バトルフラッグスもいよいよ佳境、今度はⅢぐらいで終わりそう……
どうぞ、ご覧ください。
ガンプラバトルフラッグス、開始から二十分――
「これで……五つだっ!」
ザシュゥゥッ! 二刀流のビームザンバーがフラッグをX字型に切り裂き、爆散させた。
ピロリン、と例の電子音がして、空中にでかでかとメッセージが表示される。男子チーム6ポイント、女子チームも6ポイント。戦況は互角だ。
「べ、別に写真はどうでもいいけど……勝負には勝ちたいからね」
現在、エイトは防風林のど真ん中のA3エリアで、単独行動中。誰に聞かせるでもないつもりの独り言だったので、返事とばかりに降って湧いた声とミサイルに、一瞬、反応が遅れてしまった。
『おらおらおらァッ!』
「ナツキさんかっ!?」
バルカンで迎撃しながら回避機動、V8は上空へ退避する。その数秒後にミサイルが着弾、防風林は半径数十メートルにわたって樹木を吹き飛ばされ、表土が浅く掘り返された。
『はっはァ! その機体、エイトかァッ!』
『敵同士であいまみえるとは……奇妙な気分だよ』
ミサイルの爆煙を突き破るようにして、ナノカのジャックラビットが突っ込んできた。
乱射されるビームマシンガンをビームシールドで防ぎ、すれ違いざまのシールド打突を間一髪でかわす。避けた直後、シールド先端のパイルドライバーが作動。もし当たっていたら、顔面に風穴が空いているところだった――エイトの背筋に、寒いものが走る。わかってはいたが、アカサカ・ナノカは狙撃手というだけのガンプラファイターではない。
『思えば、キミと戦って実力を測ることはなかったね。エイト君』
「ナノさんは味方だって意識が強くて……」
『光栄だよ、相棒!』
ジャックラビットは右腕のツインヒートナイフを展開、V8のビームザンバーと切り結ぶ。しかし、ミノフスキードライブ搭載のV8とは違い、ジャックラビットは長時間の単独飛行が可能な機体ではない。何度かビーム刃を打ち付け合った後、バーニアを吹かして距離を取り、落下していく。
『ビス子、頼んだよ』
『わかってらァ!』
それと入れ替わるように、今度は地上からの砲撃が襲い掛かってくる。ザクドラッツェ、二門の180㎜キャノンによる打ち上げ砲撃だ。〝
「ナツキさんだけでもすごい弾幕なのに、ナノさんにまでこうも撃ちまくられちゃ……!」
バカスカと撃ち込まれる徹甲榴弾に加えて、四方八方からビームマシンガンが降り注ぐ。防風林の樹々を盾にし、ビームシールドで身を守り、さらに息つく間もなく回避機動を繰り返す。エイトはそれで精一杯で、反撃の隙を見つけられない。
さすがはGBO高位ランカー、自分はとんでもない実力者とチームメイトだったのだと、エイトは改めて思い知らされる。
「姉さんにもヤマダ先輩にも、甘えてるって見られて当然だな……」
エイトはひとり呟き、ビームザンバーにバスターガンを連結、ザンバスター
『え、エイト! 聞こえるか!』
「イサリビ先輩?」
Bエリアの索敵を担当している、グレイズ改の三年生イサリビ・アキヒサ。切羽詰まった声色に、エイトはただならぬものを感じた。
「どうしたんです、特別なフラッグとかっていうのが出たんですか」
『それどころじゃあねえ! 畜生、出やがった……出てきやがった! ぐわああっ!?』
