東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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変な感じになりました、今回……


26話 霊夢の勘違い

 

 

 仕事が休みのとある一日。

 僕と霊夢は居間でのんびりしていた。

 騒がしい魔理沙や萃香は現在、博麗神社の中にはいない。

 いつもの二人がいないだけでかなり静かで落ち着ける。

 

 ……よくよく思えばこんなのんびりした感じ、久しぶりだなぁ。

 ここ最近は萃香が居座ったりして全然ゆっくりできなかったからね。

 

 

 

 そんなことを思いつつ、本のページを捲る。

 本の捲れる音が部屋の中に響き渡る程まで、今のこの部屋は静かだ。

 

 うんうん! この感じ! かなりリラックスができるな!

 

 霊夢はなんだか退屈そうな顔をしているけど僕にとってはやすらぎの空間だ。

 昨日の疲れが癒されていく感覚がわかる。

 

 しかし、そんなやすらぎの時間を壊すかの如く霊夢は口を開いた。

 

 

「静かねぇ」

 

「うん……」ペラッ

 

「魔理沙とか萃香が来ると思ったけど」

 

「萃香なら今日の朝まではいたよ。僕の本を枕が代わりにして寝てたから怒ったよ……まあ、そのあと僕の朝ご飯を勝手に食べてどっかにいったけどね」ペラッ

 

「そう……てことは久々に姉弟二人だけになったってことね」

 

「まあ、そういうことになるね」ペラ

 

「……」

 

「……」ペラッ

 

 よし、作戦成功。話を手っ取り早く終わらせるように素っ気ない返事をすれば会話は簡単に途切らせることができるからね。

 

 

「ちょっと」

 

「……何?」

 

「本なんか読んでないで相手しなさいよ。暇なのよ、今」

 

 

 んー、食い下がってきたか。いつもの霊夢ならあれだけで引き下がってたのに。それほどまでに暇ってことなのかな?

 

 

「えー……境内の掃除しとけばいいじゃないか。今いい所なんだよ」

 

「所詮フィクションよ。そんなの見たってなんの役にもたちやしないわ」  

 

「そんなことないよ。この本の中には壮大な世界が広がってるんだ」

 

「知らないわよそんなの」

 

「まあ、霊夢も読んでみればわかるよ」

 

「嫌よ、めんどくさい」

 

 

 霊夢に本の素晴らしさを理解させるのは難しいようだ。読まず嫌いは本当に勿体ないと思う。人生の大半は損してるね。

 

 

「……」ペラッ

 

「……」

 

「……」ペラッ

 

「え、ちょっと。普通この流れでまた本を読み始める?」

 

「だってそれ以外にやることなんてないじゃないか」

 

「私の相手をしろっていってんの!なんか面白いことやってよ」

 

 

 どんな無茶ぶりだよ……

 

 

「そんなに暇なら掃除すればってさっきいったよね?」

 

「飽きた」

 

「掃除は飽きた云々の問題じゃない」

 

「いいのよ、掃除なんて。最近落ち葉なんてあんまり無いんだし」

 

「はあ……それじゃあ紅魔館にでもいけば?嫌でも暇じゃなくなるよ」

 

「彼処は目に悪いから嫌、もっと別の……そうね、美味しいものが食べられるところが良いわね」

 

「はあ? そんな所なんて人里に行けばいくらでもあるでしょうが」

 

「タダで食べられるところがいいの!」

 

「えぇ……」

 

 

 無料で食べられる店なんてそうないと思うんだけど……

 

 

「あ、そういえば白玉楼で食べたの、美味しかったなぁ……ちょっとしか食べれなかったけど」

 

「そこよ!」

 

「え?」

 

「ほら、あそこにいる亡霊ってかなりの大食らいじゃない?」

 

「確かにそうだけど……あと霊夢は人のこと言えない」

 

「そこでよ。私達が食品を持っていけばどうなると思う?」

 

「う~ん、一緒に食事をとる?」

 

「正解!ということで行くわよ」

 

「はい?!嫌だよ、行くなら一人で行って!」

 

「なにいってんのよ、一人でいったら図々しい奴って思われるでしょ」

 

「二人でも変わらないよ!」

 

 

 マズイ、このままじゃ折角のやすらぎの時間が無くなってしまう!

