東方姉弟録~もし霊夢が姉だったら~   作:エゾ末

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前回から約3ヶ月お待たせしてすいませんでした!
と、とりあえず48話、小町とのお散歩回です。ゆっくり見ていってください!


48話 小町と行く、幻想郷ぶらり旅!『中』

 

 

「いやぁ、美味しかったねぇ。常連になりそうだよ」

 

「……そりゃ良かったですね」

 

 

 現在、僕はうどん屋で出会った鎌を持つ女性と人里を散策していた。

 

 

「あの、聞きたい事があるんですけど」

 

「あん? なんだい」

 

「なんでついてくるんですか?」

 

「愚問だね。さっき約束したじゃないか。あんたが妖怪だと言う根拠を教える代わりに今日一日あたいに付き合えって」

 

「断りましたよね!?」

 

 

 そう、確かにあのとき僕はこの女性の提案を拒否したはずだ。

 なのに結果はどうだ、うどんを食べ終わってはいお別れということにはならず、彼女は僕の隣を悠然と歩いている。

 

 

「まあまあ、別にいいじゃないか。どうせあんた暇だろ? 連れも見る限りじゃいなさそうだし、お互い暇潰しだってことで」

 

「今僕って暇? なのかなぁ……」

 

 

 そういえば僕は何しに人里へ来たんだろう。確か霊夢から逃げ……じゃなかった! そうだ、人里が今回の異常事態で混乱していないか見るために来たんだった。見る限りじゃいつも通りだったから杞憂に終わったけど。

 それの用事も終わり、僕は完全にすることを失っていた。

 うん、この女性の発言に反論しようとしたけど無理みたいだ。

 

 

「あ、そういえばまだ名乗って無かったね。

 あたいは小町、小野塚小町って言うんだ。以後よろしく頼むよ」

 

 

 そう言って手を僕の前にやり、握手を求めてくる小町さん。

 

 

「よろしくお願いします。小町さ___」

 

「後、敬語は止めな。聞いててむず痒くなる」

 

「そ、そうです……なの? ならしないけど」

 

 

 ため口が良かったなら最初から言ってくれれば良かったのに。そう思いつつ僕は差し出された手を握った。

 

 

「僕は……って知ってたよね。まあ念のため、トオルです。こちらこそよろしく」

 

「ああ、今日一日楽しもうじゃないか」

 

 

 どうやら小町は無理矢理にでも僕を散策に付き合わせたいようだ。

 なんでこうまでもしてついてこさせようとするのか……まあ、予想は大体出来るけど。

 それにしても今日一日会ったばかりの人と過ごすのか。人見知りだったら中々の苦行だっただろうね。

 取り敢えず、どうせ僕もこのあとの用事なんてない。小町についていっても問題はない、と思う。少しだけど妖怪呼ばわりされてる理由も気になるし。

 

 

「はあ、まあでもここで会ったのも何かの縁。今日一日楽しもうじゃないの!」

 

「おお、これは頼もしい。実はあたい、あまり人里に来てないからどんな店があるのかよくわからなくてね。是非とも人里の案内を頼むよ」

 

「任せて。一度行ったらまた来たくなるような店を紹介するよ」

 

 

 ふふ、それならまず“彼処”に行こうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 ~鈴奈庵~

 

 

「へぇ、ここは興味深い文書だねぇ」

 

「でしょでしょ! これ以外にもまだまだありますよ! ほら、これなんか___」

 

 

 一度行ったらまた来たくなるような店、つまり鈴奈庵へと訪れた僕と小町だったが、思わぬ状況が繰り広げられていることとなってしまい、僕は軽く混乱していた。

 

 少し前、僕と小町は鈴奈庵へと訪れた。紹介所がいきなり貸本屋なんてセンスないなんて普通は思われるかもしれない。でも僕はあえて一番最初に行く店を鈴奈庵を選んだ。何故ならここは古い書籍は勿論のこと、多種多様の本が扱われており、本好きには堪らない店であるからだ。ん? 小町が本好きだとは限らないんじゃないかって? 大丈夫、もし好きでなくてもこれから好きになれば良いんだ。ただ僕が行きたかったから最初にここを選んだわけではないからね、ほんとだよ?

