東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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もうそろそろ妹紅を登場させたいと思います。
今話では出ませんが……



41話 肝試しという名の弾幕ごっこ(前編)

 

 

「霊夢ーご飯だよー。早くでないとおあずけだからねー」

 

「トオル、何姉を犬に餌をやるときと同じような呼び方してんのよ」

 

 

僕はまだ日が出始める前に朝ご飯を作った。

 

そして部屋から出てきた霊夢は寝間着姿ではなく巫女服姿でいつでも出られるようにしている。

 

 

 

 

今日、霊夢は里の人から妖怪退治の依頼を受けていているからだ。その退治する妖怪というのが日が出始める頃に煩い音を出すという迷惑行為をしてくるそうだ。

 

早起きの皆ならそれを目覚まし時計にすれば良いんじゃないかと最初思ってたんだけど、茂いわく、その騒音のせいで赤ん坊や家畜の鶏やらが鳴き始めたりと目覚まし時計にしてはオーバーすぎるほど煩いらしい。赤ん坊が一人泣いているだけで物凄く煩いのにそれの何十倍の煩さ

……ここに住んでてよかったなぁ。

 

 

ということで今日、霊夢がその妖怪をとっちめるために日の出が出る前に里の入り口で妖怪を待ち伏せすることになった。

 

なので少しでも手伝えないかと思った僕はいつもより早起きして朝ご飯を作ったってわけ。僕が妖怪退治の手伝いに行っても足手まといにしかならないからね。

 

 

「こんな早起きしてまで作る必要なんて無かったのに……」

 

「何いってんのさ。朝ご飯はとっても大事なんだよ!朝ご飯は1日のエネルギー源になるって紫姐さんが言ってたし!」

 

「紫の言葉を鵜呑みにしちゃダメよ、後で大変な目にあうわ。

……まあでも紫も今回はちゃんとしたことを教えたようね。確かに朝ご飯は必要だわ。戦闘中にお腹が鳴ったら堪らないし」

 

 

そう言いながら霊夢は席につく。

 

 

「いただきます」

 

「はい、いただきます」

 

 

食べ物への感謝を言い、ご飯に箸をつけ始め、暫しの間、箸がぶつかる音だけが部屋に流れる。

 

 

「そういえば最近あんた、よく朝に帰ってるけど……」

 

 

と、半分ほど食べ終わったぐらいに霊夢が口を開いた。

 

 

「もしかして女でもできた?」

 

「ブフーッ!?」

 

「汚い」

 

あまり突然なことに驚いてしまったせいでお茶を吹き出してしまった!

急いで拭かなきゃ……

 

 

「あのさ霊夢、僕に彼女ができると思う?」

 

「そりゃ思うわよ。見てくれだけは良いんだし」

 

「だけは余計だよ」

 

 

そういえば確かにそう思わせるような行動をとっているような気がする。

永琳さん達がすんでいる永遠亭に泊まったことを始めとして、どうこちゃんのいる茂の家にも泊まったし、この前なんて当主のレミリアに内緒で図書館にお泊まりした。

 

……うん、確かに霊夢が同じような行動をとっていたら僕も霊夢を疑うね。

 

 

「でも僕に彼女ができる要素なんてそんなにないよ。まず博麗神社に住んでるって時点でマイナスだし」

 

「それはどういうことよ!?トオル、あんたまだ私も知らない祭神に祟られるわよ」

 

 

祭神を知らない巫女って……まあいいや。そんなことより……

 

 

「霊夢、僕に彼女がいるかとか疑ってるようだけど僕に彼女なんて……」

 

「私が思うにトオルがよく行く貸本屋の子だと思うのよねー」

 

「!?」

 

「あ、でも魔理沙が言うにはフランとも怪しいって言ってたわね」

 

 

な、なにいってんだ霊夢は……もしかして霊夢、魔理沙といるときそんな話をしてるのかな?いや、霊夢と魔理沙の事だ。他人の色恋沙汰に興味があるわけがない。絶対になにかあるはずだ!

