【凍結中】戦姫絶唱シンフォギアー惑いし者ー   作:マンセット

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2話 初陣

「ぐぅぅぅぅ」

 

 

あたしは今、窮地に落ちている。

あたしの後ろには逃げ遅れた名も知らない少女が居て、ノイズの攻撃は大盤振る舞い。

相方の翼は別のノイズに手一杯、万策尽きるとはこの事だ。

だけど、あたしは諦めない、あたしはあの子を守るんだ!守らないといけないんだ!!

 

だけど敵の攻撃は激しくて、あたしのシンフォギアの一部が砕けちまった。

けどそれだけじゃない、その破片はあろうことか守ると決めた少女の胸元に吸い込まれて行った。

 

 

「おい、死ぬな!」

 

 

あたしは槍も放り投げて少女に対して駆け出していた、まだ少女が死んでしまってないと信じて。

 

 

「目をあけてくれ!生きるのをあきらめるな!!」

 

 

あたしの呼びかけに答えてくれたのか少女は目をあけた。

だけど、返事もできない少女の様子から一刻の猶予も無いことは明らかだ。

だからあたしも決意した、丁度その瞬間…

 

 

        ~♪~♪~♪~♪~

 

 

「歌?」

 

 

どこからともなく歌が聞こえてくる、勿論今も戦ってる翼とは違う歌だ。

あたしがその歌に気を取られていると、不意に空から光が降り注いだ。

 

          [残光]

 

降り注いだ光は所々外すものの、次々ノイズを貫き倒していく。

頭上を見上げると、黒と紫のカラーリングの見知らぬシンフォギアが浮遊し絶えず攻撃している。

 

 

「間一髪間に合ったか?そこの赤い奴!傷ついた子を連れて下がれ!後は俺がやる!!」

 

 

短く黒い髪をした少女は、攻撃の手を休めることなく声に似あわず男勝りな口調であたしに

そういった。

 

 

 

 

 

ステルスをカットしつつ攻撃したが、移動途中避難している観客の方に向かっているノイズを

倒しながら向かった事もあり、本当に間一髪の所だった。

 

俺としては少々怖いぐらい絶妙のタイミングだが、早すぎても遅すぎてもどうしていいか困る

為、これは正直ありがたい。

とりあえず、疑問を持たれても困るので名前を呼ぶのは避け避難を促がしてみたが聞き入れて

くれるかどうか。

また、問題はそれだけじゃなくて。

 

 

「攻撃の精度が甘い、こんな密集状態で3割以上も外れるなんて。芋虫みたいなでか物も弱って

はいるみたいがまだ健在だし、一旦狙いをつけるしかないか?」

 

 

先ほど使用した[残光]は笏を360度展開し攻撃する、小日向が使用した[閃光]の俺版と

いっていいだろう。

しかし元々拡散させてた攻撃な為、なんのサポートも無い自分では外すことが多いようだ。

また、攻撃力も悪い様で雑魚相手なら十分有効だが、大型相手には何度も当てないと

いけないらしい。

いくら的が大きいと言っても、こうはずしては倒すまでいつまでかかわるか予想できない。

 

 

「けが人がいるからな、出し惜しみは無しだ!一気に行くぞ!!」

 

 

           [混迷]

 

今度使用したのは[混迷]、こちらは鏡面を展開して反射し、多方向から攻撃を行なっていた

[混沌]の俺版である。

発生した鏡面の数は少なくエアキャリアからのマーカーも当然無いため手数の面だと先ほど

の[残光]にすら劣る。

しかしながら、鏡面にはある程度自動で狙いを定めてくれるらしく芋虫に対して確実に攻撃を

当てていく。

 

その結果、少々時間のかかったが天羽の方を向いていた2体の芋虫を撃破することが出来た。

芋虫の排除を確認した後、残りの雑魚が向かわぬよう再び[残光]で上空より残りのノイズに

ばら撒きながら攻撃する。

決して効率的とは呼べないが、その攻撃は確実に的の数を減へらしていった。

 

 

