【凍結中】戦姫絶唱シンフォギアー惑いし者ー   作:マンセット

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7話 襲撃

交渉は順調に進み、いよいよ核心というところで邪魔が入った。

それも、考えられる最悪の相手で。

 

 

「悪いが、あんたに囀られるとあたし達が迷惑するんだ。だから、あんたには

一緒に来てもらうぜ」

 

「っ、響君!」

 

「は、はい!」

 

「ちっ、ここで貴女の登場とは俺はついてない。随分タイミングが

いいですね”雪音クリス”さん」

 

 

どうやら、指令は立花に援護させてくれるらしい。

なら、俺は立花が来る時間を稼がねば。

 

 

「な!てめぇ、あたしの名前をどうして…」

 

「馬鹿な!雪音クリスだとっ!!」

 

「俺は貴女達を警戒してたんだ、知ってて当然だろ?今日は「ソロモンの杖」は

持参してるのか?」

 

「っ!どこまで知ってるか知らねーが、黙りやがれー!!」

 

 

           [NIRVANA GEDON]

 

挑発が過ぎたのか、雪音はいきなり鞭の先にエネルギー弾を生成しこちらに放ってきた。

とっさの事だが何とか回避したものの、その先に狙ったように鞭の追撃が襲ってくる。

その攻撃に神獣鏡の腕にあるケーブルで迎撃したが、全くのパワー不足で直撃こそ避けた

ものの、衝撃により俺は吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。

 

 

「ぐぅぅ!」

 

「はっ。口だけで全然よえーじゃねーか」

 

「このっー。遥さんになにするんだ!」

 

「おっと、あぶねー。お前の相手はこっちだ!」

 

 

吹き飛ばされた俺を見て立花が雪音に殴りかかったが、雪音は難なく回避し

何時の間に出したのだろう、右手にもつ「ソロモンの杖」からノイズを作り出した。

 

 

「えっ…、ノイズ?」

 

「響君!」

 

「そいつらと戯れてな。おっさんを守らねーと死んじまうぞ?」

 

「指令、動かないでください!」

 

 

まずい、まずい、まずい…現状まずぎる。

響はノイズで手一杯、対人なら最強と言っていい風鳴指令は雪音との間にノイズ

が居るから下手に動けない。

そして、俺は雪音相手に完全に押されている。

 

いくら飛んでないとはいえ、手数の少ないネフシュタンの鎧に一瞬でここまで

押されるとは全くの予想外だ。

イチイバルが問題だとばかり思っていた自分の甘さの代償としてもこれは高すぎる。

 

浮上してなかったせいで[幻影]を使う余裕がないし、仮に使えたとしても、2人を

ここに残して逃げる事はできない。

 

風鳴翼を[影縫い]による拘束を警戒して同席させなかったのが裏目に出た。

 

 

「くっ…。慎次、聞こえるか!翼をこちらによこしてくれ。現在、俺達は第三者から襲撃

されてる!!」

 

「ふん、なら応援が来る前に叩き潰すだけだ!」

 

 

風鳴指令が応援を手配したようだが、それを聞いた雪音の攻撃の苛烈さが増した。

二振りの鞭が織りなす攻撃は、俺を翻弄しレーザーによる攻撃をする暇を与えずに確実に

ダメージを与えていく。

そして、一本の笏と二本のケーブルが弾かれた所を横なぎに鞭を貰う事によって、俺はまた

大きく吹き飛ぶことになる。

 

 

「ほらほら、抵抗しないとあっという間にお陀仏だぜ?」

 

「遥さん!!」

 

「天音君!しっかりするんだ、天音君!!」

 

「っ…」

 

 

俺は2人の声のおかげで意識こそ失わずに済んだが、立っているだけで精一杯の状態だった。

[幻影]による変身が解けてないのが不思議なぐらいだが、このままでは変身が解けるのが

先か、気絶するのが先か…。

 

