「ほら霊夢!もう朝だよ!ご飯出来てるから早く起きて!」
「う~ん、あと少し……」
「昨日も同じこと言って結局ご飯が冷めるまで起きてこなかったじゃないか!」
急にお見苦しい場面を見せてしまってごめんなさい。
僕の名前は
2年前までは紫姐さんの家で暮らしていたけど、代替わりで霊夢が巫女になるということでついでに僕もついてきた。
姉である霊夢についてだけど、実はここ、幻想郷で最も重要であるらしい博麗の巫女を生業としている。その博麗の巫女の仕事というのは幻想郷に張られている結界の管理と妖怪退治なんだけど、僕はこれまで霊夢がそれを実行している姿を殆ど見たことがない。
「……もう、別に寝ててもいいじゃない!どうせ今日も境内の掃除と縁側でお茶を啜るだけなんだから!」
「仕事しろ!そしてご飯冷めるから早く布団から出て!!」
因みにいつもご飯と洗濯は大体僕がやっている。しかも2年間ずっと。霊夢はたま~にするぐらいで全然しない。
ご飯ぐらい作ってほしいもんだよ。
「それじゃあ、もう行くから。ご飯食べててよ」
「ん、もうそんな時間?」
「うん、そんな時間」
どこに行くかというと、勿論お金を稼ぎに人里へ行くためだ。ここは幻想郷の端にあるから人里まではわりと遠い。霊夢みたいに空を飛べたら苦ではないんだけど生憎そんな事僕には出来ない。
まあ兎に角、僕は立地の関係上、いつも店が開く3時間前にこの神社を出る必要がある。なので自然と朝ご飯を食べる時間が日がほんのちょっと出てきたぐらいになるので霊夢が起きたがらないのはわかる。
でも早寝早起きは健康の基本だと僕は思うんだ。だからいつも霊夢を叩き起こしている。決して道連れにしようなんて事は考えてないよ。
「それじゃあ、行ってきます」
「うん……いってらっしゃい…………ふあぁ……寝よ」
「寝るな!」
~道中~
「うーん、いつきても歩きづらいなぁ、この道」
でこぼこで整地がろくにされていない道をひたすら進んでいく。
これは本格的に博麗神社と人里との道の整地が必要になりそうだ。
そんな時間があればの話だけど。
「あれ?トオルじゃないか。久しぶりだな」
「あ、魔理沙。昨日ぶり、……つまりあまり久しぶりってほどじゃないよ」
歩きづらい人里までの道を歩きつつ、この道の整地をどうするか思案していると、空から箒に乗った魔法使いっぽい格好をした魔理沙が降りてきた。
魔理沙についてだけど実はあんまり初めて会った記憶が曖昧でよく覚えていない。
いつの間にか話したりしていてよく神社に遊びに来るようになっていた。
基本嘘つきで性格がひんまがっているようだけど本当は根は真っ直ぐでいい奴だ。
「それで、早朝に出歩いてなにしてたんだ?もしや朝帰り?」
「なわけないでしょ。人里へ行ってたんだよ。ていうか毎日この時間にここを通っている僕から質問だけど、なんで魔理沙はこんな早朝に出歩いてたの?まさか朝帰り?」
「パクりなんて芸が無いぜ」
「うっさい」
「まあ、私がこんな朝から空を飛んでいたかというと…………これだ!」
と、魔理沙が担いでいた篭をごそごそと探り、取り出したのは……毒々しいキノコだった。
「それで……何が言いたいの?」
「いやぁ、茸狩りをしていたら珍しいのがいっぱいあったからつい夢中になって集めてたら朝になってたんだ。それで今は日の出を見に行った帰りだ」
「そんなに集めて何がしたいんだよ……」
「大事な食料だぜ…………あと魔法の研究」
キノコを魔法の研究にどう使うのか気になるけど、どうせ僕には分かりえないことだろうから聞かないでおく。
それよりも大事な食料、か……
「……そういえば最近茸鍋してなかったなぁ」