「せ、先輩っ!?」
爆発音と、金属の軋む音――男子チームのステータス画面上で、アキヒサのガンプラが【グレイズ改・クタン参型装備】から、単なる【グレイズ改】に変わった。耐久力も黄色表示。なにか強力な攻撃を受けて、クタン参型ブースターを
『お、おかしいと思ったんだ……こんなお祭り騒ぎに、アイツの姿がないなんて! 合宿だ、温泉だ、ガンプラバトルだなんてなると、いつも真っ先に場を引っ掻き回して……ぐああっ!』
グレイズ改の耐久力が
「先輩っ、大丈夫ですか! アイツって誰なんです、このバトルフラッグスに、僕たちの知らない勢力が……!」
『ちぃっ、フレームごと持っていかれた……エイト、俺にはもうかまうな! お前じゃあコイツらは荷が重い、普通にフラッグを獲って勝ち抜けろ! 足止めぐらいは、俺が!』
「コイツら……複数ですか!? 誰なんです、先輩っ!」
『フッ、行くぜ……あとから出てきて勝ちだけ掻っ攫おうなんてなあ! 許せねぇんだよ、副部長っ! カンザキ・サチいいいいいいいいいいッ!』
ドッ、オオオンッ――ブチッ、ザー……ザー……
轟音と共に通信は途切れ、チームステータスの【グレイズ改】の文字が
「副部長……カンザキ・サチ……!?」
エイトはアキヒサの最後の言葉を、無意識に繰り返していた。確かにこのバトルフラッグスの女子チームに、副部長の姿はなかったはずだ。そもそも、この騒動の原因となったお風呂場にも、その後、部長の正座で説教の場面にも、副部長はいなかった。
そういえばタカヤも、副部長の写真は一枚も撮っていないとか言っていたような――
『エイト君、聞こえているね』
いつの間にか弾幕は途切れ、防風林に静けさが戻っていた。木の陰から少しだけ顔を出して除けば、ザクドラッツェもジャックラビットも、銃を下している。
『ヒタチ・ユウ、アメ・トキコ……女子チームの両三年生が、たった今、撃墜された。乱入者にね』
淡々と告げるナノカの声に、エイトも男子チームの状況を、素直に告げる。
「……イサリビ先輩も、同じです」
『乱入者……第三勢力。副部長、カンザキ・サチの暗躍だ。これはこのゲームにおいて、著しく公平性を欠く行為――そうは思わないかい。エイト君』
「……はい」
『そうだね。サナカ一年生の写真については、私とて到底許しがたいけれど……だからといって、副部長の乱入はいただけない。そこで、提案が』
『だああっ! 赤姫ッ、てめェはまどろっこしいんだよ!』
ナツキの通信ウィンドウが大きく開き、ナノカのウィンドウを画面端に追いやる。ナツキは画面から飛び出して噛みつくような勢いでまくし立てた。
『一時休戦だァ、エイト! 副部長とやらのツラぁ拝んで、一発ブチ撒けてからゲームに戻るぜ! 行くぞ、ついて来いッ!』
言い終わるや否や、ザクドラッツェはバーニアを吹かしてB3エリアの方へと飛び立っていった。
『まったく、せっかちだなあ。エイト君、いいかい?』
「は、はいっ。ナツキさんの性格には、バイトで大分慣らされましたから」
『はっはっは、それは心強いね……じゃあ、いこうか』
続いてジャックラビットとV8も、バーニアを吹かして飛び立った。
期せずして揃ったチーム・ドライヴレッドの三人は、湾岸沿いの高速道路が伸びる、B3エリアと向かう――
◆◆◆◇◆◆◆
