和葉「なんですか」
実は8月あたりからFGOをやってまして、はまってしまったんです!!
和葉「そうですか死になさい」
ギャッ
あれから脱出方法を考えまくり、実行出そうなものは片っ端から実行していった。結論から言うと、全て失敗した。一部だけ紹介しよう
脱出方法その一、壁を走るbyキリト。
「…バカじゃないの?」
「かどうか、試してみる…ぜっ!!」
そう言ってキリトは助走をたっぷりつけてから壁に向かって走りジャンプ、壁に着地、上に向かって加速する。
「うっそぉ…」
「ん~、僕の記憶が正しければ上の方の壁って氷が張ってあったような…」
キリハがそう言った瞬間、キリトがツルッと足を滑らし─
「「あ」」
「うわぁぁぁぁぁぁあっ!!?」
─受け身も取れずにそのまま雪にダイブした。
脱出方法その二、ロッククライミングbyキリハ。
「さっきよりは現実的だと思うけど…」
「ですが問題が一つあります」
「ん?何かあるか?」
「登り方です。素手は論外ですし、武器を刺して登ろうにも上まで耐えてくれるかどうか」
「…途中でポッキリ折れる可能性がデカいなぁ」
「素手はさっきのキリトみたいに滑るだろうし…」
「「…ダメじゃん!!」」
「知ってます」
「「えっ!?じゃあ何で言ったの!?」」
「一応ですよ」
実行する前に終了。
脱出方法その三、壁を掘るbyリズ。
「どう?」
「ドヤ顔にならなくていいですよ」
「確かに壁を掘ることは出来るだろうけど…道具はどうすんだ?」
「あ」
「上まで登り切るのにどのくらいかかるんでしょうねぇ」
「あ!?」
これも実行する前に終了。
とまぁこのように、基本的に実行する前に断念する回数が多かった。
この穴はモンスターが出ないようだ。時間的に遅くなり野営するしかないということでキリトとキリハは寝袋を三人分取り出した。
「…あんた達いつもこのセット持ってるの?」
「まぁ、ダンジョンで野宿なんて日常茶飯事だからなぁ」
因みにダンジョンでの野宿は攻略組の大半が経験している。とは言っても週に五日も潜っているのはこの二人ぐらいだが。
寝袋に包まりそのまま寝る…ことは出来なかった。
「ねぇ、寝られないから今までの事を聞かせてよ」
「ガキか」
「いえ、仕方ないと思いますよ?」
リズとてダンジョンに潜るのは初めてではない。が野宿は初めての事なので緊張して寝られないだけだ。
ということで二人はこれまでの事を話すことにした。第一層で一人のプレイヤーが死にかけた事(無論ディアベルの事だ。因みにこれ、本人も笑い話として周囲に話しているとか)。攻撃力は低いのに異常に堅すぎるボス相手に攻略組全員でローテーションしながら三日三晩戦い続けた事。レアアイテムの分配をするために百人近くのプレイヤー全員で
リズはこれまでダンジョンに潜ったことはあっても、それは金属集めが目的であり、どんなに強いプレイヤーが誘ってきても自分のレベルにあったダンジョンにしか行ったことがない。だから、最前線で命がけでこの
「─んで、って…」
「おやおや。寝てしまいましたね」
リズは手を毛布の外に出したまま寝てしまった。恐らく、二人の話を聞いているうちに緊張がとれたのだろう。毛布の中に手を戻してやろうと、キリハがリズの手を取ると握られてしまった。起こすわけにいかないので目線だけで、どうしましょうと聞くキリハに同じく目線だけで、そのまま寝るしかないだろと返す。安心した顔で寝てる女子の手を誰が振り払えるのか。苦笑を一つしてキリトに毛布を持ってくるよう頼み、持ってきてくれた毛布をリズの隣に起き中に入った。
「お休みなさい。リズ」
キリハが人を呼び捨て、又は愛称で呼ぶ、それはその人物を信頼したことにほかならない。だからかどうかは分からないが、リズは更に強く手を握りほんの少しだけ残っていた意識を落とした。
─温かい─
そう思いながら…。
次の日
目を覚ましたリズは視界に入った雪や壁に一瞬驚くもダンジョンで寝たことを思い出した。体を起こし周囲を見回してみると隣に黒いコートを纏い、黒い長髪の少女の横顔が見えた。リズはその少女に声をかける
「おはよう、キリト」
「えぇ、おはようございます。ですが僕はキリハですよ?」
「…あれ?」
キリハは苦笑しながらそう言う。まぁ、リズが間違えたのは仕方ない。昨日、キリトはフードをとっていたがキリハはとっていなかったからだ。唖然としているリズを見て、そういえば自分とキリトの関係を教えてなかったなと今更ながらに思い出し説明する。
「あんた達双子の姉妹だったのね…。どうりで顔が瓜二つなわけか。ところでキリトはどこにいるの?」
「呼んだか?」
そう言ってヒョッコリと顔を出したのはキリトだ。
「うわっ!?ビックリしたぁ…」
「ありました?」
