とある烈火の八俣火竜   作:ぎんぎらぎん

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其之五:強さ

白井黒子は、辟易していた。

今日は、愛しの御坂美琴お姉さまとのデートの日。

黒子自身は警邏という任務があったし、同僚の初春飾利とその友人という邪魔者こそあったものの、お姉さまと共に街を歩けるというだけで天にも昇ってしまいそうな気分であった。

ところが、突如銀行のシャッターが爆破され、中から出てきたのはボストンバッグを抱えて顔には大きな覆面と、いかにもといった風貌の三人組。

名残惜しくはあったが、風紀委員(ジャッジメント)としての責務を放棄する訳にはいかない。

三人組の前に立ちふさがると、腕章を示しながら叫んだ。

 

風紀委員(ジャッジメント)ですの!貴方方を、器物損壊及び強盗の現行犯で拘束します!」

 

風紀委員(ジャッジメント)』という単語を聞き、強盗たちは一瞬硬直する。しかし、黒子の姿を認識すると、今度は腹を抱えて笑い出した。

こんな反応は、初めてではない。そしてその度に、黒子は思う。

 

なぜこの街にいて、見た目で相手の強さを判断してしまうのか、と。

 

三人の中で、一際大柄な男が襲いかかってくる。

黒子はため息をつきながら、()()()()()()()()()()()()()()()

目の前から黒子の姿が消えて困惑する男の後頭部に、全力のドロップキックをお見舞いする。

男が転倒するとすかさず太ももに巻いたホルダーのダーツで男の服をアスファルトに縫い止める。

一連の行動に、強盗たちはようやく気づいた。

 

瞬間移動能力者(テレポーター)……!?」

 

今更警戒を強めつつ、しかし自信を崩す様子はない。

二人目の男は一歩前に出ると、右手を差し出し、そこに炎を生み出して見せた。

見たところ、強能力(LEVEL3)程度の発火能力(パイロキネシス)大能力者(LEVEL4)の自分の敵ではない。先ほどと同じように、回避しつつ一撃を喰らわせてやろう。

そんなつもりで、男の撃ち出した炎を迎え撃とうとすると、突如目の前に人影が躍り出た。

自分より三つ四つ上くらいと思われる少年。

急な横槍ではあるが、一般人にケガをさせる訳にはいかない。突き飛ばして退かそうとするが、炎はすぐ側まで迫っている。

間に合わない。そう思った瞬間、少年はこともあろうに、素手で炎をなぎ払った。炎は霧散し、消滅する。

 

ぽかんとする黒子に、少年は威勢良く名乗った。

 

「花菱烈火、助太刀いたす!!」

 

少年──花菱烈火は発火能力者に向き直る。

 

「なんだテメエはっ!?」

 

「なんだはこっちのセリフだコノヤロウ!こんなガキンチョに炎向けるなんざ男の風上にもおけんヤツめ、成敗しちゃる!」

 

ピシリ、と黒子のこめかみに青筋が走った。

それに気づいた様子もない烈火は、握った拳を突き出して続ける。

 

「ちょーどいい。わりいが、慣らし運転に付き合ってもらうぜ!」

 

烈火の指が、空をなぞった。

その動きは、何かの文字を描いてるようにも見えた。

やがて烈火は指を止めて、叫ぶ。

 

「竜之炎壱式──崩っ!!」

 

烈火が右手を掲げると、そこから炎が吹き出した。

最初自由に動き回っていた炎は徐々に収束し、一つの火球へ姿を変える。

 

発火能力者(パイロキネシスト)……!)