時は少し巻き戻り――バトルフラッグス開始から十五分ほど。B3エリア。
一直線に伸びる
「しかし、だからってよ……!」
ブロロロロロロロロロロ――! 迫る轟音、踏みつぶされるトレーラー。割れ砕けめくれ上がるアスファルト。
「あんなモン持ち出すかよ普通っ!」
ブオォォォォンッ! 何もかもを轢き潰す勢いで迫ってきた超巨大なタイヤを、グレイズ改はギリギリのところで回避する。クタン参型ブースターの推進力がなければ、そのままぺしゃんこになっているところだった。
ハイウェイ上空に逃げれば、今度は対空砲火の雨霰だ。前後二本のタイヤで地面を疾走していても、戦艦は戦艦だということか。
「こんなモンがバトルシステムに実装されてたとはな……くそっ、どう攻めるか……」
ハイウェイ上でドリフトターンを決めグレイズ改に艦首を向けるのは、陸上戦艦アドラステア。Vガンダムに登場した、どうみてもバイクにしか見えない巨大戦艦である。
グレイズ改の頭部装甲を開き、情報収集機構を作動して
「こんなところに、おっきな獲物がいる!」
場違いに明るい声が、グレイズ改のさらに上空から降ってきた。戦闘機のような機影が二機、青い空に飛行機雲を引きながら
ムラサメ改〝ユウダチ〟、そして〝シグレ〟――ガンダムSEED DESTINYに登場した可変型MS、ムラサメの改造機だ。
「男子チームもいるみたいだけど……どうする、ユウ。ボクは戦っても構わないよ」
「もっちろん! ユウは目の前の獲物を、わざわざ見逃しはしないっぽい!」
トキコが操縦する〝シグレ〟は、背部にガンキャノンから移植した240㎜キャノンを装備した火力支援型。一方のユウが駆る〝ユウダチ〟は、〝ソロモンの悪夢〟アナベル・ガトー専用リックドムの大型ビームバズーカを装備した強襲型だ。
「そう。わかったよ、ユウ。弾薬の雨を降らせようか」
「うんっ。さあ、素敵なパーティー始めましょう!」
ギュオ――ッ! 二機の戦闘機は急激な弧を描いて進路を変え、アドラステアへと真正面から突撃した。キャノンとバズーカが次々と火を噴き、機銃や砲台を手当たり次第に潰していく。
「この流れ……乗るしかねえか!」
アキヒサもグレイズ改を転進、クタン参型ブースターの上面に装備した二門の滑空砲を撃ちながら突撃した。
「おい、ヒタチにアメ! 一時休戦だ、あのデカブツをぶっとばす!」
「フラッグもからまないし……ボクはいいよ。ユウはどう?」
「パーティーは、みんなでやるほうが楽しいっぽい!」
ユウダチとシグレは、機体下部から高速ミサイル・ハヤテをばら撒いて、そのままアドラステアの左右に離脱。ミサイルが対空機銃を引き付けている間に、機体をモビルスーツ形態に空中変形、ビームバズーカと240㎜キャノンをそれぞれ構えた。
同時にアキヒサはアドラステアの艦首側から艦尾側まで、滑空砲を撃ちまくりながら翔け抜けた。前輪・後輪、両方に致命的な損傷を与えて機動力を奪い、クタン参型ブースターの推進力を使って無理やりに一八〇度回頭、滑空砲を艦橋に向ける。
「よっし、一斉射撃だ!」
「うん、いくよ……!」
「あはっ、ソロモンの悪夢を見せてあげる!」
三機のガンプラが、同時にトリガーを引き――
『あっひゃっひゃっひゃっひゃ♪』
ドッ、オオオオオオオオン――ッッ!
