博士の日常   作:天野蒼夜

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起きない奴には

ここは東京都に点在する練馬区大泉学園光子力町。

 

そこでは機械獣ガールが蔓延る地下帝国とマジンガーZやグレートマ

ジンガーといったスーパーロボットが擬人化されたロボットガールズ

との戦いが毎日のように繰り広げられていた。

 

しかし、いつも結果はマジンガーZなるZちゃん、グレートマジンガーなる

グレちゃん、グレンダイザーなるグレンダさんで構成されているロボット

ガールズZの圧勝でというのは定番となっている。

 

だが戦う際、彼女達は容赦なく暴れ回る(特にZちゃんが)いつも町の全

壊、よくて半壊するというのもお約束だ。

 

そんな彼女達の住む光子力研究所は光子力町のシンボルであり、彼女達も

また、光子力を普及させるために日夜バイトに励んでいる。

 

そして……この研究所にはもう一人光子力を普及させるために努力している

者がいる……彼は。

 

「光子力バリアー……やっぱり強化しておく必要があるな。この前暗黒大

将軍子が攻めてきた時あっという間に壊されちゃったし」

 

博士……光子力研究所に住み込みで働いている青年だ。

 

研究所で光子力について研究し、光子力が一般家庭に普及し、よりよい

生活をできるようにするのが彼の願いだ。

 

ちなみに彼が言っているのは数週間前、ミケーネたんが操っていた暗黒

大将軍子をロボットガールズメンバー全員で戦った決戦のことだ。

 

皆それぞれ尽力したのだが、彼女の圧倒的な戦闘能力に次々とやられ、

何度も絶望を味わったが、地下帝国の意外な活躍により弱点を見つけだ

し、撃破することに成功した。

 

それを考えればある意味光子力町を救ったのは地下帝国なのかも

しれない。

 

「あの光子力バリアーは範囲にこだわって膜を薄くしたことによって

破壊された。範囲をそのままに……かつ膜を落とさずに強化できる方

法を考えないとな……あ、ふぁ~」

 

椅子の上で何時間も座り、モニターを眺めていたせいか、眠気が自然

と襲ってくる。

 

壁に付けられている時計を見れば深夜の一時。

 

深夜といえば大体の人達が明日に備えて寝静まっている時間だ。

 

博士はモニターの電源を切り、椅子から立ち上がる。

 

「この課題は今後考えていくとしよう。今日はバイトもあったし……ふぁ~。

もう寝よ……深夜はさすがに頭が回らないや……」

 

これ以上の試行錯誤は無意味だと判断した博士はもう一度大きな欠伸をして

研究室を出て自分の部屋に向かって行った。

 

 

―――――

 

 

【ピチュチュン、チュンチュン……】

 

小鳥のさえずりが聞こえてくる。

 

【博士】

「zzz」

 

しかし窓から小鳥が歌っているのにもかかわらず、博士はベッドの上で

眠りこけていた。

 

昨日溜まっていた疲労が大分残っているのであろう。

 

しかし……彼の平穏な睡眠タイムはもうじき終わる……何故なら。

 

「博士~!」

 

鉄の魔神が毎日こうしてやってくるからだ。

 

緑色のロングヘアーの頭に変身アイテムであるホバーパイルダーを被り、

身体全身には黒をメインカラーした戦闘スーツ、両足には黒のニーソック

スに紺色のブーツを履いている美少女がノックすることなく博士の部屋に

無断で入り、寝ている博士のベッドに近付く。

 

「も~博士ってばまだ寝てるよ……さてはまた遅くまで光子力の研究して

たな……よ~し」

 

少女が右腕を博士の前に突き出す。

 

「ロケット、パンチ!」

 

手袋をゆっくりと右手から飛ばし、博士のベッドの中に侵入する。

 

そして……。

 

「そ~ら、こちょこちょこちょ~」

 

手袋型のロケットミサイルを操って博士のお腹をくすぐり始めたのだ。

 

「んっ……あっ……あははっ……あははははははははははははっ」

 

お腹をくすぐられて、博士が徐々に笑い出す。

 

「ほ~ら、起きないともっとくすぐっちゃうぞ~。ほ~れ、ほれ

ほれほれ~!」

 

徐々にくすぐるスピードを上げ、お腹だけでなく、脇、足の裏と……博

士のウィークポイントばかりを狙ってくすぐってくる。

 

さすがにこの攻撃は堪えたのか、博士はベッドから起き上がった。

 

「はぁ……はぁ……Zちゃん……起こすならせめて揺さぶっていつも

言ってるでしょ……」

 

そう……博士をくすぐっていたのはロボットガールズZのリーダーで

あるマジンガーZことZちゃん。

 

特撮戦隊ものでいうレッドポジションの主人公のような熱血タイプ

で、ノリが典型的な体育会系の姉御肌な女の子。

 

数週間前まではこんな器用なことできなかったのだが、暗黒大将軍戦の

後、密かにロケットミサイルを手足のように操る練習をしていたおかげ

で、今ではロケットミサイルでくすぐれるほどの操作能力を身に付けた

のだ。

 

「だって博士普通に起こしても起きないじゃん。光子力ビームやブレ

ストファイアーを使ってないだけまだマシでしょ?」

 

たしかに前までは光子力ビームやブレストファイアーで起こされるという

大惨事があった。

 

Zちゃんの武装の火力は光子力町をあっという間に全壊できるほどなので

余計に恐ろしいのだ。

 

それを喰らって死なない博士も大概だが……。

 

「だからってくすぐりとか……俺くすぐられるのダメなの知ってて……」

 

「こうでもしないと博士が起きないからだよ。さあ、起きたなら早く朝ご

飯作ってよ。グレちゃんもグレンダさんも待ってるし。博士も朝一番にブ

ラックスマイルのグレンダさんとか見たくないでしょ?」

 

たしかにブラックスマイルのグレンダ以上に恐ろしいものはない。

 

彼女は普段は癒し系のお姉さんタイプなのだが、実はロボットガー

ルズ随一のドSで、博士も何度か逆鱗に触れてひどい目に遭わされ

たことがある。

 

彼女曰くまだ優しいほうだと言い張っているが……逆にマジギレしたら

どれほど恐ろしい目に遭わすのだろうか……?

 

考えてみたが、あまりにも恐ろしすぎて考えるのは中断された。

 

「たしかに見たくないな。分かったよ、その前に着替えるから先に

行ってて」

 

「は~い」

 

気の抜けた返事をすると、Zちゃんは射出したロケットミサイル型の手

袋を引き戻して博士の部屋を出て行った。

 

Zちゃんが部屋を出ると、博士はベッドから下りてクローゼットにしまわれている

着替えを手に取り、パジャマから普段着に着替え、頬を両手で軽くはたく。

 

「よし!今日も一日頑張るか!光子力普及のために!」

 

そう言って、博士はロボットガールズZの待つ食堂へと向かった。

 

 

 

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