東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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日常回です。

前にあとがきで言ってたレミリア(厳密には吸血鬼姉妹)との会話ですね

本当は萃香との回にしようとしたんですが異変中二人の話ばかりだったのでやめました


24話 疲れの取れない紅魔館

 

「………なんであんたがここにいんの?」

 

「会っていきなり冷たいこと言うなぁ。僕とレミリアの仲じゃないか」

 

「あんたと親しくなった覚えはないわ」

 

「うん、僕もない」

 

「なら帰れ!」

 

 

 はい、今日僕は吸血鬼が住まう紅魔館に来ています。

 

 いつもは週一に紅魔館(の中にある図書館)に行ってるんだけど今の会話通り館の主に歓迎はされていない。

 

 それもそのはず。いつもレミリアに内緒で来ているからね!

 

 ん?ここには門番の美鈴さんがいるはずだって?

 大丈夫、美鈴さんにはフランドールに用があると言えばすんなりと通れる。実際その用もあるし。

 そういえば美鈴さんとの世間話は中々面白い。何故門番なのにあそこまで話のレパートリーを持っているのかは不思議だけど……

 

 と、話は反れたけど大体こんな感じでレミリアに気づかれずにいつも図書館に通っているわけ。

 

 まあ、たまにバレる事もあるけどね。ほら、今日がその日。

 

 いつもなら軽い言い合いをした後、大抵血をくれたらいてもいいという結果になる。

 

 ……だからここでレミリアとは会いたくなかったんだよね。血をとられた後って軽い貧血起こすし

 

 

「まあ、今回は許してあげないことはない」

 

「あれ?いつもなら血を僕から抜き取った後そのままバイバイするのに珍しいね」

 

「だって最近あんた、私に畏れの意を感じなくなってるでしょ?」

 

「え、どういう意味?」

 

「私達にとって畏れは最高の調味料となるの。それがあんたに少なからずあったからまあまあ美味しかったんだけど……でも最近それがないから飽きてきたわ。それにB型じゃないし」

 

「勝手に吸っといて勝手に飽きられる僕……」

 

「ということで今回、血を頂戴するのではなく私に畏れを抱くように今からあんたを恐怖に陥れようとおもうの。」

 

「……レミリア、やっぱりお前嫌いだ」

 

「ほうほう、準備OKということね」

 

「全然違う!」

 

 

 これはまずい!早急に逃げなきゃ!!

 そう僕は思いつつ、紅魔館の廊下を駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたの弱点は分かってんのよ」

 

「大人しくしなさい」

 

「はぁ……はぁ……後、少し、だった、のに……」

 

 

 ちくしょう。テラスの目の前で体力が尽き、あえなくレミリアに捕まってしまった。

 くそぅ、まさか玄関に咲夜がいたなんて……お陰で二人に追いかけられる羽目になって2倍疲れた……

 

 

 

「それでお嬢様。何故トオルを追いかけてたんですか?」 

 

「こいつが逃げたからよ。ただ私はお茶に誘おうとしてただけなのに」

 

「う、そつけ!」

 

 ふぅ、やっと呼吸が整ってきた……これでレミリアの戯言をキチンと言い返せる

 

「本当よ。畏れを植え付けるのはただ襲ったりするだけではないわ。会話の中でも充分にできる。

 ……それにフランの友達を襲うわけないでしょ?」

 

「いや、レミリアの話は大体わかったけど最後のは違うよね。会う度に結構襲ってきてるよね?」

 

「さあ、そんなことあったかしら?」

 

「こら、こっち見て話しなさい」

 

「はぁ……わかりました。それでは三人分の紅茶を用意してきます。

 妹様も退屈なされていたようですし」

 

「それもそうね。吸血鬼二人とお茶するなんて、これほど恐ろしいことはないわ!」

 

 

 と、自慢気に言うレミリア。いや、僕としては我儘な子供とお茶をする感じなんだけど……

 

 それを口にしようと思ったけど言ったら僕の首が物理的に飛びそうなのですんでのところでその言葉を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりー、トオル」

 

「うん、久しぶり」 

 

「咲夜、今日はどんなチャノキを?」

 

「はい、今回は祁門を使った紅茶です。

 この前美鈴から教えてもらい作ってみたのですが……」

 

「ふぅん、美鈴からってことは中国のかしら……ほう、ローズティーと同じような香りがするわ」

 

「美鈴によるとミルクティーにしても美味しいとのことです」

 

「へぇ、あいつもたまには役に立つのね」

 

 

 なんだかレミリアと咲夜が紅茶について話し合ってるけど紅茶について全く関心のない僕にとってはどうでもいい話だ。

 

 

「トオル、これ甘い香りがするね」

 

「あ、うん……確かに甘い香りだ」

 

 

 前に来て飲んだときってこんな香りしてたかな?