 

黒子は納得した。先の一撃を防いだのも、今のように炎を生み出し相殺させたのだろう。

 

「荒れてやがんな、崩!久しぶりだから喜んでんのか!?」

 

まるで、自ら生み出した炎に語りかけるような台詞を吐く烈火。強盗も、おかしなものを見るような目で烈火を見ている。

 

「なにブツブツ言ってやがる!!」

 

強盗が、炎を射出した。だが烈火はぴくりとも動かない。

 

「あ、あぶな……!」

 

黒子の呼びかけも虚しく、炎は烈火に直撃する。

 

「ど、どうだぁ!!」

 

今度こそ、と強盗の男は声を上げた。

まともな人間であれば、少量とはいえ炎の直撃を受けて無事でいるはずはない。

ただし。

 

「そんだけかよ?ずいぶんとぬりぃ炎だな」

 

ただし、烈火はまともな人間ではなかった。

 

これには、さすがの黒子も仰天せざるを得ない。いかに発火能力者といえども、炎を浴びて無傷でいられるはずはない。

それなのに、花菱烈火というこの男は、先の一撃で火傷の一つすら負っていなかった。

 

「今度はこっちの番だ!!」

 

掲げた腕を振り下ろす。

烈火の手から投擲された火球は、高速で強盗に殺到し、炸裂した。

 

「がっ……!」

 

爆炎に呑まれ、黒焦げになった強盗は倒れ伏す。

烈火は左手でV字を作り、声を弾ませた。

 

「ド真ん中ストライク!……だな!」

 

そして振り返り、

 

「大丈夫だったか……って、うお!?」

 

黒子の顔を見ると、大きく仰け反った。

それもそのはず、黒子の表情は、つい今し方烈火に助けてもらったとは思えないほどに、冷ややかなモノだったのだから。

実際、黒子には助けてもらったつもりなど毛頭なかった。

 

「ありがとうございました!このご恩は一生忘れませんの♡……なーんて、言って欲しかったんですの?」

 

黒子が詰め寄ると、烈火はたじろぎながら一歩下がった。

 

「お生憎様。わたくし、貴方などに助けて頂かなくとも、あの程度の相手傷一つ負わずに制圧できましてよ?それより、一般人が事件に首を突っ込んできたことの方が問題ですの」

 

見たところ、烈火は風紀委員の腕章も着けてはいない。正真正銘、ただの一般人のようだ。

 

「たまたま相手が貴方より弱かったから良かったものの、もし貴方が返り討ちにあって人質にでもなったりしたら、むしろ大大大迷惑だということを分かっていらして?騎士(ナイト)気取りで格好つけるのも結構ですが、貴方も高校生なら分別くらいはつけた方がよろしいですわよ?」

 

あるいは、世間一般的な女学生ならこれが恋の始まりになったかもしれない。悪漢に襲われたところに颯爽と現れて救い出すなんて、今日日少女漫画でも有り得ないような展開だ。

しかし、黒子はそんな世間一般の女学生とは一線を画している。

既に操をたてた運命の人(おねえさま)がいる上に、戦闘能力でもそんじょそこらの不良では束になってもかなわないレベル。

ときめきどころか、ほんの一瞬の脈拍の乱れすら起こり得るはずもない。

黒子は顔に嘲笑を浮かべて、言った。

 

「とにかく、金輪際こんなマネはしませんことよ?ヒーロー気取りの類人猿さん♡」

 

その言葉で、ついに烈火の堪忍袋の緒が切れた。

 

「ぬわんで助けてやってそこまで言われにゃならんのぢゃーーーー!!!!」

 

元より、礼を言われたかったワケではない。

しかし、罵倒される謂われもない。

烈火は両手を振り上げて怒りを吐き散らした。

 

「グチグチグチグチ……イヤミばっか言いやがって!素直にありがとうも言えんのかクソガキ!」

 

「あーらお下品な言葉遣いですこと!それにお礼申し上げることなどないと言ったことをもうお忘れですの!?見た目通りにツルンツルンの脳味噌してらっしゃいますのね!!」

 

「んだと固羅!ツルンツルンの胸したヤツに言われたかねーよ!」

 

「なっ!?乙女のタブーに触れてくれやがりましたわね!!血祭りに上げてくれますの!!」

 

「上等だ!かかってきやがれまな板!!」

 

幼稚な罵詈雑言の応酬。そのさなか、ふと黒子は気づいた。

もう一人の男の姿がないことに。

 

 

 

御坂美琴は、驚愕していた。

後輩の白井黒子を助けるように割って入ったその少年が、美琴のよく知るお節介焼き(バカヤロー)と重なったから。

いや、特徴的なウニ頭こそ被っているものの、それ以外に似ているところなどまるでない。

むしろ、自信に満ちたその眼差しは、分不相応に弱気な態度の“アイツ”とは、正反対の印象を受けた。

 

(って、なんでアイツが浮かんでくんのよっ!!)

