東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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3話 紅い霧にて霊夢始動

 

 

 ~とある館~

 

 

「咲夜、“あれ”を実行するわ」

 

「はい、お嬢様。」

 

「くくっ……ついに私達がこの幻想郷を支配するときが来たわね」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

  ~???~

 

 

()()なにかやらかすのね、あいつ。

 ……まあ、霊夢がいるから大丈夫でしょう。ついでに新しい決闘法を普及させるための土台となって貰うわ、吸血鬼______」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ~博麗神社~

 

 

 

「ふぁ……朝か……ってなんか暗いな」

 

 

 朝、目覚めるといつも障子の隙間から日差しが差し込むはずだというのに今日はそれがない。それどころか赤いなにかが隙間から見える。

 その疑問を解決するため、障子を開けてみると……

 

 

「うわぁ、空が真っ赤だなぁ。これは洗濯物乾きそうにないな……」

 

 

 この異常な状況に呑気な事をいってはいるけど、実際は結構焦っている。

 だってこれは僕が生まれて初めての『異変』だからだ。

 幻想郷規模の広範囲に渡る怪事件、現象が起こることを幻想郷内では一般的に『異変』といわれている。

 

 そしてそれを解決するのが博麗の巫女である霊夢だ。

 

 

「霊夢!起きて、異変だよ!!霊夢の存在価値が試されるときがきたんだよ!」

 

「う~ん、朝から煩いわねぇ……まだ暗いじゃないの」

 

「なにぼさっとしてるの!幻想郷の危機だよ!!」

 

「ああもう!一体なんだってのよ!」

 

 

 やっと起きた。このぐーたら巫女め……

 

 

「ほら、外を見てごらんよ。すごいことになってるから!」

 

「うーん、と…………なんだまだ夜なだけじゃない」

 

「いや、どうみても夜の色合じゃないでしょ、真っ赤な霧がでてるじゃないか」

 

「私の目にそんなものは見えないわ。ということでおやすみ。朝ご飯できたら教えてちょうだい」

 

「この目ん玉節穴女!」

 

 

 もういい!嫌がらせに味噌汁の具を全部抜いてやる!ついでにお茶も冷やしてからだしてやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

「おーい、霊夢!異変だぜ!」

 

 

 と、居間を隔てる障子が痛むのを気にする様子もなくばんっと思いっきり開けてきた魔理沙。どうやら異変に興味津々らしい。

 

 

「あ、魔理沙」

 

「……」

 

「うわ!トオルどうしたんだ!?頭にでかいたんこぶなんか生やして……」

 

 

 そういいながら僕の頭の頂上にできたたんこぶをつついてくる。

 やめて、痛い。

 

 

「やりたいからやった。悔いはない。」

 

「なんだ。姉に発情して返り討ちにあったか」

 

「違う」

 

「こいつが私の味噌汁の具を全部抜いたのよ。ついでにお茶もくそ冷たかったわ」

 

「あん?なんでトオルがそんなことを…………いや、大体わかったぜ。どうせ異変が起きてんのに霊夢がいっこうに行こうとしないから嫌がらせをしたんだろ」

 

「魔理沙、もしかしてさっきのやり取り見てた?殆ど合ってるんだけど……」

 

「お前ら姉弟喧嘩の理由は大抵霊夢が面倒くさがることが原因だからな、それぐらいわかるぜ」

 

 

 うん、つまり霊夢が悪いってことだね。

 

 

「それなら話が早い!魔理沙もいってやってよ!霊夢がいまだに夜だって言い張って行こうとしないんだ!」

 

「ま、まじかよ……霊夢、これを夜だと言い張るのは流石に無理があるぜ……」

 

「まあ、今はそんなことはどうでもいいでしょ。取り敢えずご飯よ、魔理沙も食べていきなさい」

 

 

 注ぎ直された熱いお茶を啜りながら、炊かれた米の入った飯櫃をぽんぽんと叩く霊夢。

 なにさも自分が作ったかのように言ってるんだ。それを炊いたのも僕だぞ。

 

 

「お、いいな。そういえばまだ朝から何も食べてなかったんだ」

 

「(一瞬にして魔理沙が丸め込まれた!?)」

 

「(ふっ、魔理沙の扱いには慣れてるわ。魔理沙を取り込めばもう彼方に勝ち目はない。トオル、あんたの負けよ!)」

 

 

 くっ、このままでは霊夢のペースに魔理沙が呑まれるのも時間の問題だ。たぶんこのあと、食後のおやつとかいって煎餅とかだして食べたあと一眠りしようとかいって一日を無駄にさせるつもりだ!

