大幅に修正しました。是非目を通してみて下さい。
転生 ※修正版
(ん、ここは?)
真っ白な空間の中に一人の少女がいた。少女は腰まで届く黒髪で、左目が前髪で隠れていた。
(僕は死んだはずじゃ...)
そう、この少女は死んだのだ。辛かった、死にたかった、でも死なせてもらえなかった。そして、ようやく死ねたのに─
(─なぜこんな所にいるのでしょう...)
少女があたりを見回した。すると
「自分が死んだのが分かっててここまで冷静な奴は久し振りだな。いや、死にたかったのだから当然か?」
(!!)
少女の後ろから声が聞こえた。少女が後ろを振り向くと、そこには白い服を着た青年がいた。
「...貴方は?」
少女は警戒しながらそう問いかけた。
「そこまで警戒しなくてもいいだろう。まぁいい、俺はお前たちでいう神って所だな」
青年は自分のことを神と言った。少女には青年の言葉が信じられなかった。
「信じられないって顔してるな」
「...それはそうでしょう?いきなり現れた人が自分のことを神だと言ったのをすぐに信じる方がどうかしてますよ」
「それもそうだな」
青年は苦笑した。だが、少女が神を信じない理由はそれだけではない。
「それより、あなたは僕に何の用ですか?」
「お前を転生させに来た」
「...本当ですか?」
「本当だ」
少女は考えた。
この青年が神かどうかはどうでもいいとして、本当に転生させてもらえて、幸せな生活が手に入るなら是非お願いしたいところだ。
「分かりました。転生させてください」
「...お前口調が柔らかい割に失礼なこと考えてんな」
さすがに心の中を読まれては、この青年が神ということを信じるしかないようだ。
「あはは、それは仕方ありませんよ」
少女は苦笑しながら答えた。
「はぁ、まぁいい。それより転生させる世界だが、『ソードアート・オンライン』の世界で主人公キリトの姉として転生してもらう」
「?何ですかそれ」
少女は首を傾げた。聞き覚えのない言葉だったからだ。創作物…ではあるのだろうが、全く見当がつかなかった。
「小説の…いや書物の一種だ。聞いたことないのも無理はない。お前がいた時代ではまだ出ていなかったからな」
「…貴方は僕の居た時代を知っているのですね」
「当たり前だろう」
それもそうかと納得する。
「さて、転生特典を決めてもらうぞ。限度はあるが複数の特典を決めても構わん」
「あまり思いつきませんが…」
取りあえず少女は考える。優先事項はやはり─
「─僕と関わった人達の中から僕という存在を消してください」
「ほう?何故だ?」
青年の問いに、少女はなんてことのないように答える。
「僕なんかが、皆の中にいたところで枷にしかならないからですよ。僕の事情、知ってるんでしょう?」
そう、自嘲気味に笑いながら言った。いや、少女自身はそれすら自覚が無かった。青年は何も言わない、言えるわけがなかった。少女はその沈黙を肯定と取った。
少女は重い空気になる前に二つ目の願いを言った。
「もう一つは、僕の記憶を全て消してください」
「そうか…分かった」
青年は当然だろう、と思った。何せ、少女の前世は、あまりにも悲痛すぎた。
「そういえば、転生先での僕の名前や姿、性格はどうなるんですか?」
「苗字は変わり性格も住む環境によっては多少変わると思うが、基本的には前世と変わらん」
そして、と少女の長い前髪で隠れた左目を指差す。
「お前の左目の傷もな」
「っ」
咄嗟に少女は左目を抑えた。傷がついているだけではない。少女は、左目が見えていないのだ。
「...この傷は、転生しても消えないのですか…?」
少女の問いに、青年は申し訳なさそうに答えた。
「…すまない。俺には転生したお前の姿を変える権限がない。それはつまり、その左目の傷を消すことも出来んのだ」
「...いえ、それならば仕方ありません」
その場を沈黙が包んだ。しかし、青年はわざとその空気を吹き飛ばすように明るい声で口を開いた。
「そろそろ転生させんとな。あの扉を開け、中に入れば転生完了だ」
神が指を指した方には先程は無かった扉があった。
「分かりました。それでは」
少女はお辞儀をしてから扉に向かっていった。
「あぁ、転生する前にお前の名前を教えてくれんか?」
「...僕のことは全て知っているのではないのですか?」
「知ってはいるがやはり名前は本人から聞かんとな」
神は笑顔でそう言った。少女はため息をつく。
「はぁ、分かりました。僕の名前は─和葉です。覚えなくていいですよ」
少女─和葉─はそう答えた。青年はにっこりと笑った。
「お前だけに名乗らせるのは悪いな。俺の名前はリョウだ。俺の名前も覚えなくてもいいぞ?」
青年は─リョウも自分の名前を和葉に教えた。和葉は言葉を返すことなく扉の前まで歩いて行く。
「それでは行ってきますよ。
リョウ」
「あぁ、存分に楽しんでこい。
和葉よ」
そのまま和葉は扉に入っていった。次の人生は、幸せになると信じて─。
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