東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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今回は魔理沙視点からです


23話 無駄に多い宴会日和(最終日)

 

 

「うーん、見つからないなぁ」

 

 

 私は今、悩んでいる。先日の宴会を楽しんだ次の日、異変解決に一役買ったんだが、未だに異変の元凶には出会えていない。

 

 そしてついに今日、宴会がある日になってしまった。

 

 くそ、一日で終わらせるつもりだったのになぁ。

 

 

「ということで霊夢、あとはお前ぐらいしか犯人はいないんだ」

 

 もう殆どの連中をぶっ飛ばしたけど誰も犯人ではなかった。お陰でもう誰が元凶なのかわからなくなった。なのでダメもとで昼過ぎに霊夢のいる博麗神社へきている。

 

 

「ということでって何よ……犯人なわけないでしょ。第一私妖気なんて出せないし。」

 

「わからないぜ?巫女だからな」

 

「あんた、巫女の存在をなんだと思ってんの?」

 

「ん、なにいってんだ。暴力的で理不尽な面倒くさがりな存在に決まってんだろ?あ、あと食い意地がはってる」

 

「あんた、覚悟しなさい……ついでに私に喧嘩を吹っ掛けてくるってことはあんたが犯人で間違いないわね」

 

「ほら、理不尽じゃないか」

 

「うるさい。犯人」

 

「へへ、犯人かどうかは勝ったやつが決めることだぜ!」

 

 

 実際異変解決の同業者である霊夢が今回の異変の首謀者である可能性はかなり低い。

 でもやるしかないか。もう手当たり次第ぶっとばして残りは霊夢ぐらいしかいないしな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、私が負けるなんて」

 

「修行不足だぜ、出直してきな!」

 

 

 ふぅ、久しぶりに霊夢に勝ったぜ。

 ここ最近は負けっぱなしだったからな、気持ちがいい。

 

「んーでも犯人では無さそうだな。神社周辺の妖気が消えてない」

 

「当たり前でしょ、人間に妖力を出せるわけないじゃない」

 

「にん……げん?」

 

「よし、いい度胸ね。2ラウンド目始めましょうか」

 

「おいおい、敗者は大人しくしておいてくれよ。頼むから」

 

「はあ、……こっちは戦ってる余裕なんてないのに……」

 

「ん、らしくないこというな。何かあったのか?」

 

 

 すぐにでも犯人探しに行きたいが生憎手がかりがてんでない。

 なので霊夢がここ最近なにがあったか聞いてもいいだろう。

 あの霊夢が戦う気がおきないなんて珍しいし……

 それになにか手がかりが見つかるかもしれないしな。

 

 

「あんたにこんなこといってどうかなるとは思えないけど……

 私が異変解決に行ったあと、トオルの行方が分からなくなったのよ」

 

「え?!それは一大事じゃないのか?」

 

「私も最初はそう思ったんだけど……あの過保護にも近い紫が何もしてないってことはトオルに危険が及んでいる可能性は低いってことだし。」

 

「そりゃあれだ。いつも我儘な霊夢に嫌気が差して逃げ出したんじゃないか?」

 

「もしそれが事実ならあの妙に律儀なトオルなら手紙の1つでも残していってる筈よ」

 

「うーむ、それは確かにそうだな」

 

 

 これまでトオルが家出したとか一度もなかったしな……て、待てよ。霊夢が異変解決に行ったあとからいなくなったってことか?

