「やっほーアリスー。久しぶりー」
「……なにが久しぶりよ。昨日の宴会で会ったばかりじゃない。ていうか今頭痛いから帰ってちょうだい」
慧音先生を人里まで送った後。ふと、最近アリスの家に行ってないなぁと思い、帰るついでにアリスの家を寄った。
勿論昨日まで宴会が行われていたのだから二日酔いとかで機嫌が悪いだろうと思って、酔いに効く食べ物を幾つか持ってきた。
そして案の定、アリスはご機嫌ななめなようだ。
「ほら、アリス!蜂蜜だよ!これ、酔いに効くってよく紫姐さんから言われて舐めてたんだ、これ」
「……いや、だからなに?私の家にも蜂蜜ぐらいあるわよ。」
「む、アリス……」
なんと淡白な……まるで反応するのもめんどくさいからさっさと帰れ的な態度をとってくるな……
「もういちいち話すのも面倒だから今日は帰って……これからお昼の準備もしなくちゃならないってのに」
あ、やっぱりそうだった……少し寂しい。
「よ、よし、それじゃあアリスは寝てていいよ!僕がアリスの分のご飯を作ってあげる!」
「え、トオル。家に帰らなくていいの?あの食いしん坊がお腹を空かせて待ってるわよ」
「いや、大丈夫。霊夢のやつ、片付けを放って魔理沙の家に泊まりにいったから」
「へぇ、そうなの」
ほんと、お陰で慧音先生に片付けをさせちゃったからね。
「そう、昼食を作ってくれるのなら話は別よ。入りなさい」
「うん。お邪魔するよ」
よーし、それじゃあ早速アリスの為にご飯をつくるぞー!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ありがと、上海」
「シャンハーイ」
昼食を作っているとき、リビングからそんな声が聞こえてくる。どうやら上海にハニーティを運ばせていたようだ。上海のお盆に蜂蜜の入った瓶が乗ってるからたぶんハニーティであってるはず。
……そういえばなんでアリスは上海と蓬莱の区別がつくんだろう……やっぱり製作者だからなのかな?僕にはさっぱりだ。
「ふむ……さて、僕はなにを作ろうか」
アリスにご飯を作ってあげるというまでは予定通りだったけど、何を作るのかまでは考えてなかった。
うーん……僕が持ってきた食材は……蜂蜜の他にはトマトと卵と大根、だけ……うん、なんでこう二日酔いに効く食べ物だけしか買ってこなかったんだろうか。
料理するって決めてたのならもっと他のも買うべきだったね……
まあ、そんな後悔をしててもしょうがない。
「アリス、調味料とか少し使っていい?」
「別にいいわよ。あ、できれば醤油を沢山使って。私の作るのであんまり醤油を使う料理ないから」
「あ、うんわかった。」
醤油か……味付けの材料にでもしようかな。
よし、構想は大体できた。
早速料理にとりかかろう!!
~20分後~
「できたー!」
「ホウラーイ」
よし、初めて挑戦した料理だったけど中々良いのが出来た。
途中から手伝いにきてくれた蓬莱のおかげでもあるね!
