだしね。こういうのはあまり口出ししない方がいい。
取り敢えずそれよりも__
「んじゃフランドール!もう一回勝負だ!」
「いいよ!またコテンパンにしてあげる!」
よし、次は白を黒で侵食しつくしてやる!
「フランも大人しくなったわね。皮肉にも元人間風船兼ネチネチ男のお陰で」
「私の弟をなめない方がいいわ」
「……でね、気になったことがあるんだけど」
「ん、なにかあるの?」
「実はフラン、あいつを壊そうとしたことがあるらしいの」
「!?」
「だけど壊れなかったってさ、不思議なことに。手を握るだけでどんなものでも壊してしまう忌々しき能力を受け付けなかったらしいの、あいつ」
「…………へぇ、そうなの」
「これは普通ではあり得ないことだわ。これまでフランに壊せなかった物なんてなかった」
「で、アンタは何が言いたいの?」
「なにか知らない?」
「知らないわ。…………でも」
「でも?」
「それがトオルの『能力』だったとしたら納得がいくかもしれないわね」
「姉なのに弟の能力を知らないの?」
「そんなの、調べたこともないからわからないわよ。しかも当の本人ですら曖昧らしいからね」
「……まあ、ただのちょっとした疑問だっただけだし別にいいわ。…………兎に角あいつの『能力』お陰でフランが狂気に触れることはかなり少なくなったわ。
ありがとう、て伝えておいて頂戴」
「そんなの自分で言いなさいよ」
「あいつに直接言うと癪に障るのよ」
「はいはい」
「うわぁぁ!負けたぁ!」
「ほんとトオル弱いね」
「いや、でも今回は黒石が5つ”も″残ってるよ!」
「5つ”しか″、の間違いじゃなくて?」
「僕にしては大きな進歩さ!」
卓上を完全に白に染められるよりかは大分マシだ!
……自分でいって悲しくなるね、これ。
「さ、フラン。帰るわよ。咲夜にいつまでも紅魔館を任せっきりにしておくのもかわいそうだし」
「そうだね、姉様!」
「ん、もう帰るの?」
「ええ、それじゃあね。霊夢と元人間風船兼ネチネチ男、」
「元人間風船兼ネチネチ男!?!」
滅茶苦茶不名誉なあだ名をつけられていたよ
「じゃあね!トオル、霊夢!」
「じゃあね~フランドール」
「じゃあ、二度と来ないでね、吸血鬼姉妹」
「ククッ、また来るわ」
そういってレミリアとフランドールはまた日傘をさして飛んでいった。
「はあ、ただでさえ掃除で疲れてたってのに余計疲れたわ」
「ん、まあ、僕は楽しかったから良いけどね」
「あ、そうそう。トオル、レミリアのやつがあんたに『ありがとう』だってよ」
「え!?何に対して!?!」
まさか、この前図書館でつい寝てしまってたときの血を吸われてたとか?
「なんか勘違いしているようだけど、たぶん今トオルが思っていることじゃないことはわかるわ」
「へ、へぇ、そうなんだ」
なんで霊夢今僕が考えてた事がわかったんだ!?
「姉だから当然でしょ」
「!?」
ま、また読まれた!?
やはり姉は弟の考えなんて全てお見通しとでも言うのだろうか?
この日、霊夢にたいしての関心が少しだけ変わったね。
タイトルで掃除回だとおもいましたか?
残念、吸血鬼姉妹の回でした。
……はい、実はおもったより掃除がすぐ終わらせてしまったので暖めてたネタをつかいました。
さてさて、トオルの能力はいつ出るのやら