「天羽は…、無事に立花を連れてはなれてるみたいだな」

 

 

見ると、天羽は少し危なげな足取りだがしっかりと立花を抱えつつ戦線を離脱しようとしていた。

正直聞き届けてくれるか不安だったが、立花の重体ぶりからそちらを優先してくれたようで

ありがたい。

その後、残りのノイズを風鳴と共に掃討していきついにノイズの殲滅に成功したのだった。

 

 

「これにて終幕かな。俺は歌手じゃないんだ、アンコールとかは無しで頼むぜ」

 

 

 

 

 

突然現れた正体不明のシンフォギア…。

姿からして2つくらい下だろうか?

彼女のおかげで敵は全滅できて奏は無茶しなくて済んだけど、私は彼女を連れて

行かなければならない。

 

 

「そこのシンフォギア、降りてきなさい!詳しく話を聞かせてもらうわ」

 

「断る!ここからでいいなら話位はするが、俺は貴女を…貴女達を信用してないんでね」

 

 

戦闘終了後も降りてこない事から予想はしたが、やはり断られてしまった。

強硬手段も考えたが、あたしは満身創痍。

向こうは自由に飛んでいるのだ、消耗した私一人ではそもそも無理がある。

それにしても、女の子にしては男みたいに随分口が悪いけど、いったいどんな教育を受けて

いるのか…。

 

 

「なら答えて!貴女は誰なの、そのシンフォギアはなんなの、どうしてこの場所に

居るの、何故助けたの、何が目的なの、どうしてそんな事を言うの!」

 

 

悩んでも埒が開かないと思った私は、疑問に思った事を一度にぶつけてみた。

一度に質問をしたせいか面食らったようだが、少し考えるそぶりを見せた後、その口を開いた。

 

 

「最初の質問だが、俺の名前はそうだな…名無しでもいいが、遥。天音 遥(あまね はるか)と

でも名乗っておこうか」

 

「明らかに偽名じゃない、本当の名を答える気は無いって事?」

 

「当然だ、信用してないと言っただろう」

 

 

何が彼女をここまで頑なにさせてるのか…。

奏もこの場に居ない私には分からなかった。

 

 

「シンフォギアについてだが…、こいつは最後の質問にも関係あるんで即答は避けさせて貰うぜ」

 

「さっきからはぐらかしてばかり」

 

「仕方ないだろ、答えたくないのだから。それに、これは最後に答えるっていってるだろ」

 

「それもそうね、で次の問いにはなんて答えてくれるのかしら」

 

 

さっきからはぐらかされてばかりで、私の口調も自然と棘がでる。

 

 

「どうしてこの場所にいるかだったな。俺は今日ここにツヴァイウイングのライブを

見に来た、別におかしな話じゃないはずだが?」

 

「ええ、そうかもしれないわね」

 

「だろう」

 

 

まさか観客の中に適合者がいたなんて…。

でも裏でしていた事を考えると都合がよすぎるし、疑問に思う点もあるが、まだ質問が残ってる。

今それを追及しては藪蛇になるかもしれない。

 

 

「助けた理由は簡単だ、急に出たノイズと戦うついでに助けたただけ。それともまさか見捨てた方が

いいって言うのか?」

 

「そうはいってないわ」

 

 

少々過激だが、嘘でないとしたら少女が善意で助けてくれたらしい。

嘘じゃないと思いたいけど…。

 

 

「目的についてだが…、せっかくのライブも台無しになったし何も無いな。こんな状態じゃ再開も

ないだろうし」

 

「当たり前じゃない。それより、本当にそれだけ?」

 

「疑うのか?それ以外に何があるっていうんだ??」

 

「私達に危害を加える為…とか」

 

 

少し踏み込み過ぎたせいか、相手に疑念を持たれたようだ。

とっさの返しとしては苦しいが、万が一無関係だった場合鎧の事を探られると不味い。

 

 

「はっ、それならノイズに混ざって襲ってるさ」

 

「それもそうね」

 

 

なんとか誤魔化せたかしら。…それとも誤魔化されたか。

 