いつものことながら手伝いにきた蓬莱を上海と間違えて殴られたのは別の話。
「何を作ったの?」
と、さっきまで椅子に座ってうたた寝をしていたアリスが僕の作った料理をみる。
「これは、普通のスープ……ではないようね。」
「うん、大根とトマト、あと溶き卵をとじた和風スープだよ。」
「へえ、そんな料理も作ってたのね」
「いや?これは今日、初めて作った料理だよ」
「え!?」
前に咲夜から教わったトマトスープを見本にして作ったんだよね。
「……なんだか急に食べる気分じゃなくなったわ」
「な、なんで!?」
「そんな初めて作った物を食べさせられるのは御免だわ。せめてトオルに先に食べてもらわないと」
「あ、そういうことか」
まったく、疑り深いんだから……
そんなことを思いつつ僕は小皿にスープを入れ、飲んでみる。
「……」ゴクッ
「……どう?」
「……」
「ど、どうしたの?」
こ、これは……
「なんか、不味くはないけど滅茶苦茶美味しい!って訳ではないね」
「つまり?」
「普通」
「そう……」
まあ、初めて作ったものだしこんな物か。
「でもアリスには食べてもらうよ。一応これ、酔いに効く食べ物を使った料理だから」
「えー、食べたくないわ」
「一人で食べるの嫌なの?僕が食べさせてあげようか?」
「いや、いい。それと次変な冗談言ったらぶつから」
「あれ、バレてた?」
バレないように自然な感じで言ったんだけどなぁ……
「ま、まあ兎に角席についてて。持っていくから」
「結局食べるのね」
「食べるために作ったんだから当たり前じゃないか」
「はあ、腹を括るしかないのね……」
「なんで腹を括る必要あるの!?」
アリスの脳内でこのスープはいったいどんな物になってるんだ……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~リビング~
「なんだ。意外といけるじゃない」スゥ
「でしょ?別に不味いわけではないんだよ」
やっと誤解が解けたか。
「ん~、でもまだ頭痛がするわね。」
「そりゃまだ食べたばかりだし」
「……いや、長年の勘で分かるわ。これは一日ずっと続くやつだわ」
「はあ……そうですか」
確かにアリスの体調はあんまり良くなさそうだ。自然のしぐさでも頭を抱えてるし、心なしか上海と蓬莱もぐったりしているように見える。
「あ、そういえば……」
「ん、どうしたの?」
「いや、一昨日異変を起こした奴って
「そうなの?」
薬師……医者のことかな?
「んー、でも彼処まで行くのは正直めんどくさいわね」
「……まさか異変を起こした人のうちに行こうとしてるの?危なくない?」
「ええ。あの連中も昨日、人里の人達と交流をとるとかいってたしそんな危ない奴らじゃないでしょ。少なくても害を加えてくる可能性は低いと思うわ」
「へぇ、一体どんな人達なんだろう」
「気になるの?」
「え?……ああ、うん。多少はね」
いまだに迷いの竹林の中にいるってことしかわからないし……
「それじゃあこれからちょっと行ってもらえない?」
「え、なんで?」
「ちょっと酔い醒ましの薬のお使いに行ってもらいたいのよ」
「えー……」
まさかここにきておつかいを頼まれるとは……
でもさっき人里にも行ったばかりだからもうあんまり出掛けたりしたくないんだよなぁ……まだ昼過ぎだけど。
「お願い、今度ケーキご馳走するから」
「ほんと!?」
ケーキ…ケーキは魅力的だ……前に一度だけアリスの作ったショートケーキを食べさせて貰ったことはあるけどかなり美味しかった。
あれは『わよう』とはる美味しさだった。
「んー、でもなぁ……」
「(まだ釣れない……いつもならこれで行ってくれるのに)」
その異変を起こした人達の場所、迷いの竹林ってこと以外わかんないんだよなぁ……探すのもめんどくさいし。
あ、でもあれをしてもらえるなら……
「それじゃあケーキをアリスがあーんしてくれたら行っても……いだ!?」ガツン!
「さっき言ったわよね?変な冗談言ったらぶつって」
で、ですよねぇ……
「す、すいません。行かせてもらいます」
くぅ、拳骨された……とてつもなく痛い……
「それじゃあよろしく頼むわね。はい、お金」
「うん、でも約束は守ってよね。次の休みの日に来るから」
「はいはい、わかってるわよ。いってらっしゃい」
そうアリスが言うとともに僕はアリスの家からでた。
んーと、アリスが言うにはこの前異変を起こした人達のいる家は迷いの竹林の頭上に飛べば大体わかるとのこと。
うん、もうちょっと正確に教えてほしかった。
そういえばてゐ達も迷いの竹林に住んでるって行ってたし帰りに行ってみようかな?
あ、でもそれも迷いの竹林ってこと以外わからないから面倒だなぁ……