独特な笑い声、それをかき消す轟音。燃え盛り崩れ落ちるアドラステア。頑丈なはずの陸上戦艦のど真ん中に大穴が開き、艦首側と艦尾側に真っ二つに引き千切られている。
「い、いったい何が……!?」
「ま、まだユウは、撃ってないっぽい……?」
ビームバズーカも240㎜キャノンも、そして滑空砲も、まだトリガーは引かれていない。三機のガンプラたちは、見えない糸にでも縛られたかのように、身動きが取れなくなっていた。
「これは……
『やっほーい、使い捨てのモブキャラ諸君。無理に動くとさー、手足が千切れるぜー? あっひゃっひゃ♪』
「この声、副部長っぽい!?」
巨大な鉄クズと化したアドラステアの上に、二機のガンプラが降り立った。
一機は、副部長カンザキ・サチの駆るノーベルガンダム・ドゥルガー。右手には、糸繰り人形の糸のように、クリアビームリボンを束ねて握っている。
そして、もう一機は――
『なんだ……戦艦っていっても……大したこと、ないわね……』
『さすがはアマタ先輩、砲手のプロなのです♪』
オルフェンズシリーズの高速偵察機・百里をベースにしたガンプラ。しかしそのシルエットは大きく変わっている。ジオン系重MSを思わせる太い脚、内部機構が露出した太い腕。大きく後ろに張り出した背部ユニットには大型のバーニアスラスターが追加されている。そしてなにより目を引くのは、背部ユニットから黒々とした砲身を屹立させる、超・超・超大型実体弾砲。
「その機体……
『あっひゃっひゃ♪ こまけーことはいーじゃんよー、単純脳筋やろーのくせにー』
ギリギリギリィッ! ドゥルガーが右手を握りしめると、クリアビームリボンがより一層締め付けを強め、グレイズ改の関節部が悲鳴を上げる。サチはその様子をドS極まりない邪悪な笑顔で見下ろしながら、冷徹に告げる。
『てめーら、仲間に通信しなー? このバトルフラッグスに、あたしたちが――チーム・
「ち、チーム・
「……あ。ユウ、わかったっぽい」
「ああ、ボクもだよ。ナルカミさん、アマタさん、そして副部長……共通する特徴は……!」
ギリィィッ! サチはビームリボンを締め上げ、シグレの全身をバラバラに捩じ切った。
「と、トキコっ!? ちょっと副部長、ひどいっぽい!」
『ぽいぽいうるせーよ犬っころがさー。あたしは気がみじけーんだ、さっさと仲間に通信しねーと……』
ギリッ……ユウダチのビームバズーカが締め上げられ、センサーカメラにひびが入った。
『もーっと痛いこと、しちゃうぜー? あっひゃっひゃっひゃっひゃ♪』
◆◆◆◇◆◆◆
――そして時は戻り、現在。B3エリア。
「こいつはァ……あれだな。〝ミンチよりひでェ〟ってヤツだ」
現場に一番乗りをしたナツキは、思わずそう呟いていた。
道路一面に散らばる、大小さまざまのプラスチック片。緑色の装甲はおそらくグレイズ改の、航空機の翼らしきものはムラサメ改の残骸だろう。大型MAか陸上戦艦でもいたらしく、巨大な砲身や艦橋らしきモノもある。抉られたアスファルトや倒れた交通標識も相まって、まるで高速道路での重大事故のような有様だ。
追って到着したエイトはその惨状に、息をのむ。
「これ全部、副部長が……なにも、ここまでバラバラにしなくったって……」
「いや、これは……副部長だけじゃあない。砲撃の跡だ。それも、かなり強力な大口径砲――」
ピピピピ……ジャックラビットの優秀なセンサーが、被ロックオン警報を鳴らす。
「エイト君伏せてっ!」
ドッ、オオオオオオオオン――ッッ!
超音速の砲弾が、凄まじい衝撃波をまき散らしながらかっ飛んでいった。咄嗟に伏せて直撃しなかったにも拘らず、その爆音と風圧だけで、V8は瓦礫と共に道路の端まで吹き飛ばされてしまった。そして0.3秒後、海の方まで突き抜けていった砲弾は、C2エリアあたりに突き出していた岬に直撃。百メートル四方はあった岬が、ごっそりと、跡形もなく粉砕された。
「え、エイト君っ!」
「ちィッ、森の中からかよォ!」
ナノカはエイトに駆け寄り、ナツキはエイトの前に立ちはだかってヘビー・ガトリングを構えた。
「ツラァ見せろよ、ハチの巣にしてやンぜェェッ!!」
バガララララララララララ――ッ!