 

 

「霊夢、もしかして魔理沙と僕が誰と付き合ってるか賭けてる?」

 

「!!?…………い、いえ、そんなことないわよ。わわ、私は単に弟に彼女がいるのか気になっただけよ!」

 

「…………」

 

 

この慌てぶりようは……

 

 

「な、なによトオル」

 

「賭けた、よね?」

 

「賭けてない」

 

「賭けてるでしょ」

 

「賭けてないわよ」

 

「賭けた」

 

「賭けてないってば!」

 

「知ってる?追い詰められると言葉が荒くなるらしいよ。ねえ、なんで霊夢は今言葉が荒くなったの?」

 

「そ、それはあんたがしつこいからでしょ」

 

「ふーん……」

 

 

あくまでしらを切るつもりだな、この駄目巫女は……

 

 

「まあいいや、それより早く食べよ。もうすぐ日の出だよ」

 

「そうね、早くとっちめてやらなくちゃね!……ふぅ」

 

 

安堵の息を漏らしてるところを見るとどうやら霊夢は僕を賭け事の対象にしている事は確かなようだ。

今度時間があるときに問い詰める必要があるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ行ってくるわ。お昼は人里で食べてくるから必要ないから」

 

「うん、わかった。気を付けるんだよ」

 

 

朝ご飯を食べ終え、ついに霊夢が妖怪退治に行く時間になった。

 

 

「行ったか……」

 

そして霊夢は人里の方へ飛んでいった。

 

 

「ふあ~……皿を洗ったらまた寝よ」

 

 

最近は肌寒い日が続いている。それもそうだ、もう10月の末にもなってまだあんなに蒸し暑いのが続いたらたまったもんじゃない。

 

そう思いつつ僕は台所へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

「おーす、霊夢ートオルー、いるかー?」

 

 

霊夢が妖怪退治に出て結構経ち、そろそろ起きようかと思った頃、聞き覚えのある声が境内から響いてきた。

 

 

 

 

……魔理沙か。どうせまた昼ご飯をたかりに来たんだろう。今日のお昼は僕一人だから軽食で済ませようと思ったのに……

 

 

よし、居留守しよう。

そう思い僕は毛布を頭まで被り、極力音を立てないようにする。

 

 

「あれ?誰もいないのか?」

 

 

魔理沙の声が居間の方から聞こえてくる。

魔理沙のやつ、堂々と不法侵入してくるな……

いやちょっとまって。足音がどんどん近づいてくるんだけど……

 

 

「霊夢ー」スゥー

 

 

隣の部屋が開けられる音がした。やばいやばい!魔理沙は僕と霊夢の部屋を知っている。そして隣は霊夢の部屋だ。魔理沙が確認のために霊夢の部屋を開けたってことは……次に開けられる部屋が僕の部屋になる可能性が高いということだ!

 

もし見つかったら絶対に居留守していた事について咎められる!

 

 

 

「トオルー……あ?」ガシッ

 

僕の姿を見せるわけにはいかない。ということで僕は魔理沙が開けようとした襖を塞ぐことにした。

 

 

「あれー、なんで開かないんだ?なにか物でもつっかえてんのかな」ガシッガシッ

 

 

僕はわかっている。もし見つかれば十中八九お昼をたかられることを。そして居留守について咎められ、僕の隠しているお菓子を強奪されるんだ。自分が不法侵入していることを棚にあげて言葉巧みに僕を追い詰めてくる、それが魔理沙だ。見つかれば終わり。なので多少無理があるが襖を塞いで僕の部屋にいれないようにする。

 

こういうときの僕は強い。いつもなら下手くそな霊力操作もこのときばかりは襖を抑える手に込め、常人では出せないような力を発揮させる。

これって窮地な時ほど力を発揮する主人公みたいな特殊体質を僕が持ってるってことなのかな?窮地な場面があまりにもショボいけど。

 

 

「ぜんっぜん開かないな。こりゃあなにかがつっかかってるって訳じゃ無さそうだな」ガシッガシッガシッ

 

 

ふっ、流石の魔理沙もお手上げって訳だ。ほらほら、早く諦めて帰るんだ!