 

 

「まあ、取り敢えず飲んでみよ」ゴクッ

 

「それもそうだね」ゴクッ

 

「あ、こら私よりも先に飲むんじゃない!」

 

 

 そんな事いってももう飲んじゃったから遅いね。

 そう思っているとすかさずレミリアも紅茶を飲んだ

 

 

「へぇ、これは中々ね。渋み「あ、これこの前飲んだのよりも渋みがあんまりない。むしろ甘い」!?」

 

「ホントだ!あんまり苦くない!」

 

「こら!勝手に人の感想を横入ってくるな!」

 

「えー、でも思ったことを口に出しただけだし……」

 

「主の私が先に飲んで感想を言うのがセオリーなの!」

 

「我儘だなぁ」

 

「ふん、私はただ当たり前の事を言っただけよ」

 

 

 頑固として自分が我儘だと認めないな、レミリア。

 

 

 

「それじゃあ何から話してあげようかしら。吸血鬼に纏わる話を」

 

「あ、そういえばトオル、なんでそんなに疲れきった顔をしてるの?」

 

「ん?ああ、それはね。最近僕ん家に鬼が住み着いたお陰で毎回毎回稽古つけてやるっていって一方的にやられて疲れたから癒しに図書館へ行こうとしたところでフランドールのお姉さんに追いかけ回されたからだよ」

 

「へ、へぇ。それは災難だったね」

 

「な、なによフラン。私はこいつが逃げるから追いかけただけであって………そ、それよりトオル、鬼が神社に居座ったって本当?」

 

 

 フランドールから来る視線に耐えきれなくなって無理矢理話を変えてきたな、レミリアめ。

 

「完全に居座ってる訳じゃないけどね。気づいたら縁側で寝そべってお酒飲んでたりしてる」

 

「とんだ鬼ね。吸血鬼とは雲泥の差だわ」

 

 どっちもどっちと思うのは僕だけだろうか?

 あ、咲夜も苦笑いしてる

 

 それよりさっきレミリア吸血鬼に纏わる話をしようとしたのをフランドールに阻まれてるのにそのままこっちの話に入ってきたな……

 ……たぶん忘れてるだろうな。こっちとしてはその方がいいんだけどね。

 

 よし、このままこっちのペースに引き込んで完全に頭の中から吸血鬼の纏わる話を追い出してやろう。何だか嫌な予感がするし

 

「まあ、それより聞いてよ。この前僕は壮絶な戦いに身を投じたんだ」

 

「え、トオルが!?誰と?」

 

「ふふふ、フランドール、焦らなくても今聞かせてあげよう。あの戦いがどれだけ熱烈とした戦いだったかを!」

 

 

 

 

 

 ----------------------

 

 

  二日前

 

 

「ふ、トオジよ。ついに私とやり合う決心がついたか」

 

「チルノ、君とはいずれ決着をつけなければならないと思ってたんだ。

 今、ここでけりをつける」

 

「口だけならなんとでも言えるわ。ま、私のサイキョーぶりをみて二度と逆らえないようにしてやるわ」

 

「それはこっちの台詞だ。最近萃香からスパルタ特訓を受けてるんだ。そう簡単には負けやしない!」

 

「いくよ!」

 

「こい!」

 

 

 

 

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「なにかと思えば氷の妖精か。あんな雑魚と張り合ってんの?あんた」

 

「それでそれで!どっちが勝ったの!?」

 

「ふん!」

 

 と、僕は2本の指でVサインを作る

 

 

「勝ったの?」

 

「勿論!あれは壮絶だったよ。15回もあいこが続いたからね」

 

「……え、あいこ?」

 

「あんた、あいこって……まさかじゃんけんのことをいってんの?」

 

「うん、そうだよ。じゃんけん」 

 

 

 15回もあいこになったのなんて初めてだった。やっぱりチルノは僕のライバルだね!

 

 

「あ……うん、そうだよね。トオル平和主義だし……私が勘違いしてたのが悪いんだよね。ごめんなさい」

 

「え?え、ちょ、なんでフランドール謝るの?!」

 

 

 なんかフランドールから哀れみの視線を感じる!

