東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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45話 初な子からの認識

 

 幽々子さんのお陰?で妖夢と買い物にいくこととなった。

 ということで現在、買い物のため僕達は買い物をするため、人里に来ている。

 

 

「んーと、ここにある野菜を一通り、お願いします」

 

「え?!……あ、あいよ!」

 

「八百屋のおじさん無理しないで!あと妖夢、後の人の事考えなよ!?」

 

「後ろに並んでいる人の事ですか?なら斬ってしまえば、考える必要も問題ないのでは?」

 

「迷惑極まりないし、物騒だよ!」

 

 

 楽しい買い物にはならないだろうな、とは薄々気づいていた。

 そう、人里に来てからずっとこの調子だ。

 酒屋にあるお酒をある分の持ってこいだとか、肉屋も、保存が難しくて、あまり多くないというのに買い占めを行おうとしたし。流石に止めた。里の人達に多大の迷惑がかかる。

 妖夢いわく、この奇行は、これまでの謝礼だそうだ。この前、幽々子の食事会に呼ばれたときと、昨日の夕飯のとき、僕がろくに食べれていなかったことを気にしていたらしい。

 なんて律儀な……でも流石にこれはやりすぎでしょ、お金も、幽々子さんからもらった分だけでなく、自分のポケットマネーからも出してるらしいし……

 

 

「うう、これじゃあトオルさんへのお返しが……」

 

「ねえ、妖夢」

 

「ん、はい?なんですか?やっぱり八百屋の食材を買い占めますか?」

 

「いや、そのために呼んだ訳じゃない」

 

 

 神社での事はもう気にしていないらしい。

 一時はどうなるかと思ったけど大丈夫なようだ。

 ……でも、こんな状況なら、少しは距離をおいた状態がよかったかもね。

 妖夢の暴走を止めるので相当疲れた。只でさえ、弾幕ごっこもしたっていうのに……

 ここは一旦、なんで妖夢が買い占めでお返しをしようとしているのかを、聞かなければならない。

 

 

「ちょっと行きたい場所があるんだけど」

 

「え、そうなんですか?」

 

「うん」

 

「わかりました。行きましょう!」

 

 

 なんか妖夢が、焦っているように見えるのは、僕だけだろうか?

 あんまり関わってる訳じゃないからなんとも言えないけど、いつもの妖夢っぽくない。

 

 だからそれについて聞いてみようと思う。

 この際だ、ずっと思ってた事も聞こうかな。

 

 

 そう思いつつ、僕と妖夢は目的地へと足を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ……あ、トオル君じゃない」

 

「2名でお願いします」

 

「あら、トオル君が女の子連れてる……そう、ついにトオル君もそんな年になったのね……奥の席が空いてるから。注文は?」

 

「なんか勘違いされてるような……まあ、わかりました。注文は今日の店長のおすすめの饅頭を6つほどで」

 

「はーい、かしこまりました」

 

 

 お、今日は珍しく空いてるな。店長さんからとんだ誤解をされてるような気がするけど気にしないでおこう。

 

 

「えっと……ここは」

 

「うん、僕の行き付けの『おんわ』だよ」

 

 

『おんわ』。ここは、幻想郷がまだ結界に覆われる前からある老舗の饅頭屋だ。ここでは、カウンターで店員に注文をして、出来たのを店の中に幾つかある席に運ぶ。勿論最初から出来てるのもあるから、そっちを選んでも良いけどね。でも既存を注文するのは大抵、作るのに時間がかかるのか、お持ち帰りぐらいだ。

 

 こういうのもあって、ちょっと休むにはちょうど良い場所でもある。蒸し上がるまでの時間雑談とかもできるし。

 まあ、いつもは混んでてあんまり席とれないけどね。

 僕も殆どはお持ち帰りで、既存の饅頭を買ってる。だから今回は少し楽しみだ。

 

 

「6つでいいんですか?なんなら全部……」

 

「いや、そういうのは良いから。お金の無駄遣いだよ」

 

 

 全部なんて……一気に頼んだら大変なことになりそうだ。見る限り今、店には店長しかいなさそうだし。

 

 

「店の中で食事するなんて初めてですね……」

 

「え?これまでなかったの?」

 

「はい、生まれてこの方、休暇と言うものを頂いた事がなかったので」

 

