今回は年明けの話ではなく年末のお話となっております。(短めです)
台詞形式です。
~紅魔館~
パチュリーが住み着いている図書館には今、門番である美鈴と妖精メイドを除く紅魔館の住人が集まっていた。
パチュリー「レミィ、もうすぐ年が明けるわよ……はい、あがり」シュッ
レミリア「ふふ、そうね。今年こそあの太陽の神に勝って闇の年になってもらいたいものね……あ」シュッ
太陽の神、つまり天照大神に勝つということだ。そして勝って貰いたいのは明星(金星)である天香香背男命だ。毎年、天照大神と天香香背男命が年の始めに戦いを行う。もし天照大神が負けてしまうと妖怪の力が強くなりレミリアのいった『闇の年』となる。
実はそうならないためにも毎年元旦と大晦日に霊夢が天香香背男命を封印する儀式をし、力を弱めさせている。
フランドール「ねぇ、なんでトオルの家いかないの?行こうよー」シュッ
怠そうにテーブルにのっかかった状態のフランドールが姉であるレミリアに疑問を言う。
レミリア「フラン、外に出ようという意欲は姉としては嬉しいけど今日は駄目よ……ふっ」シュッ
フランドール「えーなんでー?……」シュッ
レミリア「今日は……というより明日は妖怪にとって大事な日なの。特に太陽の敗北とは吸血鬼である私達にとってはとても喜ばしいことなのよ」
フランドール「弱点である太陽が負けるから?」
レミリア「そうよ。天敵であるあの忌々しき太陽が負けるなんてこれほどまでに爽快なことはないわ」
フランドール「へー……まあ、確かにあの光浴びちゃうと肌荒れしちゃうもんねー」※実際は肌荒れ程度では済まされません。
レミリア「だから、決戦の日に私達が応援しないわけにいかないのよ」
フランドール「ふーん、ならなんで皆をここに集めたの?」
レミリア「そんなの決まってるじゃない。来るべくしてくる決戦の傍観者となる日に備えるためよ」
フランドール「んじゃ、なんで私達、決戦の傍観者となる日のために備えてるはずなのに″ババ抜き”してるの?……あ、あがりだ」シュッ
レミリア「傍観者だからすることがないから仕方なく潰してるのよ……あとは私と咲夜だけか」
パチュリー「(レミィ、御託を並べてはいるけど要は皆と遊びたいだけよね。さっきから羽根が異常に揺れてるわよ)」
レミリア「咲夜、貴方が引く番よ」
咲夜「はい、お嬢様」
と、残り2枚になったレミリアのカードのどちらかを引こうとする咲夜、どちらか見定めるため手を両方のカードに持っていく。
「……うぅ……」右のカード
「……ふっ……」左のカード
咲夜「(これ、確実に左のカードがババよね……)」
澄ました顔をしているとレミリア自身は思っているようだが、レミリア以外の皆には丸わかりであった。
咲夜「(もう5回もやって全部お嬢様がババを残して負けている。いい加減負けないとお嬢様の機嫌が損なわれる可能性があるわね……)……はい」ヒョイ
レミリア「やった!」
咲夜の情けによりわざとババを引かれたレミリアは無邪気に喜ぶ。
レミリア「ふっ、喜ぶのはまだ早いわね。まだ私が引かなければ勝てない」
フランドール「お姉様、能力を使うのは禁止だからね」
レミリア「ふん、そんなのあたりまえだわ。まあ、運命を操れる私には容易なことだけどね」
フランドール「だから能力使うの禁止だって」
そしてレミリアは2枚になった咲夜のカードのどちらかを引くか思案する。
咲夜「(右のカードがババ。お嬢様、私の顔を見てくださいまし!)……ふふふ……」
レミリア「!!」
わざとらしく笑う咲夜に気付いたレミリア。
レミリア「今の顔、もしかして右のカードがババなの?」
咲夜「さあ、どうでしょう(そうです、だから左を取ってください)」
フランドール「いや、もしかしたら咲夜の演技かもしれないよ?」
レミリア「あ、それもあるわね」
咲夜「(妹様!?)」
ここでまさかのフランドールによる不意打ち。左のカードを取ろうとしたレミリアが指を一旦とめる。
咲夜はその不意打ちに驚き、思わずフランドールの方を見てみる。
するとそこには、ニヤリと笑っているフランドール。そして咲夜は思い出す。フランドールも悪魔だということを。人を惑わし、それを至福とする種族であるということを……
咲夜「(まさか姉をも惑わすとは……妹様、立派に成長なされているということですね)」
レミリア「う~ん……どっちがババなのか見当もつかないわ」
パチュリー「もう勘でいったら?そっちの方が手っ取り早いわ」
レミリア「それもそうね」
パチュリーに促され、ついにレミリアが″右”のカードを引こうとした。
咲夜「……!!!!」
バアァァァンンンン……
レミリア「よし!やっと最下位から脱却したわ」
咲夜「おめでとうございます、お嬢様」
パチュリー「(時止めたわね)」
フランドール「(止めたね)」
今年最後の日、紅魔館はいつも通り賑やかなようだ。
~紅魔館・門番~
美鈴「へっくしゅ!……うぅ、寒い……ああ、久しぶりにうどん食べたいなぁ」
門番を除いて。
レミリア「あ、美鈴を忘れていたわ。咲夜、連れてきてちょうだい」
咲夜「承知いたしました」
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~博麗神社~
雪がゆらゆらと散りゆく中、博麗神社では炬燵の中でだらけている3人がいた。
トオル「はあ、今年ももう終わりかぁ」
霊夢「今年は異変続きで疲れたわ」
魔理沙「まあ、そんなことお酒でも飲んで忘れようぜ!」
霊夢「忘年会ね……よし、トオル!いっぱいお酒もってきて!」
トオル「ねえ、ついこの前やったの忘れたの?……ていうかお酒は″いつもの儀式”が終わったらって自分で言ってたじゃないか」
いつもの儀式とは無論、天香香背男命を封印するための神事である。
霊夢「そんな細かいこと気にしなくていいのよ」
トオル「細かくない!大事な神事だよ!」
魔理沙「なら霊夢は飲まずに私とトオルだけが飲めばいい話だろ?よし、トオル持ってこーい!」
トオル「魔理沙、僕がお酒飲めないの知ってるよね?つまり飲むのは実質魔理沙だけになるから嫌だよ!」
霊夢「そんなの駄目よ!魔理沙にだけ良い思いなんてさせないわ!」
魔理沙「ええい!つべこべ言わずに持ってくるんだトオル!トオルは見たくないのか?私達がお酒を飲んでいるのを羨ましそうに涎を垂らす霊夢の姿を!」
トオル「弟として恥ずかしい!」
霊夢「流石に涎は垂らさないわよ!?」
こちらもなにかと騒がしい年末なようだ。