人は、いつか必ず己自身と戦う時が来る。それは人生の中で一度といわず何度も訪れるものだ。
17年というまだまだ先がある時間の中で、俺は何度それと戦ってきたことだろう。
足を骨折している状態でサルに追いかけられたこともあれば、人が上から降ってきて肘打ちされたこともある。
トイレを我慢して自宅まで走っている途中で、野糞しているおっさんを3人見かけたこともあった。
他にも色々あったが今現在陥っている状況に比べればまだましかもしれない。
「タカはこの男のほうが良いっていうの!?」
いかにも活発そうな女の子が俺の目の前にいるどこから取り出したかもわからないナイフを持って、イケメンに迫っていた。
「そ、それは…」
イケメンの男はというと恥ずかしそうにもじもじしていた。
わけがわからないと思うが説明すると、この目の前にいるイケメンは俺のことが好きなのだとか………悪寒が走った。
そしてイケメンの彼女であろう女の子がナイフをもってしてイケメンのことを更生させようとしているのだろう。
因みにイケメンとは友達でもないし話したこともない、だからこういうめんどくさいのは色々考えるより先にさっさと退散してしまおう。
場所は放課後の教室だ。俺ら3人以外は、誰もいない。
という感じだ。
少し後ずさろうとすると女の子の声が響き渡る。つい目を向けてしまう。
「バカ!!何であたしのこと見てくれないの!?」
危ない。色々と危ない。バカはお前だ。ナイフを振り回すな。イケメンに当たるのは構わない、だからこちらに被害が及ぶ前ににげ……
「そもそも!あんたがタカを誘惑するのが悪いのよ!!」
……え!?いや、おいおいこっちに来るなよ。
……ナイフをしまえ。
「あんたがタカの何を知ってるっていうの!?」
うん、何も知らない。
「たいして美形でもないのに!」
おい!それはあんまり関係ないだろ!
そしてさり気なく近づいてくるな!こんなところで死んでたまるかよ!
隠密行動が得意なら忍びにでもなったらどうだ。
「だから、……死んじゃえ」
そこからは速かった。
ナイフを持った彼女は1歩踏み込むと俺の体を下から上に切り上げてきた。
そして……
ヒュッ、と音がしたときにはもう遅かった。鎖骨か首か、そのあたりが恐らく深く切られた。
「…………ぇ?」
切られた…?痛い?
いやいやまさか。
血が目の前を舞っている?
俺の…血……?
俺は……死ぬのか?
彼女だって居たことないのに…
………死にたくない。
それに家族や友達はこんな俺を見てなんていうだろう。
あぁ、このまま死ぬならせめて次はほんの少しでも美形に産まれたいなぁ…
最後に…
「……さり気なく、……殺してんじゃねぇよ、…ばー、か」
こんなことならサルに一生追いかけられていればよかったかなぁ…
頑張ります!