「あぁ、姉さんの予想通りな」
キリトは右手に持っていた物を見せる。それは水晶のような金属だった。アイテム名は『クリスタルライト・インゴット』、今回お目当ての金属だ。
「ちょっ、それどこにあったのよ!?」
「あそこに埋もれてたぞ」
「壁を掘って出てきたならともかく、何で雪に埋もれてたのよ!?」
「ここが白龍の巣だからですよ」
余計頭に疑問符が浮かぶリズに出来るだけわかりやすいように説明する。
「いいか?この金属は白龍の体内で生成されるんだ、白龍の食った餌を材料にしてな。で、その生成した金属を巣で体外に出すわけだ」
ヒクッとリズの顔が引きつった。今の説明を聞いて分かってしまったのだろう。
「つまり、その金属は白龍の排泄物というわけです」
そういうわけである。
「……よく持てるわね…キリトは…」
気絶しかけた意識をなんとか耐えたリズの問いに、キリトはキョトンとした顔で答えた。
「だってここ、ゲームの中だし?」
「だとしても、女子としてそれはどうかと思うわよ!?」
「流石に
「当たり前よねぇ!?」
ツッコミ疲れたリズは、ふと思った。
「ねぇ、ここは白龍の巣って言ったわよね?」
「言いましたね」
「で白龍は夜行性よね?」
「そうだな」
「今の時間は?」
「「朝(ですね/だな)…あっ」」
ここで二人はリズの言いたいことを察した。白龍は夜行性でここはその白龍の巣、んでもって今は朝、これがどういう意味かと言うと─とここまで考えて三人そろって見上げると、ちょうど白龍が巣に入ってくるところだった。
「「来たーーーーーっ!!!?」」
「嫌な予感ほど当たるんですよねぇ…」
白龍が視界に映った瞬間、三人は物陰に隠れた。白龍は地面に降りると三人を探す素振りも見せず寝に入ろうとしていた。どうやら見つかってないようだ。ひとまずは安心、だが
「ねぇ、どうやって脱出するのよ…?」
そこが問題だ。ただでさえ脱出方法が見つかってない中白龍まで来た、これではどうしようもない。
「姉さん、
「流石ですね。僕もちょうど同じことを考えていた所です」
しかしそんなことを考えていたのはリズだけのようで、二人はというとそれはもう楽しそう~な顔でそんなことを言っていた。
「えと、あの、二人とも?」
嫌な予感がしたリズは二人を止めようと声をかけるも時既に遅し。ガシッと腕をキリトに掴まれ、ついで二人は走り出した。
「キャーーーーーー!!?」
あまりにも突然だったので悲鳴をあげてしまったリズ。その悲鳴を聞いて辺りを見回す白龍。自分達と反対方向へ向いた瞬間、キリハとリズを掴んでいるキリトは白龍の背中へと跳び乗った。そしてキリハがピックを取り出し白龍の尻尾へと投げつける。
「しっかり捕まってろよ!!」
「え、ちょ、なn─キャーーーーーーー!!!!?」
本日二回目の悲鳴。白龍が甲高い声をあげながら凄い勢いで飛んだのだから、心の準備が出来ていないリズが悲鳴を上げるのは仕方ないと思う。というか誰でも上げると思う。
白龍が飛んだと認識した瞬間には、既に穴から出ていた。
三人の視界に映り込んだのは五十五層のフロア全景。円錐形の雪山、昨日話を聞いていた村、広大な雪原に深い森、そしてこの層の主街区、それら全てが朝日の光を反射させ光り輝いていた。
「うわぁ…」
「これは…」
「ほう…」
それぞれ歓声をあげ、キリハとキリトは白龍から手を離し自由落下を始める。ものの数秒だっただろう。しかしその短い時間の中で、三人はその絶景を目に焼き付けた。
『リズベッド武具店』に戻り、早速手に入れた『クリスタルライト・インゴット』をリズに加工してもらう。製作もらうのは片手剣だ。現在リズは金属をハンマーで叩いており、キリハとキリトはそれを見ている。
二百五十回ほど金属を叩いた所でようやく金属に変化が現れた。金属が白い光に包まれ、その形を片手剣へと変えた。その剣は水色をしていた。リズはその剣を鑑定する。
「名前は『ダークリパルサー』、あたしが聞いたことないって事は今のところ情報屋の名鑑には載ってないと思うわ。はい」
「ありがとな、リズ」
「鍛治氏として客の要望に応えただけよ。で値段なんだけど」
そこまで言った所で来客のベル、というかバンッ!!とドアが開き、入ってきたのは─
「三人とも!!大丈夫だったか!?」
─アスカだった。
「うわっ!アスカ!?」
突然アスカが来たことにリズは驚いているようだ。
「「(よう/やあ)アスカ」僕達が一緒なんですから大丈夫に決まってるでしょう?」
「だとしても万が一ってことがあるだろ。例えばイレギュラーなんかがあったかもしれなかっただろ?」
「お前は心配性なんだよ」
「自分の彼女心配してなにが悪いんだよ」
「えっ?」
(明日香はバカですか!?あぁ、君は鈍感でしたね…!)