 ……と、話を戻して___特に何もなく僕らは鈴奈庵の店内に入ったんだけど、その瞬間小町の様子が豹変、頭を抱え、実にめんどくさそうな顔をしだした。何事かと聞いても「こんなところに仕事が溜まってたとは……」としか返してくれない。代わりに小鈴ちゃんが隠し持っていた妖魔本の事が一発でバレた。

 何故バレたのは分からない。ただ小町は小鈴ちゃんが隠していた妖魔本のありかを悉く言い当て、小鈴ちゃんに白状させていた。

 ほんと、小町って一体何者なんだろうね。確実にここらの人ではないってことは確かだ。そういえばさっきも人里にはあまり行ってないっていってたし。ここの者では無いってことは妖怪の確率はかなり高い。人里以外で生きられる人間なんてほんの一握りだ。まあ小町からは危険な感じはしないし大丈夫だろう。人懐っこい妖怪なら此方としてもありがたい限りだし。

 ……それで小鈴ちゃんに白状させた後、没収するのかと思いきや、僕と同じで注意勧告するだけだった。それどころか、これはあの妖怪が書いたとかこの本はただの落書きだとか妖魔本についてかなり詳しい様子で、それが機に小鈴ちゃんと意気投合、僕を置いて二人でずっと妖魔本について語り合っている。かれこれ一時間は経つね。

 

 

「小鈴ちゃん、この本借りていい? はいお金」

 

「あ、うん、まいど~___それでですね。ここの一文を読んでみると書いた妖怪自身の気持ちが___」

 

 

 ほら、客そっちのけで話に没頭しちゃってる。小町も満更ではない様子だから止め難いし……まあいいや。僕も僕で今借りた本に没頭すれば良い。

 

 

「ーー、~~~?」

 

「『~~』____。ーー」

 

 

 まあ、二人が話しているのをBGMにして本を読むのも良いか。あまりうるさいのもあれだけど、二人の声はなんというか、やんちゃっ気がありつつも聞いてて心地良い声だ。読書の邪魔になるはずもない。

 

 とりあえず借りた本を読もう。確かこの本は月へ行こうと試みた人達の体験記だったはず。あらすじだけでも面白い感じが伝わってくるね。

 

 そして暫しの間、和やかな時間が鈴奈庵から流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 ~夕方 里外れの木陰道~

 

 

「それにしても興味深い店だった。まさかこんな時間まで話し込むとは思わなかったよ」

 

「そのおかげで僕はニ冊読み終えることができたけどね」

 

「皮肉かい?」

 

「それは貴女のご想像にお任せします」

 

 

 ほんとは全然怒ってない。久々にあんな緩やかな時間を過ごせたことに感謝してるぐらいだ。

 なら何故今こんな事を言ったのか。それはただ単純に勘違いをした小町をからかってるだけです。

 

 

「んで、小町は今何処に向かってんの? とっくに里から出てるけど」

 

 

 今、僕が言った通り、僕らは里外れの幾分か整地されている木陰の一本道を歩いている。まだ明るいから大丈夫だと思うけど、完全に暗くなったら整地された道と言えどかなり危険度が高い場所だ。だってここは人里の中ではないのだから。夜中に出歩くなんて食べてくださいといってるようなものだ。僕も夜中に出歩いて痛い目にあったことがあるから余計夜中を出歩くのに抵抗がある。まあ、今は能力があるから大丈夫だと思うけど。

 

 

「行ってからのお楽しみというやつだよ。それもまた一興だろ?」

 

「できればあまり夜中に出歩きたくないんだけど」

 