 

「ふん、この程度か。んじゃ、次で終わりだっ!」

 

「避けて!遥さん!!」

 

「天音君!!」

 

 

満身創痍の俺に対し、雪音は二度目のエネルギー弾を生成する。

2人が必死に避ける様俺に言うが、避けたくても俺の体は鉛のように重く一歩も動かないのだ。

そしてついに生成したエネルギー弾が俺に放たれる。

 

           [NIRVANA GEDON]

 

エネルギー弾は俺に近づき、その意識を刈り取ろうとしたとき。

 

             [天ノ逆鱗]

 

エネルギー弾と俺の間に突如、巨大な剣が落ちてきて俺は難を逃れた。

 

 

「なにぃ!」

 

「おじ様、遅くなりました」

 

「ナイスタイミングだ、翼!」

 

「翼さん!」

 

「ちっ、もう少しだってのに。悪運の強い奴だ」

 

 

助かったことは嬉しいが、予めヘリで待機してたにしても風鳴が来るのが早すぎる。

恐らく、交渉が決裂した場合を考えて付近に伏せていたのだと思う。

余り嬉しくないが、その事が俺の命を救ったのだ。

今考える事ではない。

因縁のあるネフシュタンの鎧を見た風鳴翼の戦意はやはり高く、すぐにでも

攻撃を始めそうな感じだ。

 

 

「どうする?ここまま尻尾を巻いて逃げ果せるか。もっとも、その鎧を着てる

貴女を逃がす気は無いけど」

 

「はっ、どうしてあたしがあんたから逃げなきゃいけねーんだよ。あんたを退けて

からあいつをかっ浚うまでの話だ!」

 

「ならば私の剣、その身に受けなさい!」

 

「ほざけっ!」

 

 

まず、風鳴が[蒼ノ一閃]を放つが雪音は左の鞭を使い薙ぎ払い、お返しとばかりに

右の鞭を縦にそして少し遅れて左の鞭を斜めに振り下ろしてきた。

 

風鳴も後ろに飛んで回避するが、それを狙ってたのか雪音がエネルギー弾を生成し

[NIRVANA GEDON]で追撃の一撃を放つ。

 

着地した風鳴は留まることなく、今度は前に飛び再び雪音の懐に。

飛んだ勢いのまま[逆羅刹]を使い攻撃に転ずる風鳴。

 

対する雪音は二振りの鞭を器用に使い風鳴の攻撃を受け止め、お返しとばかりに

無防備になった腹に蹴りをかまし、吹き飛ばした。

 

 

「これが、完全聖遺物の力…!」

 

「ちげーよ、これはあたしの実力だ!それに、この程度だと思ってるんじゃねーぞ!!」

 

「翼!!」

 

「翼さん!っ。こいつ、離れろー!」

 

 

ハイレベルなバトルに、満身創痍ながらようやく動けそうな俺は手出しできずにいた。

ならばと立花の手助けにいきたいが、立花は雪音と風鳴の戦ってる向こう側。

これでは、とても手出しができない。

そうしてる間にも戦いは新たな局面を迎える。

 

腹を蹴られながらも、そのダメージを感じさせない着地をした風鳴は雪音に対し再び距離を

詰めようとする。

対する雪音も鞭による迎撃を重ね風鳴を近づけさせない。

 

隙のない雪音に対し、隙を作り出す為風鳴は[千ノ落涙]を使う。

空から降り注ぐ剣の群れにたまらず回避に徹する雪音、そこを小刀を投げつつ

追撃する風鳴。

 

しかし、万全の状態である雪音には届かず、近づくものの逆に足を取られ

遠くに放り投げられた。

更に雪音は先回りして容赦なくその頭を踏みつける。

 

 

「その程度の実力であたしに楯突いてんじゃねーよ。そーだ、お前の仲間も連れ去って

やるか。鎧も仲間もあんたにゃ過ぎたもんだし、別にかまわないよな?」

 

