東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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31話 宴会前の一時

 

「ただいまー」

 

午後を回った頃、僕は帰ってきた。

結局竹林の中で寝てしまって少し遅くなったからだ。

いやぁ、夜中ずっと萃香と追いかけっこしたから疲れてたからかもしれない。

 

 

「お帰りなさい……帰ってすぐで悪いんだけどこのあと宴会の準備があるから手伝ってくれないかしら?」

 

と、私室から寝間着姿の霊夢が顔だけだして手伝いを促してくる。

あ、霊夢も起きたばっかりか。

 

 

「いいよ。あ、でも先にお風呂に入らせて。結構泥だらけになったからさ」

 

「え?……本当ね。なんで?」

 

「いや、ちょっと萃香がね……」

 

「そう、あの鬼の仕業ね。まぁ、兎に角いってらっしゃい。もう少ししたら私も起きるから」

 

「はーい」

 

よし、それじゃあさっさとお風呂を沸かしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、気持ちよかった」

 

久しぶりに昼に入ったけど昼風呂も中々良いもんだね。

 

 

「あら、もうあがったの?」

 

「うん」

 

頭を拭きながら台所へ向かうと霊夢がいた。そして台所には焼き魚の香ばしい匂いが立ち込める。嗅いだだけでもよだれがでてきそうだ。

 

 

「まだ昼ご飯食べてないわよね?作ったから食べましょう」

 

「あ、うん。」

 

ありゃ、霊夢が僕がなにも言わずにご飯を作ってくれるなんて珍しい。

ま、いいか。まずは霊夢が作ったご飯を台の上に持っていくのを手伝おう

 

 

 

 

 

 

 

 

「いただきます」

 

「はい、いただきます」

 

 

霊夢が作ったご飯ははっきりいって僕のよりも美味しい。

それが軽食であってもだ。

今回は味噌汁とご飯、そしてヤマメの塩焼きと漬け物だ。

 

まずはご飯を一口。そのあとに味噌汁を一啜り。

口の中に残ったご飯に味噌汁が合わさり、一緒に喉へ通していく。

そのあとはメインのヤマメの塩焼きをかぶりつく。

うん、塩加減が絶妙で焼き方も凄く上手く、表面はパリっとしていて中の身はふわふわ食感。そこらの店よりもよっぽど美味しい。

 

 

「ほんと、美味しそうに食べるわよねぇ」

 

「だって美味しいんだもん」

 

「そ、そう(そんなはっきり言われたら恥ずかしいわね……)」

 

 

くそぅ、たまにしか作らないくせになんでこんなに美味しいんだ……

 

そんなことを思いつつ苦汁をなめながら昼ご飯を食べる僕だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ行ってくる」

 

「はーい。あんまり遅くならないでよ」

 

「あ、準備が終わったら天袋にある饅頭食べてもいいよ」

 

「あら、トオルにしては珍しいわね」

 

「いや、珍しくないでしょ」

 

 

 

宴会の準備のため僕と霊夢は準備を分担することにした。霊夢は境内の掃除と食器の準備で僕は買い出しだ。

まあ、買い出しといっても宴会に来る皆なにかしら持ってきてくれるのであまり多くはならないけどね。

 

そして現在、その買い出しにいくため、神社の階段を下っている最中だ。

 

最近は人里までの道を(僕が少しずつ)整備しているから空を飛んでいくのがなんだか勿体なくなってきたので歩いて人里へ行くようにしている。

やっぱり自分で整備すると愛着がわくよね!

 

 

「あれ……」 

 

と、階段を下りていると階段の一番下の方から上って来るいくつかの人影が見えた。

 

 

「参拝客?……はありえないか。今日の宴会に参加する妖怪かな?」

 

いや、それにしては早すぎる。まだ午後を回ってあまり経ってないし……

 

 

そんな疑問を抱きつつ、僕は階段を下りていく。

相手の方は上がっていっているのですぐに姿が見えるほどまで近づいた。

 

その上がっている人数は二人、身長さがあるが二人とも頭に兎の耳がついていて楽しげに話している。

え、ちょっと待てよ。身長が低い方は見覚えがあるぞ?

 

 

「ん、あれ?トオルじゃん」

 

「あ、やっぱりてゐか。」

 

相手の方も漸く僕を認知してこちらの方を向く。

そしてその一人は前に迷いの竹林で会ったてゐだった。

 

「……てゐ、知り合い?」

 

と、もう身長の高い方の兎耳をつけた女の子がてゐに質問する。

 

 

「そうだよ。前に竹林であたしが面倒見てやったやつさ」

 

「いや、違う違う。前に1度会っただけでしょ。」

 

なに僕が舎弟みたいな言いぐさをしてるんだ。

 

「そうなの?」

 

「そうだよ」

 

この身長の高い女の子、近づいてみたら僕より少し低かったね。てゐと比べてみてたから気づかなかった。

……それよりもこの子、やけに挙動不審だなぁ。ずっとてゐの後ろでゴニョゴニョと話すし。なんかあったのかな?

