「お疲れ様でした」
「はーい、気を付けて帰れよー」
いつものうどん屋での仕事が終わり店長と先輩店員の人にあいさつをして店からでる。
いつもは夕方の5時ぐらいにあがるけど今日は高熱がでたため昼前にあがらせてもらうことになった。
因みに去年慧音先生の話し合いという名の説教を受けた店長はそれ以来、仕事中の居眠りが無くなり、ちゃんと仕事をするようになり、作業効率が前よりも上がった。
「ふぅ、今日は安静にしておこう」
う~ん、頭が痛い。早く帰って布団に入りたいなぁ……
「ん、あ!トオルくん」
「え?……ああ小鈴ちゃんか」
帰ろうとしたら後ろから小鈴ちゃんがきた。姿から見ると買い物中のようだ。
うーん、今は知り合いには会いたくないんだよなぁ。
「丁度トオルくんに用事があったのよ。……とそれより仕事どうしたの?」
「ん、ああ、早退したよ。ちょっと熱が出てね……」
「え?!……あ、本当だ。よく見たらトオルくんの顔が赤い」
「うん……それで用事って?」
「あーうん、実は最近ここの人里の周辺で不穏な動きをしている妖怪がいるらしいから霊夢さんに伝えておいてほしかったんどけど……」
「わかった。伝えとくよ……」
「トオルくん、ほんとに大丈夫?私の家で良かったら休んでいってもいいよ?」
「いや、大丈夫だよ。家までそんなに時間かからないしね」
空飛ぶしね
「……そう、わかった。じゃあ気を付けてね。……良かったらこれ」
と、買い物袋から小鈴ちゃんがリンゴを取り出して僕に渡した。
「ありがと。今度お礼するよ」
「いいよいいよ。困ったときはお互い様だし」
「うん」
ほんとにありがたい。リンゴは熱に効くっていうしね…………あれ?違った。リンゴは風邪に効くんだった。
「それじゃあ」
「うん、じゃあね」
さて、それじゃあ早速帰ろうかな。
「おー!トオル、久しぶり!」
「じゃあね」
「おいおいまてよ!それは流石に酷いって!」
帰ろうと人里の出入口に向かっていたら寺子屋にいた頃の友人に出くわした。
名前は御崎 茂。寺子屋の中では成績は優秀だけどどこか抜けたところのあったり、無駄に声がでかい奴だ。
いつもなら会ったら少し駄弁ったりするけど今回は違う。熱が出てるんだ。そして茂の声は無駄に頭に響くから余計頭が痛くなる。
「今日は熱があるからきついの。できれば早く帰りたい」
「お!?熱があんのか!わかった!俺ん家で休んでけ!!」
「その心遣いだけ受け取っておくよ。ありがと」
「なんだ、来ないのか。ならしかたない。慧音先生のところで休ませるか」
「いや、だから家に帰るからいいって」
「お前は馬鹿か!友達が弱っている中、妖怪が蔓延る人里の外に出歩かせる訳にはいかないだろ!!」
「茂……」
そんなことを思っててくれたのか。友人としてここまで喜ばしいことはない。…………だけど今の声のせいで頭が滅茶苦茶痛くなった。
「茂の言いたいことがわかった。でも人に迷惑はかけられないし……それに家に帰った方が落ち着くんだ」
「ほらほら、そんな我儘なんていいから来いって」
茂が僕の手を引っ張ってくる。
あーもう!心配してくれるのはありがたいけど今はそれは必要ないって!
「じゃあね!」
「あ、こら降りてこい!」
茂の手をはねのけ、一気に空に飛んだ。
ごめん茂。
「またね!今度会ったら団子おごってあげるから!」
その言葉とともに僕は神社へ向かった。
「ヒヒヒヒヒ、人里へ襲撃する前の前祝いだ!こいつを食おうぜ、野郎共!」
「何てこった……」
こんな日に限って小鈴ちゃんが言ってたであろう妖怪の群れに出くわすなんて…………なんか危険そうだったけど遠回りは面倒だからと思ってそのままむかったのがいけなかったのかな?自分の危機察知能力を無視したのがいけなかった……
しかも飛んでいるところを急に襲われて、避けたところが地面だったから体を思いっきり打ち付けてしまった。……物凄く体が痛い。そして熱のせいで意識も朦朧としてきた……
「こいつ、弱りかけだぜ兄貴!」
「はん、こりゃ好都合だ。手間が省けたぜ!」
「くっ……」
意識が飛びそうなのを我慢して逃走に図ってみる。
「あ、逃げやがった!」
「馬鹿が、人間が妖怪である俺らから逃げられると思ってんのか」
そう、人間と妖怪とじゃ馬力が違う。
でも妖怪達は動こうとしない、なんでだろうか?でも動いてこないなら好都合だ。今のうちににげ…………
「ぎゃ?!」
逃げよう思ったら背中に激痛が走り、その場に倒れてしまった。これは…………妖弾か!