 

濡れた犬のように激しく頭を振って、脳裏に浮かんだ男の顔を振り払う。

隣にいた佐天涙子が、訝しげにこちらを見て来た。

 

「御坂さん……どうかしました?」

 

「えっ!?あっ、ううん!なんでも!」

 

大げさに手を振って誤魔化すが、逆に挙動不審になってしまう。

佐天は頭に疑問符を浮かべるが、すぐに視線を騒動の方へ戻した。

 

「いやー、しかし白井さんも強いけど、あの男の人も強いですねー。おっ、やっつけた!」

 

「……そうね。でも、あのくらいなら黒子の方がよっぽど強いんじゃないかしら」

 

確かに、炎の直撃に耐えた耐久力は大したものだ。しかし、ウニ頭が生み出した程度の炎なら高く見積もったところでせいぜいLEVEL4。

美琴自身はおろか、黒子にもかなわない程度のものだろう。

 

「おっ、さすがLEVEL5は言うことが違いますなー!」

 

「えっ、いや別にそんなつもりじゃ……」

 

「烈火だって負けないよ!ほんとはもっともっと強いんだから!」

 

「うーん、そうかなぁ。でもやっぱり発火能力と瞬間移動だと……ってきゃあ!!」

 

不意に横からかけられた声に、驚いて飛び上がる。

見ると、長い茶髪の可憐な少女が立っていた。

見たことのない制服を着ているが、この街の生徒だろうか。

 

「えへへ、はじめまして。佐古下柳って言います」

 

「あ、はじめまして。御坂美琴です」

 

「あ、佐天涙子です」

 

驚き覚めやらぬ内に急に名乗られて、二人もお辞儀をしながら名乗り返す。

柳という少女は、にっこりと笑って言った。

 

「いきなり話に入っちゃってごめんね。でも、烈火は強いよ。悪い人には負けないんだから!」

 

烈火というのは、あのウニ頭のことだろうか。さっきからやけに肩を持っている。

佐天は、キラリと目を輝かせた。

 

「お姉さん、あの人の彼女さんだったり?」

 

「うにゃっ!?」

 

佐天の問いに奇声を上げたかと思うと、柳は顔を真っ赤にしてブツブツとつぶやき始める。

 

「か、彼女だなんてそんな。で、で、でもどうなんだろ。烈火もそういう風に思ってくれたら嬉しいというか、恥ずかしいというか。みんなからもそう思われてるのかな?き、き、き……もしちゃったし……でも、ごにょごにょ……」

 

どうやら、当たらずとも遠からずといった線らしい。

茹で上がってしまった柳を、美琴は少しだけ羨望の眼差しで見つめた。

 

(って何羨ましがってんのよ!いやちがう!羨ましくなんてウガアアアアアア!!)

 

再び頭をシェイクする美琴。

壊れてしまった二人を前に、佐天の苦笑するしかなかった。

と、

 

「どけぇぇぇぇ!!!」

 

ナイフを持って、走ってくる男。よく見ると、銀行強盗三人組の一人だ。

男は柳に向かって、ナイフを振りかぶる。

 

「危ない!!」

 

佐天はとっさに、柳を突き飛ばした。直後、左肩に痛みが走る。どうやら切られたらしい。

男は佐天たちに目もくれず、一目散に逃げていく。

 

「イツツ……」

 

「佐天さん!大丈夫!?」

 

「たいへん!早く治さないと……」

 

我に返った二人の声に、佐天は笑顔で答える。

 

「へ、ヘーキヘーキ。それよりあいつを……」

 