 

 

「ほら鈴仙、なに人見知りしてんのさ。あ、この人見知りは鈴仙ていうんだよ」

 

「あ、僕はトオルだよ」

 

なんだ、ただの人見知りなだけだったんだ。

 

 

「どうも……ってそんなことないわよ!私全然人見知りなんかしてないんだからね!あんたも勘違いしないで!?」

 

と、頬を赤らめながら否定の意思を示すが、かなり効果は薄い。だってめっちゃ慌ててるもん。たぶんてゐの言ったことが図星だったからだろう。

 

 

「そういえばトオル、なんで神社から下りてきたの?参拝客?よくあんな神社に祈る気なんかするね」

 

 

お、おう……別に大丈夫だけどなんか複雑な気分だ

 

 

「参拝客じゃないよ……僕は此処に住んでるからね」

 

「え、此処って……あの暴力巫女が住んでなかっけ!?」

 

うわ、ビックリした。急に鈴仙が乗り出してきたから少し後ずさってしまった。

 

「ま、まぁ確かに住んでるけど」

 

たぶん暴力巫女とは霊夢の事だろう。姉がそう呼ばれるのは弟としては普通嫌な気持ちになるだろうけど僕はそうは思わない。だって霊夢、妖怪に対してえげつないほど容赦ないからね。

たまにただ通りかかっただけの妖怪を退治しようとしたことだってあるし……

 

 

「え?なに、まさか同棲してんの?ほぉ、童顔で可愛らしい顔してんのにやることやってんじゃないか、色男」

 

「な、なわけないだろ!霊夢は僕の姉だ!」

 

 

凄い誤解を言われてしまったため恥ずかしさを堪えて慌てて否定する。

あれ?この否定の仕方ってさっき鈴仙がしたのと同じだ……

 

 

「へぇ、博麗の巫女に弟がいるってのは聞いてたけどまさかトオルだったとはね」

 

「驚き……姉と弟との差がありすぎわ」

 

「よく言われるよ……それよりてゐと鈴仙はなんで博麗神社に?」

 

「ああ、ししょーに頼まれたんだ。宴会の手伝いに行けって。ほんと、なんで私にも頼んだんだか。普通こういう雑用は鈴仙に頼めば良いのに。雑用係なんだし」

 

「私も頼まれたわよ。ていうか雑用係ってなに!?」

 

「ははは」

 

仲が良いようでなによりだ。ししょーっていうのが誰なのかは知らないけど

 

「それじゃあ僕は買い出しに行くよ。てゐ達は霊夢の手伝いに行ってくれるかな?一人じゃ大変そうだし」

 

「「わかった(わ)」」

 

そういって僕は階段を下り始めた。

それをみたてゐと鈴仙も階段を上りだす。

 

よし、さっさと僕も行こうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~人里~

 

 

「え、慧音先生も今回の異変に巻き込まれてたんですか!?」

 

「ああ、それとすまない。博麗の巫女を妖怪と勘違いして襲ってしまった」

 

 

八百屋で野菜を買おうとしていたら慧音先生と会った。

そして少し雑談をしているとき、今の会話からわかる通り、慧音先生も今回の異変で色々とやらかしていたらしいことがわかった。

 

 

「まぁ、でも慧音先生は凄いですよ。里の皆のために大妖怪に立ち向かったんですから」

 

 

僕だったらと想像するだけでも肝が冷えるな。

 

 

「あ、今日宴会がうちであるんで来てくださいよ」

 

「え?いいのか?」

 

「ええ、慧音先生なら大歓迎です。ていうか別に参加人数は別に決まってないんですけどね」

 

 

魔理沙がいつも宴会があるとき皆に声をかけにいってるんだけど宴会の参加者のほとんどは呼んでもないのに来る連中が殆どだし。

 

 

「それじゃあ僕はこれで失礼します。宴会は夜になったら始まると思うんで」

 

「ああ、私もこれたら来るよ。誘いたい相手もいるしな」

 

 

え?慧音先生が誘いたい相手って……

まあ、いいや。宴会の時間になればわかるだろう。

 

そんなことを思いつつ僕は慧音先生と別れ、次の店へとむかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ~帰宅後・博麗神社~

 

 

「お?お前この魔理沙様とやろうってのか?」

 

「ええ、今日こそ本を返してもらうわ!」

 

「本当に斬れないものなんてないのかい?半人前」

 

「あ、あんまりありません!」

 

「ふふふ、妖夢。意地を張って嘘をつくのは駄目よ。この前岩石を斬れるって自慢していたのに結局斬れなかったじゃない」

 

 

うん、わかってた。幻想郷の連中が定時まで待つわけがないってこと

 

空は赤みを帯びており、まだ暗くはない。

帰りは色々と遅くなってしまったので空を飛んだ。で、急いでお酒のつまみや料理をしようとしたけど、境内ではもう勝手に始まっていた。皆各々が持ってきた料理を食べたり飲んだりしていて問題ないようだし。

 

 

「まあ一応作るか。皆持ってきたのだけじゃすぐに尽きるだろうし」

 

そう呟き、神社の中へ入る。

 

 

……はぁ、こっちの都合もわかってほしいもんだ。

 

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