フランドールのと比べると威力は弱いけど今の僕には効果覿面らしい。
もう体が動かない。
「うっ……」
くそ、茂の言う通りに今日は人里に留まっておけばよかった。
もう意識が持ちそうにない。
と、薄れ行く視界には小鈴ちゃんからもらったリンゴがあった。
……ポケットから出たのかな?
「リンゴ、無駄にしちゃうなぁ……」
ズサッズサッと妖怪達の足音が此方に向かってきている。このまま食べられるのかな
もう、終わり、か……
そして意識を手放そうとした刹那、ある聞き覚えのある声が聞こえた。
「あんたら、許さない」
「ん、ここは……」
意識が覚醒し、目を開けるといつも朝見る天井が見えた。ここは……僕の部屋?
そして頭には濡れたタオルがあった。
「いつつ……」
起き上がると背中が痛んだ。
「あ……布団の中にいたから夢かと一瞬思ったけど…………やっぱりあれは現実か」
ならなんで僕は生きてるんだ?
「あら、起きてきたの?熱はどう?」
考え事をしていると霊夢が襖を開けて入ってきた。
「あ、霊夢。うん、大部楽になったよ」
「そう、よかった。魔理沙のキノコが役に立ったわ」
もしかして霊夢が助けてくれたのかな。いや、霊夢だ。気絶する瞬間聞こえた声は声のトーンはかなり低かったけど一緒に暮らしている僕にはわかる。
「霊夢」
「ん、なに?」
「ありがとう、僕は最高の姉を持って幸せだよ」
「な、!?きゅ、急にどうしたのよ!?気持ち悪い!」
「ええ?折角褒めてあげたのに!?」
「……まあ、ありがたくその褒め言葉貰っとくわ。兎に角怪我してんだから明日は仕事休みなさいよ」
「うん、そうだね。」
「んじゃ、タオル取り替えるから……ってもう必要ないわね。それじゃあ片付けにいくから」
「ん、わかった」
と、霊夢はそそくさと僕の部屋から出ていった。
うん、わかってる。霊夢はこういう感じ、好きじゃないからなぁ。話題を早々と変えたのもその場の空気を消すためだってわかってる。
ほんと、頼りになる姉を持ったよ。
3日後
やっぱり僕を襲った妖怪の群れは小鈴ちゃんが言ってた妖怪達だったようだ。そして霊夢がそいつらを退治したおかげで、人里の中で妖怪がどうこうという不安を煽るような話題はひとまず無くなった。
そして、茂についてだけど
「ほら!やっぱり俺のいった通りにしておけばよかったんだ!」
と言われながら殴られました。うん、反省してる。ちゃんと友人の忠告に耳を貸すべきでした。
あと慧音先生にも滅茶苦茶説教された。ざっと三時間ぐらい。……確かに反省はしてるけど仕事中に押し入って来てその場での説教はやめてほしいです、慧音先生。
他の人からも怒られたり心配されたりもした。皆僕のこと心配してくれてるんだなぁ。ほんと、ここまで嬉しいと思ったことはないね。
あ、別に怒られるのが嬉しいとかじゃないからね?
怒ってくれるほど心配してくれてるという気持ちにたいして嬉しいというだけだから!
「こら、人の話を聞きなさい!」
「はい、すいません。慧音先生……」
うん、さっき三時間とか言ったけど今も実は慧音先生のありがたいお説教は続いてます。
流石に足の感覚が麻痺してきた……
はい、霊夢を姉らしくさせようとしたらなんかシリアスな感じになりましたね。
魔理沙についてですが今回は出ていませんが一応間接的にはでています。トオルに熱がでたと言うことで熱に効くキノコをもってきたり背中に塗る、塗り薬を持ってきたりと……
あと、御崎くんでましたね。生還録でほんのちょっとしかでなかったオリキャラ。
性格は大部分変えてますが笑