彼方には、予め用意してあったのだろう車に乗り込む男の姿。

車は急アクセルで発進し、どんどん遠ざかっていく。

 

「……さない」

 

美琴が呟いた。

 

「許さない」

 

これは、自身の油断が招いた結果だ。キチンと警戒していれば、男の接近に気づくことができた。佐天が傷を負うこともなかった。

全ては、自分の責任だ。

怒りの矛先は、佐天を傷つけた男に向かう。

 

ポケットからコインを取り出し、指で弾いた。

宙で何回も回転しながら、コインは再び美琴の手元に舞い戻り、そして放たれる。

電気を纏ったコインは、光の矢になって車に迫り、そして容易く吹き飛ばす。

紙屑のように上空に舞い上がった車は、幾度となく回転すると、逆さまに地面に叩きつけられる。窓の隙間から這い出てきた男は、その場で失神した。

 

少し離れてそれを見ていた烈火は息を呑んだ。

何の変哲もない、ただの女子中学生にしか見えない少女が放った、まさに必殺の一撃。

人ならざる力としか表しようのない、常軌を逸した破壊力。

呆然とする烈火に、黒子は告げる。

 

「あの方こそが、学園都市230万人の頂点。七人の超能力者(LEVEL5)の第三位。『超電磁砲(レールガン)』──御坂美琴お姉さま。常盤台中学が誇る、最強無敵の電撃姫ですの」

 

 

 

佐天涙子は、落胆していた。

御坂美琴や白井黒子、そして花菱烈火というらしい少年。多くの能力者たちの力を目の当たりに出来たことは、確かに刺激になった。

しかしそれは、自分の無力さを改めて知らされたも同義であった。

 

「超能力、かぁ……」

 

あの力を夢見て、学園都市にやってきた。

しかし、身体検査(システムスキャン)のたびに提示されるのは無能力者(LEVEL0)の文字。

車どころか、未だに糸くずを持ち上げることすら出来はしない。

自分に隠されているのはどんな能力か、それすらも知ることが出来ないのだ。

いや、果たして隠された能力など本当にあるのか。

佐天の心境に同調するように、左肩の傷が痛みを訴えた。

 

「アタタ……こんな怪我までしちゃって、ほんと、情けないなぁ」

 

「そんなことないよ」

 

不意に、左肩に温もりを感じた。

まるで、柔らかな日差しを浴びてるようなその感覚は、徐々に痛みを塗りつぶしていく。

やがて、痛みは完全に取り除かれた。

 

「これは……」

 

「えへへ、これ、私の能力」

 

振り返ると、柳がいた。

 

「人の傷を癒やしてあげることができるの。もう、痛くないでしょ?」

 

試しに肩を回してみても、なんの違和感もない。

本当に、傷が完治したようだ。

 

「さっきは、ごめんね。私のせいで……」

 

柳の表情が暗くなる。自分を庇った佐天が怪我したことに、深く傷ついてるようだった。

 

「いえっ、そんなっ!私こそ、何の役にも立てなくて……」

 

そうだ、何の役にも……。

結局、あの強盗たちを捕まえることが出来たのは、黒子と烈火、そして美琴の力があったからだ。

自分は何の力にもなれなかった。それが、堪らなく悔しい。

 

不意に感じる、何かに包み込まれるような感覚。

柳が、佐天を抱き締めていた。

さっき傷を治してもらったときのような温もりが、佐天を包んでいた。

 

「役立たずなんかじゃないよ。私、あなたは強い人だと思う。急に襲われて、それでも誰かを庇うことが出来るなんて、強いし、カッコいいよ。能力なんかよりも、その方がずっとすごい」

 

柳は佐天から離れると、舌を出して笑った。

 

「なんて……ちょっちエラそうだったかな?」

 

「そんなこと……」

 

「佐天さぁぁぁぁぁあああんんん!!!!」

 

言いかけた佐天を、強い衝撃が襲った。

佐天は転倒し、後頭部を打ちつける。

 

「いたた……せっかく治してもらったのにぃー」

 