 それにまだ霊夢は幽々子さんがどれだけ食べるのかわかってない。

 大皿に盛られた料理を瞬く間に腹の中におさめていく様はまるでピンクの悪魔だ。ゆっくりと食べられるなんてことは決してない。つまりのんびりなんて到底できない。

 

 

「兎に角僕は行かないよ。折角の休みを棒に振るいたくないからね!」

 

「はいはい、そんなのはいいか行くわよ。これは姉命令だからトオルに拒否権はないから」

 

「横暴過ぎる!?」

 

 

 くそう、白玉楼で食べたご飯が美味しかったなんて言わなければ良かった……

 

 

「まず姉命令ってなんなの? そんなのあるわけないじゃないか。そういうのはもっと姉らしくなってから行使するべきだよ」

 

「へ、へぇ……あんたも言うようになったじゃない」

 

 

 あ、やばい。霊夢を怒らせてしまった。

 うぅ……怒りたいのはこっちの方だってのに

 

 

「取り敢えず行くわよ。痛い目に遭いたくなかったらね」

 

「折角久しぶりにきた神社での平和だったのに……」

 

「ほらほら、口を動かす暇があったらちゃっちゃと準備しなさい。

 ……はぁ、これからのことを想像するだけでお腹が減ってきたわ」

 

「さっき食べたばっかりじゃないか!?」

 

「じゅ・ん・び」

 

「……はい」

 

 

 さよなら、僕のやすらぎの時間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ~上空~

 

 

「な、なんでそんなに食材もっていってんの!?2日分ぐらいあるじゃない!」

 

「いやいや、これじゃあ全然足りないよ。霊夢、幽々子さんの胃袋をなめちゃいけない」

 

「そんなのちょっと持っていけばいいでしょ」

 

「霊夢は皆で食材を集めて何か作ろうってときに相手が素麺一束だけしか持ってこなかったら嫌でしょ。それと同じさ。これぐらい持っていかないと今いったように幽々子さん達が不快な思いをするからね」

 

「うっ、確かに……タダ飯食らおうと思ってたのに思わぬ出費だわ。ていうかどんだけ食うのよ、あいつ」

 

「これを期に僕に我儘を言うのはやめてね」

 

「それは納得しかねるわね」

 

「……いや、そこは納得しようよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ~白玉楼 調理場~

 

 

「ごめんね、妖夢。急に押しかけちゃって」

 

「いえいえ、食材が尽きそうだったのでちょうどよかったです。それに幽々子様も喜んでいましたし」

 

「それはよかった……」 

 

 

 急に押しかけて一緒に食事をしようなんていっちゃったから実は迷惑なんじゃと思って内心ずっとビクビクしてたんだよね。

 

 

「よし、それじゃあ今日は四人もいるので鍋にでもしますか? 手っ取り早いし」

 

「それがいいね。それじゃあ僕は出汁作りするから妖夢は野菜とか切ってくれる?」

 

 そういいつつ調理用具が入っている下の棚から鍋を取り出す。

 ここの調理場はこの前にも来たことがあるから大体の配置は分かっている。

 

 

「はい、わかりました。」

 

 

 よし、それじゃあ早速料理を始めようかな!

 

 

「ちょっと待ってください。調理を開始する前に鍋を持って来ましょう」

 

「え?今僕がもってるのじゃないの?」

 

「それでは小さすぎます。そんな小さな鍋じゃ1分も経たずに無くなりますよ」

 

「た、確かに」

 

「それでは、倉庫まで取りに行くんでトオルさんも手伝ってください」

 

「わかった」

 

 

 今僕がもってる土鍋は普通の大きさだけどこれから持ってくる鍋はどれぐらいの大きさなんだろうか?  あんまり大きすぎたらたぶん僕、持てないと思うんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ~居間~

 

 

「ふふふ、楽しみね~」

 

「確かにね」

 

「なにげにトオルの作る料理も好きなの、私」

 

「私はまだあの剣士の作る料理を食べたことがないから楽しみだわ」

 

「妖夢のも中々の腕よ。まあ、トオルとどっこいどっこいってことね」

 

「へぇ……」

 

 

「それじゃあそろそろ教えてもらおうかしら」

 

「は?なにを?」

 

