霧が掛かった町の朝がくると一人の少年は自室で目を覚ました。
「ふわぁ~、よく寝た。」
少年は起きると日ごろ行っているトレーニングメニューを行う。それは常人では出来ないと言っても過言ではないものであった。時間を掛けトレーニングメニューを終えた少年はシャワーを浴びると朝食を食べ、服に着替えた。
服は白い長袖のシャツに黒のスーツのズボン。ズボンの両ポケットには歯を仕込んだ指輪入れ、腰のベルトには左に十字の装飾が付けられた籠手、右手首には十字架のメリケンが装備されていた。
「さて、行くか。ライトニング、出るぞ。」
「キキッ!」
額に稲妻の傷がある音速猿、ライトニングは少年の肩に乗る。
少年は鍵を掛け、外に出る。外に出れば霧の中を行き交いしている人ならざる異界の住人。路上で販売している者、喧嘩している者、警備隊の銃によって殺されている者とここでは日常的に起こっていることである。
「おー、今日も平和じゃないねー。」
少年はそう呟きながら向かっていると空から四足歩行の機械が落ちてきた。機械によって下敷きにされた者の血飛沫が飛ぶ。
「な、なんだ!」
少年は突然落ちてきた四足歩行の機械に驚く。そんなときスマホに電話が入った。
「はいもしもし、何ですかスティーブンさん?」
『ああ、生きてるみたいだね。実は軍が開発した四足歩行型兵器をいかれたヤツが操縦して今暴走させているって情報が入ったんだが・・・・・・・・・今そこにいるかい?』
「十中八九、目の前のコレですよね。」
『やっぱりテレビに映っているのは君か。』
「ええ。一応聞きますけどコレの搭乗者の生死は?」
『最悪遺体が確認できるほどにしてくれ。』
「わかりました。」
少年はそう言うと電話を切る。
「ライトニング、離れてろ。」
「キキッ!」
左のポケットに入れていた指輪を嵌めると刃を出し、親指に傷を入れる。親指から血が吹き出て血は手持ちの鎌へと形を変える。
「我流血闘武装・血の鎌(サイブデス)」
少年は鎌を構えると四足歩行の機械に向かい接近し、上に飛び鎌を振り下ろす。しかしは先は装甲に小さな傷を付けることしかできなかった。
「硬っ!?」
少年は距離を取ると血を自分の体に戻す。
「流石に大鎌でも切れる自信はないな・・・・・・仕方ない。」
少年は右てに十字のメリケンと左腕に籠手を装備する。
「ブレングリード流血闘術、推して参る!」
少年は四足歩行の機械に構える。四足歩行の中央部分の下から機関銃が出てくると少年に向け放ってくる。
「ブレングリード流血闘術33式、血楔防壁陣(プロッテッションクロイ)」
左の籠手から十字架がいくつも浮遊しマシンガンの弾を防ぐ。
(ああいうのは二本足を壊したら有利になるんだよな。だったら!)
「ブレングリード流血闘術83式、突貫十字(ルーイクロイ)」
少年は十字架の槍を拳を振りながら足の間接部に向け二つ放った。槍が関節に刺さると時差で爆発した。
「ダメ押しといこうか!」
少年は瓦礫をジャンプ台にし、四足歩行の機械の頭上に位置すると拳を構える。
「ブレングリード流血闘術111式、十字型殲滅槍(クロイツヴェルニクトランツェ)」
巨大な血の十字架を作り四足歩行の機械を押しつぶした。
「よっし、三十点かな。早くスティーブンさんに報告しないと。」
少年はそう言うとスマホを取り出した。
「ただいま戻りましたー。」
「おーお帰り。お疲れさん。」
少年がライブラに来るとスティーブンが出迎える。
「お帰りなさい。」
チェインが後ろから抱き着く形で迎えてくる。
「チェインさん、何故に抱きつきますか?」
「いいじゃない、特に重くないんだし。」
「確かにスタバの紙コップよりも軽いですけど・・・・」
「おいテメェ!何目の前でイチャついてんだ!」
ザップが文句を垂れる。
「うっさいエテモンキー!アンタは屍の山の中で一生寝てなさい。」
「んだとこの雌犬!殺されてえのか。」
「ザップさんは皆が認める人間の屑ですからね。仕方ないですよ。」
「おい陰毛頭!何サラッと言ってんだゴラァ!」
レオナルドがザップに毒舌を言う。
「まあ落ち着きたまえ。」
クラウスが宥める。
「それよりも大和君、君に大事な話がある。」
クラウスが真剣な顔で少年・直江大和にそう言った瞬間、その場にいた一同の顔つきが変わった。
「スティーブン、説明を頼む。」