 

 

「私は最初からそんなだろうと思ってたけど……それで?なんで妖精なんかと戦ったのよ」

 

「ああ、チルノがうちに来て食料を凍らせたのが発端だね。

 たまにしてくるんだよ。それでいつもは霊夢が怒って退治するんだけどその日はいなかったから僕が代わりにね。

 あ、勘違いしているようだけどちゃんと最初は戦ってたんだよ。

 ただどっちも弾が当たらずにスペルを使いきったからじゃんけんになったんだ」

 

「あ、ちゃんと戦ってたんだね。少し見直した」

 

「ていうかどっちも当たらないって……どんだけあんたの弾幕穴だらけだったのよ」

 

「レミリア達の基準で言えば穴だらけかもしれないけど僕にとっちゃ高密度弾幕なんだよ」

 

「はぁ、そこが改善されればねぇ。あんたの能力ならどんな高密度弾幕も避けられるからまだましな戦いが出来るでしょうに」

 

「まあね。はっきりいって耐久スペルさえ使ってこなければ全てを避けられる自信がある」

 

「トオルの能力って結構弾幕ごっこで使えるよねー。持ち主がもっと強かったから私達でも負けるかも」

 

「……持ち主がこんな貧弱で悪かったですね」

 

 

 

 

 

 このあと何事もなく吸血鬼姉妹とのティータイムを過ごした。

 

 よしよし、完全にレミリアは吸血鬼の話のことを忘れているな。

 

 まあ、たぶんレミリアの事だ。暇潰しで僕を恐がらせようとしてたんだろう。

 まったく、暇潰しで僕をビビらせようなんて。我儘なお嬢様だこと……

 

 

 

 そんなことを思いつつテラスからそのまま帰ろうとしたとき、レミリアが思い出したように『あっ!』と声を出した。

 

 ま、まさか!?

 

 

「ふふふ、忘れるとこだったわ。吸血鬼に纏わる恐ろしい話を!」

 

「えー、レミリア。もう僕帰るから今度にしてくれない?」

 

「まあ、少しだけだから聞いてちょうだい」

 

「えー……」

 

 

 ちょっと嫌な予感……

 

 

「昔、ドラキュラ公って呼ばれていた人がいたの。名はヴラド・ツェペシュ」

 

「それで?」

 

「ツェペシュは公国の国主だったの。なのになんでドラキュラ公という名がつけられていたのか。

 それは簡単、あまりにも残虐なやり方で人を殺していたからよ。

 一説には敗国の捕虜二万を生きたまま串刺しにして殺したとか」

 

「うっ……それって」

 

 

 あまりにもグロすぎる……考えただけでも吐きそうだ。

 

「そして………」

 

 

 そしてレミリアの口からとんでもないことを口にした

 

 

 

 

  「私達はそのツェペシュの末裔なの」

 

 

 

 

 

 その瞬間、身の毛がよだった。

 え?レミリアとフランドールが大量虐殺をしたやつの末裔!?

 もしその血を継いでいるってことならレミリアたちも……

 

 

 

「そう、それよ!その顔!」

 

「え?」

 

 

 突然レミリアが席をたって僕を指差してきた。

 

 

「トオル、顔青いよ」

 

「そ、そうかな……」

 

 

 くぅ、なんで聞いてしまったんだ……知らなきゃよかったベスト10に入ったよ、これ。

 

 

「ふふ、別にそんなに怖がらなくても良いわ。ツェペシュの末裔っていっても血なんて繋がってないし、ただ昔、お父様がそういってただけだから確証なんて何処にもないわ」

 

「え、そうなの?」

 

「もし私が末裔ならあんたなんてとっくにこの世にいないわ」

 

「そ、そうだよ。はぁ~、ビビったぁ」

 

「なんだか怖がらせると気分がいいわね」

 

「趣味悪いよ……それじゃあ、僕帰るよ。今日は久しぶりに疲れた」

 

「はいはい、じゃあね」

 

「トオルまたねー」 

 

「またのお越しを」

 

 

 三人から見送ってもらったあと、僕はテラスから紅魔館を後にした。

 

 いや、ほんと最後のはチビりそうになったね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、お姉様」

 

「なに、フラン」

 

「なんでトオルに畏れの意を持たせようとしてたのに安心させたの?」

 

「……あ」

 

「ドジね」

 

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