「怖がりだねぇ。なーに、いざとなったら守ってあげるよ」

 

「それはありがたいけど情けない気がする」

 

 

 いやほんと、悲しくなるよね。小町がどれ程の実力の持ち主なのかは定かではないけど、僕の力量スカウター(未完成)からしても僕より遥かに強いことは分かるーーくぅ、ほんと幻想郷での実力者の男女比が偏り過ぎてる。

 

 一体、小町は何者なのだろう。さっきまでは深くは考えてもないし無駄に馴れ馴れしいから忘れてたけど、僕と小町は今日初めて会ったばかりだし、全然お互いのことがわからずじまいでいる。

 ほんとにこのままでいいのだろうか。僕の今日限りの評価でも小町はかなり好印象だ。これからも彼方がよければ良き友人を続けたいと思っている。

 それならやっぱり小町が何処から来たかって事ぐらいは聞いといた方が良いのだろうか。

 

 

「んっ……」

 

 

 そんな疑問を己の頭の中でどう処理しようか考えていると、森の木陰道を越えたことで陽光に照らされ、思わず目を細める。

 

 

「……花がいっぱい咲いてて綺麗だね」

 

「ん、夕陽が花とよく合ってる」

 

 

 小町の言う通り、今は夕暮れ。太陽が山の影へと落ち行く最中に見える黄金色の明かりが四季折々の花々に着色され、神秘的な景色が眼前に広がっていた。

 

 

「こういうロマンティックな光景に当てられて、あたいの色気にやられないようにね」

 

「うん、その台詞のおかげでその線は確実に無くなったから心配しないでいいよ」

 

「またまた~、実はこっそりいやらしい目で見てたんだろ? 怒らないから言ってごらん、ほら」

 

 

 どうやら小町は僕を助平に仕立てあげたいようだ。

 ここは乗るべきか乗らないべきか。下手に乗ったら今後助平男で通されそうだから乗りづらい。

 

 

「ところで小町、もうすぐ暗くなるっていうのに本当に何処へ向かってるの? まさか暗くなったところで僕を襲おうと!?」

 

「……無理矢理話題をねじ曲げた挙句何いってんだい」

 

「小町が答えづらいこと聞くからでしょ」

 

「ああいうのは適当に流せばいいんだよ。はっきり今さっきの、軽くうざかったろ?」

 

「うん、めんどくさかった」

 

「ここまでド直球でいってくるところ、わりと座った性格してるね……」

 

 

 いや、ていうか自分でもうざいと思うことを態々人にしないでくれる? って話なんだけどね。

 

 

「お、ほら、見えてきたよ。あたいらの向かっていた目的地」

 

「あれが?」

 

 

 小町の指差す先には小ぶりな屋台があった。誰かが何かを焼いているのか、中から煙が出ており、香ばしい香りが微かにしてくる。

 

 

「こんなところに屋台なんてあったんだ。需要とかあるのかなぁ」

 

「ん、結構あるみたいだよ。あたいもよく行くけど大抵は誰かしらいるし。今日はいないようだけど」

 

「需要あるんだ、ふーん。……因みに誰かしらいるのは人間だよね?」

 

「んや、この時間帯だと殆どが妖怪だよ。たまに半分人間がいるけど」

 

 

 ははは、そういうことか。うん、そういうことね。

 

 

「今すぐ帰ろう。今! すぐに!」

 

「おっと、ここまで来たんだ。引き返すなんて選択肢はないよ!」

 

 

 そう言ってUターンした僕の襟を掴む小町。

 

 

「馬鹿! 小町は良くても僕は良くないの! 死活問題なんだよ!」

 

「大丈夫だって! 絶対後悔しないから!」

 

「後悔っていうのは思わぬ所から発生するんだ! 絶対後悔しないという確証なんてどこにもない!」

 

「なにちょっと良いこといってんだい!?」

 

「でしょ! だから帰らせて!」

 

「駄目」

 

「ちくしょう!」

 

 

 抵抗はしている。必死に掴まれた襟を引き剥がそうと両腕で小町の右腕を掴んでる。しかし小町の腕は剥がれる様子は微塵もない。

 流石の僕でも起きたことを避けることは出来ない。

 くっ、どこからこの細い腕からこんな万力のような力が出せるんだ!