「ああ。大和君、レディナ=オーレル博士は知っているね?」
「ええ。魔道生物専門の博士ですよね。表向きは。」
「そうだ。だが実際は世界を簡単に引っ掻き回せるほどの生物兵器を開発している。それがコレだ。」
スティーブンは大和に資料を渡す。
「見た目が・・・・・・オルトロスですね。」
「そうだ。オルトロスを改良したものだが少し問題がある。」
「と、言うと?」
「血の眷属(ブラッドブリード)の細胞が使われているとの情報だ。」
『っ!?』
その場にいた全員が目を見開いた。
「それは・・・・・・厄介ですね。」
「ああ。更に君にとってマズイ情報がある。」
「と言うと?」
「彼が今活動拠点にしているのは日本の川神だ。」
「なっ!?」
大和は驚きを隠せなかった。
「日本支部が対応したんだがあえなく全滅、まともに戦える戦力が無くなったそうだ。」
「それじゃあ今は・・・・・・」
「そうだ、日本は未曾有の危機に瀕している。」
大和は深刻な表情になった。そんな時テェッドが手を上げて質問した。
「すみません、大和さん。川神と言うのはどのような場所なんですか?」
「はっきりいうと戦闘民族が多い場所だ。特に百代姉さんが・・・・・・」
「Momoyo・・・・・ああ、確か日本の四天王といわれている日本最強の女性ですよね。」
「ええ・・・・・・情報で知る限りかなりの戦闘狂だけど。まあ、昔からだし。」
「ん?ちょっといいか。」
「なんですかザップさん?」
「さっきモモヨをモモヨネエサンって言わなかったか?」
ザップのその言葉を聞いた瞬間チェインの方から嫉妬のオーラが出ていた。
「昔から知り合いでしたからね。クラウス師匠とは出会ってまだ二年くらいだった頃でしたし。」
「へー、そっかー。おーい雌犬―、お前よりそーとー仲がいべらっ!」
チェインがドロップキックをザップにぶつけた。
「黙っていろ、クソイエローエテモンキー!」
チェインは青筋を浮かべていた。大和はチェインに近づくと頭を撫でる。
「ふわっ!」
「そんなに怒らないで下さいよ、チェインさん。折角のかわいい顔が台無しですよ。」
「////////」
チェインは顔が赤くなった。
「ほーんと、大和っちはたらしねー。」
「たらし?」
K.Kの言っている言葉の意味が分からなった。
「まあ、話は逸れたが大和君。君には日本支部の代わりに日本で任務についてもらいたい。もちろん学校に通ってね。」
「ええ、分かりまし・・・・・・・・・・へ?」
スティーブンの言葉に大和は間抜けな声を上げてしまう。
「だってそうだろう。君は年齢的にも日本で言うkoukouseiじゃないか。だったらそこで過ごしていてくれ。」
「・・・・・・・ちなみにこれは決定事項で?」
「もちろん。」
清清しい笑顔で言うスティーブン大和は溜息を着いた。
「分かりましたよ。直江大和、日本に行ってきます。」
「うむ、健闘を祈る。」
「ありがとうございます、クラウス師匠。」
霧が掛かった町、ヘルサレムズ・ロッド。通称HL。元・紐育。
一夜にして崩落・再構成され異次元の租界となった都市は今、異世界を臨む境界点。
地球上でも剣呑な緊張地帯となっている。
霧煙る町に蠢く機械生物・神秘減少・魔道犯罪・頂上化学。
一歩間違えば人界は侵食、不可逆混沌に呑まれる。
そんな世界の均衡を守るため暗躍する超人秘密結社ライブラ。
この物語はその構成員の一人、直江大和が日本の川神で世界平和のために戦う物語である。
直江大和
年齢:17歳
性別:男性
ペット:音速猿(名前はライトニング、理由:額に稲妻状の傷があるため。)
クラウスとは親の関係上繋がりが有り、血の眷属や裏社会で世界を破滅へと導くものたちの手から自分の大事な人たちを守りたいためにブレングリード流血闘術を習う。最初はクラウスはやめるように説得するも彼の熱心な申し出とその精神に感銘を受け、大和が11歳の時に弟子を取る事にした。それから六年間、超人秘密結社ライブラで活動している。チェインとは先の戦闘で身を挺して守ったことから好意を寄せられているが大和はそれに気付いていない。三年前の大崩落において自分の無力さを改めて実感しより磨きを掛けた。
血闘術はブレングリード血闘術と自ら編みだした我流血闘術を使う。我流血闘術は主に武器を構成して戦うが、主に戦いに使うのはブレングリード流血闘術である。