「その様な事…。繰り返すものかと、私は誓った…!」

 

「俺の事を何時までも忘れてんじゃねー!!」

 

 

風鳴を足蹴にして動きを止めている雪音に対し俺は、回復したばかりの力を使って

[混迷]を展開、風鳴に当たらない様に注意しつつ、攻撃を加えた。

だが、俺の攻撃など雪音には止まって見えるのだろう。

 

かすりもせず回避し、俺に対し鞭によるお返しをくりだしてきた。

避ける体力なんてない俺はまともに食らい、無様に吹っ飛んだ。

 

 

「負け犬がキャンキャン吠えるんじゃねーよ!そこでおとなしく寝てな!!」

 

「ぐぅぅ…」

 

「ふんっ、雑魚が。さぁ、続きを始めようじゃないか。えぇ?」

 

「ほざけっ、貴女だけは絶対に逃がすわけにはいかない!貴女の纏うネフシュタンの鎧を

取り戻すことでこの身の汚名を雪がせて貰う!」

 

「ふんっ、あたしに押されてるあんたに何ができるって…、何!」

 

 

何時の間に投げたのだろうか?

俺を吹き飛ばすことに意識を取られていた雪音は風鳴の[影縫い]に

その身を捕らわれていた。

 

 

「この程度であたしを止められると思ってるのか!」

 

「一時、足を止めれば十分。わが身は剣。防人の生き様、覚悟をその身に受けなさい!!」

 

「何を言って…。まさか、歌う気なのか。絶唱を」

 

「待て、翼!」

 

「翼さん!!」

 

「そんな事させるかよ!このっ、動け、動け!!」

 

              ~♪~♪~♪~♪~

 

 

雪音は逃れようと必死に抵抗するが、風鳴の絶唱は止まらない。

風鳴は絶唱を歌いつつ雪音に近づく。

そして、風鳴はついに雪音のすぐ傍まで近づき絶唱は完成した…。

 

 

「うわぁー!!」

 

「っ、おぉぉぉ!」

 

「きゃあぁぁぁー!」

 

「ぐぅぅぅ」

 

 

ほぼゼロ距離と言っていい雪音は盛大に吹き飛び、さほど離れてない俺も少ない余波を

受け吹き飛ばされた。

ついでに離れてたはずの立花も少し飛ばされたが、風鳴指令はその場でこらえた様だ。

 

 

「ちぃ…」

 

「っ、待て!!」

 

 

雪音は至近距離の絶唱を受けたものの、鎧のおかげで無傷とは言えないが無事。

しかし、鎧がその身を蝕み始めた為撤退していく。

風鳴指令は呼び止めようとしたが、無駄だった。

 

 

「翼さん!!」

 

「無事か、翼!」

 

 

立花は絶唱を歌ったばかりの風鳴に向かい、それを見た風鳴指令もその後に続く。

一方、正直俺も俺のシンフォギアも限界だった。

 

[幻影]こそまだ展開されてるが、同時に[幻日]は不可能。

ならば2人の注意がそれてる間に[幻影]を解除し、その後[幻日]にて離脱を図る

しかない。

 

満身創痍の今、なし崩し的に二課に向かうわけにはいかないのだから。

俺は隙を見て[幻影]を解除し、急ぎ[幻日]を発動。

風鳴に注意が向けられている間に帰路に着いた。

 

 

 

 

 

結果だけ見ると、中途半端に終わった今回の交渉は失敗だ。

だが、俺の不審を晴らすと言う意味では成功と思える。

出来過ぎだが第三者の妨害があったのだ、自然とそちらに注意が向かうはず。

これならば再度の交渉は焦る必要はないだろう。

それに、次同じことをして俺が無事な保証はどこにもない。

何分俺は満身創痍、風鳴に至っては絶唱を歌い入院は確実なのだから。

 

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