東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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18話 八雲紫の能力調査報告書

 

 

  ~八雲家~

 

 

「藍、ついに解ったわ」

 

「なにがわかったのですか?」

 

「トオルの能力よ!」

 

「え!? トオルに能力なんてあったんですか?」

 

 

 藍が驚くのも無理はない。私自身、これまでトオルに能力があるのかどうか疑問だった。だけれど、あの吸血鬼___レミリアといったかしら?___の無茶振りで行われた霊夢との模擬戦。あれで確信がついた。トオルにはなにかしらの能力があると……!

 そしてついに能力の概要が見えてきたというわけ。

 

 

「まあ、これについては今も縁側でお茶を啜っている霊夢を含めて説明してあげるわ」

 

「は、はい、わかりました」

 

 

 そう藍が発言したと同時に、私と藍は隙間を出してその中に吸い込まれるように中へと入っていく。

 ついでにいうけど、藍は私の式なので一応隙間を使えるようにしてある。お陰で最近ではお仕置きで隙間の中に閉じ込めるのが一苦労になってきたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ーーー

 

 

 ~博麗神社~

 

 

「で、急に私の頭から落ちてきたことに関してなにか言いたいことはある?」

 

「ふふ、ちょっとした冗談よ」

 

「あんたのせいでお茶がこぼれたじゃない! おかげでびしょ濡れよ!!」

 

「まあまあ霊夢、そんなに怒らなくてもいいじゃないか」

 

「あんたは黙ってて!」

 

 

 ちょっとおふざけで霊夢の上から落ちたら怒らせてしまったわ。……でも怒っている霊夢も可愛らしいからアリね

 

 

「はあ、取り敢えず着替えてくる。あっ、絶対に覗かないでね」

 

「ふふ、いつも見ているから心配しなさんな」

 

「いまここで妖怪退治をしなければならなくなったわ」

 

「冗談よ……」

 

 

 冗談でいったつもりが本気にとられたとようでどこからか取り出したか(ちょっと濡れてる)御札を此方に構えてきた。

 それ、なかなか痛いから勘弁してほしいのだけれど。

 

 

「んじゃ、そこで大人しく待ってなさい。帰っても一向に構わないわよ」

 

「中には入れてくれないの?」

 

「着替えるまで待ってなさい」

 

「用心深いのね」

 

 

 さっきの冗談のせいで外で待つ羽目になったわ……トオルなら普通にいれてくれるというのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、ここに来て何の用なの? トオルなら今居ないわよ」

 

「知ってるわ。勿論用事があってここに来たわ」

 

「ふーん、何の?」

 

「トオルの能力についてよ」

 

 

 霊夢が着替え終え、漸く居間にあげてもらったあと、霊夢がここに来た理由を聞いてきた。まあ、当然トオルのことだけども。

 

 

「へぇ、それは私も気になってたわ。」

 

「あら、やっぱり貴女も気付いてたのね」

 

「それはいいんだが……霊夢、なんで客人である私が茶を淹れているんだ?」

 

「私は妖怪を客人と思ったことはないわ」

 

「……はぁ」

 

「取り敢えず藍、話が進まなくなるから一時の間黙っていなさい」

 

「はい、わかりました。紫様」

 

 

「それで? トオルの能力ってなんなの?」

 

「まあ、そんな焦らなくてもいいわ。まずは復習よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが今回の件についてまとめたレポート」

 

「なんでいちいち紙に書いたのよ、さっさと教えてくれれば済む話じゃない」

 

「それじゃあ面白くないじゃない」

 

「時間の無駄ですよ、紫様。このあとも仕事が残っているんですから」

 

「藍、さっき私はなんといったかしら?」

 

「……はい、すいません」

 

 

 ふぅ、今仕事の話をしてほしくなかったからついキツく言ってしまったわ。

 

 そんなことをしているうちに霊夢が私が書いたレポートに目を通し始めた。

 因みに私が書いたレポートの概要はこんな感じになっている。

 

 

 

  トオル能力調査報告書

 

 

 私がトオルの能力について興味を持ったため今回のレポートに記載することにする。

 

 

 ○月×日

 

 あの幼女吸血鬼の策略により私の可愛い霊夢とトオルが戦う羽目に。

 結果的には双方傷つかずに済んだが、内心私の心臓はバクバクだった。…………吸血鬼め、後で目にもの見せてくれる。

 

 

「なにが私の可愛いよ、私とトオルはあんたの物なんかじゃないんだからね。ていうかこれ、レポートにしては雑すぎない?」

 

「まあまあ、そんなことは気になさんな。纏めるも何も思ったことそのまま書き綴っただけなんだし」

 

「……なんでそれを見せるのよ」

 

 

 

 ○月△日

 

 私が観察をしているとき、なぜかトオルがいつものコースではなく遠回りをして人里に向かっていった。何故いちいち遠回りをしているのだろうと気になり、いつものコースを隙間を通じて見てみると、妖怪の群れを発見した。

 もしかしてトオルはこの事がわかって遠回りをしたというのだろうか。

 しかし、トオルはそこを調べようとしている素振りを微塵に見せてはいなかった。

 もしかするとそういう系の能力なのかもしれない。

 

 

 

「こういうのはよくあるわ。前にトオルと散歩に行ったときも、『あっちの道はなんか嫌な感じがする』とかいって散歩ルートを変えたりするし」

 

「やっぱりね」

 

 

 霊夢の今の一言で確信が深まった。

 

 

 

 

 ○月▽日

 