「や、やらないからな!」
「いや、今隠したその毒々しいキノコはいらない」
うん、僕も今度茸狩りでもしようかな。たぶん魔理沙が集めた所は魔法の森だと思うけど。
魔法の森は普通の人が入ると瘴気やらなんやらで体を壊すらしいが霊夢と僕はあまりそんな事はない。でもやっぱり居心地はあまりよくないんだけどね。
「そういえばトオル、今人里に向かっているんだよな?」
「なに、送ってくれるの?」
「この箒は二人乗り出来ないぜ。」
「ケチ」
「言ってろ。……んで、人里へ行くのならちょっくら買い物を頼まれてくれないか?」
「ん?……まあ、別にいいけど。何を買えばいいの?」
「ああ、団子9個だ。金は後で払うから。」
「そんな、生物て。どこで渡せばいいんだ」
「ああ、夕方ぐらいに神社に行くからその時くれ。」
まあ、夕方と言えば仕事が終わる時間帯だしいいか。それよりなんで団子なんか頼むんだろう?おやつならイチイチ僕を使わないでほしいんだけど。
「わかった。覚えてたら買ってくるよ」
そう言って僕と魔理沙は別れた。
~夕方~
「はあ、疲れた………」
うどん屋での仕事、僕に任せすぎだと思うんだよね。生地を作るところから接客までやらせて……。接客は兎も角なんで生地を作るのまで僕がしなくちゃいけないんだ。そこは匠のみせどころでしょ!
そう、店への愚痴を漏らしながら足掻きで店長を睨み付けたら鼻に提灯を作って寝てたからね。店の売上かっさらって逃げ出すぞこのやろー!…………まあ、そんな事はしないけどね。店長以外の先輩店員は皆優しいし。給料もわりといいし。
「さて、団子屋に行くか」
~博麗神社~
「ただいまー」
「あら、お帰り、トオル。丁度あんたの話をしてたのよ」
「お、待ってたぜ!」
長い階段をのぼって漸く神社にたどり着いた。そして神社の縁側には霊夢と魔理沙が寛いでいた。
「ん?僕の話をしてたって?」
「昔の話よ」
「まあ!取り敢えずトオル!頼んでたもん持ってきたか?」
「ああ、はいこれ」
そういって僕は持っていた団子の詰め合わせを魔理沙に渡した。
「おお、サンキュー。それじゃあ皆で食べようぜ!」
「あら、魔理沙にしては珍しいわね」
「確かに。明日は天変地異が起こるよ」
「二人して酷いぜ。まあ、これはお返しという意味であげるんだけどな」
「ん?どういう事?」
「ああ、あのときのね。魔理沙あんた、あんな前のこと覚えてたの?」
「え?霊夢、何か知ってるの?」
「トオルお前、覚えてないのか?」
「ごめん、おぼえてない。」
そういうと肩をがっくりと落とす魔理沙。え?ほんとになんなのかわからないんだけど……
「まあ、仕方ないわね。あの時はまだトオルは物心つき始めたばっかりだったし」
「はあぁ……まあ、いいや。さっさと食べようぜ!折角の団子がカピカピになってしまう!」
「そうね。んじゃ、私はみたらしを一つ」
「え、ちょ、二人だけで解決しないでよ……」
どうやら前に僕は何かやらかしたらしい。僕の記憶にはまったくないけど魔理沙に感謝されてるってことは中々凄いことをしたってことは確かだろうね。
結局、団子を食べている最中の会話はそれの疑問について考えていたせいで頭に入らなかった。
団子美味しかったのはわかったけどね!
「んじゃ、またな」
「じゃあね」
「今度は賽銭を持ってきてちょうだいね」
そして辺りが暗くなったところで魔理沙は帰った。さっきの疑問は解けていない。
………………。
「あ!!」
「ん、どうしたの?もしかしてあのときの事思い出した?」
「いや、ちがう!」
「ならなによ」
「団子代返してもらうの忘れてた!」
「……馬鹿ね」
くそう、すっかり忘れてた。