 

「さて、気にしてるようだし最後の質問だが…。俺のシンフォギアは特殊でね。万が一でも

悪用を避けたし、国に渡すなんてもっての他さ。だから前言を翻す様で悪いが、こいつが

どんなシンフォギアかは答えられないね。まぁ、どんな機能があるか知りたいだろ?これ以上

ここに居ても俺はやる事が無いし、それを披露しつつ退場させてもらうとしよう」

 

そう言うと此方が制止する間もなくギアの力を発動させたのだろう、一瞬にしてその姿は空に

溶けて行った。

 

 

「っまて!―――逃げられた」

 

 

付近を見渡すが影1つ見当たらない事から私は彼女、天音遥を見失ったのだろう。

疑問は尽きないが今は奏が心配だ、一刻も早く戻らなないと…。

 

 

 

 

 

あの後、避難者の人波に紛れ込むことに成功し、無事家に勝ってくることが出来た。

 

 

「とりあえず、今日の所はばれてないみたいだな。しかし、課題も山積みだし問題もある」

 

 

風鳴に応えた名前は出鱈目だがまったく意味が無いわけではない。

俺の苗字「音無」と、神かそれに類する者に連れてこられた可能性を考えて「天」の文字を入れ

「天音」、「遥」は俺の名前「彼方」と似た意味を持つから決めた。

 

シンフォギアについては、二期の事もあるしへたに答えれるわけがない。

フィーネなら気が付く可能性があるが、こればかりは仕方ない。

神獣鏡は原作ではフィーネが発見し、米国に渡した経緯があるからな。

 

最後の質問に関しては、はぐらかすしかないよな。

本当の理由は、捕まって性別がばれる事を恐れてるなんてせっかく隠してるのに馬鹿正直に

答えられないし。

今後追われない保証はないが、追手が出るとしても「少女」のシンフォギア使いとしてあの場に

現れたのだ。

「男」の自分が疑われる事はまずないだろう。

 

 

「しかし、風鳴が仕掛けてこなかったのは以外だったな。最初の拒絶で仕掛けてくると思った

んだが、正直助かった」

 

 

ノイズと闘ってみてわかったが、やはり俺は本来(?)の神獣鏡の使用者である小日向にも

劣るだろう。

願った思いの差もあってか、戦闘力に関しては出来の悪いデッドコピーと言っても過言でない。

 

そんな俺が消耗し、時点では練度も2年後よりは劣る風鳴相手でも戦いつつ逃げおおせたかは

疑問が残る。

現時点でも何を覚えているのか分からないのだ、侮る事は出来ない。

また、これが雪音に狙われた日には目も当てられない。

 

手数の少ないネフシュタンの鎧はまだしも、イチイバル相手では逃げ切る事など出来る

のだろうか?

最低限生存率を上げるためにも二課に比べると大きく索敵力は劣るし、ばれる危険も上がるが

ノイズは見かけ次第退治して練度を上げるしかない。

戦闘中にエネルギーが切れなかったのは不幸中の幸いだろう、燃費の方は思ってたより

いいようだ。

 

 

「後はこれからか。正直先の話より、こっちの方が深刻かもしれないが」

 

 

俺はライブの「生存者」だ。

そう、これから起こるだろう非難の声を一身に受ける立場になったのだ。

いや、一身にではない。

非難の声はは家族にも及ぶろう。

 

俺がノイズを刈ったおかげか死者は全体から見て数百人は減らせた様だが、そんな事はこの

非難の声の前では何の役にも立たないだろう。

今は非難の声は少ないが、これから先その声が大きくなった場合学校や家族の反応がどうなるか

は俺でも予想も出来ない。

初陣自体は概ね成功と呼べると思うが、前途は多難の様だ。

 

 

 

 

 

その時俺は、これから色々あるだろうが何の根拠も無くうまくいくだろうと楽観視していた。

俺と言う存在のライブへの介入。

その行動がが未来にどんな差異をもたらし、その結果俺や周りにどう影響するのかものかも

考えないままで…。

 

 

 

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