博士の日常   作:天野蒼夜

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帰国子女のお嬢様は漢字が苦手

公園から歩くこと数分。

 

博士とライガ様が向かったのは図書館だった。

 

そこで何をするかと言うと……。

 

「じゃあまずは先週出しておいた宿題を見せて」

 

「は、はい……」

 

博士に言われて、ライガ様はトートバッグの中から1枚の紙を取り出す。

 

博士はそれをライガ様から受け取り、視線を走らせる。

 

「ど、どうですか……?」

 

「先週よりは正解率は上がってるけど、また同じところ間違えてるね」

 

「え!?どこですか!?」

 

「ここ」

 

博士が間違えている紙に書かれている【薔薇】という字を指で示す。

 

博士はここで漢字が苦手なライガ様のために漢字の読み書きの指導をしているのだ。

 

「ライガ様、君はこの字を何て読む?」

 

「ろ……ローズマリー……かしら?」

 

「漢字は横文字で読むもんじゃないの。これは【ばら】って読むんだよ」

 

「似たようなものじゃありませんの……」

 

「そうかもしれないけどダメ。この漢字は【ばら】が正解なの」

 

「むぅ……」

 

ライガ様がむくれる。

 

「どうした?」

 

「ツカサさん、さっきからライガ様ライガ様って……2人でいる時は

呼び捨てにしてって言ったじゃないですか……」

 

「そ、そうだっけ?」

 

「言いました。だから私も2人でいる時は本名で呼んでるじゃありませんか……。

あ、もしかしてツカサさん……」

「何だよ……?」

 

「ライガって呼ぶの、嫌ですか……?」

 

「うっ……!」

 

涙目で言われてたじろく博士。

 

彼の性格が性格であるため、女性にこういう顔をされると弱いのだ。

 

「わ、分かったよ。ちゃんと呼ぶからそんな顔するな。ライガ」

 

照れながらも、博士はライガ様を呼び捨てにした。

 

「ふふっ、皆からは様付けされるので、呼び捨てにされると新鮮ですわね。

でも、呼び捨てにしたくらいでそんなに照れなくても……」

 

「ロボットガールズには大体ちゃん付けやさん付けだから恥ずかしいんだよ、

本当に2人の時だけだからな、こうやって呼ぶの……」

 

「はい、十分ですわ。むしろそうしたほうが特別に感じられて、嬉しいですわ」

 

「分かったから間違えた漢字をノートに書き込め。こういうのはひたすら

練習するしかないんだからな」

 

「はい、今日もお付き合い下さいね」

 

そうして、ライガ様は博士に見守られる中、ノートに間違えた感じを書き込み始めた。

 

 

―――――

 

 

博士とライガ様の様子をゲッちゃん達は外からこっそり眺めていた。

 

「まさか、ライガ様があんなことをしてたなんて……」

 

あの様子からゲッちゃんとポンちゃんは何故ライガ様の帰りが夕方くらいに

なるのかを理解した。

 

しかし分からない。

 

何故ライガ様は自分達にパトロールとかウソを吐きながらこんなことを

しているのかが。

 

「なあゲッちゃん、何でライやんはウチ等にこのこと隠してたん?ウチ等は

同じチームの仲間、隠し事なんてせんと思っとったのに……」

 

「……驚かせたかったんじゃないかしら?」

 

「え?」

 

「ゲッちゃんさん達の知らないところで漢字を学んで、成長した自分を

見せて驚かせたかったんじゃないかしら?そうでないとウソを吐いてま

であそこで漢字を教わったりしないわ」

 

「そうなん……?」

 

「私はエスパーじゃないから本当のことは分からないけど、多分そうだと思うわよ。

それよりも……」

 

グレンダさんがクスリと笑う。

 

「あの2人、中々いい雰囲気ね。まるで恋人同士みたい。貴女達もそう思わない?」

 

「それはまぁ……確かに……」

 

「あの様子、どっちか、あるいは両者が恋心を持っていてもおかしくない。

だとしたら貴女達、どうする?」

 

『……』

 

グレンダさんの問いにゲッちゃんとポンちゃんはしばらく黙り込んだ。

 

 

―――――

 

 

太陽が西へ沈みかけている頃、ライガ様が早乙女研究所に帰ってきた。

 

「あらライガ様、おかえりなさい。で、パトロールの結果はどうでしたの?」

 

「異常なし。いつも通り平和そのものでしたわ」

 

「ふ~ん、そう……それは何よりですわ。あの……ライガ様」

 

「?」

 

「貴女は新生チームGのメンバーである前に1人の女性。だから、

応援してあげてもよくってよ!」

 

「はあ?」

 

「照れんでええ、照れんでええ、何も言わんでもウチ等知っとるけん。

頑張りんさい、ライやん!好いとるんやろ?博士を」

 

「何でそれを貴女達がそれを知ってますのおぉおおおおぉおぉ!!??」

 

 

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