 

 

「なあ、霊夢。もしかして……」

 

「ええ、そうよ。だから私も頭抱えてんのよ……

 

 おそらくトオルは今回の異変の片棒を担いでいる可能性が高いわ」

 

 

 やはり霊夢もわかってたか。だから戦っているとき動きが鈍かったんだな。そりゃあ家族が犯人だなんてわかったら戦いに集中できないわな。

 

 

「でもそれじゃあトオルはどこにいるんだ?」

 

「わからない。ていうかあんたもトオルの居場所を知らなかったの?」

 

「知るわけがない」

 

「はあ、あんたを倒した後にトオルの居場所を突き止めてボコって犯人を聞き出す作戦が失敗したわ」

 

「なんて非道な作戦だ……というより別に家族だからとかでやっつけないとかではないのか。……てことはなんで霊夢の動きが鈍かったんだ?」

 

「あら、やっぱり鈍かったのね。」

 

「?」

 

「実はトオルがいないせいで買い物する人がいなくてねぇ。それで全然使って無かったもんを仕方なく食べたせんだけど……その背いで朝からお腹の調子が悪いのよ」

 

「ほんと、食い意地がはってるなぁ」

 

「う、……思い出したらまたお腹が痛くなってきた!」ダッ

 

「あ、ちょっ…………行ったか」

 

 

 私をおいて霊夢は家の中へ入って行った。おそらく厠だろうな。

 

 

「……はあ、もう夕方じゃないか。結局犯人見つからなかったな……」

 

 

 完全に途方に暮れたな。これからどうすればいいんだ……

 

 

「あら、諦めるのは少し早いんじゃなくて?」

 

「!?誰だ!」

 

 

 と、悩んでいると急に背後から声が聞こえてきた。

 少し驚きながらも振り返ってみるといつかのスキマ妖怪、八雲紫がいた。何故か大量の酒瓶の入った袋を担いでいる。

 

 

 

「あ、そういえば最近酒泥棒が多発しているって聞いてたがその犯人はお前か。

 異変に乗じて盗みを働くとは……この火事場泥棒め。私にその酒全部よこせ」

 

「ふふふ、このお酒は友人を誘き出すために持ってきたものよ。だからそう易々と渡すわけにはいかないわ」

 

「お前に友人がいるわけないだろ」

 

「あら、酷いわね。友達なんて捨てる数ほど持ってるわよ」

 

「式は友達に含まれないからな」

 

「そう……それよりも貴女、お酒を賭けて一勝負しない?貴女が勝てばここにあるお酒を全部あげるわ」

 

「あー?渡せないんじゃなかったのか?……まあ、それはおいといても魅力的な話だが生憎賭ける酒を持ち合わせてないな」

 

「問題ないわ。貴方の焼酎もこの袋の中に入ってるから」

 

「おい!私ん家に空き巣に入ったな!」

 

「随分と本が乱雑に置かれてあったわね」

 

「上等だ!勝負してやる!」

 

 

 まだ霊夢と戦ってからあまり経ってないからダメージが残ってるけどやってやる。

 なーに。連チャンなんてどんとこいだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

「流石に2連はキツいな」

 

「勝っておいてよく言うわ」

 

「まあ、兎も角約束だ。持ってる酒全部もらってくぜ」

 

「ええ、『約束事は無下にはできない』ですもの。

 もちろん仕上げますわ」

 

「へへ、今日は良い日だぜ」

 

 

 思わぬ収穫だ。これでこいつが犯人だったらなお良しだったんだが……

 まだ妖気も消えてないし違うか。

 

 と、嬉しみながらも少し残念に思っている私の背後でいきなり大声をだしてくるやつが現れた。

 

 

 

「約束事無下にしてんじゃないか!!!」

 

 

 何事かと後ろを振り返ると見知らぬやつがいた。

 見た目は10歳前後で頭に大きな角を左右対称に生えており、アクセサリーなのか鎖がそこらじゅうについてあり、先端部には丸、三角、四角と積み木のようなものがついている。

 あれ?後ろで鎖に繋がれてのびてるやつってトオルじゃないのか?!

 私達の読みは外れたようだな。加担者じゃなく被害者だったとは……

 

 ……てかほんと誰だこいつ。

 

 

「あら、異変の犯人がお出ましのようよ」

 

「え?あの子供がか!?」

 

「誰が子供だ!私は誇り高き鬼だ!