自分の胸でもそもそ動く花の塊を睨みつけた。

 

「なにすんのよ、初春ー?」

 

「だ、だって、だって……」

 

花の塊から、人の顔が現れる。

同級生の初春飾利が、潤んだ目でこちらを見て来た。

 

「心配したんですよぉー。安全確認で私が離れてる間に、佐天さんが、切られたって聞いて……」

 

「ほんのかすり傷だってば。大げさだなぁ~」

 

「でも……でも……しゃ、しゃてんしゃんのばかぁーー!」

 

「おぉーよしよし。泣きな泣きな」

 

胸の中で号泣する初春の頭を撫でてやる。

そんな佐天を見て、柳は再び笑った。

 

「くすっ、仲が良いんだね」

 

「いやー、甘えん坊で困ったもんっすよー」

 

しかし、満更でもない自分がいることも知っている。

佐天はもう一度、初春の頭を強く撫でた。

 

「柳ー!行こうぜー!」

 

烈火という少年の声が聞こえた。柳はその声に反応して立ち上がると、最後にもう一度佐天の顔を見て、

 

「助けてくれてありがとう。またね!」

 

そう言って、立ち去っていった。

 

「カッコいい、か」

 

柳の言葉を、佐天は何度も心の中で反芻していた。

 

 

 

「さーてと、そんじゃ行こうぜ!」

 

「うん!」

 

烈火と柳は、再び歩き始めた。

とにかく、離れ離れになってしまった三人との再会が先決だ。

携帯電話を取り出して、水鏡の番号にかけようとした瞬間。

 

ピリリリリリピリリリリリ……

 

コール音が鳴り響いた。

画面を見るが、烈火の携帯からではない。

柳もポケットから携帯を取り出して確認するが、どうやらそちらでもないらしい。

 

「失礼」

 

音源は、黒子の携帯からだった。

黒子は携帯のボタンをプッシュして、耳にあてる。

 

「はい、もしもし白井ですが。ええ、ええ……なんですって!?」

 

どことなくわざとらしさを感じるような黒子の台詞に、烈火は嫌な予感を覚える。

通話が終わらないうちに、と柳の手を引きこっそり立ち去ろうとするも……

 

「ちょーっとお待ちくださいまし!」

 

きっぱりと制止の言葉を投げかけられる。

 

「どうやら、まだあなた方に帰っていただく訳にはいきませんの」

 

「おい、そりゃ一体……」

 

振り返ると同時に、烈火の手元でカシャンと何かが音をたてた。

視線を下ろすと、烈火の両手首に嵌められたら手錠が見えた。

黒子は凛と、言い放つ。

 

「あなた方お二人を、とある事件の重要参考人として連行します!」

 

「は?はぁ?はあああぁぁぁぁ!!?」

 

「えと、何かの間違いじゃ……」

 

困惑する二人を、しかし黒子は逃しはしない。

 

「いえっ!確かに花菱烈火、佐古下柳という人物を連れてこいと承りましたの!」

 

「は、花菱って誰かなあ?俺は立迫文夫って名前だけど……」

 

「さっき自分で堂々と名乗っていたではありませんの!ともかく!わたくしについて来てもらいますわよ!?異論と認めませんのっ!!」

 

くだらない誤魔化しも一蹴し、黒子は烈火の手錠で引っ張る。

事態を把握出来ていない烈火は、とにかく捕まってなるものかと大いに暴れた。

 

「連れていきたきゃ力ずくで連れて行きやがれーーー!!!」

 

「なら、お言葉に甘えて」

 

事も無げに答えた黒子は、地団駄を踏む烈火の胸に手を置いた。

その瞬間、烈火の視界に映るもの全てが逆さまになった。柳も、黒子も、遠くでジュースを飲んでいる美琴も。

直後、頭に強い衝撃が走り、烈火の視界は真っ暗になった。

 




なんでレーダー張ってる美琴が、柳とか強盗の接近に気づかなかったかというのは、気にしないことにしましょう。
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