あぁ、いい天気だ。木々の隙間からほんの微かに見える空が青い。
空気も澄んでいる……ような気がする。こういうところを人は楽園と呼ぶのかもしれない。
後ろにいるやつがいなければ…
タッタッタッタッタッ…
さっきから足音を響かせながら走っている俺。汗だくになりながら走っている。なぜそんなになりながらも走るのかというと原因は後ろにある。
何者かもわからないなにかに追いかけられているのだ。15分くらい走っているだろうか、時計も何もかも落としてしまった、というか無くなっていたし…………とりあえずきつい。
まぁ、今の状況を見てわかる通り、俺は死んではいなかった。あのナイフを持った女の子の理不尽な居合い切りがヒットしたときは完全に死んでしまう空気だったのに……
というか、病院には運ばれたはずなのだ。そこまでの記憶はぼんやりだが残っている。その中でも、妙に頭に残っているのは金髪の女の人の姿だ。顔はわからなかったが多分美人だろう……多分。
その人を見たのは病院の中だったはずなのに、それがなぜこんな山の奥で鬼ごっこなんてしなければいけないのだろうか……
因みに体の傷は塞がっている。消えているわけではなく……
まったくもって謎である。
そうこう考えている内に後ろにいた化け物…?のような何かがかなりの距離まで近づいている。体力ももう残りわずかだ。
……さぁ、今が戦い時だ!
この時なぜ俺は自分が調子に乗ったのかわからなかった。
こぶしを構えて奴のほうに振りかえっ……
ドゴォ!!!
…吹っ飛ばされた。声も出ない。
…………っていうか人って、こんなにも弱いんだね。
受け身なんてものはとれるはずもなく無様にゴロゴロと地面を転がる。…10メートルくらい。
あぁ、絶対どこかの骨折れてる。全身痛い、が早く体制を立て直さなければ………って、ん…?
目の前には奴の顔。ビビるわ!いきなり出てくるな!
てかはえーよ!!そしてつぶらな瞳でこっちを見るな!!
いや、つぶらでもないか…ってそんなことはどうでもいい!!
「ギャアアアアアアアアアアアア!!!! 」
「…っ!?それがお前の鳴き声かよ! 俺が叫びたいよ!!」
奴の鋭い何かが…多分爪かなんかだろうが、それが今まさに俺に向かってきていた。
俺、ここで死ぬのか。なんか前と状況似てるじゃないか畜生。
あー、死にたくないなぁ…
我ながら中々のんきなことを考えていたと思う。
「ちょっと待ったー!」
すると突然、女の子の声が空から聞こえてきた。
「…ん?……空!?」
その声の主はそのまま化け物に突っ込むと化け物ごと吹っ飛んでいった。かなりの勢いだったみたいで俺は無傷で済んだのだが、女の子のほうが心配だ。空から降ってきたのも気になるし…。
「あのー!だいじょ…」
「早くいきなさい!そこの人間!!」
即答された。ぴんぴんしてるし、元気みたいだ。この場所に住んでる女の子は空から降ってくるぐらいだし頑丈なのかな。
今もすごい身のこなしで化け物と戦っているし……………あ、倒した。
「はぁ、はぁ、」
とてもきつそうだ。
少女はこちらをキッ、と睨むと、
「何してるんですか!あなたは!私がいたからよかったものの、あのままだったら絶対死んでましたよ!」
そうまくし立ててくる。
「…………」
うん、ありがとう。と、思ってはいるのだが全身がだるくてうまく声に出せない。
………なんか倒れそうだ。
「…大体、あなたのような力のない人間ごときがこの山に入ること自体が今の幻想郷では禁止されているというのに………って、ちょっと…人の話は最後まで…」
ごめん、もう自分が立っているのかさえ、分からないんだ。
…ドサッ
少女が最後まで俺に何か言っていたような気もするが、俺は全身に強い衝撃を感じたのを最後に意識を失った。
主人公の名前がぁぁぁぁっぁっぁああ!!!!
まだ、出てなかっただとぉぉぉぉぉぉ!!!
……忘れてました。