 それよりも紫!私にあげる用のお酒をなにあげちゃってんの!?」

 

「負けたからよ」

 

「あんたが勝手に賭けたからでしょ!」

 

「まあまあ、別にそんなことはどうでもいいのよ」

 

「よくない!」

 

「それよりも今日の宴会は貴女も参加するでしょ?」

 

「え?……あ」

 

「お前か。犯人は」

 

「……紫、まさか」

 

「ほんと、こんなので引っ掛かるとは思わなかったわ」

 

 

 まさかこいつ、この鬼を誘き出すためにわざと負けたのか?

 

 

「まあ、取り敢えずそこの鬼とやら、異変起こしたんだろ?あとトオルの誘拐も」

 

「誘拐はしてない!……まあ、たまにするけど」

 

「まあ、そんなことはどうでもいいぜ。取り敢えず退治させてもらうぜ!」

 

「……紫、あとで覚えてな」

 

「ふふふ、覚えてたらね」

 

「はあ……兎に角人間。あんたなんかにゃ負けないよ。鬼の力、身をもって知るが良い!」

 

 

 ははは!まさかこんなバッドタイミングで犯人に巡り会えるなんてな。2連戦してコンディションがよろしくない状態で最終決戦とは……

 

 まあ、私にはそんなの関係ないぜ。

 これまで幾度となく異変を解決しに行ったんだ。私に解決できない異変なんてないぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

======================

 

 

  ~トオル視点~

 

 

「ん……ここは」

 

 起きてみると布団の中にいた。

 あれ?さっきまで萃香にお酒飲まされてたのに……

 あ、そうか。萃香が僕を預かる期間が過ぎたから解放されたのか。

 酔いつぶれていたせいで気づかなかった。

 

 

「あー、頭と体の節々がかなり痛い……」

 

 

 辺りは暗い。もしかして丸一日寝てた?

 ぼーっとする頭を起動させて台所へむかおうとする。お腹が減ったし。

 

 

「……なんだか外が騒がしいな」

 

 

 痛む体を動かしながら台所にむかっていると外が騒がしいのがわかった。そういえば丸一日寝てたってことは今日宴会日か。

 

 

「あら、トオルじゃない。目が覚めたの?」

 

「あ、咲夜。咲夜が来てるってことはまた宴会だね」

 

 

 台所へと続く廊下で咲夜とあった。家の主である霊夢がいないのに咲夜がいるということは宴会で間違いないだろう。

 

 

「まあ、そんなところだけど。でも無駄に多い宴会も今日でおしまいだそうよ」

 

「え?」

 

「まあ、貴方はさっさと寝てなさい。後で軽食でも持ってきてあげるから。あの鬼から聞いた話だと今日なにも食べてないようだし」

 

「え、え?」

 

 

 今日で宴会が最後?……それよりなんで咲夜が萃香のことを知ってるんだ?

 

 

「ほらほら。布団へ入りなさい。貴方が元気じゃないとお嬢様が飲む分の血がなくなってしまうわ」

 

「今、超絶に眠りたくなくなった」

 

 

 咲夜が無駄に優しいと思ったら血のためかい!

 

 

「まあ、確かにまだ眠いし咲夜の言うことは聞いとくよ」

 

 

 ふぁ~、と思わず欠伸が漏れる。

 

 

「んじゃ」

 

「はいはい。あとは任せといて」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日、異変が解決されていることを知らされた。

 

 どうやら今回は魔理沙が解決したらしい。

 どうやって萃香に勝ったのかかなり気になるところだったなぁ。ちょっと損した気分。

 取り敢えず、今後の生活費を割いてまでお酒を買う必要はなくなったようだ。

 魔理沙には感謝だね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてうどん屋での仕事を3日も無断欠勤をしたことで店長から大目玉を食らったことはいうまでもない。

 

 うぅ、あれは慧音先生の頭突きと張り合うぐらいの拳骨だった………

 

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