東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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いや、今回は……はい、そういうことです。 



44話 無意識なセクハラ

 

 

 昨日、幽々子さんと霊夢によって、備蓄していた食糧の大半を持っていかれたので、霊夢と共に食材の買い出しに行くことになった_____

 

 

「トオル、早くしなさい」

 

「うん……ちょっと待って。あと2着着ないと」

 

「着すぎよ!もう4着ぐらい着てるでしょ」

 

「5着だよ」

 

「……」

 

 

 ______のだけど、僕の用意が遅れているため、まだ母屋から出ることが出来ていない。

 いや、だって仕方ないじゃないか?雪が降っていないとはいえ、風が凄く寒いんだから……

 

 

「はあ……ああーもう!」

 

 

 と、靴まで履いていた霊夢が苛立ちの声をあげて此方まで近付いてくる。

 

 

「え……なに?…………うわ!?」

 

 

 そして僕の目の前まで来ると、霊夢は僕をそのまま押し倒してきた。

 

 

「何するんだ。これじゃあ着れないじゃないか」

 

 

 押し倒したまま、馬乗りになる霊夢。退かそうにも手を足で抑えられているので引き剥がせない。……くっ、やっぱり力じゃ霊夢には敵わないか……

 

 

「良い機会だわ。あんたの寒がりを治してあげる」

 

「何言ってるんだ。寒がりは元々の…………ってちょっ、なにしてんの!?」

 

「要らない分の服を剥がしてんのよ!」

 

 

 そう言いながら霊夢は僕の服を脱がそうとしてくる。

 ま、まずい!このままじゃ薄着で外にでる羽目になる!

 

 

「寒い寒いっていっていつもそんな格好されると恥ずかしいのよ!」

 

「なんで!?僕が厚着してなんで霊夢が恥ずかしいのさ!!」

 

「あんたの厚着が度を越しすぎて、遠目から見るとボールみたいに見えるからよ!」ビリィィ!!

 

「……な!?」

 

 

 そんな大袈裟な……いくら厚着してるからってボールに見えるわけないでしょ……

 と、その事について考えていると、いつの間にか僕の服は1着だけになっていた。

 …………え?どうやって僕の服を脱がしたんだ?足で僕の手は抑えられている筈だから脱げるはずないのに……

 

 

「面倒だったからいっぺんに破いたわ」

 

 

 そういって手に持っている無惨な姿に変わった僕の服達を見せてくる霊夢。

 

 …………。

 

 

「霊夢ぅぅ!何やってんの!!?ってかどんだけ凄い速さで破いてんの!?着てる僕ですらきづかなかったよ!……それよりどうすんのさ!僕の服が一気に4着ゴミと化したよ!?」

 

「うっさいわね。寒がりを治すなら、服もこんなに必要ないから別に良いでしょ」

 

「よくない!物を大切にしなよ!」

 

「ふん、なにいってんの。この布切れと化した服を縫えば雑巾にしたりして再利用すればいいでしょ」

 

 

 意外と考えてたよこの人……

 

 

「ていうか退いてよ!もう服1着しか着てないし……」

 

「トオルはなにか勘違いしてない?その1着も脱ぐのよ」

 

「え?」

 

 

 霊夢は果たしてなにをいってるのかな?この1枚を脱いだら僕、上半身裸になるよ?

 

 

「上半身裸になって、境内の周りを10周しなさい。そして感じなさい、服というものがどれだけありがたいものかを!

 そうすればトオルも、服1枚だけで十分暖かいのだと思うようになるわ」

 

 

 駄目だこの巫女。頭どうかしてる。服のありがたみを語るのならまず、服を大切にしようよ。ほら霊夢、今何もってる?それ、君がダメにした服の残骸だよ?

 

 

「こら、抵抗するな!」

 

「しない方が可笑しい!」

 

 

 くそう!やはり馬乗りしてる分、霊夢の方が有利か!

 

 

「よし、掴んだ!」

 

「あ、止め……」

 

「ふん!」ビリィィ!!

 

 

 そして僕の服は無惨に引きちぎられた。

 

 

「ふぅ……」

 

「……」

 

 

 一仕事終えたように一息つく霊夢。……こいつ……

 

 

 

「あのー、すいませーん」

 

 

 と、縁側から声が聞こえる。この声は……妖夢?

 

 

 

「誰か居ませ…………」

 

 

 そして妖夢はそのまま居間に続く障子を開けると、出していた声を半端に止め、固まる。

 

 

「なによ、勝手に入ってくるんじゃないわよ」

 

「あ……あ、あ……」

 

 

 なんで妖夢は固まってるんだろうか?固まるような事なんて…………

 

 いや、ちょっと待てよ。今の状況を整理しよう。

 まず、霊夢が僕を馬乗りにしてる。そして馬乗りにされている僕の上半身は、現在裸。辺りには僕の服の残骸が散らばっている。

 

 

 …………あれ?これってかなり誤解を産むような状況なんじゃ……

 

 

「し、失礼しましたー!!」

 

 

 そういって妖夢は顔を赤く染めながら飛んでいく。

 

 …………ヤバイ。

 

 

 

 

「待ってええ!妖夢!誤解だから!!妖夢が思ってるようなことは決してないから!!」

 

 

 すかさず霊夢を退けて僕も飛んで、妖夢を追いかける。

 

 

「きゃああ!トオルさん!なんで上半身裸のまま外に出てるんですか!?」

 

「今はそんなこと関係ない!まずは誤解を解かせて!!」

 