「へ、へぇ」

 

 

 休暇がないなんて……何処のブラック企業だ、白玉楼。

 ん?てことは今日も休みって訳じゃないってこと?……確かに今回は幽々子さんの令で来ているわけだし、休暇とは言えないか。

 

 

「ま、まあ兎に角座って」

 

「はい、失礼します」

 

 

 奥の部屋はお座敷になっており、靴を脱いでから入る。

 普通は4人程度の客に案内するんだけど、空いてるからという理由からか、2人なのに入ることができた。

 

 

「さて、何を話しましょうか?ここでただ注文が来るのを待つのもなんですし」

 

 

 正座した状態で太股の上に半霊を乗せ、撫でながら言う妖夢。

 

 

「妖夢、実は君に聞きたいことがあるんだけど」

 

「?なんですか?答えられる範囲でなら構いませんけど」

 

 

 よし、これで聞くことができる。僕が妖夢に聞きたいことは2つある。

 まずは1つめ。

 

 

「なんで今日、あんな奇行に走ってたの?なんか焦ってるみたいだったし」

 

「え!?」

 

 

 と、妖夢は驚いた顔をする。……あれ、無意識だったの?

 

 

「……!」ハッ

 

 

 暫しの間、考えるように顔を伏せていた妖夢は、何かに気づいたように顔をあげ、何故か顔を赤らめた。

 

 

「あう、あう……」

 

 

 そして変な声を上げ始める。

 妖夢、急にどうしたんだ……

 

 

「こ、これって答えなきゃ駄目、ですか?」

 

「いや、別に答えなくても良いけど……できれば聞きたいな」

 

 

 こう言うってことは、あまり答えたくない質問だったんだなぁ。まあ、そう思うと逆に聞きたくなるよね。なんか押せば話してくれる雰囲気だし。

 

 

「えっと……その…………わかりました。お答えします」

 

 

 おっ、やっぱりだ。

 

 

「じ、実は________」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はははは!妖夢、それほんと?」

 

「な、なに笑ってるんですか!?失礼ですよ!」

 

 

 いやぁ、流石にこれは笑うしかないよ。

 

 

「だってさ、ふふ……男の子と買い物するのが初めてでどうするのか、わからなかったから、取り敢えず買い占めを行うって。そのぶっ飛んだ発想がある意味凄いと思うよ……くふっ」

 

「いい加減笑うのは止めてください……」プシュゥ

 

 

 あ、ついに妖夢の頭から湯気が出てきた。それほど恥ずかしかったんだろう。

 ……ていうか僕のこと、男の子として認識してくれてたんだなぁ。ちょっと嬉しい。他からは絶対に男の子として認識されてないだろうからね、僕。この前なんてレミリアから『週1デザート』って言われたし。まず人間として見られてない。

 

 

 

「それじゃあさ、妖夢」

 

「むっ、なんですか」

 

 

 妖夢が僕の発言に、ちょっと怒ったようにむっとしながら反応する。

 

 

「お礼についてはね。今回ので受け取ってるからいいよ」

 

「え?……え~と……どういう意味ですか?」

 

「一緒に買い物をしてくれてることさ」

 

 

 これだけでも十分すぎるぐらい受け取っている。美少女と一緒に買い物するなんて、それだけでも里の男衆に自慢できる。

 ていうかまず、妖夢は食事会のとき、僕があまり食べられなかったから謝礼をするといっているが、それは妖夢も同じだ。白玉楼とうちでは僕と一緒にご飯を作っていたわけだし。

 だから次は僕が謝礼をする番だ。妖夢が食べられなかった分を埋めるためにね。饅頭で。……量的には全然足りないだろうけど。でもここの饅頭は絶品だから満足してもらえるはずだ。

 

 

「そ、そんなことでいいんですか?」

 

「うん」

 

「……トオルさん、変わってますね」

 

 

 か、変わってはないと思うよ。正常な男子の思考だと思う。

 

 

 

「あ……あと1つ聞きたいことがあるんだけど」

 

「まだですか?」

 

 

 ちょっと嫌そうな顔をする妖夢。さっきのが余程恥ずかしかったんだろう。

 まあ、お構いなしに聞くけど。

 

 

「なんでさ、霊夢とか魔理沙のときはタメ口なのに、僕のときは敬語なの?」

 

「……はい?……あ」

 

 

 そう、ずっと気になっていた事だ。幽々子さんや紫姐さんのときに敬語を使うのはわかるけど、なんで僕なんかに敬語を使うのかがわからない。目上でもないし、強いわけでもないというのに……

 

 

「あ……あう……あう」

 

「え?」

 

 

 あれ?妖夢がさっきと同じようにワナワナと狼狽えてるぞ?