 そんなことは絶対にさせないぞ。これまで霊夢がぐーたらしてたのを黙認してたのも全部こういう事態なんかの時に万全に動けるようにさせるためだったんだから!

 

 

「ねえ、霊夢。いいの?」

 

「なにが?」

 

「もしこのまま紅い霧がで続けたら僕、仕事にいけないよ?」

 

「へ?」

 

「なぜか知らないけど妖精達や妖怪が活発になってるのは霊夢でもわかるでしょ。」

 

 

 そう言って僕は外の方に指差す。先程魔理沙によって開けっぱなしにされたお陰で外の様子が見える。

 空は紅い霧に覆われ、あちこちで妖精が飛び回り、無遠慮に弾幕を撒き散らしている。

 

 

「こんな中、僕は人里まで危険で行けやしないし、もし行けたとしても異常事態に店をやってるわけもない。」

 

「う、それは……」

 

「確かに今は少しだけ食糧はあるよ。でもそれは焼け石に水、すぐに底をつくんだ。しかもそれは僕らだけの問題じゃない。この幻想郷中の人間皆がこういう事態にあうんだ。」

 

「そ、そんなのわかってるわよ!」

 

「ならわかるよね?まあ、賢い霊夢ならこのあと取る行動ぐらい言わなくてもわかるよね?」

 

「もう!仕方ないわね!行ってやるわよ!私がこの幻想郷を救ってやるわ!」

 

「おいおい、私を忘れてもらっちゃ困るぜ。私がこの幻想郷を救ってやる」

 

「うん、二人ともその意気だ。さあ!ご飯を食べたら早速飛び立つんだ!この幻想郷の人々のために!」

 

 

 よし、上手くいった!これで霊夢ももう少ししたら行くだろう。ふふ、霊夢、今回は僕の勝ちのようだね。

 

 

「よし、それじゃあ棚の奥に隠してあるトオルの煎餅を食べてからいってあげようじゃない」

 

「え?」

 

「それはいい考えだ。やっぱりそういうのがないとモチベーションがあがらないしな!」

 

「えっちょ、なんで?!」

 

 

 僕が隠していた高級煎餅の場所をなんで霊夢が知ってんの!? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うまい!なんだトオル。こんなのを隠してたんなら早くいってほしいぜ!」バリバリ

 

「お茶とよく合うわ~」バリ、スウ

 

「…………」バリッバリ

 

 

 折角自分のお小遣いで貯めて買った僕の楽しみが……

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、高級煎餅を堪能したことだし…………行くか!」

 

「ええ、幻想郷での新しい決闘法、試すにはもってこいだしね!」

 

「……確か“スペルカードルール”だったよね?」

 

「ええ、この札を使ってね」

 

「まあ、僕には関係ないけどね。それじゃあいってらっしゃい。ちゃんと無事に帰ってきてね」

 

「はいはい、いってきます。帰ったらまたあの煎餅買ってきてね」

 

「うん、霊夢の小遣いから出しとく」

 

「それは勘弁してほしいわね」

 

 

 そんな緊張感のない会話をした後、霊夢と魔理沙は飛び立っていった。

 

 

 

 

 

「さて、次はバレないように屋根裏に隠しとこうかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~???~

 

 

「ふふ、霊夢も出動したみたいね。」

 

「余計なのもついてきていますが……」

 

「まあ、害になる存在ではないようだし、放っておきましょう」

 

「それもそうですね」

 

 

 

「……ふふっ、お次は屋根裏にお菓子を隠すのね。」

 

「紫様、もしやトオルのお菓子を盗るおつもりですか?」

 

「いえいえ、そんなことはないわ」ズルッ

 

「(あ!今紫様の口に一瞬涎が垂れた!これは絶対盗るな………)」

 

「トオルってお菓子を選ぶセンスあると思うの。いつも美味しく頂いてるわ」

 

「常習犯だった!?」

 

 

 

 

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