キリハは珍しく(心の中とは言え)叫び、頭を抱えた。自分に惚れている女子の前で彼女がいる宣言をしたら固まるに決まってるだろう。現にリズが唖然として固まってしまった。鈍感にもほどがある。とはいえ、キリトが女だとバレたときにアスカとの関係を説明しなかったこちらにも比はある。…とは思うがアスカもリズに自分には彼女がいると言ってくれれば…いやないな。
「リズ、少しいいですか」
唖然としたままのリズを、キリハは返事を待たずに手を掴んで外に連れて行く。店を出て行く際にチラッと見てみると、出て行く二人に気づかずに未だに言い合いをしていた。言い合いを始めると周りが見えなくなるのは欠点だが─
(─その方が二人らしいですよね)
しばらく歩き続け、キリハは石橋の上で止まった。そしてリズに振り向き問う。
「君は、アスカに惚れてますね?」
「…うん」
予想はしていた。でなければアスカが来ない事に対してああいう反応はしない。
「ショックでしたか?」
「そりゃあ、ね…」
(でしょうね)
軽く息を吐きながらそう思った。今のリズの表情は失恋した時の表情だ。さて、問題はここからだ。
「それで?どうするんですか?」
「え?」
「このまま諦めるも良し、アスカに惚れ続けるも良し。どうします?」
リズはそれを意味が分からないような顔で言う。
「なんで?普通ここは姉として妹の邪魔をするなとか、釘を刺すんじゃないの?」
「まさか」
キリハは鼻で笑う勢いで返す。
「君がアスカに惚れ続けようが諦めようが、それは全て君の自由です。それと同じくアスカの恋路に口を出す気もありません。まぁ妹を泣かしたら絞めますけどね。あり得ませんけど」
「なにそれ」
最後の方は冗談めかして笑いながら言い、それにつられてリズも少しだけ笑う。
「ですが─」
そして、次には声を低くしてこう言う。
「─妹に手を出そうとしているなら、僕は君を潰します」
…そう、キリハにとってリズが恋を続けようが問題ではない。問題なのは、過去に何度もあった嫉妬から来る妹への被害だ。特に酷いものでは誘拐されかけた(無論、相応の仕返しはしたが)。
「するわけないじゃない」
そんなことは知らないリズはキョトンとした顔で当たり前のように答える。
そんなことを言うだろうと予想はしていた。
「それと、あたしは負け戦はやらないわよ。スッパリ諦めるわ」
それをキリハは意外そうに目を見開くが、口元を緩め「そうですか」と言う。一瞬、告白はしないのかと聞こうとしたがやめた。リズがそう決めたならそれでいい。何より、リズの顔に迷いがない。
「それでは戻りましょうか」
余談だが、二人が工房に戻ったらまだ言い合いをしているキリトとアスカがいた。
そして現在に戻る。結局リズはキリト、キリハの二人だけで無くアスカも含めた3人の専属スミスになったのだ。
「はい!耐久値全快にしたわよ」
「「サンキュー、リズ」」
「はい、これ代金です」
「毎度~」
キリハの弾いたコインをキャッチしたリズ。別に金を手渡さなくともいいのだが、そこは気分だろう。
4人で雑談をしていると、メールの届いた音がなった。どうやらアスカにきたようで確認すると、突然慌て始めた。
「ヤベッ、悪い、俺ギルドに戻るわ」
「どうしたの?」
「書類その他諸々やってないの忘れてたっ」
「やってから来なさいよ…」
「キリトと一緒にいたかったから」
さらりとそんなことを言ってアスカは出て行ってしまった。
「やってからの方がもっといられただろうが…」
若干の怒りを込めて呟くキリト。ムスッとしている。もう少し一緒にいたかったのだろう。
「普通あんなことをさらりと言われたら照れたりするもんじゃないの?逆にこっちが恥ずかしいわ」
「小さい頃からああでしたので慣れたのでしょう。見てる方としては慣れましたが」
「…慣れるしかないかぁ」
「毎日見てれば最短三日、最長一週間で慣れますよ?」
「胸やけするからやめて」
真顔でそう言うリズであった。
「さて、そろそろ帰りますか」
そう言って二人は立ち上がり出口に向かう。
「いつでも来なさいよ。あ、後」
リズは一度そこで区切り、キリハ達がこちらに向くのを待った。
「あたしが作った武器を持ってて死んだら承知しないから」
ニヤリと笑みを作るリズ。その言葉に含まれた意味を察しない二人ではなく
「死ぬつもりは毛頭ありませんよ」
「当たり前だ。この世界をクリアするまで死ねるかっての」
同じく笑みを浮かべながらそう言って二人は今度こそ店から出て行った。
和葉「誤字脱字がありましたらご報告よろしくお願いします」