 

 

「まさか……さっきと同じ理由?」

 

「……はい」

 

「ほんとに?」

 

「……ほんとです」

 

「……」プフッ

 

「!?」

 

 

 妖夢、君はなんて純情なんだ。初だなぁ……僕が言えた口じゃないけど。男の子と話すことがあまりないから敬語とは……

 

 

 

「妖夢、別に僕なんかに敬語なんて使わなくてもいいよ?」

 

「そうなんですが……」

 

「ん?」

 

「もう癖になっちゃって……」

 

「ああ、そういうことね」

 

 

 癖になる程話したっけ。まあ、人によるか。

 

 

「無理してまで直してほしいと言うわけじゃないから。」

 

「そうですね。私としてはこのままでもいいんですが」

 

「お待ちどう!」

 

「あ、ありがとうございます」 

 

 

 おっと、話していたら饅頭が来たようだ。うん、美味しそうだ。

 

 

「ま、取り敢えず食べよ。ここの饅頭美味しいんだよ」

 

「そうなんですか?饅頭はあまり食べたことがないので楽しみです」

 

「あら、そういってもらえると嬉しいわね~」

 

 

 そういって店長は饅頭の乗ったお盆を台の上に置く。

 

 

 

「それじゃあ、食べよっか」

 

「はい……うわ~、どれも見たこと無いような形をしていますね。なんだかお洒落に見えます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このあと、無事買い物を終えた僕と妖夢は、人里を出た後、各々の家へと帰った。

 妖夢は『おんわ』の饅頭を大絶賛し、幽々子さんに大量に買ってた事は蛇足かな。

 妖夢も何だかんだで楽しんでたみたいだし、良いリフレッシュになったかな?

 

 ……はあ、今日は楽しかったけど色々あって疲れた。今日は夕飯は霊夢に作ってもらうこととしよう。

 あ、そういえばちょっと生乾きだったけどアリスから貰ったコート、暖かかったなぁ。あまり寒さを感じなかった。まあ、昨日程の吹雪ではあまり効果はなかったけど……

 

 

「ただいまー」

 

「おかえりー……で、お土産は?」

 

「……帰ってきてすぐそれか」

 

 

 がめついなぁ。霊夢はちょっと、妖夢を見習った方が良いと思う。

 

 

「はい、お土産」

 

 

 そういって僕は霊夢に『おんわ』でお持ち帰りとして追加で買った揚げ饅頭を霊夢に渡す。

 

 

「ふふ~ん。ありがとねぇ」

 

「……はあ」

 

 

 無邪気にはしゃぐ霊夢に呆れつつ、僕は今日買った食材を食料庫に入れに行く。

 ……あ、そういえば。

 

 

「霊夢」

 

「ん、なに?」

 

 

「霊夢にとって僕は、どんな存在?」

 

「え?」

 

 

 これはちょっと気になってた事だ。……まあ、なんかわかりきった答えが帰ってきそうだけど。

 

 

「そうねぇ~…………()()()弟かしら?」

 

「え?……あ、うん、そうか。ありがとね」

 

 

 予想のちょっと上をいったな。ただの弟って言うと思ってた。

 なんだかちょっと嬉しい。

 

 

「なに?急にそんなこと聞いてきて」

 

「いや、なんでもないよ。ただ気になっただけ」

 

「ふーん……なんでにやけてるのか知らないけど」

 

「え?」

 

 

 あ、ほんとだ。いつの間にかにやけていたようだ。

 決して大切なって言われて嬉かったからじゃないよ。勘違いしないでね。ただ霊夢から予想外なことを言われて驚いただけだから。

 え?驚いてるのになんでにやけてるんだ、だって?……し、知らないよ、そんなの。

 

 

 そう自分の中でにやけている理由をはぐらかしつつ、足早に食料庫へ僕は移動した。

 

 

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