 

 冬の外。風がとてつもなく寒いにも関わらず、僕は上半身裸で外に出た。なぜなら、寒さより、誤解を解きたい気持ちが大きかったから。

 こんなこと他の人に知らされでもすれば、僕はもう婿にいけない。

 

 

「ほら、兎に角家にあがって!話はそれからにしよう!」

 

「や、止めてください!ちょ、くっつかないで!?」

 

 

 

 この日の昼頃に博麗神社の空で上半身裸の男性と、幽霊を纏った女性が弾幕ごっこをしていたことが少しの間、妖怪内で噂になったらしい。

 

 うん、まさか妖夢と弾幕ごっこをすることになるとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

「ほんと、なにやってるんだか……」

 

 

 はぁ、とため息をつく霊夢。

 なんとか誤解を解けたが、代わりに妖夢が僕に対して少し冷たくなった。いや、ほんと……ごめん。あのときは必死だったとはいえ妖夢に抱き付いてしまった。

 いや、本当に抱き付いたんじゃなく、羽交い締めに近い形だったんだ。

 ただ、服装が駄目だった。服装もなにも上半身裸だった。

 その状態で抱き付いてしまったんだ。端から見なくても変態だよ。

 

 

「あの、ごめん。妖夢」

 

「別に良いですよ。必死だったのもわかりますし」

 

 

 と言いつつも目を合わせてくれない妖夢。ああ、これなんか傷付けちゃったやつかな……

 

 

「まあ、そんなことはどうでも良いとして。

 トオル、あんた寒がりが治ったじゃない」

 

「あ……」

 

 

 そういえば今、Tシャツ1枚だけどあまり寒くない……

 

 

  ヒュウゥゥゥ~

 

 

 筈がない!

 縁側から入ってきた風が来た瞬間、震えが止まらなくなった。

 くっ、さっきまでは興奮していたお陰で寒いとは感じなかったけど、今は物凄く寒い!

 

 

「服は……」

 

 

 と、土間から居間を見てみる。そこには僕の服の残骸が散らばっているのみで、どれも着れそうにないものばかりだ。

 

 …………ああもう!なんて力してんだ霊夢!普通じゃこんなに破けないよ!!

 

 

「それで、あんたはなんでうちに来たのよ」

 

「わ、私?私は昨日のお詫びに来たんだけど……」

 

「お詫び?なにか貰えるの?それなら今、餡ころ餅の気分だわ。」

 

 

 お詫びと聞くやいなや、早速霊夢がたかり始めた。

 ……霊夢、たかるとしても、もう少しオブラートに包んだ感じに言わないと。

 ……おっと、その前に服を取りに行かないと……

 くぅ、本当はあのコートを着たいけど、あれは今、昨日雪で濡れたから乾かしている最中なんだよね……

 そう思い、霊夢がお詫びに興味を寄せているうちに自分の部屋に行こうと、足を踏み出そうとした_______

 

 

「いや、幽々子様がトオルさんと買い物に行ってあげてといってきたの」

 

「え?」

 

 

 _____ら、妖夢の口から聞き逃してはいけないことが聞こえた気がしたので、その場で踏み留めた。

 

 

「なんで僕と妖夢が出掛けないといけないの?」

 

「それは私も思ったんですけど……もうお金も貰ってしまったし……」

 

 

 いくら幽々子さんの頼みだからって妖夢……君が今言ってるのはつ、つまり、デ、デートって事だよね?僕、霊夢と魔理沙以外で異性と出掛けたことなんて殆んど無いんだけど……しかもデートなんてもんじゃない。

 

 

「ふーん……そういうことね。大体あいつの読みが見えて来たわ」

 

 

 と、僕と妖夢を見ながら、霊夢は納得したようにウンウンと何度も頷く。

 

 

「ま、そういうことなら良いわ。トオル、買い出しは妖夢と行って。私は散らかった居間を片付けるから。あ、ちゃんとお土産宜しくね」

 

 

 そういって居間に上がっていく霊夢。

 一体、何に納得したんだろうか……まさか、納得したふりをして本当はただ外出するのが面倒なだけじゃないのか?僕だって外出したくないよ。そもそも外出しないために秋、死ぬ気で頑張ったんだから。

 

 

「あの、嫌なら私一人で買い出しに行っても良いですよ」

 

「いや、別に嫌じゃないよ。逆に僕なんかと一緒に行っていいの?」

 

 

 一瞬、妖夢が買い出しに行くと言ってくれたとき、かなり嬉しかったが流石にそれじゃ駄目だ。女の子一人にあんな大荷物運ばせるわけにはいかない。まあ、女の子と言っても、僕より何十倍も強いけどね。

 

 

「私も…………構いませんが」

 

 

 ん?今の合間はなにかな?……やっぱり、さっきの事まだ気にしてたるのかな……それならちょうど良い。買い物中になんとか壁を取り払おう。

 

 

「それじゃあ……行こっか?早く行かないと日が暮れるし」

 

「はい、荷物は任せてください。私が全部運びますから」

 

 

 ……こんな美少女と買い物できるなんて、普通に考えたらとても幸運な事かもしれない。

 うん、そう考えれば楽しいかもしれない。やったね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

「(寒い寒い寒い寒い寒い)」ガタガタガタガタ

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

 しまった……薄着1枚で出掛けてしまった!

 

 

 このあと、服を取りにもう一度博麗神社に戻ったお陰で、人里につく時間を大幅に遅らせてしまいました。

 妖夢、ごめん。

 

 

 

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