砲撃の衝撃で木が倒されているあたりへ、大体の見当だけでガトリングの弾幕をばら撒く。毎分千二百発の連射力が樹々を薙ぎ払い、防風林が切り拓かれていく。
すると――
『あわわわわっ。りょ、旅館のお姉さん、怖い人なのです!』
『でも……この、百里雷電には……そんな弾、徹らないわ……』
めきめきと大木を踏み倒し、まるでヒグマの様な巨体――百里雷電が姿を現した。ヘビー・ガトリングを装甲表面で軽く弾き、まるで意にも介していない。その背に負った超大型砲は、ザクドラッツェの180㎜キャノンすら爪楊枝のように見えてしまうほどだ。
「けっ、あざといロリ声しやがってよォ! ガンプラはゴリゴリのゴリマッチョじゃあねェかァ!」
ナツキは叫び、ラスト一発の対艦シュツルムファウストを発射。百里雷電は避けもせず、ガードもせず、ごく普通に直撃して――無傷。姿勢すら崩れない。
ナノラミネート装甲というだけでない、ガンプラの完成度から来る異常なまでの高防御。ナルカミ・ナルミ、アマタ・クロ、二人のビルダーとしての実力が伺える。
「くそッ……硬ェなオイ……!」
ナツキは牙を剥くようにして笑いながらも、冷や汗が一筋、頬に垂れる。
『あっれれぇ~? お姉さん、それでもう終わりなのですぅ~?』
『見たところ……その機体が、あなたたちの中で、最大の火力ね……もう、アカツキ君にも、アカサカさんにも……私たちを、傷つけられないわ……』
「くっ……ハラ立つお子ちゃまどもだぜ……ッ!」
吐き捨てるが、次の手が打てない。対艦兵器を受けて無傷のモビルスーツに、いったいどんな手が打てるというのか。ナツキは全力で考えを巡らせる。
ナノカは片手でエイトを助け起こしながら、もう片方ではビームマシンガンを百里雷電に向けた。
「相変わらずの鉄壁っぷりだね。敬服に値するよ。ナルカミさん、アマタさん」
『あっひゃっひゃ♪ おいおいナノカちゃーん、あたしもいるんだぜー。忘れてんじゃねーぞー?』
攻めあぐねるエイトたちの前に、さらに一機のガンプラが降り立った。
女子高生のようなセーラー服のガンダムタイプ、ノーベルガンダム・ドゥルガー。副部長、カンザキ・サチだ。
『ナルミちゃん、クロちゃん、そしてあたし……三人合わせてチーム・
『よろ……しく、ね……』
『なのです♪』
キメポーズのつもりなのか、ノーベル・ドゥルガーが腰に手を当て、横ピースを決める。百里雷電も同じポーズをとるが、ナツキ曰くゴリマッチョなガンプラでそんなポーズをとっても、ボディビルのワンポーズにしか見えない。
「うっわ……なんスか、このひっちゃかめっちゃかな状況は……」
「タカヤ……!」
GN粒子を散らしながら、デュナメス・ブルーがV8の近くに降り立った。その右手には、GNスナイパーライフルではなく、撃墜したのであろう、フラッグの頭部が握られている。
「よう、エイト。一応、フラッグ二機は落としたから来たけどよ。これ、何がどーなってんの?」
「いや、僕もよくは……でも、イサリビ先輩を落としたのは、副部長たちだよ」
「へぇ、そいつは穏やかじゃあねえなあ……!」
さすがは新聞部、タカヤはその一言である程度の事情を察したらしい。フラッグの頭を投げ捨てて、右肩に懸架していたGNスナイパーライフルを手に持った。
「アカサカ先輩。旅館のおねーさん。取り敢えず、共闘ってことでいいッスか?」
「ったく、もとはテメェの写真からの騒ぎだろうが……虫のいいヤツだぜ。ま、いいけどよ」
「歓迎するよ、サナカ・タカヤ君」
こちらは四機、相手は二機。バトルフラッグはもうポイント的に終盤、男女とも現在6ポイント。チームの全滅は敗北という条件だったはずだから、ここで自分たちが負けては、ポイントに関係なく副部長たち第三勢力の勝利となってしまう――戦況を考えながら、エイトは
「ナツキさんの爆撃ですら無傷の百里雷電……それに〝
「……心配かい、エイト君?」
「いえ、やる気が出ます」
力強い、エイトの断言。通信ウィンドウ越しに見えるエイトの目は、近接格闘最強にして最凶にして最狂の〝
ナノカは思わず、笑みをこぼす――エイト君。キミのその目が、私は好きだ。
「ナノさんとナツキさんで、百里雷電をお願いします。あの砲撃を撃てないように抑えてもらえれば、その間に……」
ブォン! V8の二刀流ビームザンバーに、加速粒子のビーム刃が噴出した。
「その間に僕とタカヤで、副部長を……倒します!」
エイトはV8のミノフスキードライブを全開、地を蹴って飛び出した。それに呼応するように、ガンプラたちが一斉に動き出した!