「ここへ来た理由」

 

「……そんなのタダ飯食らいに来ただけよ。」

 

「それにしてはやけに食材を持ってきてたじゃない。あんなにもってくるのなら普通に人里の店で食べた方が安くつくわ」

 

「!?……あれはトオルが勝手に……」

 

「でも食材を持っていこうと提案をしたのは貴女でしょ?」

 

「な、なんであんたがそれをしってんのよ」

 

「トオルの顔を見ればすぐにわかったわ~。完全に乗り気じゃなかったもの。さしずめ貴女が無理矢理に連れてきたんでしょう。食材はそのときの交渉材料として使ったのよね。これについては推測でしかなかったけど貴女の驚愕ぶりをみる限り当たっているようね」

 

「……どこまで知ってる?」

 

「いいえ?これ以降はわからないわ。だから教えてもらおうかと」

 

「…………はぁ、わかったわよ」

 

「あら、言う気になったかしら?」

 

「まあ、別に隠すことでもないしね。」

 

「それじゃあ教えてもらおうかしら」

 

「…………今日、久しぶりにトオルと二人きりだったのよね。それで何を話せばいいか分からなかったの。話そうにもトオルは素っ気ない返事しかしなかったし。私とは話したくないのかなって思ってしまって……」

 

「ふ~ん。それで二人きりだとなん気まずくなったからうちに来たと?」

 

「まあ、そういうことね」

 

「……ふふ」

 

「……なに笑ってんのよ」

 

「いや、なんだかおかしくってね」

 

「何がよ」

 

「トオルは本当に貴女と話したくないとか思ってないからよ。あなたが思っているのはただの勘違い」

 

「え?」

 

「家族とはそういうものよ。一家団欒にだってそれぞれあるのだから。

 笑いの絶えない所だってあればあなた達のように静かに過ごすところだってある。

 トオルはそのとき、リラックスしてたんじゃない?」

 

「あ、そういえば……」

 

「つまりトオルは貴女といるとき、安心しているの。そういうのは信頼している人以外にはまずありえないわ。

 そんな信頼している人と話したくないとか普通思うかしら?」

 

「……そうね。少なくても私はトオルと話したくないとかはないわ」

 

「でしょ……これでわかったかしら? 貴女が思っていることはただの勘違いってことが」

 

「まあ、確かにそうね。そして今思い出したことがあるわ。」

 

「ん、なにかしら?」

 

「……トオル、本を読んでる時、話しかけると素っ気ない返事しかしないことをね……」

 

「あらあら、私の言ってたことハズれたわね……」

 

「確かにトオルは私とはあのときあんまり話したくなかったみたいだけど……まあ、あんたのお陰でトオルが私といるとき安心してくれてるって事がわかった。それについては感謝するわ」

 

「ふふ、どういたしまして」

 

 

 

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 ~庭園~

 

 

 鍋、とても大きかったです。余裕で大人十人が入れるぐらいに。

 

 そしてその鍋は調理場に入れれなかったので結局庭で火を炊いたりして作ることに。

 

 なんかちょっと楽しかったね。外なら大抵餅をついたりするときぐらいしか料理(果たして餅つきが料理なのかは不明だけど)しないしね。

 外で鍋を作るなんてそう体験できることではない。

 

 

 

 それでついに鍋が完成したんだけど見事に約10分で

 無くなりました。幽々子さん、すごーい。

 

 流石の霊夢も呆気にとられていたけどすぐにそれが怒りにかわって幽々子さんと弾幕ごっこをしていた。

 

 

 

 それからは霊夢に妖夢がお菓子で落ち着かせたり、何だかんだで居間で雑談したりした。

 

 そして帰るときにはもう月が真上に来ている頃だったのでさっさと帰って寝ることにしたんだけど霊夢が、

「安心して、私がついてるからなにも心配ないわ。ゆっくりと帰りましょう」キラーン

 

 

 と、親指をぐっと此方に構えて言いはなった。

 あれ?霊夢、なにか変なものでも食べた?

 いつもならさっさと帰って寝ましょーとか言って飛ばして帰るのに……

 

 

 そんな変わった霊夢に少し気色悪さを感じつつ夜の空をかける僕と霊夢であった。

 

 

 

 

 

 

 

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