 

 

「ほら行くよ。彼処の八目鰻美味いから」

 

 

 小町め! 力で僕が敵わないと悟ったのか余裕な態度に変わった!

 どうしよう、どうする、どうすれば、この危機から脱する事ができる?

 とにかく暴れまわる。説得。関節技。気を逸らせる。こしょぐり。

 ……いっそのこと霊弾を小町の顔面に撃とうか。

 

 

「ららら~♪らら~ら~♪……あ、お客さん? いらっしゃーい。ニ名様?」

 

「やぁ、また来たよ」

 

 

 頭の中で小町を撃退する方法を考えていると、店の目の前まで来てしまっていた。

 うん、考えすぎた。ていうか小町無理矢理引きすぎ、僕の靴の踵の靴底部分がかなり削れたじゃないか。地面も引きずられた位置から綺麗に二本線に抉れてるし。

 

 

「あれ、始めてみる顔ね」

 

「え、子供……の妖怪?」

 

 

 そして屋台の中にいたのは一人の小さな少女だった。

 変な形の翼に羽毛のようなものが生えてる尖った耳? がある。それにドングリのような特徴的な帽子を被っていて、先端に翼の装飾がされている。

 まさかこの子がここの主人なのかな? 見る限りじゃ一人しかいない様子だけど。

 まあ、とりあえず____

 

 

「一名だよ。僕は帰るから」

 

「そう言わずに! ほら、座りな」

 

「うわっと!?」

 

 

 小町さん、軽々しく片手で僕を持ち上げないでください。自分が情けなくなる……

 そして僕は力なく椅子に座らされ、漸く解放される。

 

 

「……あ、ここ。結構メニューあるんだね。おでんなんかもある」

 

 

 妖怪の店だから、しかも少女が営んでるということで少し舐めてた。屋台の中の様子を少し見てみると、わりとしっかりとされており、屋台の壁に掛けられているメニュー表の札を見てみると、おでんを始めとした酒のつまみがあり、おすすめ! と書いてる札には八目鰻というのがある。

 

 

「少し興味が出てきたかい?」

 

「……ちょっとね」

 

 

 んー、もうほぼ日も沈んで辺りは闇に包まれ始め、灯りはこの屋台だけの状態になってるし……今ここ出たら逆に危ない気がする。

 

 

「今頃気付いたかい。あんたはここが暗くなった時点で帰るという選択肢は消えたんだよ」

 

「いや、帰れるけどね。今のところここらに嫌な気配はしないし」

 

「え?」

 

 

 いや、でもちょっとこの店には興味出てきた。そういえばさっき小町もここの八目鰻は美味しいって言ってたし。

 

 

「八目鰻1つ」

 

「は~い、八目鰻一丁~」

 

「結局帰らないんだね」

 

「ちょっと気になったからね。八目鰻食べたらすぐ帰るよ」

 

「ふふ、一度食べたらそれこそすぐ帰ろうなんて考えられなくなるんだよ」

 

 

 なんなんだろう、小町のそのどこから出てくるのかわからない自信。

 

 小町は僕のこと知らないからそういってるけど、僕は一度決めたことは滅多なことで曲げないんだよ。

 帰ると決めたら帰る! この八目鰻を食べたらすぐにね!

 

 

 




ちょっと中途半端に終わりました。
次回で花映塚終了です。ちょっと次回は文字数の方がかなり多くなると思いますので時間がかかってしまうかもしれません。
まあ、今回のように2ヶ月以上お待たせさせてしまうということはありませんが……
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