 

 

「開けぇー!!」グググ

 

「……!?」

 

 

一瞬魔理沙が諦めたのかと安堵していたら急に物凄い力で襖が開けられかけた。急いで僕も襖に力を込め、それを制止させる。

 

「あー!?なんだ?誰かがトオルの部屋から襖を押してくる感じがするぞ!」ググ

 

 

しまった!流石に今のは駄目だったか……

 

 

「トオル!抑えてるのトオルだろ!なんで襖を開けさせてくれないんだ!」

 

「……!!」

 

 

あー……もう駄目だ……完全に人がいるってことを認識させてしまった。もう見つかるのも時間の問題、霊力だって魔理沙の方が扱いが上手い。本気を出されたら忽ち襖を開けられるだろう。

 

 

「ぬおー!!」グググ!!

 

 

だからって負けるわけにはいかない!もう殆どバレてるんだ!これで勝っても負けてもこのあと何かが代わるってことは決してない。でも女の子に単純な力勝負に負けるのは僕の中にある(その辺に転がってる小石程度だけど)男のプライドが許さないんだ!

 

 

「今の声!やっぱりトオルか!ほら!早く開けろ!そして私に昼飯をご馳走するんだ!」グググ

 

「やっぱりそれ目的か!嫌だ!絶対に作るもんか!」グググ

 

「なんだと!魔理沙お姉さんが折角来てやったってのにおもてなしもなしなんて酷いぜ!」グググ

 

「週5でくる奴におもてなしなんてするか!」グググ

 

 

そう言い合いをしながら襖が右左に動く。ぐぅ……やっぱり魔理沙は強い。このままじゃ負ける!

 

 

「ははは!トオルも力が強くなったもんだな!だが私に比べたらまだまだだぜ!」グググ

 

「ま、負けるか!」グググ

 

端からみたらこいつらなに馬鹿なことやってるんだと思うかもしれない。でも僕にとっては一斉一代の大勝負なんだ!ここで負けたら男失格だ!

 

「……あんたら、なにやってんの」

 

「んあ?なんだ鈴仙か。今、トオルと勝負してる最中だから邪魔するなよ!」グググ

 

「え、鈴仙!?」

 

 

なんで鈴仙が僕の部屋の目の前に……ていうか鈴仙もついに不法侵入してくるようになるなんて……

 

 

「いまだ!」ドガッ!

 

「うわ!?」

 

 

鈴仙のことでショックを受けて少し力が緩んだところに魔理沙が襖に思いっきり力を込めてきた。

それに反応することができなかった僕は襖を開けられ、姿を表すことになった。

 

 

「くっ……負けた」

 

「この私に勝とうなんて10年早いぜ!」

 

「呆れて物も言えないわ……」

 

 

くそう……今日の僕は一味違うと思ったのに!

勝負があまりにもしょうもないものだったけど負けるというのはやっぱり悔しいな……

 

 

「よし、それじゃあ早速……」

 

「はあ……はいはいわかったよ。昼ご飯を作れば良いんでしょ。鈴仙も食べてく?」

 

「え?」

 

「おお、食ってけ食ってけ。」

 

「ねえ、それは魔理沙が言うセリフではないよ」

 

「え、でも私は……」

 

「鈴仙も遠慮しなくてもいいよ。どうせ多く作らなくちゃいけないんだ。一人増えたぐらいどうってことないよ」

 

 

それに鈴仙がうちに来た理由も聞きたいし。

 

 

「そ、それじゃあお言葉に甘えて……」

 

「へへ、ご馳走するぜ」

 

「魔理沙は料理手伝ってね」

 

「えー!?」

 

 

ちょっと魔理沙の態度が気に入らなかったので手伝ってもらうことにしよう。

 

あ、鈴仙もいることだし久しぶりに人参を使った料理にしよう。この前買ったのが結構残ってたし!

 

お昼の献立を思いつき僕は傷んだ襖を気にしつつ台所へ向かうのだった。

 

 

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