「付き合うぜエイト! さあ行けっ、GNガンビット!」
『一年ボーズ二人ともさー、泣いてワビるまでいじめて……いや、泣いてるのをさらにいびるのも楽しそうだよなー♪ あっひゃっひゃ♪』
デュナメス・ブルーはGNスマートガンビットを射出しGNフィールドを展開して飛翔した。ノーベル・ドゥルガーは、最初からバーサーカーモードを発動、両手に燃え盛るゴッドフィンガーを展開する。
「やれるね、ビス子。頼んだよ!」
「ハッハァ! このオレサマが爆撃だけだと思ったら、大間違いだぜェ!」
ジャックラビットはサブアームを展開、四丁ビームマシンガン状態で跳躍した。同時、ザクドラッツェはヘビー・ガトリングを投げ捨て、180㎜キャノンから取り外したヒート銃剣を両手に構えて突撃する。
『ナルミ……敵は、近接戦闘を……選んだみたいよ……』
『じゃあ、今度はナルミがメインでやるのです。百里雷電、敵機を押し潰すのです!』
百里雷電は超大型砲の砲身を折りたたみ、両腕のクローアームをがしゃがしゃと開閉した。脚部核熱ホバーが作動し、超重量級のボディをふわりと浮かせる。
〝
〝
男子対女子だったバトルフラッグスは、男女連合対
第十七話予告
《次回予告》
「あーっはっはっは! そおれっ、ショットシェル・フィストぉぉっ!」
「フンッ! 返すッ、ゴッドスラッシュ……タイフゥゥゥゥンッ!!」
「まだまだですわっ! てぇぇいっ!」
「うおおおおっ! 破ァァッ!」
ガンダムビルドファイターズ ドライヴレッド 第十七話『バトルフラッグスⅢ』
どぉんっ! ばああんっ! がががががががっ! がぉぉん! があん! ずごごごっ!
ぐっしゃあ! ばぎん、ごぎんっ! どどどどどっ、だだっ、だだだだだだっ! どぉんっ!
「ばぁああくねぇつ! ゴッドフィンガァァ……石破ッ! 天・驚・けぇぇぇぇんッ!」
「ツインメガキャノン、フルチャージ……フルバーストッ! 参りますわああああっ!」
◆◆◆◇◆◆◆
全開のあとがきで書き溜めができたとか言っていながらこの更新の遅さ、まっこと人間の慢心とは恐ろしいものです。慢心、ダメ、ゼッタイ。
さらには、やはりというかなんというかバトルフラッグスが今回で終わらないという展開に。次回こそ終わります。終わるように頑張ります!たぶん!(笑)
しかし私も、ただ単に遅かったわけではないのですよ。ガンプラ、けっこう作りましたよー。とりあえずV8は完成。そしてジャックラビットが現在50%ってところです。
そして、さらに、ハーメルンでGBF小説を書いているある方とのコラボ企画が進行中です……乞うご期待!
感想・批評等いただければ嬉しいです。よろしくお願いします!