 不覚だった。私が観察を怠った日に限ってトオルがあの妖怪の群れに襲われるとは……

 幸い霊夢によって事なきを得たが……

 取り敢えずあの妖怪の群れどもを八つ裂きにした。 

 そして今回の件で私が予測していたトオルの能力について矛盾点が発生した。私はトオルの能力は『危険なことから避ける』事に特化した能力を考えていたのだが、今回、それにも関わらずトオルは妖怪に襲われてしまった。

 もしかしたらトオルはその時、高熱を出していたのでそれのせいで能力が正常に作動しなかった可能性があるといえる。

 

 

「あ、これについてはトオルから聞いたわ」

 

「ん、どんなことを?」

 

「トオル、あのとき危険だとわかっててわざと行ったらしいわよ。なんでも熱のせいで遠回りすることを面倒がったとか」

 

「そう、てことは別に熱だろうがなんだろうが能力に支障はないということね」

 

 

 ○月□日

 

 ここ1ヶ月の間観察をしてきてほぼ確信に変わった。この観察をしていないときにも霊夢と吸血鬼との会話(吸血鬼の妹がトオルに対して能力を使用したときのこと)を盗み聞きしたのも合わせるとトオルの能力には相手の能力の干渉すら避けられるということ…………

 

 

「ちょっとまちなさい。なに人の会話を盗み聞きしてんのよ」

 

「別にいいじゃない、減るもんじゃないんだし」

 

 

 

 今回の観察からトオルの能力は大体予想できた。

 実際能力の名前などについては自己申告制なのだけれど私がつけさせて貰うわ____

 

『ありとあらゆるものを避ける』程度の能力。

 

 まあ、そのままね、取り敢えず今回の報告書は完了とする。

 

 

 

 

 

 

「『ありとあらゆるものを避ける』程度の能力……」

 

「名前の通り、トオルが意識しているとき、あらゆる障害もトオルには逃げることができるわ。まあ、それもトオルの体力が持つ限りの話だけど」 

 

「なんだか似つかわしくないわね」

 

「さすが紫様、仕事をここ1ヶ月ろくにしなかっただけはありますね。尊敬します」

 

「藍、それは褒めているんじゃなく皮肉よ」

 

 

 とにかく、トオルの能力はこんな感じね。

 

 

 

 

 まあ、私がトオルの能力に『ありとあらゆる』とつけたのは、もっと他の理由があったからなのだけれどね。

 

 

 

 

「それじゃあ最後の確認としてここらいったいに罠をはりましょう」

 

「そうね、確認のため、ね」

 

「なにかよからぬ予感がします……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トオル視点・帰宅中

 

 

「なんだろう、今家に帰るととんでもないことが起きそうな気がする」

 

「なんだよトオル、そんなに俺を家に招待したくないのかよ」

 

「いや、そう言うんじゃないけどさ」

 

 

 今は昼頃、今日休みだった僕は人里でブラブラしていると茂と会った。そしてなぜか僕ん家に行きたいと言われたので茂をおんぶして神社へ向かっている途中だ。

 

 

「いやぁ、空ってこんなに気持ちいいんだなぁ」

 

「それ、僕も初めて飛んだとき思ったよ」

 

 

 そんな他愛もない会話をしていたら神社へとたどり着いた。

 

 

「へえ、結構普通なんだな」

 

「そうでしょ」

 

 

 いつもいるというのになぜか今回は嫌な感じがするんだよなぁ……

 

 

 

「そこの神社の後ろのがお前ん家か?」

 

「ああ、そうだけど……今はいかないほうが」

 

「なんだよそれ、さきいくぞ!」

 

「あ、ちょっとま…………」

 

 

  ____ボスッ

 

 

「え?」

 

 母屋へ向かう茂を追いかけようとしたその時、前にいたはずの茂が姿を消した。そして地面には大きな穴が………落とし穴? なんで落とし穴がこんなところに。

 

「おーい、助けてくれよー」 

 

「あ、ごめんごめん」

 

 

 考え事して茂のことを忘れていた。

 

 

「たく、なんでこんなところに落とし穴が」

 

「そんなの僕に聞かれてもわかんないよ…………うわっ!?」

 

「ぐへ!??!」ドカンッ、ドスゥ

 

 

 次はどこからかタライが落ちてきた。なんで!?

 そしてそれを避けたら茂の頭にタライが命中、また穴の奥へと落ちていった。

 

「な、なんなんだよ一体……」

 

「僕にもなにがなんだか」

 

 

 と、茂の手を引いて落とし穴から引き上げようとした瞬間

 

 

「え? うわ、ちょ」

 

「うわぁぁ!?!」

 

 

 霊夢のであろう陰陽玉が飛んできた。それを慌てて避けたけど茂を引いてた手を離してしまい、また茂を落とし穴の中へ落としてしまった。ごめん、茂……

 

 

「やっぱり、私の予想は間違っていなかったわ」

 

 

 と、隙間から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 

「紫姐さん!姐さんの仕業か!」

 

「まあまあ、取り敢えず落ち着きなさい」

 

「訳もわからず攻撃されて落ち着いてられると思う?!」

 

「貴方の能力について分かったの。今のはそれについての確証実験よ」

 

「____えっ」

 

 

 僕の____能力? 人外や霊夢がよく~程度のーとか言うあれ? あれが僕にも……!?

 

 

「うそ! ほんとに!?」

 

「そんなに焦らなくても教えてあげるわ。兎に角居間へいらっしゃい」

 

「わかった!」

 

 

 僕に能力なんてあったんだ! 自分でもなにかあるんじゃないかなぁなんて考えてはいたけどまさか本当にあっただなんて。

 いやぁ、楽しみだなぁ。いったいどんな能力なんだろう。

 

 と、なにか忘れている気がしたけど、そんなことよりも能力について気になっていたので構わず居間へと向かう僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、トオルー。助けてくれよー」

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